夜更けにほどける想い

yukataka

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第12章「手紙」

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四月。
桜の季節がやってきた。
東京の桜は、満開を迎えていた。
隅田川沿いの桜並木。
上野公園の桜。
どこを見ても、淡いピンク色に染まっている。
陸とは、週末ごとに会えるようになっていた。
彼が東京に帰ってくるか、私が大阪へ行くか。
月に三回は会えている。
遠距離は、まだ続いている。
でも、以前のような不安はなくなっていた。
言葉を交わすこと。
気持ちを伝え合うこと。
それを、ちゃんと続けているから。

ある日曜日の午後、実家を訪れた。
母と娘と、三人で過ごす約束をしていた。
玄関のチャイムを鳴らすと、母が出てきた。
「いらっしゃい」
「お邪魔します」
リビングに入ると、娘がソファに座っていた。
「お母さん」
「久しぶり」
娘は少し背が伸びた気がする。
もう高校二年生だ。
「元気だった?」
「うん。お母さんは?」
「元気だよ」
三人でテーブルに座る。
母がお茶を淹れてくれた。
「お昼、食べた?」
母が聞いた。
「まだ」
「じゃあ、一緒に食べましょう」
母がキッチンへ行って、料理を温め始めた。
「お母さん」
娘が言った。
「なに?」
「最近、幸せそうだね」
「そうかな」
「うん。顔が明るい」
娘は笑った。
「彼氏さんとうまくいってるの?」
「まあ、ね」
「よかった」
母が料理を持ってきた。
煮物、焼き魚、味噌汁。
「いただきます」
三人で、食事を始める。
「おばあちゃんの煮物、やっぱり美味しい」
娘が言った。
「ありがとう」
母は嬉しそうに笑った。
「お母さんも、たまには作りなさいよ」
「最近、作れてないんだよね」
「忙しいの?」
「うん。仕事が」
「無理しないでね」
娘が心配そうな顔をする。
「大丈夫」
食事を終えて、お茶を飲む。
「そういえば」
母が言った。
「なに?」
「あなた、昔の荷物、まだここに置いてあるでしょう」
「うん」
「そろそろ整理しない? 部屋、狭くなってきたから」
「わかった。今日、少し見ていくね」
「お願いね」
娘と一緒に、二階の自分の部屋へ上がった。
昔の部屋。
高校時代、ここで過ごした。
机も、ベッドも、本棚も、そのまま残っている。
クローゼットを開けると、段ボール箱がいくつか積んである。
「何が入ってるの?」
娘が聞いた。
「昔の教科書とか、ノートとか」
一つ目の箱を開ける。
高校の教科書。参考書。ノート。
懐かしい。
二つ目の箱を開ける。
アルバム。文化祭のパンフレット。卒業式のプログラム。
「お母さん、若い」
娘がアルバムを覗き込んでいる。
「そりゃそうよ。二十六年前だもん」
三つ目の箱を開けたとき、一通の封筒が出てきた。
宛名は書かれていない。
でも、見覚えがある。
これは──
封筒を開けると、便箋が入っていた。
高校三年生の私が書いた、未来の自分への手紙。
卒業式の日、担任の先生が提案したものだ。
「十年後の自分へ、手紙を書いてみよう」
みんな、それぞれ書いた。
でも、私は忘れていた。
この手紙の存在を。
「何それ?」
娘が聞いた。
「昔、書いた手紙」
「誰に?」
「未来の自分に」
便箋を広げる。
十八歳の私の字。
まだ丸っこくて、拙い。

未来の私へ
今日、卒業式でした。
これから、どんな人生を歩んでいくのか、まだわかりません。
でも、夢はあります。
編集者になりたい。本を作る仕事がしたい。
好きな人がいます。久我くん。
でも、まだ何も言えていません。
卒業式の日、「元気でね」って言われて、「うん、陸くんも」って答えました。
それだけ。
本当は、好きだって言いたかった。
でも、言えませんでした。
未来の私は、幸せですか?
好きな人と、一緒にいますか?
夢は、叶いましたか?
もし叶っていなくても、大丈夫です。
一生懸命生きていれば、それでいいと思います。
後悔しないように。
自分の気持ちに、素直になってください。
十八歳の私より

