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第一章 湯けむりと反射ベスト
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夜の温泉郷は、湯気と霧が混ざりあっていた。石畳は雨粒を吸って黒く、赤い提灯の光が水面みたいに揺れる。
早瀬湊は救急車の助手席で、顎にかけた無線マイクを指先で弾いた。制服の上から反射ベスト。ポケットには使い古しのペンライトと折れたフィルムケース。寝ぐせはキャップに押し込んだつもりだが、耳の後ろで跳ねている。
「県道二十六号、山側トンネル手前で単独事故。運転手一名、胸痛訴え。土砂の二次崩落おそれあり、とのことです」
助手席の相棒が読み上げる。サイレンが山肌にぶつかり、長いトンネルがうなるように返事をした。
「現場入る前に安全確認。隊長、応援の消防到着まで外で待機しますか?」
「様子見て判断する」
湊は短く答え、指に癖のように巻いたテープを引いた。待機が正しい。頭ではわかっている。けれど、トンネルの入口にはハザードを点滅させた軽ワンボックスが、ぬれた銀色で小さく震えていた。斜面の上からこぼれ落ちた石がタイヤに噛み、逃げ道を塞いでいる。
車を遮断する三角コーンを降ろし、隊長が通行止めの指示を飛ばす。湊はヘルメットの顎ひもを締め直した。
「湊、まだ崩れるかもしれん。待つぞ」
「了解」
言葉だけは素直に返しながら、ワイパーのリズムで視線が吸い寄せられる。運転席の中、顔色の悪い男が胸を押さえている。窓越しに見える唇の色が、薄い。
(酸素、血圧、12誘導……いや、まずは安全……)
崖のうえで、礫が一つ転がってカーンと音を立てた。夜の空気がわずかに緩む。湊はほんの一歩、コーンの外へ踏み出した。
「無理すんなよ、湊!」
「声かけだけ」
降りしきる霧雨に濡れながら、運転席に身体を寄せる。窓が少しだけ開いた。中から、湯気に似た湿った息。
「救急です。お名前、わかりますか」
「……や、山科……」
「山科さん、今、胸が苦しい?」
「重い……背中まで……」
背部放散。顔面蒼白。汗。最悪の文字が、脳裏の教科書のページを勝手にめくる。
後方で消防のサイレンが近づく音。時間の目盛りが戻ってくる。その一瞬の間に、崖のうえの何かがまた小さく崩れた。渇いた砂がぱらぱらと降る。
(待て。安全が先だ。わかってるだろ、俺)
湊は自分に言い聞かせ、指先だけ窓から差し込んで脈に触れた。細い。速い。患者の視線が、助けを求めるように湊の瞳に絡む。ヘッドライトの白に、弱い瞳孔が揺れた。
「すぐ酸素つなぐ。山科さん、ゆっくり息して」
消防が到着し、黄色いヘルメットが視界を埋める。救助隊長の葛城が、短く状況を聞いて土砂を確認した。
「二次崩落リスク中。車体固定したら速やかに引き出す」
「搬送は?」
「トンネル手前でUターン不可。反対側の出口から回す。外科当直は?」
「斎藤先生。外科のレジデント」
隊内無線に応答が入る。病院の救急外来のざわめきがかすかに混線して届く。冷たい現場の空気と、蛍光灯の白い匂いが脳内で重なる。
固定バンドが取り付けられ、車体が揺れないように抑えられる。湊はドアの隙間からマスクを差し込み、患者の鼻口にふわりと当てた。
「苦しくない程度で吸って。そう、そのまま」
石の雨が再びぱらつき、誰かの怒鳴り声で全員が身を低くした。ヘルメットのつばに雨が弾け、世界が鈍い音に満ちる。時間が一瞬、伸びる。
「今だ、引き出せ!」
葛城の声。救助隊の手が、慎重かつ素早く患者をボードに移す。湊は頸椎を支え、胸に手を当ててリズムを計る。
「山科さん、こっち見て。だいじょうぶ、外に出たら楽になる」
外気に触れた患者の頬がほんのわずか、色を取り戻す。トンネル内のオレンジのソジウム灯から、山の夜の青へ。空気が広がる。
搬送車内。酸素流量を上げ、血圧のカフを巻く。モニターの波が不規則に上下するたび、湊は無言で相棒と視線を交わした。ピッ、ピッ、と規則的であるはずの音が、ちいさく、嘘をつく。
「病院、あと五分」
「外来に連絡——」
