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第2章
第21話「鎖の間」
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広間の奥の通路は、これまでの層とは明らかに異質だった。
光の発生源が、壁だ。
第六層の光苔のような生物的な発光ではない。
石そのものが、淡く白く光っている。
眩しくない。
柔らかく均一な光が、通路全体を満たしている。
影ができない。
幅は、二人並んで歩けるくらいだ。
広間より狭い。
天井も低い。
圧迫感がある。
カインが先頭に立ち、ゴルドが後尾を固めた。
全員、ほぼ無言だった。
壁に文字がある。
広間の密度より少ないが、同じ系統の古代語だ。
通路に入ってから、文字の種類が少しずつ変化している。
マルコが、小声で言った。
「光ってるだけで、何もないな」
「まだ入口です」
恒一が、前を向いたまま答えた。
通路が、緩やかに下っている。
第七層より更に深部へ向かっているのかもしれない。
足元の傾斜はわずかだが、確かに下りている。
しばらく進んだところで、カインが足を止めた。
「……また障壁か」
通路の幅全体を塞ぐように、半透明の膜があった。
広間への入口で発生した障壁と、同じ種類のものに見える。
ただし、あちらより薄い。
向こう側がうっすら見える。
通路が、続いている。
カインが手を伸ばした。
固い。
通れない。
マルコが試した。
同じく、通れない。
リーナが両手をそっと前に出した。
触れた瞬間、小さく息を飲んだ。
「……通れません」
ゴルドが腕を伸ばした。
固い。
全員が、恒一を見た。
恒一が前に出た。
手を伸ばした。
触れた瞬間、膜が波紋のように揺れた。
中心から外に向かって、水面に石を投げた時のように広がり、そのまま消えた。
恒一が一歩踏み出した。
通れた。
振り返ると、膜が再び現れていた。
「……お前だけか」
カインが、膜越しに言った。
「そのようです」
カインが再度手を当てた。
固い。
変わらない。
「なぜお前だけ通れる?」
「分かりません」
マルコが、膜を見ながら言った。
「魔法の種類か?召喚系だからとか?」
「違うかもしれません。ゴルドさんも魔法を使いますが、通れない」
ゴルドが、腕を組んだ。
しばらく黙っていた。
「……転移者だからではないか」
全員が、ゴルドを見た。
「この遺跡は古い。壁の文字も、魔法陣も、相当な年月が経っている。転移者を想定した設計がされていてもおかしくない。恒一だけが、別の世界から来た人間だ」
カインが「転移者だから通れる、か」
「仮説だ。確かめる方法は、今はない」
恒一も、その仮説を聞いた。
否定できない。
肯定もできない。
ただ、他の仮説より筋が通っている。
一層から六層は、誰でも通れた。
しかしここだけ、恒一にしか反応しない。
それが魔法の種類によるものなら、ゴルドが通れないことの説明がつかない。
「確かめるには、先に進むしかありません」
カインが、膜を一度叩いた。
びくともしない。
「……恒一、一人で行けるか」
恒一は、通路の奥を見た。
光が、続いている。
それから、膜越しのカインを見た。
「行きます」
カインが、膜に手を当てたまま言った。
「無理はするな」
「無理かどうかは、行ってみないと分かりません」
「そうだな。ただし一人だ」
「分かっています」
カインが、真剣な顔をした。
「引き返せないと判断したら、すぐ戻れ。帰路の確保が最優先だ」
「はい」
「何かあれば声を出せ。膜が音を通すか確認する」
恒一が、膜を軽く叩いた。
カインが向こう側から同じ場所を叩いた。
音が伝わった。
「聞こえます」
「よし。行って来い」
マルコが、膜越しに言った。
「気をつけろよ」
リーナ「無事で戻ってきてください」
ゴルド「急ぐな」
恒一が、一人で歩き始めた。
静かだった。
四人の気配が、遠くなる。
足音が、自分のものだけになる。
LEDライトの白い光が、前方の通路を照らしている。
壁の発光と合わさって、影ができない。
奇妙な明るさだ。
恒一は、歩きながら観察した。
壁の文字が変化している。
広間付近とは別の配置だ。
一種類の文字が、繰り返されている。
昨夜解読した文字の中にはない。
新しい文字だ。
「記録する価値がある」
声が出た。
