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~ロクサーヌ王国編~
26.ヒロインside
しおりを挟む どうして?
何でこんなことになったの?
分からない。
何度考えても答えが見つからない。
私が望んだのはこんな狂った世界なんかじゃない!!
男爵の父を持ったのがいけなかったの?
それとも元平民の母を持ったのがいけなかったの?
分からない。
貴族社会に不慣れな私を救ってくれたのは本物の『王子様』だった。
彼以外の『子息たち』も慰めてくれた。
『君の生まれは君の所為じゃない』
『些細な事に拘る女達がおかしいんだ』
悪が滅びて皆で幸せになるはずだったのに――――
子供が生まれてもユベールと結婚できなかった。
いつの間にかユベールと引き離されて両親のいる男爵領に戻された。
知らない間に私と息子が死んだことになっていた。
何故?!
私は生きているわ!!!
「生きていられるだけ有難いと思え」
般若のような兄の顔と冷たい目が私を射抜く。知らない間に兄が男爵になっていた。父は隠居させられていたわ。どうして?
「あのまま殿下と居ればお前は今頃本当に死んでいる」
「そんな?!」
「幽閉された王族の末路は決まっている。そんなことも理解できないのか?」
この兄は苦手。
嫌な事ばかり言うもの。
まるで学園の先生や女子生徒と同じ。
「なら放っておいてくれれば良かったのに!!」
「それができれば苦労しない。お前を死んだことにするのに幾ら払ったと思っているんだ!!」
「頼んでないわ!!」
「ああ!馬鹿な庶子には分からんだろうさ!!」
「なっ!」
「あのまま殿下と共に居れば間違いなく三人揃ってあの世行きだったろう。だがそうなれば、お前が王子殺しの犯人に仕立てられる可能性が高い。そうならないために他所の男の子供を産み落として殿下が刺殺したことにさせたんだ。廃嫡されようとも元王族だ。それを殺めたとなれば男爵家も只ではすまない」
結局、兄が私を助けたのは保身からだった。
その後、質素な馬車に両親と息子と一緒に乗せられて国境近くの修道院に連れて行かされた。
抵抗したけど無駄だった。
両親は自分達を憐れむのに忙しいのか、私と息子に見向きもしない。
修道院は孤児院と共同経営をしていて、子供を育てるには最適な場所でもあった。それでも今まで裕福な暮らしをしていた私と両親が慣れるはずもない。
二年後、質の悪い風邪で私と両親は呆気なく死んだ。
だからその後の事は何も知らない。
残された息子の事も。
国がどうなったのかも。
何一つ知らないままだった。
何でこんなことになったの?
分からない。
何度考えても答えが見つからない。
私が望んだのはこんな狂った世界なんかじゃない!!
男爵の父を持ったのがいけなかったの?
それとも元平民の母を持ったのがいけなかったの?
分からない。
貴族社会に不慣れな私を救ってくれたのは本物の『王子様』だった。
彼以外の『子息たち』も慰めてくれた。
『君の生まれは君の所為じゃない』
『些細な事に拘る女達がおかしいんだ』
悪が滅びて皆で幸せになるはずだったのに――――
子供が生まれてもユベールと結婚できなかった。
いつの間にかユベールと引き離されて両親のいる男爵領に戻された。
知らない間に私と息子が死んだことになっていた。
何故?!
私は生きているわ!!!
「生きていられるだけ有難いと思え」
般若のような兄の顔と冷たい目が私を射抜く。知らない間に兄が男爵になっていた。父は隠居させられていたわ。どうして?
「あのまま殿下と居ればお前は今頃本当に死んでいる」
「そんな?!」
「幽閉された王族の末路は決まっている。そんなことも理解できないのか?」
この兄は苦手。
嫌な事ばかり言うもの。
まるで学園の先生や女子生徒と同じ。
「なら放っておいてくれれば良かったのに!!」
「それができれば苦労しない。お前を死んだことにするのに幾ら払ったと思っているんだ!!」
「頼んでないわ!!」
「ああ!馬鹿な庶子には分からんだろうさ!!」
「なっ!」
「あのまま殿下と共に居れば間違いなく三人揃ってあの世行きだったろう。だがそうなれば、お前が王子殺しの犯人に仕立てられる可能性が高い。そうならないために他所の男の子供を産み落として殿下が刺殺したことにさせたんだ。廃嫡されようとも元王族だ。それを殺めたとなれば男爵家も只ではすまない」
結局、兄が私を助けたのは保身からだった。
その後、質素な馬車に両親と息子と一緒に乗せられて国境近くの修道院に連れて行かされた。
抵抗したけど無駄だった。
両親は自分達を憐れむのに忙しいのか、私と息子に見向きもしない。
修道院は孤児院と共同経営をしていて、子供を育てるには最適な場所でもあった。それでも今まで裕福な暮らしをしていた私と両親が慣れるはずもない。
二年後、質の悪い風邪で私と両親は呆気なく死んだ。
だからその後の事は何も知らない。
残された息子の事も。
国がどうなったのかも。
何一つ知らないままだった。
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