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第五話 もしかして同担拒否!? きみたちを邪魔するつもりはないんだけど!
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フレッドに手を引かれ、急いで寮のバスルームに連れていかれた。制服はびしょびしょで、藻やら水草やらで汚れまくっていた。
シャワーを浴びると藻の臭いも落ちて、さっぱりする。すっかり綺麗になった。
そしてバスルームからちらりと顔を覗かせると……。
王子殿下におかれましては、やべぇお怒りでいらっしゃる。
僕はバスルームの隙間からぴょいっと手だけ出して、バスタオルを盗むように引っ張り込んだ。急いで身体を拭く。
着替えは……あるかなぁ。なんでもいいんだけど。
バスルームから出ると確実に説教だろう。
なんで噴水に飛び込んだんだ、っていう、至極真っ当なお説教が待っている。
いや、僕だってね。そんなつもりはなかったっていうか。ニコラときみをくっつけるためにねーーーと、頭の中で言い訳がぐるぐると回る。でも言えるわけないし。
バスタオルを腰に巻き付けて、そろ~っとバスルームを出る。
眼光が鋭い王子様と目があう。シャワーを浴びたはずなのに冷や汗でまた背筋がびっしょりと濡れた。
「アレン」
「………ハイ」
「……………………とりあえず服を着ろ」
「あざっす」
僕はヘラヘラ笑って、用意してあった服を着た。
フレッドが用意してくれたのかな。ありがたい。制服は僕のサイズにピッタリっていうか、これ僕の替えのじゃない? なんでフレッドが持ってんだろ。
小首を傾げながらも制服を着終わると、フレッドが「はぁ…」と深いため息を吐いた。
「あの男子生徒は生徒会に突きだした。反省文と、一週間の奉仕活動らしい」
「あ、そうなんだ。よかったね」
「お前が飛び込んできて驚いてたよ」
でしょうね、と僕はへらへら笑った。
フレッドがギロッと睨むので、きゅっと唇を噛む。
ハイ、スンマセン、黙ります。
「……なんであんな真似をしたんだ」
フレッドの声は低い。フレッドって、ホントに怒ってるときは静かに怒るんだよね。
だから、結構ガチで怒ってるっていうか……。いや、どっちかっていうと。
フレッドの瞳には心配の色が見えていた。
「だって、ニコラのペンを投げるから」
「お前が飛び込む必要はなかっただろ。深くないとはいえ、噴水に飛び込むなんて……。あとで水を抜くとか、網で掬うとか、方法はあったはずだ」
「……あのときは、あれしか思いつかなかった」
しょぼん、と呟く。若干落ち込んでいた。
ホントにあのときは無我夢中だったんだ。噴水のこととかすっかり忘れてた。
「もうしないよ。心配かけてごめん」
しゅんとなって謝ると、フレッドを纏う空気が柔らかくなった。少しだけ、だけど。
僕の手からバスタオルをとって、僕の髪を拭いた。
ちょっと荒い手つきだ。フレッドは不器用だから自分の髪を拭くときもこれくらい強い。
「わかったならいい。次からはすぐに俺を呼べ」
「……うん」
「本当に……お前は目が離せないな」
ふふっと微笑む顔は、とろとろに甘かった。
今まで見てきたどのスチルよりも、愛おしそうに見つめてきた。
僕は不意に胸がどくんと高鳴ってーーーぽっと頬が熱くなる。やばい、どうしよ。
急いでうつむいて、視線を逸らす。
僕がときめいてる場合じゃないのに。
「ニコラも感謝してたぞ」
「そっか。ニコラの大事なもの取り返せてよかった」
「そういえば、なんであの場にいたんだ」
「……ああ」
フレッドが不思議そうに首を傾げる。
たしかに、一般棟の教室棟なんてワザワザ行かないもんね。
「ニコラに会いたくって。探してたんだ」
まあ、用があったのはニコラにっていうか、ニコラのペンなんだけど。
ふと顔をあげると、フレッドの顔はぴしりとひきつっていた。
「……なんの用だ。部室でもいいだろ」
「え? い、いや? べ、別に……」
「俺に言えないことなのか? そんな、こそこそと、俺に隠れて……」
フレッドはブツブツと呟く。
後半はもう声が低すぎて何言ってるんだか聞こえない。呪詛みたい。
ひぇ、どうしよう。僕が感知できなかっただけで、やっぱりフレッドはニコラを気に入ってたのかな。それで僕が隠れて手を出したって聞いて……嫉妬してる?
