【完結】悪役令息Ωに転生した僕、「ヒートで襲って婚約破棄」のはずなのに、王子がノリノリで応じてくる

mei@ネトコン13受賞

文字の大きさ
7 / 12

第七話 媚薬の魔法? いやいや、使う予定なんかないよ。興味あるだけだって。

しおりを挟む
待ちに待った合宿イベント一日目☆
……なのだけれど。
フレッドは僕の側をず~~~っと離れなかった。

「なんか、近くない?」
「そんなことない。アレンは放っておけない」
「いやいやいや。僕だってもう十六だよ? そんな監視しなくても……」
「この前、噴水に飛び込んだのは誰だ?」

フレッドがじろりと視線を向けた。
僕は「うう」と唇を噛む。
あれは不可抗力っていうか……。

「ヴィレーヌ湖には飛び込むなよ」
「飛び込まないよ!」

思いっきり突っ込むと、珍しくフレッドは楽しそうに笑っていた。
ーーーきれい、だな。
僕は柄にもなく、ときめきで何も言えなくなってしまった。





古文書研究会の合宿先・ヴィレーヌ湖。
学園から汽車で三時間くらいで、山々に囲まれた美しい湖だ。
今は夏、学園のあたりは暑いけどここは涼しい。
ヴィレーヌ湖畔は避暑地としても人気だった。

古文書研究会は毎年八月に研究発表会をする。
日本風に分かりやすくいうとゼミ合宿みたいな。
顧問のエドガー先生は酒飲みで、研究よりバーベキューのことばっか考えるタイプ。だから、毎年マジメに発表するのはフレッドくらいだった。
(僕? 僕はほら。そんなにマジメじゃないから)

ヴィレーヌ湖近くの宿泊所に着き、荷物を置く。白亜の壁が綺麗な立派なところだ。
到着してからしばらくは、名ばかりの研究発表会。
赤い絨毯と豪華なシャンデリアの下、ふかふかのソファに座って、各々の研究を発表する。
みんなこのあとのバーベキューが楽しみでそわそわしている。


「僕が担当してる古文書はこちらです」

最後の発表順が来て、ニコラは黒い書物を取り出した。
ニコラは合宿初参加だからか緊張している。真面目にびっしりとレポートをまとめていた。

「ところどころ読めない箇所はあるんですけど、五百年前の”禁断魔術”が書かれているかと思われます」
「すごいの引き当てたね、きみ。へえ、”禁断魔術”の書物が残ってたんだ」

エドガー先生は身を乗り出す勢いで聞いている。いつもは適当に聞いてるのに。豊かな白いひげを揺らして瞳を輝かせていた。
僕は気づかれないようにそっとニコラに視線を向ける。

ーーー”禁断魔術”。
”禁断魔術”は、ひとに害を与える、文字通り使ってはいけない魔法の総称だ。
そして、僕がゲームのラストでフレッドにかける魔法でもある。
どうして禁忌の魔法をアレンが知っていたのかは謎だったけど、ここで知ったのか。

