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理想の上司
しおりを挟む「カケルさぁん、これ~」
山を切ったリュネが見せてくれたのは緑色の石。ストーンだ。ミスリル鉱山の近くで産出し、純度が上がるとジェムになる輝石である。滝の中でも採れたので、地面の中にもあるのは当然である。
「掘ったらもっとありそうだね。地下の補強も兼ねて少し掘っておこうか」
「島毎行きましょうか~」
「掘り過ぎると溶岩出たりしそうだし、程々にね」
程々にと言ったのに、水面以下迄堀り抜かれた。玉と光り物が好きな龍だし、仕方無い。埋め立てて、ギッチリ固めてもらうと五ハーン近く凹んでしまった。埋め立て用の土が足りなくなったがそれだけ隙間のある地盤だったとも言える。これはこれで正解か。追加分は俺が粘土を出し、リュネが固めた。
「だいぶ上達しましたねぇ~」
「やっぱりやると慣れるよな」
ミネストパレスやトカゲ養殖場での経験が生きている。ドバドバ出すだけなら人には負けない自信がある。
土台が出来たので円形の壁を建てる。コッチはドバっと出来ないので、粘土を使って線を引く感覚で当たりを付け、板状の粘土を筒状に丸めて立てた。薄い粘土板をギュッと固めただけでは壁として役に立たない。リュネの白い石を粘土の壁に貼り付けて厚みと強度を出す。粘土板は言わば型である。
「リュネに丸投げしたくなるな…」
「したらしたで悔しがる癖にぃ、ふふっ」
壁の内側に部屋となる壁を建てたり、階段や柵なんかを作って本日は終了。夕飯食べたら直ぐに寝てしまった。
翌日は三階と天井、その翌日は二日を掛けて風呂。更に一日掛かりでトイレや水周り、明かり等の属性魔石を設置して、家に関して俺のやれる事は終わった。装飾や搬入は皆に頑張ってもらおう。
「主様、畑を移動させるのだったな」
「埋め立てて平地を作るから、畑に変えて欲しい」
「うむ」
山を切った残土で埋め立てをする予定だったが土台の埋め立てで使ってしまったので、俺の土魔法が火を噴くぜ。今日はリームが手伝いだ。埋め立てたい場所に壁を建て、その中に粘土、土の順で流し込む。土は俺も出せるが、畑にするならリームに任せた方が良い。俺は空から水を撒き散らした。
埋立地が肥沃な土で満ちると、リームは畑に行って植え替えの準備に取り掛かる。此処はリームの一人舞台なので、俺は畑や家の際に植樹したり、剥き出しの地面に草を植える。島の植生を変えるのは良くないからな。
畑と果樹園の植え替えが終わり、島の姿がだいぶ変わった。尖っていた山頂は横一線に広がり、木々の間から白く輝く建物を覗かせる。少し下って山頂よりも広い平坦は畝立てされて整列する薬草畑へ変わり、陽の当たる南側の斜面には果樹が列を成し、様々な色と形の果物がクリスマスオーナメントの如く実や花を付けている。
「流石リームだ」
「主様の指示が無ければこうは行かん」
「俺ももっと力を使えたら良かったんだがね」
「主様はとうに人の子の力を越している。龍の《収納》に耐えるのだ。雄程度ならば実力で倒せる力は持っているのだぞ?」
破壊より創造側の、人の助けになる力が欲しいんだ。万人相手に只働きする気は無いけどな。
白い円筒に向かうとテイカとラビアン達が建具の製作等に追われていた。テイカは身重で転移門を使わせたくなかったので数人のラビアンとペルマを伴い新居で寝泊まりしてもらっていた。今も左右に二人付けてラビアン達に指示を出す。的確な指示に細かな気配り、質問にも面倒がらずに対応し、手と口で答えを示す。まるで理想の上司だな。
「急ぐ事はありません。確実に行ってください。長持ちすればする程結果手入れが楽になります」
「「「はいっ」」」
「カケル様がおちんぽ硬くして見てます。頑張りましょう」
「「「はいっ!」」」
柔らかくして行ってやろうか。士気を下げる奴は理想の上司では無いな。止めとこ。
「リーム、食べられる果物でも採って来ようか」
おやつにゴロゴロ果実入り果実水を振舞った。
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