涙が、溢れてきた。
「お母さん、泣いてるの?」
娘が心配そうに覗き込んでくる。
「大丈夫。ちょっと、懐かしくて」
便箋を持ったまま、窓の外を見た。
桜が見える。
満開の桜。
十八歳の私。
夢を持っていた私。
恋をしていた私。
あの頃の私は、今の私を見たら、何と言うだろう。
夢は、叶わなかった。
編集者にはなれなかった。
でも、クリエイティブな仕事はしている。
結婚もした。
離婚もした。
娘もいる。
そして、今。
陸と、もう一度やり直している。
十八歳の私が好きだった人と。
「幸せですか?」
手紙の問いに、心の中で答える。
幸せだよ。
完璧じゃないけれど。
でも、幸せ。
「お母さん」
娘が言った。
「なに?」
「その手紙、大事にしなよ」
「うん」
便箋を、そっと封筒に戻す。
「私も書いてみようかな」
「え?」
「未来の自分への手紙」
娘は笑った。
「十年後の私に」
「いいね」
「お母さん、幸せそうだもん。私も、十年後、幸せになりたい」
その言葉に、胸が温かくなった。
「なれるよ。絶対」
「ありがとう」
二人で、荷物の整理を続けた。
捨てるもの。
残すもの。
一つ一つ、選別していく。
でも、あの手紙だけは、絶対に残そう。
十八歳の私からの、大切なメッセージ。

夕方、実家を出た。
母が玄関まで見送ってくれる。
「気をつけてね」
「うん」
「あのね、夕」
母が言った。
「なに?」
「あなた、いい顔してるわよ」
「そうかな」
「うん。昔より、ずっといい顔」
母は笑った。
「幸せなんでしょう」
「……うん」
「よかったわ」
母は私の肩を抱いた。
「これからも、幸せでいなさい」
「ありがとう」
家に帰って、ソファに座った。
手紙を、もう一度読む。
十八歳の私の言葉。
「後悔しないように」
「自分の気持ちに、素直になってください」
そうだ。
私は、あの頃の私に、答えなければならない。
スマホを取り出して、陸に電話をした。
「もしもし」
「篠原さん、どうしたの?」
「ちょっと、話したくて」
「大丈夫。今、時間あるよ」
陸の声が、優しい。
「あのね」
「うん」
「今日、実家に行ったの」
「お母さんに会ったんだ」
「うん。それで、昔の荷物を整理してたら、手紙が出てきて」
「手紙?」
「高校のとき、未来の自分に書いた手紙」
陸は少し黙ってから、言った。
「何て書いてあったの?」
「いろいろ。夢とか、恋とか」
「恋?」
「うん。久我くんのこと、書いてあった」
「俺?」
「うん。好きだけど、言えなかったって」
陸は笑った。
「そうだったんだ」
「うん」
「で、今はどう?」
「今は、ちゃんと言えてる」
「よかった」
陸の声が、嬉しそうだった。
「あのね」
私が言った。
「なに?」
「十八歳の私に、報告したい」
「報告?」
「うん。幸せだって。好きな人と一緒にいるって」
陸は少し黙ってから、言った。
「篠原さん」
「なに?」
「俺も、同じこと思ってた」
「え?」
「高校のとき、篠原さんのこと、ずっと好きだったけど言えなかった。でも、今は一緒にいる」
陸の声が、優しい。
「だから、俺も、昔の自分に報告したい。幸せだって」
その言葉に、涙が出そうになった。
「ありがとう」
「こちらこそ」
「愛してる」
「俺も愛してる」
電話を切って、手紙をもう一度見た。
十八歳の私へ。
あなたの夢は、完全には叶わなかった。
でも、幸せだよ。
好きな人と、一緒にいるよ。
遠距離で、大変なこともあるけれど。
でも、乗り越えられる。
だから、大丈夫。
あなたが心配しなくても、大丈夫。

次の週末、陸が東京に帰ってきた。
土曜日の午後、いつものビストロで待ち合わせた。
「久しぶり」
「一週間ぶりだね」
席に座って、ワインを注文する。
「あのね」
私が言った。
「なに?」
「この前、話した手紙」
「うん」
「久我くんにも、読んでもらいたい」
バッグから、封筒を取り出す。
「これ」
陸は受け取って、ゆっくりと読み始めた。
その表情が、だんだん優しくなっていく。
読み終わったとき、陸の目が潤んでいた。
「ありがとう」
「何が?」
「見せてくれて」
陸は手紙を、そっと封筒に戻した。
「十八歳の篠原さん、可愛いね」
「恥ずかしい」
「でも、真っ直ぐで」
陸は笑った。
「俺のこと、好きだって書いてあった」
「うん」
「嬉しい」
「今更?」
「今更だけど」
二人で笑った。
ワインが運ばれてきた。
グラスを合わせる。
「あのね」
陸が言った。
「なに?」
「俺も、返事を書きたい」
「返事?」
「うん。十八歳の篠原さんへの」
陸はバッグから、便箋とペンを取り出した。
「今から?」
「うん。いい?」
「いいけど」
陸は便箋に向かって、書き始めた。
私は、静かにワインを飲みながら待った。
十分ほどして、陸がペンを置いた。
「書けた」
「読んでもいい?」
「どうぞ」
便箋を受け取って、読み始める。

