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二章
第41話 秘密の談話は樹海の中で
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とある森林地帯。
深い木々に囲まれた湿気の多い薄暗い空間に集まる五つの影があった。
うち四つは人間のような形をしている。
そしてうち一つは、人間離れした異形の影であった。
巨大な蜘蛛の体に毛深い人間の頭部がついた、奇妙な形の化け物であった。
人型の影たちは、その化け物の前で膝をつき、頭を垂れていた。
「シャム・ハザが殺された」
その化け物が、ねばつくような重い声を発した。
「私が姿を消し現場に赴いたときには、もうすべて終わっていた。魔剣もすでに持ち出されていた後だった。……シャム・ハザの死体は、無惨なものだったよ」
「協力関係を結ぼうという、あるじ様の提案を断って好き勝手していた報いでございましょう」
人型の影の一人が、化け物に向けて言った。
「しかしシャム・ハザほどのものが、いかにして?」
「わからん。人間の魔法使いらしき男が自分のことを嗅ぎ回っている、とは聞いていたが」
「人間の魔法使い?」
「左様。赤い髪の大男だったそうだ」
人型の影たちが、口々にざわめきだした。
「まさか、そいつの手によって?」
「だとしたら油断が過ぎませんかね」
「ではたった一人の人間に殺されたと?」
化け物が首を振った。
「いや、仲間は何人かいたようだ」
人型の影たちが顔を見合わせる。
「なるほど。チームワークの勝利とかいうやつですかい」
「そこが、人間のやっかいなところでございましょう。団結して、お互いの欠陥を補い合う」
「しかしそうとわかれば、対処は容易い」
「所詮は個の力がささやかに集まったに過ぎません」
人間の横槍など些事にすぎない。
影たちの意見はそれで一致していた。
化け物がいびつに笑った。
「我々は今まで通りだ。油断せずに、慎重に計画を練っていくぞ」
「はっ」
「……もっとも、人間の魔法使いなど、邪魔をして来たとしても取るに足らぬだろうがな」
くつくつと、化け物の不気味な笑い声が暗い森にこだました。
深い木々に囲まれた湿気の多い薄暗い空間に集まる五つの影があった。
うち四つは人間のような形をしている。
そしてうち一つは、人間離れした異形の影であった。
巨大な蜘蛛の体に毛深い人間の頭部がついた、奇妙な形の化け物であった。
人型の影たちは、その化け物の前で膝をつき、頭を垂れていた。
「シャム・ハザが殺された」
その化け物が、ねばつくような重い声を発した。
「私が姿を消し現場に赴いたときには、もうすべて終わっていた。魔剣もすでに持ち出されていた後だった。……シャム・ハザの死体は、無惨なものだったよ」
「協力関係を結ぼうという、あるじ様の提案を断って好き勝手していた報いでございましょう」
人型の影の一人が、化け物に向けて言った。
「しかしシャム・ハザほどのものが、いかにして?」
「わからん。人間の魔法使いらしき男が自分のことを嗅ぎ回っている、とは聞いていたが」
「人間の魔法使い?」
「左様。赤い髪の大男だったそうだ」
人型の影たちが、口々にざわめきだした。
「まさか、そいつの手によって?」
「だとしたら油断が過ぎませんかね」
「ではたった一人の人間に殺されたと?」
化け物が首を振った。
「いや、仲間は何人かいたようだ」
人型の影たちが顔を見合わせる。
「なるほど。チームワークの勝利とかいうやつですかい」
「そこが、人間のやっかいなところでございましょう。団結して、お互いの欠陥を補い合う」
「しかしそうとわかれば、対処は容易い」
「所詮は個の力がささやかに集まったに過ぎません」
人間の横槍など些事にすぎない。
影たちの意見はそれで一致していた。
化け物がいびつに笑った。
「我々は今まで通りだ。油断せずに、慎重に計画を練っていくぞ」
「はっ」
「……もっとも、人間の魔法使いなど、邪魔をして来たとしても取るに足らぬだろうがな」
くつくつと、化け物の不気味な笑い声が暗い森にこだました。
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