【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます

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ー魔力波形記録：3月10日（水）ー
名前：魔力反応倍率・持続時間・備考
・レオン：3.3倍・12秒接触後・従順モード突入
・カイル：2.5倍・9秒論理崩壊・曖昧な言葉に酔いしれる
・グレイ：2.7倍・10秒・“師匠”忘れて“聖女”一直線
・エドワルド：60.7倍・90秒・もはや“魔力反応”じゃなく“恋愛ドーパミン垂れ流し状態”

3月11日（木）：聖女劇場・昼休み公演
•ミレーヌ：「エドワルド様は、ネクタイが…」「いつも完璧ですけど、でも、少し乱れているところも…素敵です♡」 
（出た、“乱れも素敵”理論。前世の合コンで聞いたやつ。ネクタイ曲がってる男に「その無造作さがいい」って言ってた女と同じ）

•エドワルド：とろけ顔 → 私と目が合う →スナイパーのごとく射抜く
（はいはい、睨みポイント加算。通算47回目。ノートに記録済み）

•ミレーヌ：勝ち誇りスマイル発動 
（制服でマウント、手相でマウント、ネクタイでマウント。次は何？ 靴紐？）

•ペンダント：ピカッ（魔力反応） 
（この反応、もはや“恋愛魔力干渉”。婚活パーティーで使えたら、人生変わってたわ）

幼馴染たちの“変化”と記録
•レオン：王宮ではイザベラに誠実、学園ではミレーヌ従順。魔力反応4.3倍。
•カイル：知識重視の秀才、でも接触後は思考が曖昧に。魔力反応2.8倍
•グレイ：“師匠”と呼んでくれてたのに、今は“聖女命”。魔力反応2.1倍

レオン：第二王子でありながら、私と同じ目線で笑ってくれた少年。 
イザベラとの婚約が内定したとき、少し照れながら「彼女を支えたい」と言っていた。 
王宮では誠実で真面目な青年。でも、学園ではミレーヌに触れられると、まるで別人。従順モード突入。
（ええ、まるで“聖女のリモコン”よ。ボタン押されたら即反応。王子なのに、操作されすぎてて心配になるレベル）

イザベラは、王宮と学園でのレオンの態度の差に悩んでいる。

「王妃様から、“注意しなさい”と言われたの。でも、簡単には動けない」

彼女は冷静に振る舞っているけれど、心の中では葛藤している。 
王妃の言葉、王様の命令、そしてレオンの変化。全部が彼女の肩に重くのしかかっていた。
（わかるわ…責任って、見えないけど重いのよね。前世でも“現場の声”と“上層部の理想”に挟まれて、胃薬と親友だった）

カイル：宰相家の秀才。知識と論理を重んじる少年。 
私との会話では、魔道具の構造や歴史について熱心に語ってくれる。 前世で培った知識を共有すると、彼は目を輝かせてくれた。
（あの瞬間の「なるほど！」って顔、好きだったな。あれ、知的好奇心が爆発してる顔なのよ）

けれど、ミレーヌに関わると、彼女の曖昧な言葉に酔いしれ、私との会話はフェードアウト。

「セレナの話、もっと聞きたいんですけど…あ、ミレーヌ嬢が呼んでるので」
（呼ばれたら即移動。もはや“聖女の呼び鈴”よ。理性はどこ行ったの？）


グレイ：騎士団長の息子。まっすぐな性格の少年。 
私のことを“師匠”と呼び、剣の稽古やそろばんの勉強を共にしていた。
 彼の成長を見守るのは、私にとっても喜びだった。
（あの子が九九を覚えたとき、ちょっと泣いたのよ。おばちゃん、涙腺ゆるいから。感動のハードル、低め）

けれど、ミレーヌが視界に入った瞬間、彼女のことしか考えられなくなる。

「師匠、また剣の稽古お願いします！…あ、ミレーヌ嬢…」

（あの子たちと、もう一緒に笑えないのかな。前世で孤独には慣れてたけど、今世で“楽しさ”を知った分、孤独が余計に辛い）

ー私はノートに記録を加えたー 
“聖女”の魔力は、男子の心を揺らす。 
魔力反応の数値と、接触後の言動。 すべてが、ミレーヌの“力”を示していた。

記録は感情の逃げ場でもある。
書くことで心がちょっと落ち着く。
前世でも、日報に愚痴を混ぜてたな。

（感情は飲み込むだけじゃなくて、書いて昇華するの。涙も毒舌も、ノートに詰め込んで、いつか“真実”を突きつける日まで）

ある日の放課後、イザベラが静かに近づいてきた。 
彼女の表情はいつも通り冷静だけど、瞳の奥に“決意”が見えた。

「セレナ、ノートの件だけど…あの情報、私にもまた見せてくれる？」

「もちろん。どうしたの、急に？」

「王妃様の言葉もあるし、何かあったときに動けるようにしておきたい。でも今は動けるだけの証拠がないから」

「ありがとう。…私のノートのこと、イザベラにそう言ってもらえて嬉しいわ」

（前世で孤独には慣れてたけど、仲間がいると救われる。誰かが見てくれてるって、それだけで違う。前世では“誰にも見られない努力”ばっかりだったから）

イザベラは、ノートをそっと手に取り、ページをめくるたびに眉をひそめていた。 
ミレーヌの魔力反応、男子の変化、エドワルドの睨み頻度――全部、記録済み。

「…これ、すごいわね。まるで実験記録」

「ええ、“聖女劇場”の裏側を暴くための台本よ。主演・脚本：ミレーヌ、助演：エドワルド及び男性陣　監督：私」

ー今日の総評ー
 私は、誰かの“都合のいい存在”ではない。
 私は、観察者であり、発明者であり、証人である。 そして、真実を暴く者である。

（さあ、次は“魔力干渉の意図”を探るわよ。しつこいのよおばちゃんは。人生二回目の女をなめるなって話）

◇◇◇
　とうとうミレーヌ観察記録ノート、ついに10冊目完了。 
（達成感も嬉しさも全くないけどね。ノートの無駄遣いって、こういうことを言う）

内容は濃厚。ミレーヌの魔力反応、男子たちの態度変化、婚約破棄の傾向、エドワルドの手紙 ――すべて記録済み。証拠は揃った。

（でもね、“決定打”にはならない。おばちゃん、数字には強いけど、喧嘩の仕掛け方は未経験。更に口喧嘩は非対応）


記録は、ただの事実の羅列じゃない。 
それは「証拠」であり、「盾」であり、そして「剣」にもなる。 
でも、どんなに鋭い剣でも、振るう腕が一人では届かない場所がある。

だからこそ――連携が必要。 
信頼できる仲間と、役割を分担して、情報を共有して、 それぞれの得意分野で動くことで、真実に迫れる。

・セレナは記録者。観察と分析のプロ。
・リュシアンは技術者。魔力の可視化と解析を担う。
・イザベラは王家の窓口。権威と判断力を持つ。
・そして、彼らの変化を知る幼馴染たちは、無意識の証人。

この連携が揃ったとき、記録は“武器”から“戦略”へと進化する。

（Excelデータだけじゃ戦えない。でも、Excel＋人脈＋根性なら、戦える？）

次に必要なのは――“動くタイミング”。
 記録が揃い、仲間がいる今こそ、舞台の幕を上げるときかもしれない。