「そんなにニコラが気になるのか、アレン」
フレッドの瞳が鋭い。威圧感で顔に穴が開きそう。
しかも髪を拭きながらの体勢だから、めっちゃ近い。銃口を突きつけられてるみたい。
「き、気になる……といえば、気になる……」
「あ”?」
「い、いやっ!? 仲の良い友達だな~~って気持ちでいっぱいです!」
肩をビクビクと震わせて、僕は叫んだ。
ニコラの敵をこんなに排除しようとするなんて。
攻略対象恐るべし。
悪役令息になるとか言ったらガチで殺されそう。
多少ゲームのルートと外れても、敵じゃないアピールをしたほうがいいよね。
「めっちゃいい子だよね! 優しくって、優秀で……」
「……アレン」
「顔も可愛いし! 僕、ニコラのこと大好きだよ!」
いじめるつもりなんかないですよ~、という意図を込めて、にこりと笑ってみた。
けど、フレッドの眉間の皺はだんだんと険しくなって、眼光はもうスナイパー並みに鋭い。
あれ、同担拒否だった!?
やばいどうしよう、地雷踏んだっぽいぞ、コレ。
フレッドは、にこりと微笑んだ。
でも目の奥が笑ってない。むしろ絶対零度の瞳で、
「俺の前以外でニコラに話しかけるの、禁止」
タオルをギチギチと掴みながら、僕に告げた。
顔はキスするのかなってくらい近いのに、それどころじゃないくらい、フレッドはガチギレしていた。
わかりました、とか細い声で返すと、フレッドは威圧感をスッと押さえる。
優しい笑みになった。その笑顔は誰もがときめくような爽やかさと色気に溢れている。
タオル越しに僕の頭をぽんぽんと撫でてーーー、
甘さと厳しさの温度差に、気が狂っちゃいそうだ。
シャワーを浴びると藻の臭いも落ちて、さっぱりする。すっかり綺麗になった。
そしてバスルームからちらりと顔を覗かせると……。
王子殿下におかれましては、やべぇお怒りでいらっしゃる。
僕はバスルームの隙間からぴょいっと手だけ出して、バスタオルを盗むように引っ張り込んだ。急いで身体を拭く。
着替えは……あるかなぁ。なんでもいいんだけど。
バスルームから出ると確実に説教だろう。
なんで噴水に飛び込んだんだ、っていう、至極真っ当なお説教が待っている。
いや、僕だってね。そんなつもりはなかったっていうか。ニコラときみをくっつけるためにねーーーと、頭の中で言い訳がぐるぐると回る。でも言えるわけないし。
バスタオルを腰に巻き付けて、そろ~っとバスルームを出る。
眼光が鋭い王子様と目があう。シャワーを浴びたはずなのに冷や汗でまた背筋がびっしょりと濡れた。
「アレン」
「………ハイ」
「……………………とりあえず服を着ろ」
「あざっす」
僕はヘラヘラ笑って、用意してあった服を着た。
フレッドが用意してくれたのかな。ありがたい。制服は僕のサイズにピッタリっていうか、これ僕の替えのじゃない? なんでフレッドが持ってんだろ。
小首を傾げながらも制服を着終わると、フレッドが「はぁ…」と深いため息を吐いた。
「あの男子生徒は生徒会に突きだした。反省文と、一週間の奉仕活動らしい」
「あ、そうなんだ。よかったね」
「お前が飛び込んできて驚いてたよ」
でしょうね、と僕はへらへら笑った。
フレッドがギロッと睨むので、きゅっと唇を噛む。
ハイ、スンマセン、黙ります。
「……なんであんな真似をしたんだ」
フレッドの声は低い。フレッドって、ホントに怒ってるときは静かに怒るんだよね。
だから、結構ガチで怒ってるっていうか……。いや、どっちかっていうと。
フレッドの瞳には心配の色が見えていた。
「だって、ニコラのペンを投げるから」
「お前が飛び込む必要はなかっただろ。深くないとはいえ、噴水に飛び込むなんて……。あとで水を抜くとか、網で掬うとか、方法はあったはずだ」
