【完結】悪役令息Ωに転生した僕、「ヒートで襲って婚約破棄」のはずなのに、王子がノリノリで応じてくる

mei@ネトコン13受賞

文字の大きさ
5 / 12

第五話 もしかして同担拒否!? きみたちを邪魔するつもりはないんだけど!

しおりを挟む
フレッドに手を引かれ、急いで寮のバスルームに連れていかれた。制服はびしょびしょで、藻やら水草やらで汚れまくっていた。
シャワーを浴びると藻の臭いも落ちて、さっぱりする。すっかり綺麗になった。
そしてバスルームからちらりと顔を覗かせると……。

王子殿下におかれましては、やべぇお怒りでいらっしゃる。

僕はバスルームの隙間からぴょいっと手だけ出して、バスタオルを盗むように引っ張り込んだ。急いで身体を拭く。
着替えは……あるかなぁ。なんでもいいんだけど。

バスルームから出ると確実に説教だろう。
なんで噴水に飛び込んだんだ、っていう、至極真っ当なお説教が待っている。
いや、僕だってね。そんなつもりはなかったっていうか。ニコラときみをくっつけるためにねーーーと、頭の中で言い訳がぐるぐると回る。でも言えるわけないし。


バスタオルを腰に巻き付けて、そろ~っとバスルームを出る。
眼光が鋭い王子様と目があう。シャワーを浴びたはずなのに冷や汗でまた背筋がびっしょりと濡れた。

「アレン」
「………ハイ」
「……………………とりあえず服を着ろ」
「あざっす」

僕はヘラヘラ笑って、用意してあった服を着た。
フレッドが用意してくれたのかな。ありがたい。制服は僕のサイズにピッタリっていうか、これ僕の替えのじゃない? なんでフレッドが持ってんだろ。
小首を傾げながらも制服を着終わると、フレッドが「はぁ…」と深いため息を吐いた。

「あの男子生徒は生徒会に突きだした。反省文と、一週間の奉仕活動らしい」
「あ、そうなんだ。よかったね」
「お前が飛び込んできて驚いてたよ」

でしょうね、と僕はへらへら笑った。
フレッドがギロッと睨むので、きゅっと唇を噛む。
ハイ、スンマセン、黙ります。

「……なんであんな真似をしたんだ」

フレッドの声は低い。フレッドって、ホントに怒ってるときは静かに怒るんだよね。
だから、結構ガチで怒ってるっていうか……。いや、どっちかっていうと。
フレッドの瞳には心配の色が見えていた。

「だって、ニコラのペンを投げるから」
「お前が飛び込む必要はなかっただろ。深くないとはいえ、噴水に飛び込むなんて……。あとで水を抜くとか、網で掬うとか、方法はあったはずだ」
「……あのときは、あれしか思いつかなかった」

しょぼん、と呟く。若干落ち込んでいた。
ホントにあのときは無我夢中だったんだ。噴水のこととかすっかり忘れてた。

「もうしないよ。心配かけてごめん」

しゅんとなって謝ると、フレッドを纏う空気が柔らかくなった。少しだけ、だけど。
僕の手からバスタオルをとって、僕の髪を拭いた。
ちょっと荒い手つきだ。フレッドは不器用だから自分の髪を拭くときもこれくらい強い。

「わかったならいい。次からはすぐに俺を呼べ」
「……うん」
「本当に……お前は目が離せないな」

ふふっと微笑む顔は、とろとろに甘かった。
今まで見てきたどのスチルよりも、愛おしそうに見つめてきた。
僕は不意に胸がどくんと高鳴ってーーーぽっと頬が熱くなる。やばい、どうしよ。
急いでうつむいて、視線を逸らす。
僕がときめいてる場合じゃないのに。

「ニコラも感謝してたぞ」
「そっか。ニコラの大事なもの取り返せてよかった」
「そういえば、なんであの場にいたんだ」
「……ああ」

フレッドが不思議そうに首を傾げる。
たしかに、一般棟の教室棟なんてワザワザ行かないもんね。

「ニコラに会いたくって。探してたんだ」

まあ、用があったのはニコラにっていうか、ニコラのペンなんだけど。
ふと顔をあげると、フレッドの顔はぴしりとひきつっていた。

「……なんの用だ。部室でもいいだろ」
「え? い、いや? べ、別に……」
「俺に言えないことなのか? そんな、こそこそと、俺に隠れて……」

フレッドはブツブツと呟く。
後半はもう声が低すぎて何言ってるんだか聞こえない。呪詛みたい。
ひぇ、どうしよう。僕が感知できなかっただけで、やっぱりフレッドはニコラを気に入ってたのかな。それで僕が隠れて手を出したって聞いて……嫉妬してる?

