私·····またまた悪役令嬢ですか〜〜

システィーナ

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フォーレンス学園一年生

ナナちゃんのために

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何も持たず、ただただ町へと走った
初めてこんなに走ったと思う、息が苦しいがその足が止まることはなかった。この辺りのことは詳しくないが道に沿って走ったら町ぐらいあるだろう
人がいればいいのだが学園の周りは人が寄り付かないようになっている。だから町に行かなければ情報が集められないのだ
履いていた靴が邪魔で脱ぎ捨てた、髪もぐしゃぐしゃで今の私を学園の人が見たら笑うことだろう
でも走らずにはいられない、ナナちゃんが·····ナナちゃんがまた、苦しんでしまう·····こんなの物語になかったということは記憶を持つものが原因だろう·····こんなことをするのはアンナしかいない·····根拠はないが私の心が訴えてくるのだ·····アンナしか有り得ないと·····
早く·····早くナナちゃんを助けないと·····ナナちゃんを·····
私のせいで苦しめてしまったナナちゃんをこれ以上苦しめてはいけない·····いけないの!!
待っていて·····無事でいて·····ナナちゃん!!
必死に道を走る、ナナちゃんの無事を願いながら足を動かす·····
「っっっ!!痛い·····」
道の石が足に刺さったようだ·····赤い血が出ているがこんなもので止まるわけにはいかない
疲労で足が震えるが、気合いで立ち上がる
そしてまた走り出す·····私はこのままじゃ終われないの·····私は·····大切な人を救うの·····
足が痛むけれどその痛みが私の意識を留めていた
「あっ·····」
足を挫いて派手に転んでしまった·····体中が痛い·····
「まだ·····まだ·····くっっっ·····」
立ち上がろうとしても全く力が入らなかった·····
「うっっっ··········」
行かないと·····行かないと!!ナナちゃんを·····私が!私だけの力で!!助けるの!!
薄らと開いた瞳に看板が見える
ミハルタウンまであと1キロ
あった·····あと少しで町に着く·····
行くわ!!あと少しだもの!!
そう心に強く思うと体の奥底から淡い光が放たれた
「えっ·····何これ·····」
眩しすぎて目を固く閉じる·····
しばらく時間が経ち、目を恐る恐る開けるとそこに光はなかった
「何だったんだろう·····」
でも、それより町に行くことが先!
思いっきり力を入れて立ち上がろうとすると
「え·····」
軽々と体を動かせてしまった、まるで疲れ一つないかのように
「どういうこと·····?」
さっき怪我をした足を見たが真っ白だ
「怪我が·····治ってる??」
なぜか分からないがこれで町までいける!
私は再び走り出した

10分ほどで町に到着した。とても小さな町だが情報は集まりそうだ。情報を集められそうなのはどこだろうか·····とにかく町の人に聞いてみよう
「す、すみません!」
道を歩いていたおじさんに話しかけた
「?!な、なんじゃ?!」
「あ、あの·····ペルーザ国について何か知りませんか?」
「ぺ、ペルーザ国か?!な、何も知らんな~」
「そうですか·····」
「それじゃあな·····」
「ありがとうございました」
知らないなんて·····どういうこと?もしかして、情報が止められてる?
そんなこと考えちゃダメ!とにかく聞きまくらないと!
町をキョロキョロしているとなぜか周りに人が集まってきた
「な、なに?」
「ねぇねぇ、お嬢ちゃん!」
「え?」
後ろから声をかけられ、振り向くと明らかにチャラそうな男が私の肩を掴んでいた
「は、放して!!」 
「おいおい、そんなカッコで何してんだ?もしかして、誘ってんの?」
「どういうこと?」
自分の姿を見てみると、制服がボロボロでところどころ、素肌が見えてしまっている
「う、嘘!!」
恥ずかしくて死にそうだ·····まさかこんな姿で来てしまうとは·····
ナナちゃん以外のことを何も考えてなかった
「まさか気づいてなかったの?」
「う、うん·····」
どうしよう、とにかく服を直さなきゃ·····
「うちに来なよ、服あげるよ」
「?!そんなの悪いわ!」
「大丈夫大丈夫、ほらこっち来て」
「ありがとう」
チャラそうな人だと思ってたけど意外といい人なのね!良かったわ!
チャラそうな人に手を引かれ町を進んでいく
この町は飲み屋が多く、男の人が多い
彼はどんどん町を歩いていくがだんだん薄暗くなってきた
「あ、あの·····こっちは·····危なそうよ·····」
「怖がってんの?」
「そ、そういうのじゃないけど·····」
「家がこっちなんだよ」
親切にしてくれるんだから感謝しないとね!
道は悪くなり、周りにいる男の人がこちらを不気味な目で見てくる·····
「うぅ·····」
怖い·····怖いけど·····我慢しなきゃ·····
「そ、そうだ!ねぇ、ペルーザ国について何か知らない?」
「?!ペルーザ国だって?!·····それを聞いてどうする?」
「何か知ってるの??」
「·····そんなことより家、着いた」
「えっ·····」
壁しかないと思っていたが、そこに木のドアが一つポツンとあった
「ほら、早く入れ!」
「わぁ!!」
彼に押され、家に入れられる
そして彼はガチャりとドアの鍵を閉めた
「な、なんで閉めたの·····?」
「そんなの当たり前だろ?邪魔されないためだ!」
「な、何するの·····」
「分かってるだろ?これからされることぐらい」
彼は私の腕を乱暴に引っ張り、奥に連れていく
「放して!!放して!!」
「うるせぇな、黙れ」
パン
頬を叩かれた·····口の中で鉄の味が染みていく·····痛すぎて口が動かせない·····
彼の目が怖い·····真っ黒に染まった彼の瞳は恐怖を感じるのに十分だった·····
「うっ、うっ·····うっ·····」
涙が止まらない·····怖い·····怖い怖い怖い·····誰か·····助けて·····
こういうときに一番に出てくる顔がラルク様であることが少し悔しい·····あんなに酷いことをしたのに·····ルー兄様、カイト様·····ハンザード様·····アレックス様·····お父様·····お母様·····ナナちゃん·····
男は私をベッドに投げ下ろす
「さぁ、始めようか」
男は私の服に手をかけた
触らないで·····触らないでよ!!
声を出し、抵抗しようにも押さえつけられ動かせない·····
もう·····ダメなの?
やっぱり一人じゃダメだったんだ·····私には何も出来ないのよ·····
ボロボロになった心が酷く傷んだ
「·····助けて·····ラルク様·····」
最後の力を振り絞って小さく叫んだ·····
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