救急外来の自動ドアが、まるで唇のように湧き、彼らを飲み込んだ。明るさに眼が慣れる前に、白衣の集団が押し寄せる。その先頭。ポニーテールを低く結び、グリーンのスクラブの上に白衣を羽織った女医が、短く顎を上げた。
「外科、斎藤。症状は?」
「胸痛、背部放散あり。到着時SpO2 92%、酸素で95。血圧は低めにシフト、脈拍速い」
「既往とアレルギーは?」
「本人からは取れてない。家族不在」
斎藤緋色の声は、氷の表面を爪で弾いたように澄んでいた。濁りがない。湊の指から情報を受け取り、彼女は患者の胸骨に聴診器を置く。視線が素早く、的確に動く。
「大動脈解離の疑い。CT通す。搬送、最短ルート確保して」
「無謀な現場進入はしてないですね?」
彼女の目が一瞬、湊に向いた。黒目がわずかに火花を散らす。
「安全確認の上で必要最小限の介入をしました」
「“必要最小限”の定義は、しばしば人によってブレます」
口の端だけが、皮肉にも真面目にも見える角度で動く。湊は黙ってうなずいた。反論は百個ほど思いついたが、どれも患者の役には立たない。
CT室へ患者が運ばれていく。ストレッチャーの車輪が白い廊下でやさしく鳴った。湊は搬送記録をまとめ、汗で固まった前髪を指で押さえた。
「早瀬さん」
背後から呼ばれて振り返ると、緋色が立っていた。彼女の白衣の袖口には、消えないインクの点がひとつ。血ではない、ペン跡だろう。
「さっきの“必要最小限”の件、嫌味じゃありません。これでも、あなた方に死んでほしくないと思って言っています」
「わかってます」
湊は素直に答える。その素直さに自分で少し驚く。
「ただ、窓の向こうに顔色の悪い人がいると、身体が先に動きます」
緋色のまつげが短く揺れた。彼女は湊の胸元、濡れた反射ベストを見て、それから視線を上げた。
「身体が先に動くのは、外科にもいます。でも、病院は屋根があるぶん、潰れにくい。山は、優しく潰れます」
比喩が乾いているのに、妙に温度があった。湊は笑いそうになって、やめた。
「記録、拝見します。抜けがあれば言います」
「お願いします」
彼女はわずかに会釈して去った。歩幅は速いが、乱れない。背中が消える頃、湊の耳にはまだ彼女の声の余韻が残っていた。氷の表面の音。嫌いじゃない。
*
夜明け前、湊は昇降口の外で空を見上げた。雨は上がって、霧だけが残っている。遠くの山の肩が、牛乳に浸した紙のようにやわらかく溶けていた。ポケットからスマホを取り出し、習慣みたいにシャッターを切る。朝焼けの色がまだ出ない、前の色。
「あなた、ほんとにそれ毎日撮るんですか」
いつのまにか隣に緋色がいた。紙コップのコーヒーを両手で持って、湯気を頬に当てている。目の下にうすく疲れが降りているのに、声は相変わらずクリアだった。
「ええ。朝焼けは、いつも違うので」
「夜の事故も、いつも違う」
「それは困ります」
二人の間に、軽い呼気の笑いが転がった。温泉町の湯気が風に押され、病院の駐車場の外灯が白く滲む。
「さっきの患者さん、どうでした?」
「上行解離。術場へ。……父が同じだったので、見逃したくないのです」
緋色は自分の言葉に自分で少し驚いたように、コーヒーの縁を見つめた。湊はなにも言わない。救急はたまに、沈黙のほうが性急な励ましより役に立つ。
「あなた、無線での声、落ち着いてますね」
「夜勤明けにしか落ち着けないんです」
「じゃあ、よく会う」
「そうだといいですね」
口に出した瞬間、湊は少しだけ頬が熱くなるのを感じた。緋色は気づいたかどうか、紙コップを片手に持ち替えた。
「次に会うとき、あなたが反射ベストを着ていないといい。温泉街で、湯気の中で」
「じゃあ、傘は二本持っていきます」
「なぜ二本」
「理屈じゃなく、昔の約束で」
緋色は首をすこし傾げた。彼女の目に、質問と、微かな興味と、そしてまだ埋まらない慎重さが順番に灯る。
「約束は守るタイプ?」
「救急は、約束できないことだらけなので」
「正しい答え」
二人の間に、また短い笑いが生まれた。湯気がほどけ、朝の一色手前の空が、ひとつ明るくなった。
——背後で携帯が震えた。新しい出動。湊は視線で緋色に謝り、彼女はコーヒーを上げて頷いた。サイレンを鳴らす前の、ほんの刹那。湊は思った。