誰もいない通路に、自分の声だけが響いた。
恒一は、足を止めた。
この遺跡に入ってから、独り言を言ったのは初めてだった。
誰かに伝えるために言ったのではない。
ただ、声に出したかった。
第一層から第六層まで、常に誰かがいた。
カインが横にいた。
リーナが後ろにいた。
マルコの声が聞こえた。
ゴルドの気配があった。
発言する相手が、いつもいた。
それが今はない。
「……慣れていたのか」
また独り言が出た。
恒一は、また歩き始めた。
壁の文字を書き写しながら進む。
完全には無理だ。
特徴的なパターンだけを、できるだけ正確に。
通路が、緩やかに曲がっていた。
曲がりの先が見えない。
壁の文字が、また変わった。
一種類の繰り返しから、複数種類の組み合わせに変わっている。
何かに近づいている証拠かもしれない。
曲がりを抜けた。
通路の先に、扉枠があった。
正確には、扉の枠だけがある。
扉板はない。
開口部から、光が漏れている。
通路の壁の光より、少し温かみのある色だ。
恒一は、足を止めた。
この遺跡に入ってから、扉は初めて見た。
構造物も魔法陣も通路も、全て扉なしだった。
ここだけが違う。
扉の枠に、文字が刻まれている。
昨夜解読した文字の中から、一つ探した。
「……『守護』」
守護。
守ること。
守られているもの。
ゴルドの仮説が、頭に浮かんだ。
転移者だから通れる。
この場所は、転移者のために作られている。
この扉の先に、何があるのか。
恒一が、扉枠を越えた。
部屋は、円形だった。
直径は十メートルほど。
天井は低い。
壁全面に、文字が刻まれている。
通路のどの場所より密度が高い。
隙間がない。
光源は壁だ。
通路と同じ石の発光だが、ここは色が違う。
通路の白い光より、わずかに金色がかっている。
均一で、柔らかい。
部屋の中央に、人がいた。
恒一は、入口で止まった。
立っている。
いや、立たされている。
両手を左右に広げた状態で、それぞれの手首が太い鎖で壁に繋がれている。
鎖は壁から突き出た鉄の杭に巻き付いている。
両足首も、床に埋め込まれた杭に鎖で繋がれている。
立った状態は保てるが、一歩も動けない。
女性だった。
長い銀色の髪が、体の前に垂れている。
白い衣をまとっているが、年月を経て色が変わっている。
顔立ちが、整っている。
目を閉じている。
生きているのか、死んでいるのか。
恒一は、観察した。
呼吸がある。
胸が、ごくわずかに動いている。
鎖を見た。
錆びている。
相当な年月が経過している。
太さは指三本分ほどある。
人の力で断ち切れる状態ではない。
床の杭を確認した。
杭の根元に、光る液体が流れている。
第七層の柱の根元と、同じ種類の光だ。
「魔法で固定されている」
恒一が、一歩踏み出した。
女性の睫毛が、動いた。
ゆっくりと、目が開いた。
銀色の瞳だった。
髪と同じ色だ。
女性が、恒一を見た。
驚いていない。
あるいは、驚く気力がないのか。
ただ、見ている。
「……来たのか」
声が出た。
かすれている。
しかし言語として認識できる。
現代語だ。
恒一が、止まった。
「あなたは誰ですか」
「お前が先に答えろ。何者だ」
「三浦恒一。転移者です」
女性の目が、わずかに動いた。
「転移者……」
一拍の間があった。
「一人か」
「いいえ。仲間が、手前の障壁の向こうにいます。私だけが通れました」
「転移者だから通れた」
断言だった。
疑問形ではない。
「知っていたのですか」
「この場所は、転移者にしか開かれない」
「なぜですか」
「長い話だ」
「聞きます」
女性が、恒一を見た。
初めて、表情がわずかに動いた。
「聞く、と言うのか」
「あなたのことを知らなければ、正しい判断ができません」
「正しい判断?」
「あなたを助けるべきかどうか、まだ判断できていません」
女性が、また恒一を長く見た。
「……鎖を外そうとしないのか」
「理由を聞いていません。外すべき鎖なのか、外してはいけない鎖なのか、分かりません」
「これまで来た者は、全員、私を見た瞬間に鎖を外そうとした」
「外せましたか?」
「外せなかった。そして帰れなかった」
「帰れなかった、とは」
「鎖に触れた者は、この部屋から出られない。ただしお前はまだ出られる。鎖に触れていないから」
恒一が、自分の手を見た。
一度も触れていない。
「鎖に触れると出られなくなる。それはトラップですか」