十八歳の篠原夕さんへ
はじめまして。久我陸です。
あなたが好きだった、あの久我陸です。
二十六年後の世界から、手紙を書いています。
あなたの手紙を読みました。
卒業式の日、「元気でね」と言ったこと。
本当は、好きだと言いたかったこと。
でも、言えなかったこと。
全部、覚えています。
実は、僕も同じでした。
あなたのことが好きでした。
でも、言えませんでした。
あの日、「元気でね」と言ったとき、
本当は「好きです、付き合ってください」と言いたかった。
でも、勇気が出ませんでした。
そして、二十六年が経ちました。
僕たちは、それぞれの人生を歩みました。
あなたは、夢を追いかけました。
完全には叶わなかったかもしれませんが、
一生懸命生きてきました。
そして、今。
僕たちは、もう一度出会いました。
同窓会で。
そして、今度は逃げませんでした。
ちゃんと、気持ちを伝えました。
今、僕たちは一緒にいます。
遠距離で、大変なこともあります。
でも、幸せです。
だから、安心してください。
あなたの未来は、幸せです。
好きな人と、一緒にいます。
後悔していません。
自分の気持ちに、素直になっています。
あなたが願っていた通りに。
二十六年後の久我陸より

涙が、止まらなくなった。
「ありがとう」
そう言うのが、精一杯だった。
陸は私の手を握った。
「こちらこそ」
「こんな手紙、もらえると思わなかった」
「俺も、書けると思わなかった」
陸は笑った。
「でも、伝えたかったんだ。十八歳の篠原さんに」
「ありがとう」
「愛してる」
「私も愛してる」
料理が運ばれてきた。
でも、しばらく手をつけられなかった。
ただ、二人で手を繋いで、座っていた。
窓の外では、桜が風に揺れている。

食事を終えて、川沿いを散歩した。
桜並木。
満開の桜が、夕日に照らされている。
「綺麗だね」
「うん」
ベンチに座って、川を見る。
「ねえ」
陸が言った。
「なに?」
「転勤、あと一年半だね」
「うん」
「長いようで、短い」
「そうだね」
陸は私の手を握った。
「その後のこと、考えてる?」
「考えてるよ」
「どうしたい?」
「一緒にいたい」
即答していた。
陸は嬉しそうに笑った。
「俺も」
「じゃあ、決まりだね」
「うん」
陽が、沈み始めている。
空が、オレンジ色に染まっている。
「ねえ」
私が言った。
「なに?」
「十八歳の私に、ちゃんと言えた気がする」
「何を?」
「幸せだって」
陸は私を抱き寄せた。
「俺も」
桜の花びらが、風に舞っている。
ひらひらと、川に落ちていく。
「春だね」
「うん」
「新しい季節」
「うん」
陸は私の髪を撫でた。
「これからも、一緒に歩いていこうね」
「うん」
「どんな季節も」
「一緒に」
キスをした。
優しく。
桜の下で。

夜、陸の部屋に泊まった。
ベッドに横たわって、二人で天井を見上げる。
「今日、いい日だったね」
陸が言った。
「うん」
「手紙のこと、話せてよかった」
「私も」
陸は私の方を向いた。
「あのね」
「なに?」
「俺も、書こうかな」
「手紙?」
「うん。未来の自分への」
「いいね」
「十年後の俺に」
陸は笑った。
「何て書く?」
「今の気持ち。篠原さんのこと。幸せだってこと」
「私も書こうかな」
「一緒に書こう」
「うん」
陸が起き上がって、机から便箋を持ってきた。
「はい」
二人で、便箋に向かう。
陸は書き始めた。
私も、ペンを持つ。

十年後の私へ
今、四月。桜の季節です。
四十四歳。離婚して三年。
娘は高校二年生。元夫の家で暮らしています。
そして、久我陸と付き合っています。
高校時代に好きだった人。
同窓会で再会して、もう一度やり直すことにしました。
今、彼は大阪に転勤中。遠距離です。
大変なこともあります。
寂しいこともあります。
でも、幸せです。
十年後の私は、どうしていますか?
彼と、まだ一緒にいますか?
もし一緒にいるなら、幸せですか?
もし別々の道を歩んでいても、それはそれで大丈夫です。
人生は、思い通りにならないこともあります。
でも、今、私は幸せです。
それだけは、伝えたい。
今の私は、後悔していません。
自分の気持ちに、素直になりました。
恐れずに、一歩踏み出しました。
だから、十年後の私も、きっと大丈夫。
どんな人生を歩んでいても、大丈夫。
一生懸命生きていれば、それでいい。
四十四歳の私より

書き終えて、ペンを置く。
陸も、書き終わったようだ。
「書けた?」
「うん」
「見せ合う?」
「恥ずかしいけど」
「俺も」
二人で、手紙を交換する。
陸の手紙を読む。

