【完結】「めでたし めでたし」から始まる物語

つくも茄子

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51.不穏な影2

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 王太子殿下とソニア側妃に子供が出来ないように既に処置がなされています。
 恐らく、王家秘伝の薬を使ったのでしょう。

 ある意味、国王陛下は徹底しています。
 この事は陛下以外は極少数しか知らされていないこと。ご自分の妻である王妃にされ真実は教えていません。まぁ、知っていれば王妃は反対していたでしょうからこればかりは陛下を責めることはできません。
 これまでの歴史上、そういうことは幾度もありました。いずれ王族でなくなる方ですもの。火種を残しておくのはリスクが高すぎます。となると……。

「王太子殿下の奇行を王妃が止めないのはそのせいですか?」

「クスッ。正解だ。王妃も孫の顔が見たいのだろう。まして、孫可愛さで夫の国王が心変わりしてくれるのを望んでいる節が見られる」

「そんな事有りえませんでしょうに」

「まったくだ。陛下は時に非常な決断を下される。王なのだから当然なのだが……」

「王妃と王太子にはない決断ですわね」

「あの二人は少々甘い。特に王太子は王家に生まれ育ったというのにな」

「だから私を婚約者にしたのでしょうか?」

「王妃は息子に確固たる後ろ盾を欲していたが、陛下は別だろう。為政者の器でない息子の代わりにアリエノールが実権を握って国を上手く回すことを望んでいたようだ」

「まぁ、随分と買ってくださっていたんですのね」

「当然だろう?」


 当たり前のように言われて笑ってしまいました。
 何故夫が誇らしげに? 私を買いかぶりすぎですわ。まったく。ですが悪くありませんわね。

 王太子殿下の周辺は不穏な影が集まっているようですが、この公爵領にその波が押し寄せる事はないでしょう。
 もっとも、このまま何事もなく終わるとも思えませんが。







 
 数ヶ月後、ソニア側妃が姦通の罪に問われ牢に幽閉されました。この時は、まだ貴族牢だったのですが、その後の調べでソニア側妃の部屋から毒物が見つかり、彼女は程なくして公開処刑の憂き目にあいました。側妃の生家である商会はお取り潰しにあい、一族は国を追われました。

 平民出身の妃の蛮行は国民に激しいショックと憤りを生みました。
 嘗て身分を超えた愛に憧れ祝福した国民。その愛の結果に恐れおののく王都民。ソニア側妃の刑死後は、身分違いの愛に夢を見る若者に、少なからず批難の目が向けられたのは言うまでもありません。
 どこから漏れたのでしょうか。
 ソニア側妃が妃教育を終えることなく亡くなった事もいつの間にか民の話題に上っていました。
 それと共に貴族令嬢のマナーや教養。学ぶ事の多さに驚愕する民の多くいたのです。どうやら、民にとってみれば煌びやかな貴族社会は
 物語の中のそれでしかなかったようで、特に令嬢は美しく着飾って笑っていればいいようなイメージしかなかったのでしょう。実際は貴族の責務は多岐に渡りますし、愛だの恋だの戯れる暇など皆無です。それを現実で知る事になり国民の貴族に対するイメージがいい方向で変わったのが一番の収穫かもしれません。

 ソニア側妃の処刑から時を置かずに、王太子殿下が亡くなったという報告が入りました。
 死因は、愛人との縺れだとか毒殺未遂だとか色々な噂や憶測が飛び交いましたが、真実は不明のままで終わったのです。


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