「設計だ。私を守るための。勝手に連れ出そうとする者を閉じ込める」
「では、正しい方法があるのですか」
女性が、長い沈黙を置いた。
「ある」
「教えてもらえますか」
「教えることはできる。ただし、お前が本当に戻ってくるかどうか分からない」
「それは私が判断します」
女性の目が、細くなった。
「お前、恐くないのか」
「怖いです」
「怖いのに進むのか」
「情報がなければ判断できません。情報を集めることが先です」
女性が、また恒一を見た。
今度は先ほどとは違う目だった。
何かを見定めるような目だ。
試しているのかもしれない。
あるいは、確かめているのか。
「……何百年か振りに、来た者がいる」
「何百年?」
「そうだ」
「ここに、何百年もいるのですか」
「そうだ」
「生きている?」
「生きている。死ねない」
女性が、自分の手首の鎖を見た。
「この鎖が、私を生かし続けている。同時に、ここから出られない」
「なぜ鎖で繋がれているのですか」
「長い話だと言っただろ」
「時間はあります」
女性が、恒一の言葉を聞いて、少し間を置いた。
「……急がないのか」
「今すぐ帰れるわけではありません。仲間が向こうで待っていますが、あなたのことを話さずに戻ることはできない」
「なぜ」
「あなたがここにいる理由が分からない状態では、帰還後にギルドへ正確な報告ができません。記録として不完全です」
女性の目に、ほんの少し何かが動いた。
呆れているのか、それとも別の何かか。
「……記録のために、聞くのか」
「それだけではありません」
「ではなんだ」
恒一が、アルティアを見た。
「あなたが何百年もここにいるという事実が、この遺跡全体の目的と繋がっているはずです。遺跡を理解するために、あなたのことが必要です」
「私は遺跡の説明書か」
皮肉ではなかった。
ただ、確認するような言い方だった。
「違います。ただ、あなたの話がなければ、私には判断できないことが多すぎます」
「判断、判断と、お前はよく判断という言葉を使う」
「判断できない状態で動くのは危険です」
「危険を避けたいなら、最初から来なければよかった」
「それも判断の結果です」
女性が、また沈黙した。
今度は長かった。
恒一も黙って待った。
広間の音が、かすかに聞こえる。
第七層の振動が、ここまで届いている。
三十秒周期は変わっていない。
「……お前は、どこから来た」
女性が、静かに聞いた。
「日本です。地球という、この世界とは異なる場所から、呼ばれました」
「呼ばれた、か」
「そうです。望んで来たわけではありません」
女性が、恒一の目を見た。
「そうか」
短い言葉だった。
しかしその言い方に、何かが含まれていた。
共感なのか、それとも別の感情なのか。
「……アルティアだ」
「アルティアさん……ですね。聞きたいことがあります」
「なんだ」
「あなたも、望んでここに来たわけではないのですか」
アルティアが、恒一を見た。
長い沈黙が来た。
「……お前は、変わっているな」
「そうですか」
「これまで来た者は、誰一人そういう聞き方をしなかった」
「どういう聞き方をしましたか」
「鎖を外せるかどうかだけを聞いた。
私が何者か、なぜここにいるかを聞いた者はいなかった」
「外せるかどうかより、理由の方が重要です。
理由が分からなければ、外すべきかどうか判断できない」
アルティアが、目を閉じた。
また開けた時、その目の色が少し変わっていた。
何かが、緩んだような目だった。
「……名前を、もう一度言え」
「三浦恒一です」
「恒一」
アルティアが、名を繰り返した。
「話す」
恒一が、羊皮紙を取り出した。
「記録してもいいですか」
アルティアが、恒一の手元を見た。
「……記録するのか」
「後で仲間に伝える必要があります。私の記憶より、記録の方が正確です」
アルティアが、少し考えた。
「構わない」
「ありがとうございます」
アルティアが、自分の手首の鎖を見た。
視線が、鎖から恒一に戻った。
「どこから話せばいい」
「最初から、でお願いします」
アルティアが、また少し間を置いた。
「最初、か」
独り言のような言い方だった。
「……この遺跡が作られた時から話すとなると、長くなる」
「構いません」
「一日では終わらない」
「何日でも来ます」
アルティアが、恒一を見た。
今度は、驚きに近い何かが目に出ていた。