「……あのときは、あれしか思いつかなかった」
しょぼん、と呟く。若干落ち込んでいた。
ホントにあのときは無我夢中だったんだ。噴水のこととかすっかり忘れてた。
「もうしないよ。心配かけてごめん」
しゅんとなって謝ると、フレッドを纏う空気が柔らかくなった。少しだけ、だけど。
僕の手からバスタオルをとって、僕の髪を拭いた。
ちょっと荒い手つきだ。フレッドは不器用だから自分の髪を拭くときもこれくらい強い。
「わかったならいい。次からはすぐに俺を呼べ」
「……うん」
「本当に……お前は目が離せないな」
ふふっと微笑む顔は、とろとろに甘かった。
今まで見てきたどのスチルよりも、愛おしそうに見つめてきた。
僕は不意に胸がどくんと高鳴ってーーーぽっと頬が熱くなる。やばい、どうしよ。
急いでうつむいて、視線を逸らす。
僕がときめいてる場合じゃないのに。
「ニコラも感謝してたぞ」
「そっか。ニコラの大事なもの取り返せてよかった」
「そういえば、なんであの場にいたんだ」
「……ああ」
フレッドが不思議そうに首を傾げる。
たしかに、一般棟の教室棟なんてワザワザ行かないもんね。
「ニコラに会いたくって。探してたんだ」
まあ、用があったのはニコラにっていうか、ニコラのペンなんだけど。
ふと顔をあげると、フレッドの顔はぴしりとひきつっていた。
「……なんの用だ。部室でもいいだろ」
「え? い、いや? べ、別に……」
「俺に言えないことなのか? そんな、こそこそと、俺に隠れて……」
フレッドはブツブツと呟く。
後半はもう声が低すぎて何言ってるんだか聞こえない。呪詛みたい。
ひぇ、どうしよう。僕が感知できなかっただけで、やっぱりフレッドはニコラを気に入ってたのかな。それで僕が隠れて手を出したって聞いて……嫉妬してる?
「そんなにニコラが気になるのか、アレン」
フレッドの瞳が鋭い。威圧感で顔に穴が開きそう。
しかも髪を拭きながらの体勢だから、めっちゃ近い。銃口を突きつけられてるみたい。
「き、気になる……といえば、気になる……」
「あ”?」
「い、いやっ!? 仲の良い友達だな~~って気持ちでいっぱいです!」
肩をビクビクと震わせて、僕は叫んだ。
ニコラの敵をこんなに排除しようとするなんて。
攻略対象恐るべし。
悪役令息になるとか言ったらガチで殺されそう。
多少ゲームのルートと外れても、敵じゃないアピールをしたほうがいいよね。
「めっちゃいい子だよね! 優しくって、優秀で……」
「……アレン」
「顔も可愛いし! 僕、ニコラのこと大好きだよ!」
いじめるつもりなんかないですよ~、という意図を込めて、にこりと笑ってみた。
けど、フレッドの眉間の皺はだんだんと険しくなって、眼光はもうスナイパー並みに鋭い。
あれ、同担拒否だった!?
やばいどうしよう、地雷踏んだっぽいぞ、コレ。
フレッドは、にこりと微笑んだ。
でも目の奥が笑ってない。むしろ絶対零度の瞳で、
「俺の前以外でニコラに話しかけるの、禁止」
タオルをギチギチと掴みながら、僕に告げた。
顔はキスするのかなってくらい近いのに、それどころじゃないくらい、フレッドはガチギレしていた。
わかりました、とか細い声で返すと、フレッドは威圧感をスッと押さえる。
優しい笑みになった。その笑顔は誰もがときめくような爽やかさと色気に溢れている。
タオル越しに僕の頭をぽんぽんと撫でてーーー、
甘さと厳しさの温度差に、気が狂っちゃいそうだ。
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