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再創世
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彼女の視線は、愛娘アナベルへと向いている。
「オルたそ……」
「種馬さま。自分達が神様になったら……アナちゃんは、どうなるんです……?」
「それは……」
「自分達は子を、アナちゃんは親を……失うことになるんじゃないでしょうか? せっかく再会できたのに、そんなのって……あんまりじゃありませんか」
すぐに返事をできなかった。
オルタンシアの気持ちもわかる。いや、本当の意味でわかってはいないのかもしれないが、理解をしたいとは思う。
自分のお腹を痛めて産んだ娘を置いて神になるだなんて。そんなのは、躊躇して当然だ。
「ママ。あたしのことは気にしなくていいの」
だが、アナベルは柔らかい声ではっきりと言う。
「あたしは未来から来た。滅びゆく世界を救うために、過去を変えたかったから。もしママが神になってくれなかったら、前世界が完全に消滅して、あたしの時代もなかったことになっちゃう。それに……ママが産んだあたしは、まだ三歳かそこらでしょ? ママが気にかけるべきなのは、そっちのあたしじゃないかな」
「アナちゃん……そんな」
「大丈夫。無事に世界を取り戻せたら、また会えるよ。ママもパパも、いつかはあたしのいる未来にたどりつくんだもん」
確かにそうかもしれない。だが、だからといって簡単に割り切れるものでもない。
そして、割り切れなくとも前に進むしかない時だってある。
「オルたそ。俺達は神になろうとしてはいるが、それは人をやめるってことじゃない。神になったとても、俺達はアナベルの親のままでいられるんだ。みんなで一緒に神になるのは、そのためでもあるんだ」
「種馬さま……」
俺を含め、皆がオルタンシアに微笑みかけ、あるいは頷いてみせる。
「ママ。ありがとう」
アナベルがオルタンシアを抱きしめ、オルタンシアもそれに応えた。
「アナちゃん……ママが神様になっても……嫌いに、ならないでね」
「ふふ。なるわけないでしょ」
強く抱き合ったあと、アナベルはオルタンシアを肩を持ち、俺に向き直らせた。
「パパ。ママのこと、よろしくね。泣かせたら承知しないから」
「未来の俺は、オルたそを泣かせてたか?」
「たくさんね」
「その未来を変えてやるさ」
俺とオルタンシア、そしてアナベル。親子三人で、頷き合う。
「オルたそ。いいな?」
「はい……自分も、神になります。種馬さまと、一緒に」
オルタンシアの覚悟を受け取った俺は、改めて世界樹の苗に向き直った。
これを基盤にして、俺達の世界を取り戻す。
俺は原初の女神を見た。
創世の女神としてすべてを見守ってきた彼女は、今この瞬間、一体なにを思っているのか。
「何も言うことはありません」
意外なことに、彼女は微笑みを浮かべて多くを語らなかった。
「あなたに委ねます。ロートス・アルバレス」
神の限界を知り、人の可能性を知った末の彼女が導き出した答え。
責任重大だ。だが俺は、使命の大きさに狼狽えるような男じゃない。
「やるぞ」
俺達は手を繋ぎ合う。
〈尊き者〉と〈八つの鍵〉。
俺を中心に、八人の恋人達が手を取り合い、世界樹へと正対している。
「やっとか」
思わず漏れた言葉は、我ながら感慨深く聞こえた。
「みんな。サンキュな」
溢れ出る感謝の想い。
ここまで来られたのは、皆の支えがあってこそ。
一人一人が、その執念と情熱を燃え上がらせ、死に物狂いで戦い、勝ち取った結果だ。
「俺達の世界を取り戻す。ここからが、本当のはじまりだ」
繋いだ手に、力を込める。
俺達の願いと想いが光となって、生命の間の隅々にまで広がっていく。
〈妙なる祈り〉。
人の命が持つ、最上にして最強の力。
世界樹の苗が光に反応する。
「創世の光」
原初の女神がうそぶく。
苗は光の塊となって、爆発するように成長を開始。
一度、二度、三度明滅した後、この世界を、宇宙丸ごと温かな光で埋め尽くした。