「そんなにニコラが気になるのか、アレン」

フレッドの瞳が鋭い。威圧感で顔に穴が開きそう。
しかも髪を拭きながらの体勢だから、めっちゃ近い。銃口を突きつけられてるみたい。

「き、気になる……といえば、気になる……」
「あ”?」
「い、いやっ!? 仲の良い友達だな~~って気持ちでいっぱいです!」

肩をビクビクと震わせて、僕は叫んだ。
ニコラの敵をこんなに排除しようとするなんて。
攻略対象恐るべし。
悪役令息になるとか言ったらガチで殺されそう。
多少ゲームのルートと外れても、敵じゃないアピールをしたほうがいいよね。

「めっちゃいい子だよね! 優しくって、優秀で……」
「……アレン」
「顔も可愛いし! 僕、ニコラのこと大好きだよ!」

いじめるつもりなんかないですよ~、という意図を込めて、にこりと笑ってみた。
けど、フレッドの眉間の皺はだんだんと険しくなって、眼光はもうスナイパー並みに鋭い。
あれ、同担拒否だった!? 
やばいどうしよう、地雷踏んだっぽいぞ、コレ。

フレッドは、にこりと微笑んだ。
でも目の奥が笑ってない。むしろ絶対零度の瞳で、

「俺の前以外でニコラに話しかけるの、禁止」

タオルをギチギチと掴みながら、僕に告げた。
顔はキスするのかなってくらい近いのに、それどころじゃないくらい、フレッドはガチギレしていた。

わかりました、とか細い声で返すと、フレッドは威圧感をスッと押さえる。
優しい笑みになった。その笑顔は誰もがときめくような爽やかさと色気に溢れている。
タオル越しに僕の頭をぽんぽんと撫でてーーー、

甘さと厳しさの温度差に、気が狂っちゃいそうだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。

天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。 成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。 まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。 黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

【3/11書籍発売】麗しの大公閣下は今日も憂鬱です。

天城
BL
【第12回BL大賞 奨励賞頂きました!ありがとうございます!!3/11に発売になります、よろしくお願いします!】 さえないサラリーマンだったオジサンは、家柄・財力・才能と類い稀なる美貌も持ち合わせた大公閣下ルシェール・ド・ヴォリスに転生した。 英雄の華々しい生活に突然放り込まれて中の人は毎日憂鬱だった。腐男子だった彼は知っている。 この世界、Dom/Subユニバースってやつだよね……。 「さあ気に入ったsubを娶れ」 「パートナーはいいぞ」 とDomの親兄弟から散々言われ、交友関係も護衛騎士もメイド含む屋敷内の使用人全てがSubで構成されたヴォリス家。 待って待って情報量が多い。現実に疲れたおっさんを転生後まで追い込まないでくれ。 平凡が一番だし、優しく気立のいいsubのお嫁さんもらって隠居したいんだよ。

悪役令息はもう待たない

月岡夜宵
BL
突然の婚約破棄を言い渡されたエル。そこから彼の扱いは変化し――? ※かつて別名で公開していた作品になります。旧題「婚約破棄から始まるラブストーリー」

だから、悪役令息の腰巾着! 忌み嫌われた悪役は不器用に僕を囲い込み溺愛する

モト
BL
2024.12.11~2巻がアンダルシュノベルズ様より書籍化されます。皆様のおかげです。誠にありがとうございます。 番外編などは書籍に含まれませんので是非、楽しんで頂けますと嬉しいです。 他の番外編も少しずつアップしたいと思っております。 ◇ストーリー◇ 孤高の悪役令息×BL漫画の総受け主人公に転生した美人 姉が書いたBL漫画の総モテ主人公に転生したフランは、総モテフラグを折る為に、悪役令息サモンに取り入ろうとする。しかしサモンは誰にも心を許さない一匹狼。周囲の人から怖がられ悪鬼と呼ばれる存在。 そんなサモンに寄り添い、フランはサモンの悪役フラグも折ろうと決意する──。 互いに信頼関係を築いて、サモンの腰巾着となったフランだが、ある変化が……。どんどんサモンが過保護になって──!? ・書籍化部分では、web未公開その後の番外編*がございます。 総受け設定のキャラだというだけで、総受けではありません。CPは固定。 自分好みに育っちゃった悪役とのラブコメになります。

学内一のイケメンアルファとグループワークで一緒になったら溺愛されて嫁認定されました

こたま
BL
大学生の大野夏樹(なつき)は無自覚可愛い系オメガである。最近流行りのアクティブラーニング型講義でランダムに組まされたグループワーク。学内一のイケメンで優良物件と有名なアルファの金沢颯介(そうすけ)と一緒のグループになったら…。アルファ×オメガの溺愛BLです。

推しの為なら悪役令息になるのは大歓迎です!

こうらい ゆあ
BL
「モブレッド・アテウーマ、貴様との婚約を破棄する!」王太子の宣言で始まった待ちに待った断罪イベント!悪役令息であるモブレッドはこの日を心待ちにしていた。すべては推しである主人公ユレイユの幸せのため!推しの幸せを願い、日夜フラグを必死に回収していくモブレッド。ところが、予想外の展開が待っていて…?

処理中です...