「……本当に来るのか」
「はい」
「来ない者の方が多かった」
「私は来ます」
アルティアが、また目を閉じた。
「……信じよう」
静寂が来た。
恒一は、羊皮紙を構えたまま待った。
アルティアが目を開けた。
「この遺跡は、私が作ったものではない」
「誰が作ったのですか」
「私を閉じ込めた者が作った」
「なぜ閉じ込められたのですか」
アルティアが、天井を見た。
「私が、持っていたからだ」
「何を?」
アルティアが、恒一を見た。
「転移者を、この世界に呼ぶ力を」
恒一の手が、止まった。
羊皮紙の上で、炭筆が静止した。
転移者を呼ぶ力。
その言葉の意味を、恒一は整理した。
この世界に転移者が来るのは、何かの偶然ではない。
この女性が、あるいはこの女性が持つ力が、関係している。
「……私が、この世界に来たのも」
「そうだ」
アルティアが、静かに答えた。
「お前を呼んだのは、私ではない。ただし、私の力がなければ、転移者はこの世界に来られない」
「その力を、誰かが使った?」
「この鎖が、私の力を制御している。閉じ込めた者が、外から制御できるように設計されている」
「つまり、あなたを閉じ込めた者が……」
「転移者を、必要に応じて呼んでいる。そういうことだ」
恒一は、それを聞いた。
炭筆を動かした。
記録した。
しかし頭の中は、記録とは別のことを考えていた。
自分がこの世界に来た理由。
ギルドに登録した日、誰も答えられなかった問い。
なぜ召喚されたのか。
何のために呼ばれたのか。
その答えが、ここにあるかもしれない。
「アルティアさん」
「なんだ」
「閉じ込めた者は、誰ですか」
アルティアが、少し間を置いた。
「それは、長い話の中で一番長い部分だ」
「聞きます」
「今日は無理だ」
恒一が、アルティアを見た。
「体力の問題ですか」
「そうだ。何百年も鎖で繋がれている。長く話すことに、慣れていない」
「分かりました。今日はここまでにします」
「また来るか」
「はい。明日、戻ります」
アルティアが、恒一を見た。
「明日」
「はい。仲間に報告して、準備して、戻ります。一人で来ることになりますが」
「構わない」
「何か、必要なものはありますか」
アルティアが、少し黙った。
「水だ」
「水」
「何百年も飲んでいない。鎖が生かし続けているから死なないが、喉が渇いている」
恒一が、腰の水筒を確認した。
残量がある。
帰路分を差し引いても、渡せる量がある。
「今、渡せます」
「鎖に触れずに渡せるか」
恒一が、距離を見た。
アルティアの手首の鎖は、壁から伸びている。
手は、ある程度前に出せるはずだ。
水筒を手の届く位置に置けば、鎖に触れずに済む。
「できます」
恒一が、水筒をゆっくりと前に出した。
アルティアの手が、鎖の許す範囲で前に伸びた。
指先が、水筒に触れた。
受け取った。
アルティアが、水筒を傾けた。
しばらく、静かに飲んだ。
飲み終えて、水筒を恒一に返した。
「……久しぶりだ」
その声が、初めて会った時より少し柔らかかった。
「明日も持ってきます」
「頼む」
恒一が、羊皮紙を折り畳んだ。
「では、戻ります」
「仲間に、何を話すつもりだ」
「事実を話します。ここに人がいる。鎖で繋がれている。転移者を呼ぶ力を持っている。そして、話の続きを聞くために、また来ると」
「仲間は信じるか」
「信じます」
「根拠は?」
「これまでも、信じてくれました」
アルティアが、恒一を見た。
「……そうか」
「アルティアさん」
「なんだ」
「必ず戻ります」
アルティアが、目を閉じた。
「……待っている」
恒一が、部屋を出た。
通路を歩いた。
曲がりを抜けると、膜が見えた。
四人の気配がある。
カインが、膜の前に立っている。
マルコが、その横にいる。
リーナが、壁にもたれている。
ゴルドが、後方で腕を組んでいる。
恒一が、膜を通り抜けた。
四人が、一斉に恒一を見た。
カインが、一歩前に出た。
「遅かったな。何があった」
恒一が、全員の顔を見た。
「報告します」
全員が、恒一を見た。
「人がいました」
誰も、すぐには言葉が出なかった。
カインが、口を開いた。
「……人?」
「はい。鎖で繋がれた女性が、部屋の中央にいました。名前は、アルティア。何百年もそこにいます」
「何百年?」
「そうです。そして」
恒一が、羊皮紙を手に持った。
「彼女は、転移者をこの世界に呼ぶ力を持っています」
通路が、しばらく静かだった。
広間の振動音だけが、遠くから聞こえていた。
光の発生源が、壁だ。
第六層の光苔のような生物的な発光ではない。
石そのものが、淡く白く光っている。
眩しくない。
柔らかく均一な光が、通路全体を満たしている。
影ができない。
幅は、二人並んで歩けるくらいだ。
広間より狭い。
天井も低い。
圧迫感がある。
カインが先頭に立ち、ゴルドが後尾を固めた。
全員、ほぼ無言だった。
壁に文字がある。
広間の密度より少ないが、同じ系統の古代語だ。
通路に入ってから、文字の種類が少しずつ変化している。
マルコが、小声で言った。
「光ってるだけで、何もないな」
「まだ入口です」
恒一が、前を向いたまま答えた。
通路が、緩やかに下っている。
第七層より更に深部へ向かっているのかもしれない。
足元の傾斜はわずかだが、確かに下りている。
しばらく進んだところで、カインが足を止めた。
「……また障壁か」
通路の幅全体を塞ぐように、半透明の膜があった。
広間への入口で発生した障壁と、同じ種類のものに見える。
ただし、あちらより薄い。
向こう側がうっすら見える。
通路が、続いている。
カインが手を伸ばした。
固い。
通れない。
マルコが試した。
同じく、通れない。
リーナが両手をそっと前に出した。
触れた瞬間、小さく息を飲んだ。
「……通れません」
ゴルドが腕を伸ばした。
固い。
全員が、恒一を見た。
恒一が前に出た。
手を伸ばした。
触れた瞬間、膜が波紋のように揺れた。
中心から外に向かって、水面に石を投げた時のように広がり、そのまま消えた。
恒一が一歩踏み出した。
通れた。
振り返ると、膜が再び現れていた。
「……お前だけか」
カインが、膜越しに言った。
「そのようです」
カインが再度手を当てた。
固い。
変わらない。
「なぜお前だけ通れる?」
「分かりません」
マルコが、膜を見ながら言った。
「魔法の種類か?召喚系だからとか?」
「違うかもしれません。ゴルドさんも魔法を使いますが、通れない」
ゴルドが、腕を組んだ。
しばらく黙っていた。
「……転移者だからではないか」
全員が、ゴルドを見た。
「この遺跡は古い。壁の文字も、魔法陣も、相当な年月が経っている。転移者を想定した設計がされていてもおかしくない。恒一だけが、別の世界から来た人間だ」
カインが「転移者だから通れる、か」
「仮説だ。確かめる方法は、今はない」
恒一も、その仮説を聞いた。
否定できない。
肯定もできない。
ただ、他の仮説より筋が通っている。
一層から六層は、誰でも通れた。
しかしここだけ、恒一にしか反応しない。
それが魔法の種類によるものなら、ゴルドが通れないことの説明がつかない。
「確かめるには、先に進むしかありません」
カインが、膜を一度叩いた。
びくともしない。
「……恒一、一人で行けるか」
恒一は、通路の奥を見た。
光が、続いている。
それから、膜越しのカインを見た。
「行きます」
カインが、膜に手を当てたまま言った。
「無理はするな」
「無理かどうかは、行ってみないと分かりません」
「そうだな。ただし一人だ」
「分かっています」
カインが、真剣な顔をした。
「引き返せないと判断したら、すぐ戻れ。帰路の確保が最優先だ」
「はい」
「何かあれば声を出せ。膜が音を通すか確認する」
恒一が、膜を軽く叩いた。
カインが向こう側から同じ場所を叩いた。
音が伝わった。
「聞こえます」
「よし。行って来い」
マルコが、膜越しに言った。
「気をつけろよ」
リーナ「無事で戻ってきてください」
ゴルド「急ぐな」
恒一が、一人で歩き始めた。
静かだった。
四人の気配が、遠くなる。
足音が、自分のものだけになる。
LEDライトの白い光が、前方の通路を照らしている。
壁の発光と合わさって、影ができない。
奇妙な明るさだ。
恒一は、歩きながら観察した。
壁の文字が変化している。
広間付近とは別の配置だ。
一種類の文字が、繰り返されている。
昨夜解読した文字の中にはない。
新しい文字だ。
「記録する価値がある」
声が出た。
誰もいない通路に、自分の声だけが響いた。
恒一は、足を止めた。
この遺跡に入ってから、独り言を言ったのは初めてだった。
誰かに伝えるために言ったのではない。
ただ、声に出したかった。
第一層から第六層まで、常に誰かがいた。
カインが横にいた。
リーナが後ろにいた。
マルコの声が聞こえた。
ゴルドの気配があった。
発言する相手が、いつもいた。
それが今はない。
「……慣れていたのか」
また独り言が出た。
恒一は、また歩き始めた。
壁の文字を書き写しながら進む。
完全には無理だ。
特徴的なパターンだけを、できるだけ正確に。
通路が、緩やかに曲がっていた。
曲がりの先が見えない。
壁の文字が、また変わった。
一種類の繰り返しから、複数種類の組み合わせに変わっている。
何かに近づいている証拠かもしれない。
曲がりを抜けた。
通路の先に、扉枠があった。
正確には、扉の枠だけがある。
扉板はない。
開口部から、光が漏れている。
通路の壁の光より、少し温かみのある色だ。
恒一は、足を止めた。
この遺跡に入ってから、扉は初めて見た。
構造物も魔法陣も通路も、全て扉なしだった。
ここだけが違う。
扉の枠に、文字が刻まれている。
昨夜解読した文字の中から、一つ探した。
「……『守護』」
守護。
守ること。
守られているもの。
ゴルドの仮説が、頭に浮かんだ。
転移者だから通れる。
この場所は、転移者のために作られている。
この扉の先に、何があるのか。
恒一が、扉枠を越えた。
部屋は、円形だった。
直径は十メートルほど。
天井は低い。
壁全面に、文字が刻まれている。
通路のどの場所より密度が高い。
隙間がない。
光源は壁だ。
通路と同じ石の発光だが、ここは色が違う。
通路の白い光より、わずかに金色がかっている。
均一で、柔らかい。
部屋の中央に、人がいた。
恒一は、入口で止まった。
立っている。
いや、立たされている。
両手を左右に広げた状態で、それぞれの手首が太い鎖で壁に繋がれている。
鎖は壁から突き出た鉄の杭に巻き付いている。
両足首も、床に埋め込まれた杭に鎖で繋がれている。
立った状態は保てるが、一歩も動けない。
女性だった。
長い銀色の髪が、体の前に垂れている。
白い衣をまとっているが、年月を経て色が変わっている。
顔立ちが、整っている。
目を閉じている。
生きているのか、死んでいるのか。
恒一は、観察した。
呼吸がある。
胸が、ごくわずかに動いている。
鎖を見た。
錆びている。
相当な年月が経過している。
太さは指三本分ほどある。
人の力で断ち切れる状態ではない。
床の杭を確認した。
杭の根元に、光る液体が流れている。
第七層の柱の根元と、同じ種類の光だ。
「魔法で固定されている」
恒一が、一歩踏み出した。
女性の睫毛が、動いた。
ゆっくりと、目が開いた。
銀色の瞳だった。
髪と同じ色だ。
女性が、恒一を見た。
驚いていない。
あるいは、驚く気力がないのか。
ただ、見ている。
「……来たのか」
声が出た。
かすれている。
しかし言語として認識できる。
現代語だ。
恒一が、止まった。
「あなたは誰ですか」
「お前が先に答えろ。何者だ」
「三浦恒一。転移者です」
女性の目が、わずかに動いた。
「転移者……」
一拍の間があった。
「一人か」
「いいえ。仲間が、手前の障壁の向こうにいます。私だけが通れました」
「転移者だから通れた」
断言だった。
疑問形ではない。
「知っていたのですか」
「この場所は、転移者にしか開かれない」
「なぜですか」
「長い話だ」
「聞きます」
女性が、恒一を見た。
初めて、表情がわずかに動いた。
「聞く、と言うのか」
「あなたのことを知らなければ、正しい判断ができません」
「正しい判断?」
「あなたを助けるべきかどうか、まだ判断できていません」
女性が、また恒一を長く見た。
「……鎖を外そうとしないのか」
「理由を聞いていません。外すべき鎖なのか、外してはいけない鎖なのか、分かりません」
「これまで来た者は、全員、私を見た瞬間に鎖を外そうとした」
「外せましたか?」
「外せなかった。そして帰れなかった」
「帰れなかった、とは」
「鎖に触れた者は、この部屋から出られない。ただしお前はまだ出られる。鎖に触れていないから」
恒一が、自分の手を見た。
一度も触れていない。
「鎖に触れると出られなくなる。それはトラップですか」
「設計だ。私を守るための。勝手に連れ出そうとする者を閉じ込める」
「では、正しい方法があるのですか」
女性が、長い沈黙を置いた。
「ある」
「教えてもらえますか」