この時。
既存の世界は終わりを告げ、新たな姿へと生まれ変わったのだ。
「オルたそ……」
「種馬さま。自分達が神様になったら……アナちゃんは、どうなるんです……?」
「それは……」
「自分達は子を、アナちゃんは親を……失うことになるんじゃないでしょうか? せっかく再会できたのに、そんなのって……あんまりじゃありませんか」
すぐに返事をできなかった。
オルタンシアの気持ちもわかる。いや、本当の意味でわかってはいないのかもしれないが、理解をしたいとは思う。
自分のお腹を痛めて産んだ娘を置いて神になるだなんて。そんなのは、躊躇して当然だ。
「ママ。あたしのことは気にしなくていいの」
だが、アナベルは柔らかい声ではっきりと言う。
「あたしは未来から来た。滅びゆく世界を救うために、過去を変えたかったから。もしママが神になってくれなかったら、前世界が完全に消滅して、あたしの時代もなかったことになっちゃう。それに……ママが産んだあたしは、まだ三歳かそこらでしょ? ママが気にかけるべきなのは、そっちのあたしじゃないかな」
「アナちゃん……そんな」
「大丈夫。無事に世界を取り戻せたら、また会えるよ。ママもパパも、いつかはあたしのいる未来にたどりつくんだもん」
確かにそうかもしれない。だが、だからといって簡単に割り切れるものでもない。
そして、割り切れなくとも前に進むしかない時だってある。
「オルたそ。俺達は神になろうとしてはいるが、それは人をやめるってことじゃない。神になったとても、俺達はアナベルの親のままでいられるんだ。みんなで一緒に神になるのは、そのためでもあるんだ」
「種馬さま……」
俺を含め、皆がオルタンシアに微笑みかけ、あるいは頷いてみせる。
「ママ。ありがとう」
アナベルがオルタンシアを抱きしめ、オルタンシアもそれに応えた。
「アナちゃん……ママが神様になっても……嫌いに、ならないでね」
「ふふ。なるわけないでしょ」
強く抱き合ったあと、アナベルはオルタンシアを肩を持ち、俺に向き直らせた。
「パパ。ママのこと、よろしくね。泣かせたら承知しないから」
「未来の俺は、オルたそを泣かせてたか?」
「たくさんね」
「その未来を変えてやるさ」
俺とオルタンシア、そしてアナベル。親子三人で、頷き合う。
「オルたそ。いいな?」
「はい……自分も、神になります。種馬さまと、一緒に」
オルタンシアの覚悟を受け取った俺は、改めて世界樹の苗に向き直った。
これを基盤にして、俺達の世界を取り戻す。
俺は原初の女神を見た。
創世の女神としてすべてを見守ってきた彼女は、今この瞬間、一体なにを思っているのか。
「何も言うことはありません」
意外なことに、彼女は微笑みを浮かべて多くを語らなかった。
「あなたに委ねます。ロートス・アルバレス」
神の限界を知り、人の可能性を知った末の彼女が導き出した答え。
責任重大だ。だが俺は、使命の大きさに狼狽えるような男じゃない。
「やるぞ」
俺達は手を繋ぎ合う。
〈尊き者〉と〈八つの鍵〉。
俺を中心に、八人の恋人達が手を取り合い、世界樹へと正対している。
「やっとか」
思わず漏れた言葉は、我ながら感慨深く聞こえた。
「みんな。サンキュな」
溢れ出る感謝の想い。
ここまで来られたのは、皆の支えがあってこそ。
一人一人が、その執念と情熱を燃え上がらせ、死に物狂いで戦い、勝ち取った結果だ。
「俺達の世界を取り戻す。ここからが、本当のはじまりだ」
繋いだ手に、力を込める。
俺達の願いと想いが光となって、生命の間の隅々にまで広がっていく。
〈妙なる祈り〉。
人の命が持つ、最上にして最強の力。
世界樹の苗が光に反応する。
「創世の光」
原初の女神がうそぶく。
苗は光の塊となって、爆発するように成長を開始。
一度、二度、三度明滅した後、この世界を、宇宙丸ごと温かな光で埋め尽くした。
この時。
既存の世界は終わりを告げ、新たな姿へと生まれ変わったのだ。
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