「解読できたのはここだけです。”汝、フィロマルスの香りを纏い、呪文を唱えよ。さすれば運命は貴方のもの”」
「へえ、そんな危ない魔法が残ってたとはね」

フォッフォッフォッ、と、エドガー先生は楽しそうに拍手をした。ほかのメンバーたちはきょとんとした顔で先生を見る。
ニコラは咄嗟に顔を上げ、不安げな表情を見せる。

「そ、そんなに危ないものなのですか。これは……」
「ん~、危ないねぇ。でも、必要なときもあるかなぁ」

エドガー先生はひげを撫でる。もったいぶりながら、ふふっと微笑んで。

「それはね、Ωが自分のフェロモンを高めて、大好きなαを誘惑する、大変えっちな魔法なんだよ」

茶目っ気を出してウィンクするエドガー先生に、ほかのメンバーたちは「はぁ?」と苛立った顔をする。
このエロジジイーーー、という無言の怒りに場は包まれた。



「先生! 質問です!」
「おお、アレン。珍しいね。どうぞ」
「フィロマルスの香りってどう出せばいいんですか!」

はいっ!と高く手をあげて、僕は質問する。
エドガー先生はきょとんとした顔をしながらも、すぐにやっと笑った。

「フィロマルスの葉をいぶせばいい。このあたりでも採れるし、下町なら結構売ってるよ」
「ありがとうございます! 呪文なんですけどーーー」
「待て、アレン、待て」

僕の質問を、隣に座っていたフレッドが止めた。
めちゃくちゃ慌てた表情をしている。

「なに?」
「お前、その禁断魔術を使う気か?」
「え? いいや? そんなつもりないけど?」

僕は肩をすくめて白々しく答えた。
フレッドは鋭い視線で僕の顔を睨む。

「誰に使うつもりだ?」
「使わないって言ってるじゃん」
「……じゃあなんで質問するんだ」
「さあ。でも知ってて損はないでしょ」

本当はキミに使うつもりなんだよ、とは言えないから。一生懸命しらばっくれるしかない。
ニコラはハラハラした表情で僕たちを見つめる。
エドガー先生はこの修羅場を楽しんでいるみたいだ。やっぱクソエロジジイだな。

フレッドはわなわなと震えていた。

「お前には必要ない! 使ったら監禁だ! わかったな!」

僕はひぇっと肩をびくりとさせた。
そんな怒ることないじゃん! まだフレッドに使ってないのにさ!

言い訳しようとするも、すぐゴーンと鐘が鳴った。
微妙な空気になって、研究発表会はお開きになった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。

天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。 成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。 まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。 黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

【3/11書籍発売】麗しの大公閣下は今日も憂鬱です。

天城
BL
【第12回BL大賞 奨励賞頂きました!ありがとうございます!!3/11に発売になります、よろしくお願いします!】 さえないサラリーマンだったオジサンは、家柄・財力・才能と類い稀なる美貌も持ち合わせた大公閣下ルシェール・ド・ヴォリスに転生した。 英雄の華々しい生活に突然放り込まれて中の人は毎日憂鬱だった。腐男子だった彼は知っている。 この世界、Dom/Subユニバースってやつだよね……。 「さあ気に入ったsubを娶れ」 「パートナーはいいぞ」 とDomの親兄弟から散々言われ、交友関係も護衛騎士もメイド含む屋敷内の使用人全てがSubで構成されたヴォリス家。 待って待って情報量が多い。現実に疲れたおっさんを転生後まで追い込まないでくれ。 平凡が一番だし、優しく気立のいいsubのお嫁さんもらって隠居したいんだよ。

悪役令息はもう待たない

月岡夜宵
BL
突然の婚約破棄を言い渡されたエル。そこから彼の扱いは変化し――? ※かつて別名で公開していた作品になります。旧題「婚約破棄から始まるラブストーリー」

だから、悪役令息の腰巾着! 忌み嫌われた悪役は不器用に僕を囲い込み溺愛する

モト
BL
2024.12.11~2巻がアンダルシュノベルズ様より書籍化されます。皆様のおかげです。誠にありがとうございます。 番外編などは書籍に含まれませんので是非、楽しんで頂けますと嬉しいです。 他の番外編も少しずつアップしたいと思っております。 ◇ストーリー◇ 孤高の悪役令息×BL漫画の総受け主人公に転生した美人 姉が書いたBL漫画の総モテ主人公に転生したフランは、総モテフラグを折る為に、悪役令息サモンに取り入ろうとする。しかしサモンは誰にも心を許さない一匹狼。周囲の人から怖がられ悪鬼と呼ばれる存在。 そんなサモンに寄り添い、フランはサモンの悪役フラグも折ろうと決意する──。 互いに信頼関係を築いて、サモンの腰巾着となったフランだが、ある変化が……。どんどんサモンが過保護になって──!? ・書籍化部分では、web未公開その後の番外編*がございます。 総受け設定のキャラだというだけで、総受けではありません。CPは固定。 自分好みに育っちゃった悪役とのラブコメになります。

学内一のイケメンアルファとグループワークで一緒になったら溺愛されて嫁認定されました

こたま
BL
大学生の大野夏樹(なつき)は無自覚可愛い系オメガである。最近流行りのアクティブラーニング型講義でランダムに組まされたグループワーク。学内一のイケメンで優良物件と有名なアルファの金沢颯介(そうすけ)と一緒のグループになったら…。アルファ×オメガの溺愛BLです。

推しの為なら悪役令息になるのは大歓迎です!

こうらい ゆあ
BL
「モブレッド・アテウーマ、貴様との婚約を破棄する!」王太子の宣言で始まった待ちに待った断罪イベント!悪役令息であるモブレッドはこの日を心待ちにしていた。すべては推しである主人公ユレイユの幸せのため!推しの幸せを願い、日夜フラグを必死に回収していくモブレッド。ところが、予想外の展開が待っていて…?

処理中です...