【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!

つくも茄子

文字の大きさ
53 / 112

53.ブリジットside

しおりを挟む
「そう……やっぱり次はミゲルを標的にしているようね」

「はい。ミゲル様に付いております『影』もそのように認識しております」

「待ち伏せの件は片を付けたようだけど、他がどうもねぇ」

「カストロ侯爵子息の事でしょうか?」

「ええ、あまり良くない傾向だわ。彼のミゲルを見る目は尋常ではないわ。今にも斬りかかりそうな雰囲気を醸し出しているではないの。自分の護衛が他者にそんな目を向けているというのに大公女は何の手立ても講じていないわ。注意を促す事もしないなんてね」

「大公女は気付いていないようです」

「それはまた……暢気な事だわ」

 大半の人間が気付いている事に気付かないなんて。
 父親である大公に何か言い含められている事には気付いているわ。当然、何らかの目的をもって学園に編入してきた事も――


「私とミゲルを囲い込むためかしら?」

「恐らくは」

「お父様は既に大公陣営だと言うのに。次世代まで確保しようとは強欲極まれりだわ」

 けれど妥当な選択とも言える。
 政治家としては優秀な父だけれど、家内に関しては一切の権限がない。暗黙の了解となっている公爵家の実態を大公はよくご存じだこと。


「大公家がどうしようと彼らの勝手だけれど、人様の物を欲しがるのだけはやめてほしいものね。他人の所有物にちょっかいを出すような人間は破滅を迎える事になるというのを知らないのかしら?それとも知っていてもなお手を伸ばさずにはいられないのかしらね」
 
「欲の皮で出来ているような方ですからね。あのような者達は一度痛い目を見た方が良いかと思われます」
 
「そうね、本当に愚かな人間だと思うわ。まぁ、私にとっては好都合なのだけど……」
 
「左様ですか」
 
「実に分かり易い状況だと思わない?あの大公女の様子だと自分の婚約者の動向すら把握していないのではないかしら?」
 
「第一王子殿下ですか」
 
「そう、中堅クラスに入った王子様」
 
「クラスが違いますから。頻繁に会う事はないようです」
 
「王子の方からも婚約者に会いに行く様子もないものね。代わりに何故か私のクラスに赴こうと頑張っているようだけれども」

 その度に最高クラスのある校舎の門番に止められているらしいわ。
 
「最高クラスは別校舎にあり、門番が他のクラスの者を入れるのを禁止していることを知らなかったようです」

 でしょうね。下位クラスがある校舎と上位クラスのある建物は完全に分かれていることも知らなかったようだし。そもそも最高クラスは例外なく高位貴族で固まっている事も知らなさそうだわ。こればかりは育った環境によるものだから仕方がないでしょうね。事前に勉学を習得している高位貴族が上位の成績を取るのは当然の事ですもの。

「ブリジット様、お気を付けください。恐らく第一王子殿下の狙いはブリジット様でしょう」
 
「……実に分かり易い王子様よね。大公家に対抗するために公爵家を利用したいだなんて」
 
「王家は秘かに第一王子殿下とブリジット様の婚約を整えようと画策されております」
 
「となると、国王が絡んでいると言う事ね。厄介だこと」
 
「どうされますか?」
 
「放っておきなさい」
 
「宜しいのですか?」
 
「私が何もせずとも彼らは勝手に近づいてくるだろうし、下手に介入して巻き込まれるのは御免だわ。それにこちらにとってメリットがないのなら動く必要はなくてよ」

 わざわざ自分からトラブルに巻き込まれにいくなんて面倒臭い事この上ないわ。
 
「ただ、私とミゲルの『影』を増やしておいて頂戴。恐らく何か仕掛けてくるに違いないわ」
 
「承知しました」

 さぁ、何を仕掛けてこようとしているのか楽しみにしておきましょう。




しおりを挟む
感想 98

あなたにおすすめの小説

神託の聖女様~偽義妹を置き去りにすることにしました

青の雀
恋愛
半年前に両親を亡くした公爵令嬢のバレンシアは、相続権を王位から認められ、晴れて公爵位を叙勲されることになった。 それから半年後、突如現れた義妹と称する女に王太子殿下との婚約まで奪われることになったため、怒りに任せて家出をするはずが、公爵家の使用人もろとも家を出ることに……。

『二流』と言われて婚約破棄されたので、ざまぁしてやります!

志熊みゅう
恋愛
「どうして君は何をやらせても『二流』なんだ!」  皇太子レイモン殿下に、公衆の面前で婚約破棄された侯爵令嬢ソフィ。皇妃の命で地味な装いに徹し、妃教育にすべてを捧げた五年間は、あっさり否定された。それでも、ソフィはくじけない。婚約破棄をきっかけに、学生生活を楽しむと決めた彼女は、一気にイメチェン、大好きだったヴァイオリンを再開し、成績も急上昇!気づけばファンクラブまでできて、学生たちの注目の的に。  そして、音楽を通して親しくなった隣国の留学生・ジョルジュの正体は、なんと……?  『二流』と蔑まれた令嬢が、“恋”と“努力”で見返す爽快逆転ストーリー!

【完結】婚約者と仕事を失いましたが、すべて隣国でバージョンアップするようです。

鋼雅 暁
ファンタジー
聖女として働いていたアリサ。ある日突然、王子から婚約破棄を告げられる。 さらに、偽聖女と決めつけられる始末。 しかし、これ幸いと王都を出たアリサは辺境の地でのんびり暮らすことに。しかしアリサは自覚のない「魔力の塊」であったらしく、それに気付かずアリサを放り出した王国は傾き、アリサの魔力に気付いた隣国は皇太子を派遣し……捨てる国あれば拾う国あり!? 他サイトにも重複掲載中です。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした

きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。 全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。 その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。 失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。

【短編完結】地味眼鏡令嬢はとっても普通にざまぁする。

鏑木 うりこ
恋愛
 クリスティア・ノッカー!お前のようなブスは侯爵家に相応しくない!お前との婚約は破棄させてもらう!  茶色の長い髪をお下げに編んだ私、クリスティアは瓶底メガネをクイっと上げて了承致しました。  ええ、良いですよ。ただ、私の物は私の物。そこら辺はきちんとさせていただきますね?    (´・ω・`)普通……。 でも書いたから見てくれたらとても嬉しいです。次はもっと特徴だしたの書きたいです。

えっ「可愛いだけの無能な妹」って私のことですか?~自業自得で追放されたお姉様が戻ってきました。この人ぜんぜん反省してないんですけど~

村咲
恋愛
ずっと、国のために尽くしてきた。聖女として、王太子の婚約者として、ただ一人でこの国にはびこる瘴気を浄化してきた。 だけど国の人々も婚約者も、私ではなく妹を選んだ。瘴気を浄化する力もない、可愛いだけの無能な妹を。 私がいなくなればこの国は瘴気に覆いつくされ、荒れ果てた不毛の地となるとも知らず。 ……と思い込む、国外追放されたお姉様が戻ってきた。 しかも、なにを血迷ったか隣国の皇子なんてものまで引き連れて。 えっ、私が王太子殿下や国の人たちを誘惑した? 嘘でお姉様の悪評を立てた? いやいや、悪評が立ったのも追放されたのも、全部あなたの自業自得ですからね?

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

処理中です...