十年後の俺へ
今、四十五歳。大阪で単身赴任中。
そして、篠原夕と付き合っている。
高校時代からずっと好きだった人。
二十六年越しの恋。
今、幸せだ。
遠距離で大変なこともある。
でも、彼女がいてくれるから、頑張れる。
十年後の俺は、どうしているだろう。
彼女と、まだ一緒にいるだろうか。
できれば、一緒にいてほしい。
結婚していたら、もっと嬉しい。
でも、もし別々の道を歩んでいても、
今の気持ちは、本物だ。
彼女のことを、心から愛している。
だから、十年後の俺。
今の気持ちを、忘れないでほしい。
どんな人生を歩んでいても、
今、幸せだったことを、覚えていてほしい。
四十五歳の俺より

読み終わったとき、また涙が出そうになった。
「ありがとう」
「こちらこそ」
二人で、手紙を封筒に入れる。
「どうしよう、この手紙」
「十年後まで、取っておこう」
「うん」
陸は私を抱きしめた。
「十年後も、一緒にいようね」
「うん」
「約束」
「約束」
キスをした。
そして、また体を重ねた。
優しく。
深く。
お互いを確かめ合うように。
「愛してる」
「私も」
「ずっと」
「ずっと」

翌朝、目が覚めると、陸はまだ寝ていた。
そっと、ベッドから出る。
窓の外を見ると、桜が見える。
まだ満開。
美しい。
キッチンへ行って、コーヒーを淹れる。
その香りで、陸が目を覚ました。
「おはよう」
「おはよう」
二人でテーブルに座って、コーヒーを飲む。
「昨日の手紙、大切にするね」
陸が言った。
「私も」
「十年後、一緒に読もう」
「うん」
「楽しみだね」
「うん」
トーストを焼いて、簡単な朝食を作った。
「今日、何時に大阪戻るの?」
「夕方の新幹線」
「じゃあ、まだ時間あるね」
「うん。どこか行きたいところある?」
「桜、見に行こうか」
「いいね」
支度をして、外に出た。
上野公園へ向かう。

上野公園は、多くの人で賑わっていた。
花見客。
家族連れ。
カップル。
みんな、桜を楽しんでいる。
「すごい人だね」
「うん」
手を繋いで、桜並木を歩く。
満開の桜。
青い空。
春の陽気。
全てが、美しかった。
「写真、撮ろう」
陸が言った。
「いいよ」
桜の下で、二人で並ぶ。
陸がスマホを掲げる。
「はい、チーズ」
シャッターを切る。
「見せて」
画面を覗き込む。
桜の下で笑っている、私たち。
幸せそうな顔。
「いい写真だね」
「うん。保存しておこう」
ベンチに座って、桜を見上げる。
風が吹くと、花びらが舞う。
「綺麗だね」
「うん」
陸は私の手を握った。
「ねえ」
「なに?」
「この景色、覚えておこう」
「どうして?」
「十年後、また一緒に来よう」
陸は笑った。
「その時、昨日の手紙を読んで、今日のことを思い出そう」
「いいね」
「約束?」
「約束」
時間が、ゆっくりと流れた。
桜を見ながら。
二人で、ただ座っている。
それだけで、幸せだった。

午後、東京駅へ向かった。
新幹線の時間が近づいている。
改札の前で、立ち止まる。
「じゃあ」
陸が言った。
「気をつけてね」
「うん」
「また来週」
「うん」
陸は私を抱きしめた。
「愛してる」
「私も」
「十年後も、一緒にいようね」
「うん。絶対」
陸は、もう一度キスをした。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
陸は改札を通って、ホームへ向かった。
振り返って、手を振ってくれる。
私も手を振った。
陸の姿が、見えなくなった。
でも、寂しくなかった。
また会える。
そして、十年後も。
きっと、一緒にいる。
駅を出て、空を見上げた。
青い空。
白い雲。
そして、心の中に咲く、桜。
十八歳の私へ。
幸せだよ。
好きな人と、一緒にいるよ。
夢は完全には叶わなかったけれど。
でも、後悔していないよ。
自分の気持ちに、素直になったよ。
だから、大丈夫。
そして、十年後の私へ。
今、幸せだよ。
この気持ちを、忘れないで。
スマホを見ると、陸からメッセージが来ていた。
「今日は、ありがとう。幸せだった」
「こちらこそ」
「十年後も、一緒にいようね」
「絶対。約束」
「愛してる」
「私も愛してる。ずっと」
スマホを閉じて、歩き出した。
春の風が、優しく吹いている。
桜の花びらが、舞っている。
未来へ続く道。
陸と一緒に歩む道。
それは、まだ始まったばかり。
でも、きっと。
幸せな未来が、待っている。
そう信じて。
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