【完結】悪女と罵られたので退場させていただきます!

つくも茄子

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~アーリャナシル帝国編~

27.ヴァレリー公爵(父)side

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 娘よ。
 なにがあった。
 皇太子妃の娘に呼び出され、何事かと思ったら、後宮の縮小を手伝ってくれと言われた。
 思わず「何故だ」と聞いてしまった私は悪くないと思うぞ。

「皇太子殿下から『後宮は縮小したい』とのお言葉を賜りました。その手伝いをしてほしいそうです」

 ……なるほど。
 発案は皇太子か。
 ……ありえる話だと妙に納得してしまった。
 娘はいくつかのプランを上げていく。
 どれも「良い案」だ。

「それらを実行する気なのか?」

「皇太子殿下の許可がおりれば、の話です。実行していただくのは殿下ですので……」

「そうか。……まあ、そうなるだろな」

 提案したのは皇太子だ。
 責任者として実行するのも皇太子でなければいけない。

「これが一番穏便に後宮を縮小できる方法だと思いますわ」

「それはそうだろうな」

 我が娘ながらよくまぁ、こんな突拍子もないプランを思いついたものだと感心する。
 これなら、反対意見はでない。
 少なくとも表立って非難はできないのだ。
 娘が逆恨みされる可能性は低い。

「だが、二度と使えない手でもある。そのことは理解しているのだな」

「勿論です」

 我が娘ながら相変わらず強かだな。
 常に最悪を予想している。

「ならばいい。協力はしよう」

 娘の案に乗ることに決めると、私は手を貸すことにしたのだ。
 まあ、手を貸すといっても後宮内のことだ。大したことは出来ない。
 せいぜい、裏から手を回す程度だ。
 それにしても相変わらず娘の発想は面白い。
 普通では考えつかないような「後宮の縮小」という方法を提示した。

 後宮の女達――側妃だけでなく彼女達付きの侍女を含めて追い出すという方法。
 上手くいけば四千人近い人員を一気に減らせる。
 追い出す者の基準も実にユニークだ。
 容姿の優れた者を率先して排除する。

「そのための餌は用意してありますわ」と娘に言われて首を傾げたが、「側妃達は殿下の寵愛を欲しているんですもの。殿下が寵妃を選ぶと公表すれば、我先にと寵姫になろうとするでしょう」と言われて納得した。
 確かにその通りだ。
「もっとも、誰でも寵妃になれるとあれば後宮内が荒れてしまいますからね。人数は限定した方がよろしいでしょう。後宮には数多の美女がいますもの。人数に限りがあればおのずと有力貴族の令嬢が選ばれるはずですわ」と、笑いながら言った娘。
 側妃とその侍女達に何かされたのかと疑心暗鬼になってしまったが、娘の話によると「他の妃達とは疎遠ですから。ただ、妃に買収された侍女達もいれば、実家の派閥関係で動いている侍女もいますので……」と教えてくれた。
 言葉を濁していたが、小さな嫌がらせを受けている、ということだろう。
 恐らく、娘が皇太子殿下の提案に乗ったのはメリットがあるからだ。
 今は小さな嫌がらせだが、そのうち命を脅かされないと考えたとしてもおかしくない。
 ふむ……。
 中々に厄介だな。

 計画は秘密裏に進められた。
 そうして一ヶ月後、皇太子殿下の寵妃選びが発表された。

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