「教えることはできる。ただし、お前が本当に戻ってくるかどうか分からない」
「それは私が判断します」
女性の目が、細くなった。
「お前、恐くないのか」
「怖いです」
「怖いのに進むのか」
「情報がなければ判断できません。情報を集めることが先です」
女性が、また恒一を見た。
今度は先ほどとは違う目だった。
何かを見定めるような目だ。
試しているのかもしれない。
あるいは、確かめているのか。
「……何百年か振りに、来た者がいる」
「何百年?」
「そうだ」
「ここに、何百年もいるのですか」
「そうだ」
「生きている?」
「生きている。死ねない」
女性が、自分の手首の鎖を見た。
「この鎖が、私を生かし続けている。同時に、ここから出られない」
「なぜ鎖で繋がれているのですか」
「長い話だと言っただろ」
「時間はあります」
女性が、恒一の言葉を聞いて、少し間を置いた。
「……急がないのか」
「今すぐ帰れるわけではありません。仲間が向こうで待っていますが、あなたのことを話さずに戻ることはできない」
「なぜ」
「あなたがここにいる理由が分からない状態では、帰還後にギルドへ正確な報告ができません。記録として不完全です」
女性の目に、ほんの少し何かが動いた。
呆れているのか、それとも別の何かか。
「……記録のために、聞くのか」
「それだけではありません」
「ではなんだ」
恒一が、アルティアを見た。
「あなたが何百年もここにいるという事実が、この遺跡全体の目的と繋がっているはずです。遺跡を理解するために、あなたのことが必要です」
「私は遺跡の説明書か」
皮肉ではなかった。
ただ、確認するような言い方だった。
「違います。ただ、あなたの話がなければ、私には判断できないことが多すぎます」
「判断、判断と、お前はよく判断という言葉を使う」
「判断できない状態で動くのは危険です」
「危険を避けたいなら、最初から来なければよかった」
「それも判断の結果です」
女性が、また沈黙した。
今度は長かった。
恒一も黙って待った。
広間の音が、かすかに聞こえる。
第七層の振動が、ここまで届いている。
三十秒周期は変わっていない。
「……お前は、どこから来た」
女性が、静かに聞いた。
「日本です。地球という、この世界とは異なる場所から、呼ばれました」
「呼ばれた、か」
「そうです。望んで来たわけではありません」
女性が、恒一の目を見た。
「そうか」
短い言葉だった。
しかしその言い方に、何かが含まれていた。
共感なのか、それとも別の感情なのか。
「……アルティアだ」
「アルティアさん……ですね。聞きたいことがあります」
「なんだ」
「あなたも、望んでここに来たわけではないのですか」
アルティアが、恒一を見た。
長い沈黙が来た。
「……お前は、変わっているな」
「そうですか」
「これまで来た者は、誰一人そういう聞き方をしなかった」
「どういう聞き方をしましたか」
「鎖を外せるかどうかだけを聞いた。
私が何者か、なぜここにいるかを聞いた者はいなかった」
「外せるかどうかより、理由の方が重要です。
理由が分からなければ、外すべきかどうか判断できない」
アルティアが、目を閉じた。
また開けた時、その目の色が少し変わっていた。
何かが、緩んだような目だった。
「……名前を、もう一度言え」
「三浦恒一です」
「恒一」
アルティアが、名を繰り返した。
「話す」
恒一が、羊皮紙を取り出した。
「記録してもいいですか」
アルティアが、恒一の手元を見た。
「……記録するのか」
「後で仲間に伝える必要があります。私の記憶より、記録の方が正確です」
アルティアが、少し考えた。
「構わない」
「ありがとうございます」
アルティアが、自分の手首の鎖を見た。
視線が、鎖から恒一に戻った。
「どこから話せばいい」
「最初から、でお願いします」
アルティアが、また少し間を置いた。
「最初、か」
独り言のような言い方だった。
「……この遺跡が作られた時から話すとなると、長くなる」
「構いません」
「一日では終わらない」
「何日でも来ます」
アルティアが、恒一を見た。
今度は、驚きに近い何かが目に出ていた。
「……本当に来るのか」
「はい」
「来ない者の方が多かった」
「私は来ます」
アルティアが、また目を閉じた。
「……信じよう」
静寂が来た。
恒一は、羊皮紙を構えたまま待った。
アルティアが目を開けた。
