44 / 67
44.伯爵夫人side
しおりを挟む
「ソニアの事は今でも可愛いと思っているんだ。大きく口を開けて笑う所とか、あどけない上目遣いだとか。コロコロ変わる表情を、いつまでも傍で見たいと思っていたんだ。だが……それが近頃どうも……。ソニアのくだらない話を聞くのも疲れる」
「まぁ」
「彼女との感覚の違いにも時々たまらなく嫌になる時がある。前はそれが良かったのだが……」
「夫婦ですもの。相手の些細な事に神経をすり減らす時がありますわ。まして、ソニア様は元平民でいらっしゃいますもの。私達に理解出来ない事は沢山ありますわ」
「ソニアを裏切っている私を不誠実だと思うか?」
「いいえ。王族と言えども人ですわ。好き嫌いがあって当然ですし、心変わりだってします。それを不誠実だとは思いませんわ。寧ろ、私は好ましく思っております」
「そうか……カレンは優しいな」
王太子殿下は私を抱きしめると、口づけたのでした。優しいキスから徐々に深いキスへと変わります。どうやら今日も殿下は私と一緒に過ごすおつもりのようですね。困った方。二週間連続で夜を一緒に過ごすなんて今までなかった事ですのに。
理由は解っています。
私との関係がソニア側妃にバレたせいでしょう。
随分なじられたとベッドの中で愚痴を漏らしていましたもの。私との関係を「浮気だ」「裏切り者」と言われたそう。バカバカしいですわね。自分だって婚約者から殿下を奪ったというのに。それとも自分がやった事は記憶の彼方なのかしら?
ソニア側妃のヒステリックな言動は社交界でも噂になってますし。自分が糾弾できる立場だとでも?「離婚したくともできない……」と殿下も漏らしてましたから相当鬱憤が溜まっているのでしょうね。
バカな側妃。
正妃ではない。
子供もいない。
後ろ盾もない。
ないない尽くしのソニア側妃。
王太子殿下の寵愛だけが頼みの綱でしょうに。
なのに喚き散らして殿下を困らせる言動ばかりしているのでは愛情が枯れるのは仕方がありませんわ。
せめて節度と忍耐くらいは身に付けるべきでしたわね。
尤も、それが出来るくらいならとっくに妃教育は終わっているでしょう。
可哀想なソニア側妃。
離婚はされなくともそのまま後宮に捨て置かれる可能性は大いにありますのに。
もしかするとその考えに思い至らないのかもしれませんわね。
「まぁ」
「彼女との感覚の違いにも時々たまらなく嫌になる時がある。前はそれが良かったのだが……」
「夫婦ですもの。相手の些細な事に神経をすり減らす時がありますわ。まして、ソニア様は元平民でいらっしゃいますもの。私達に理解出来ない事は沢山ありますわ」
「ソニアを裏切っている私を不誠実だと思うか?」
「いいえ。王族と言えども人ですわ。好き嫌いがあって当然ですし、心変わりだってします。それを不誠実だとは思いませんわ。寧ろ、私は好ましく思っております」
「そうか……カレンは優しいな」
王太子殿下は私を抱きしめると、口づけたのでした。優しいキスから徐々に深いキスへと変わります。どうやら今日も殿下は私と一緒に過ごすおつもりのようですね。困った方。二週間連続で夜を一緒に過ごすなんて今までなかった事ですのに。
理由は解っています。
私との関係がソニア側妃にバレたせいでしょう。
随分なじられたとベッドの中で愚痴を漏らしていましたもの。私との関係を「浮気だ」「裏切り者」と言われたそう。バカバカしいですわね。自分だって婚約者から殿下を奪ったというのに。それとも自分がやった事は記憶の彼方なのかしら?