この町の長いトンネルみたいに、彼女との話も、まだ先が見えない。それでも、入っていく価値がある暗がりだ。
「行ってきます」
「気をつけて」
言葉は短く、確かだった。
早瀬湊は救急車の助手席で、顎にかけた無線マイクを指先で弾いた。制服の上から反射ベスト。ポケットには使い古しのペンライトと折れたフィルムケース。寝ぐせはキャップに押し込んだつもりだが、耳の後ろで跳ねている。
「県道二十六号、山側トンネル手前で単独事故。運転手一名、胸痛訴え。土砂の二次崩落おそれあり、とのことです」
助手席の相棒が読み上げる。サイレンが山肌にぶつかり、長いトンネルがうなるように返事をした。
「現場入る前に安全確認。隊長、応援の消防到着まで外で待機しますか?」
「様子見て判断する」
湊は短く答え、指に癖のように巻いたテープを引いた。待機が正しい。頭ではわかっている。けれど、トンネルの入口にはハザードを点滅させた軽ワンボックスが、ぬれた銀色で小さく震えていた。斜面の上からこぼれ落ちた石がタイヤに噛み、逃げ道を塞いでいる。
車を遮断する三角コーンを降ろし、隊長が通行止めの指示を飛ばす。湊はヘルメットの顎ひもを締め直した。
「湊、まだ崩れるかもしれん。待つぞ」
「了解」
言葉だけは素直に返しながら、ワイパーのリズムで視線が吸い寄せられる。運転席の中、顔色の悪い男が胸を押さえている。窓越しに見える唇の色が、薄い。
(酸素、血圧、12誘導……いや、まずは安全……)
崖のうえで、礫が一つ転がってカーンと音を立てた。夜の空気がわずかに緩む。湊はほんの一歩、コーンの外へ踏み出した。
「無理すんなよ、湊!」
「声かけだけ」
降りしきる霧雨に濡れながら、運転席に身体を寄せる。窓が少しだけ開いた。中から、湯気に似た湿った息。
「救急です。お名前、わかりますか」
「……や、山科……」
「山科さん、今、胸が苦しい?」
「重い……背中まで……」
背部放散。顔面蒼白。汗。最悪の文字が、脳裏の教科書のページを勝手にめくる。
後方で消防のサイレンが近づく音。時間の目盛りが戻ってくる。その一瞬の間に、崖のうえの何かがまた小さく崩れた。渇いた砂がぱらぱらと降る。
(待て。安全が先だ。わかってるだろ、俺)
湊は自分に言い聞かせ、指先だけ窓から差し込んで脈に触れた。細い。速い。患者の視線が、助けを求めるように湊の瞳に絡む。ヘッドライトの白に、弱い瞳孔が揺れた。
「すぐ酸素つなぐ。山科さん、ゆっくり息して」
消防が到着し、黄色いヘルメットが視界を埋める。救助隊長の葛城が、短く状況を聞いて土砂を確認した。
「二次崩落リスク中。車体固定したら速やかに引き出す」
「搬送は?」
「トンネル手前でUターン不可。反対側の出口から回す。外科当直は?」
「斎藤先生。外科のレジデント」
隊内無線に応答が入る。病院の救急外来のざわめきがかすかに混線して届く。冷たい現場の空気と、蛍光灯の白い匂いが脳内で重なる。
固定バンドが取り付けられ、車体が揺れないように抑えられる。湊はドアの隙間からマスクを差し込み、患者の鼻口にふわりと当てた。
「苦しくない程度で吸って。そう、そのまま」
石の雨が再びぱらつき、誰かの怒鳴り声で全員が身を低くした。ヘルメットのつばに雨が弾け、世界が鈍い音に満ちる。時間が一瞬、伸びる。
「今だ、引き出せ!」
葛城の声。救助隊の手が、慎重かつ素早く患者をボードに移す。湊は頸椎を支え、胸に手を当ててリズムを計る。
「山科さん、こっち見て。だいじょうぶ、外に出たら楽になる」
外気に触れた患者の頬がほんのわずか、色を取り戻す。トンネル内のオレンジのソジウム灯から、山の夜の青へ。空気が広がる。
搬送車内。酸素流量を上げ、血圧のカフを巻く。モニターの波が不規則に上下するたび、湊は無言で相棒と視線を交わした。ピッ、ピッ、と規則的であるはずの音が、ちいさく、嘘をつく。
「病院、あと五分」
「外来に連絡——」
救急外来の自動ドアが、まるで唇のように湧き、彼らを飲み込んだ。明るさに眼が慣れる前に、白衣の集団が押し寄せる。その先頭。ポニーテールを低く結び、グリーンのスクラブの上に白衣を羽織った女医が、短く顎を上げた。
「外科、斎藤。症状は?」
「胸痛、背部放散あり。到着時SpO2 92%、酸素で95。血圧は低めにシフト、脈拍速い」
