女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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立ち惚け

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 施設での朝の仕事を終えて、その足で寝具店に向かい、既に帰省していたサミイとエージャの三人で商品の搬入を行う。

「はいっ。水と光各三千に火が千。確認出来ました!」

「品切れ状態でしたので直ぐに無くなると思われます。私の中にも補充お願いします。今直ぐ」

メッツ君を抱いてないと平常運転のエージャだ。

「この後はすぐにエディアルタですか?」

「お手紙持ってかなきゃだし、ゆっくりは出来無いな」

「素早くお願いします」

「するならゆっくりな。つーか島に来いよ」

島に永住したいとか言ってる癖に来たら来たで借りて来た猫になるんだよな。ちゃんとママ上殿を説得してメッツ君も連れて遊びに来いと告げた。

早く仕事を済ます為、エディアルタへと《転移》する。

カツンッ

気が付く前に体に何か当たった。落ちてってるのは…矢か。上手いモンだな。真下を通る街道に向かって降りて行き、矢を拾った。早く仕事を済ませてしまいたいが門前では列を成している。諦めて列に並んだ。

「あ!お前!アタシの矢ー返せー!」

最前列迄後三人と言う所で街の中から女が駆け寄って来て、俺の拾得物を奪おうと手を伸ばす。矢を持つ右腕を高く上げると、女は両手を伸ばし飛び跳ねる。俺はそっと左手を胸に添えた。

「ウゲッ」

門内の壁に背中を打ち付け、女の子らしからぬ声を上げる女。

「コレがお前のだとしたら、お前が俺を狙って撃ったんだよな?」

「うう…、空なんて、飛んでるから…」

「殺る気なら殺られる覚悟もあるんだよな?返してやるから受け止めてみろ」

矢を浮かせ、回転を掛ける。

「おい!貴様っ!」「ウチのメンバーに何すんだっ!?」

威勢は良いが、離れ過ぎだ。俺が情け無用の男ならこの女は死んでるぞ?回転する矢は女の首を逸れ、壁にめり込んだ。

「あ…あわ…」

「おしっこ漏れちゃったね~」

「コラ。面倒事を起こすな。壁の補修も只じゃ無いんだぞ?」

門兵が呆れた様子で問うて来るので後始末はこの女とパーティーで賄ってもらうよう返しておいた。

「メルリンッ!メルリーンッ!」

「貴っ様ーっ!」「それより回復!ポーション出して!」

やっと駆け寄って来たパーティーメンバーが俺に掴み掛かろうとして仲間に止められた。

「ナシならソコで付けてやる。俺の仕事が終わったらな」

門を潜り、ギルドへと向かった。

「えっと、マスターにご用件とは?」

丁寧な対応だが話が通って無いらしい。俺があまりに来ないモノだから忘れられちゃったのかも知れないな。魔道具を出して卸しに来た旨を伝え、ギルマスには倉庫での確認作業の立ち会うよう、連絡してもらう。

「では、一旦買取りの方でお待ちください」

「全部で七千あるからね?カウンターで済むと思うなよ?」

「わ、分かりました」

カウンターで終われると思ってたなこりゃ。倉庫に近いから買取りカウンターの方に行くけどさ。

「もしかして、カケルさん?」

買取りカウンターの近くで立ち惚けて居ると、カウンターの隅から声がする。大型の水晶玉から顔を覗かせるのは数少ない男の知り合い、マニアだった。

「覚えてたのか、久しぶりだな」

「そんな鎧着てるの貴方だけですからね。魔道具の納品ですか?」

「察しの通りだ。流石古株」

「あの受付嬢よりは、ですがね」

立ち惚けで勃ち勃起な俺は目立つので、とっとと此方へと倉庫に連れて行かれた。体の良いサボり草を見付けたな?

「マスターが来なかったら《威圧》とかするでしょ?先に物を出しといてください。僕も検品出来ますので」

真面目に仕事をするようだ。荷降ろしすると、薄板にペンで中身を確認。間違いが無い様、俺も立ち会う。

「水三千の…光が三千。火の鉄板は本当に嵩張りますね。コレが千…っと確認お願いします」

途中から仲間が加わり検品を終えると、漸くギルマスがやって来た。

「何だ、先に終わらせちまってたのか」

終わる時間を見越して来たんだろうが。




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