「この遺跡は、私が作ったものではない」
「誰が作ったのですか」
「私を閉じ込めた者が作った」
「なぜ閉じ込められたのですか」
アルティアが、天井を見た。
「私が、持っていたからだ」
「何を?」
アルティアが、恒一を見た。
「転移者を、この世界に呼ぶ力を」
恒一の手が、止まった。
羊皮紙の上で、炭筆が静止した。
転移者を呼ぶ力。
その言葉の意味を、恒一は整理した。
この世界に転移者が来るのは、何かの偶然ではない。
この女性が、あるいはこの女性が持つ力が、関係している。
「……私が、この世界に来たのも」
「そうだ」
アルティアが、静かに答えた。
「お前を呼んだのは、私ではない。ただし、私の力がなければ、転移者はこの世界に来られない」
「その力を、誰かが使った?」
「この鎖が、私の力を制御している。閉じ込めた者が、外から制御できるように設計されている」
「つまり、あなたを閉じ込めた者が……」
「転移者を、必要に応じて呼んでいる。そういうことだ」
恒一は、それを聞いた。
炭筆を動かした。
記録した。
しかし頭の中は、記録とは別のことを考えていた。
自分がこの世界に来た理由。
ギルドに登録した日、誰も答えられなかった問い。
なぜ召喚されたのか。
何のために呼ばれたのか。
その答えが、ここにあるかもしれない。
「アルティアさん」
「なんだ」
「閉じ込めた者は、誰ですか」
アルティアが、少し間を置いた。
「それは、長い話の中で一番長い部分だ」
「聞きます」
「今日は無理だ」
恒一が、アルティアを見た。
「体力の問題ですか」
「そうだ。何百年も鎖で繋がれている。長く話すことに、慣れていない」
「分かりました。今日はここまでにします」
「また来るか」
「はい。明日、戻ります」
アルティアが、恒一を見た。
「明日」
「はい。仲間に報告して、準備して、戻ります。一人で来ることになりますが」
「構わない」
「何か、必要なものはありますか」
アルティアが、少し黙った。
「水だ」
「水」
「何百年も飲んでいない。鎖が生かし続けているから死なないが、喉が渇いている」
恒一が、腰の水筒を確認した。
残量がある。
帰路分を差し引いても、渡せる量がある。
「今、渡せます」
「鎖に触れずに渡せるか」
恒一が、距離を見た。
アルティアの手首の鎖は、壁から伸びている。
手は、ある程度前に出せるはずだ。
水筒を手の届く位置に置けば、鎖に触れずに済む。
「できます」
恒一が、水筒をゆっくりと前に出した。
アルティアの手が、鎖の許す範囲で前に伸びた。
指先が、水筒に触れた。
受け取った。
アルティアが、水筒を傾けた。
しばらく、静かに飲んだ。
飲み終えて、水筒を恒一に返した。
「……久しぶりだ」
その声が、初めて会った時より少し柔らかかった。
「明日も持ってきます」
「頼む」
恒一が、羊皮紙を折り畳んだ。
「では、戻ります」
「仲間に、何を話すつもりだ」
「事実を話します。ここに人がいる。鎖で繋がれている。転移者を呼ぶ力を持っている。そして、話の続きを聞くために、また来ると」
「仲間は信じるか」
「信じます」
「根拠は?」
「これまでも、信じてくれました」
アルティアが、恒一を見た。
「……そうか」
「アルティアさん」
「なんだ」
「必ず戻ります」
アルティアが、目を閉じた。
「……待っている」
恒一が、部屋を出た。
通路を歩いた。
曲がりを抜けると、膜が見えた。
四人の気配がある。
カインが、膜の前に立っている。
マルコが、その横にいる。
リーナが、壁にもたれている。
ゴルドが、後方で腕を組んでいる。
恒一が、膜を通り抜けた。
四人が、一斉に恒一を見た。
カインが、一歩前に出た。
「遅かったな。何があった」
恒一が、全員の顔を見た。
「報告します」
全員が、恒一を見た。
「人がいました」
誰も、すぐには言葉が出なかった。
カインが、口を開いた。
「……人?」
「はい。鎖で繋がれた女性が、部屋の中央にいました。名前は、アルティア。何百年もそこにいます」
「何百年?」
「そうです。そして」
恒一が、羊皮紙を手に持った。
「彼女は、転移者をこの世界に呼ぶ力を持っています」
通路が、しばらく静かだった。
広間の振動音だけが、遠くから聞こえていた。
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