「既往とアレルギーは?」
「本人からは取れてない。家族不在」
斎藤緋色の声は、氷の表面を爪で弾いたように澄んでいた。濁りがない。湊の指から情報を受け取り、彼女は患者の胸骨に聴診器を置く。視線が素早く、的確に動く。
「大動脈解離の疑い。CT通す。搬送、最短ルート確保して」
「無謀な現場進入はしてないですね?」
彼女の目が一瞬、湊に向いた。黒目がわずかに火花を散らす。
「安全確認の上で必要最小限の介入をしました」
「“必要最小限”の定義は、しばしば人によってブレます」
口の端だけが、皮肉にも真面目にも見える角度で動く。湊は黙ってうなずいた。反論は百個ほど思いついたが、どれも患者の役には立たない。
CT室へ患者が運ばれていく。ストレッチャーの車輪が白い廊下でやさしく鳴った。湊は搬送記録をまとめ、汗で固まった前髪を指で押さえた。
「早瀬さん」
背後から呼ばれて振り返ると、緋色が立っていた。彼女の白衣の袖口には、消えないインクの点がひとつ。血ではない、ペン跡だろう。
「さっきの“必要最小限”の件、嫌味じゃありません。これでも、あなた方に死んでほしくないと思って言っています」
「わかってます」
湊は素直に答える。その素直さに自分で少し驚く。
「ただ、窓の向こうに顔色の悪い人がいると、身体が先に動きます」
緋色のまつげが短く揺れた。彼女は湊の胸元、濡れた反射ベストを見て、それから視線を上げた。
「身体が先に動くのは、外科にもいます。でも、病院は屋根があるぶん、潰れにくい。山は、優しく潰れます」
比喩が乾いているのに、妙に温度があった。湊は笑いそうになって、やめた。
「記録、拝見します。抜けがあれば言います」
「お願いします」
彼女はわずかに会釈して去った。歩幅は速いが、乱れない。背中が消える頃、湊の耳にはまだ彼女の声の余韻が残っていた。氷の表面の音。嫌いじゃない。
*
夜明け前、湊は昇降口の外で空を見上げた。雨は上がって、霧だけが残っている。遠くの山の肩が、牛乳に浸した紙のようにやわらかく溶けていた。ポケットからスマホを取り出し、習慣みたいにシャッターを切る。朝焼けの色がまだ出ない、前の色。
「あなた、ほんとにそれ毎日撮るんですか」
いつのまにか隣に緋色がいた。紙コップのコーヒーを両手で持って、湯気を頬に当てている。目の下にうすく疲れが降りているのに、声は相変わらずクリアだった。
「ええ。朝焼けは、いつも違うので」
「夜の事故も、いつも違う」
「それは困ります」
二人の間に、軽い呼気の笑いが転がった。温泉町の湯気が風に押され、病院の駐車場の外灯が白く滲む。
「さっきの患者さん、どうでした?」
「上行解離。術場へ。……父が同じだったので、見逃したくないのです」
緋色は自分の言葉に自分で少し驚いたように、コーヒーの縁を見つめた。湊はなにも言わない。救急はたまに、沈黙のほうが性急な励ましより役に立つ。
「あなた、無線での声、落ち着いてますね」
「夜勤明けにしか落ち着けないんです」
「じゃあ、よく会う」
「そうだといいですね」
口に出した瞬間、湊は少しだけ頬が熱くなるのを感じた。緋色は気づいたかどうか、紙コップを片手に持ち替えた。
「次に会うとき、あなたが反射ベストを着ていないといい。温泉街で、湯気の中で」
「じゃあ、傘は二本持っていきます」
「なぜ二本」
「理屈じゃなく、昔の約束で」
緋色は首をすこし傾げた。彼女の目に、質問と、微かな興味と、そしてまだ埋まらない慎重さが順番に灯る。
「約束は守るタイプ?」
「救急は、約束できないことだらけなので」
「正しい答え」
二人の間に、また短い笑いが生まれた。湯気がほどけ、朝の一色手前の空が、ひとつ明るくなった。
——背後で携帯が震えた。新しい出動。湊は視線で緋色に謝り、彼女はコーヒーを上げて頷いた。サイレンを鳴らす前の、ほんの刹那。湊は思った。
この町の長いトンネルみたいに、彼女との話も、まだ先が見えない。それでも、入っていく価値がある暗がりだ。
「行ってきます」
「気をつけて」
言葉は短く、確かだった。
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