ソニア側妃のヒステリックな言動は社交界でも噂になってますし。自分が糾弾できる立場だとでも?「離婚したくともできない……」と殿下も漏らしてましたから相当鬱憤が溜まっているのでしょうね。
バカな側妃。
正妃ではない。
子供もいない。
後ろ盾もない。
ないない尽くしのソニア側妃。
王太子殿下の寵愛だけが頼みの綱でしょうに。
なのに喚き散らして殿下を困らせる言動ばかりしているのでは愛情が枯れるのは仕方がありませんわ。
せめて節度と忍耐くらいは身に付けるべきでしたわね。
尤も、それが出来るくらいならとっくに妃教育は終わっているでしょう。
可哀想なソニア側妃。
離婚はされなくともそのまま後宮に捨て置かれる可能性は大いにありますのに。
もしかするとその考えに思い至らないのかもしれませんわね。
465
あなたにおすすめの小説
あなたが捨てた花冠と后の愛
小鳥遊 れいら
恋愛
幼き頃から皇后になるために育てられた公爵令嬢のリリィは婚約者であるレオナルド皇太子と相思相愛であった。
順調に愛を育み合った2人は結婚したが、なかなか子宝に恵まれなかった。。。
そんなある日、隣国から王女であるルチア様が側妃として嫁いでくることを相談なしに伝えられる。
リリィは強引に話をしてくるレオナルドに嫌悪感を抱くようになる。追い打ちをかけるような出来事が起き、愛ではなく未来の皇后として国を守っていくことに自分の人生をかけることをしていく。
そのためにリリィが取った行動とは何なのか。
リリィの心が離れてしまったレオナルドはどうしていくのか。
2人の未来はいかに···
平凡令嬢は婚約者を完璧な妹に譲ることにした
カレイ
恋愛
「平凡なお前ではなくカレンが姉だったらどんなに良かったか」
それが両親の口癖でした。
ええ、ええ、確かに私は容姿も学力も裁縫もダンスも全て人並み程度のただの凡人です。体は弱いが何でも器用にこなす美しい妹と比べるとその差は歴然。
ただ少しばかり先に生まれただけなのに、王太子の婚約者にもなってしまうし。彼も妹の方が良かったといつも嘆いております。
ですから私決めました!
王太子の婚約者という席を妹に譲ることを。
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
【完結】高嶺の花がいなくなった日。
紺
恋愛
侯爵令嬢ルノア=ダリッジは誰もが認める高嶺の花。
清く、正しく、美しくーーそんな彼女がある日忽然と姿を消した。
婚約者である王太子、友人の子爵令嬢、教師や使用人たちは彼女の失踪を機に大きく人生が変わることとなった。
※ざまぁ展開多め、後半に恋愛要素あり。
【完結】そんなに好きなら、そっちへ行けば?
雨雲レーダー
恋愛
侯爵令嬢クラリスは、王太子ユリウスから一方的に婚約破棄を告げられる。
理由は、平民の美少女リナリアに心を奪われたから。
クラリスはただ微笑み、こう返す。
「そんなに好きなら、そっちへ行けば?」
そうして物語は終わる……はずだった。
けれど、ここからすべてが狂い始める。
*完結まで予約投稿済みです。
*1日3回更新(7時・12時・18時)
あなたには彼女がお似合いです
風見ゆうみ
恋愛
私の婚約者には大事な妹がいた。
妹に呼び出されたからと言って、パーティー会場やデート先で私を置き去りにしていく、そんなあなたでも好きだったんです。
でも、あなたと妹は血が繋がっておらず、昔は恋仲だったということを知ってしまった今では、私のあなたへの思いは邪魔なものでしかないのだと知りました。
ずっとあなたが好きでした。
あなたの妻になれると思うだけで幸せでした。
でも、あなたには他に好きな人がいたんですね。
公爵令嬢のわたしに、伯爵令息であるあなたから婚約破棄はできないのでしょう?
あなたのために婚約を破棄します。
だから、あなたは彼女とどうか幸せになってください。
たとえわたしが平民になろうとも婚約破棄をすれば、幸せになれると思っていたのに――
※作者独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
王子は婚約破棄を泣いて詫びる
tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。
目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。
「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」
存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。
王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。
王家の賠償金請求
章槻雅希
恋愛
王太子イザイアの婚約者であったエルシーリアは真実の愛に出会ったという王太子に婚約解消を求められる。相手は男爵家庶子のジルダ。
解消とはいえ実質はイザイア有責の破棄に近く、きちんと慰謝料は支払うとのこと。更に王の決めた婚約者ではない女性を選ぶ以上、王太子位を返上し、王籍から抜けて平民になるという。
そこまで覚悟を決めているならエルシーリアに言えることはない。彼女は婚約解消を受け入れる。
しかし、エルシーリアは何とも言えない胸のモヤモヤを抱える。婚約解消がショックなのではない。イザイアのことは手のかかる出来の悪い弟分程度にしか思っていなかったから、失恋したわけでもない。
身勝手な婚約解消に怒る侍女と話をして、エルシーリアはそのモヤモヤの正体に気付く。そしてエルシーリアはそれを父公爵に告げるのだった。
『小説家になろう』『アルファポリス』に重複投稿、自サイトにも掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる