【完結】婚約者様の仰られる通りの素晴らしい女性になるため、日々、精進しております!

つくも茄子

文字の大きさ
17 / 60
【婚約者のための淑女教育】

高名な教師


「初めまして、バーバラ・ロジェス伯爵令嬢。私は、ジャンヌ・ミレニウスです」

 本物のミレニウス女史が目の前にいますわ!感激です!

 歳の頃なら五十代半ば。灰色の髪にオレンジの目、涼やかな顔立ち、若い頃はさぞや美しかったことでしょう。いいえ、今でも十分、美しいですわ。容貌の美しさではなく雰囲気が優雅で美しいのです。まさに「美」のオーラが放たれているのですから只者ではありません。

「こちらこそ、お会いできて光栄ですわ」

 私の顔は緩みっぱなしです。嬉し過ぎて自然と笑みがでてしまうのが止められません。そんな私に対して、にこりともしないミレニウス女史。キリッとした表情ですのに厳しさよりも気品高さが勝っているなど『最高峰の教師』は違いますわ。


「バーバラ・ロジェス伯爵令嬢、貴女の熱意には感服いたしました」

 ミレニウス女史がお褒めになってくださいました。

「ありがとうございます」

 私の想いが届いたのです。

「これほどまでの長い期間、毎日欠かさず私宛の熱意溢れる手紙を出し続けた事は敬服します。ただし、御自身の自己アピールが過ぎるのは淑女として如何なものかと愚考致しますが」
 
「まあ!ジャンヌ様、私はまだ『淑女』ではございませんから大丈夫ですわ!」
 
「御自身が『淑女』でない自覚があるのもまた珍しいことです」
 
「そうなのですね!」
 
「バーバラ嬢の場合は少々違っているようですが、貴族令嬢は自分の気持ちを素直に表すとことはとされ誤った行為と認識されるのです」
 
「難しいことですね。ですが、今回に限ってはそれが功を奏したのですから間違っておりません」
 
「どういうことでしょう?」
 
「私が自分の情報とジャンヌ様に教育をお願いしたい理由をアピールしなければ、ジャンヌ様は私に関心など寄せなかったはずですわ。一介の伯爵令嬢如きが、高名なジャンヌ・ミレニウス女史に個人的指導を依頼したところで歯牙にもかけてもらえなかったことでしょう。それが、非難されるをしたお陰でジャンヌ様は今こうして私の前におります。つまり、目的は達成されたということですわ!」
 
「……確かに、その通りですね」
 
「はい!」
 

 そうなのです!
 今回ばかりはいい方向に作用したのですから良しなのです。
 結果がでれば過程など些細なことです。


「バーバラ嬢、教師となる私の事はこれから『ミレニウス先生』とお呼びなさい。様付けは禁止です」
 
「よろしいのですか?」
 
「勿論です。貴女は今日から私の教え子になるのですから」
 
「はい。ミレニウス先生」
 
「よろしい」

 ミレニウス先生は私を教え子として認めてくださいました。先行きの明るいスタートになりそうです!

「バーバラ嬢、貴女を指導するにあたって一日の行動を把握しておかなければなりません。バーバラ嬢が日々どのように過ごされているのかを知る必要があります。その上でバーバラ嬢に合った教育を施していかなければなりません。バーバラ嬢にとっては不快に感じるかもしれませんが、明日の一日は貴女の私生活を余すところなく観察させていただきます。よろしいですね」

 決定事項のようです。
 それに対する私の返答は、

「はい!よろしくお願いいたします」

 これ一択でしょう!







 ~バーバラ・ロジェス伯爵令嬢の一日~

 AM5:00 早朝の散歩
 AM7:00 家族と共に朝食
 AM8:00 ストレッチ(体操というなにか)
 AM9:00 勉強時間
 PM12:00 家族と共に昼食
 PM13:00 ピアノの時間
 PM14:00 ダンスの時間
 PM15:00 お茶の時間
 PM16:00 午後の散歩
 PM18:00 家族と共に夕食
 PM19:00 ストレッチ(体操というなにか)
 PM20:00 入浴の時間
 PM21:00 一日の反省(日記に記入)
 PM21:30 就寝





 ……
 …………
 ……………………なにやらミレニウス先生は困ったような不可思議な物を見たかのような顔をなさっています。
感想 18

あなたにおすすめの小説

“いつまでも一緒”の鎖、貴方にお返しいたします

ファンタジー
男爵令嬢エリナ・ブランシュは、幼馴染であるマルグリット・シャンテリィの引き立て役だった。 マルグリットに婚約が決まり開放されると思ったのも束の間、彼女は婚約者であるティオ・ソルベに、家へ迎え入れてくれないかというお願いをする。 それをティオに承諾されたエリナは、冷酷な手段をとることを決意し……。 ※複数のサイトに投稿しております。

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

(完結)嘘つき聖女と呼ばれて

青空一夏
ファンタジー
私、アータムは夢のなかで女神様から祝福を受けたが妹のアスペンも受けたと言う。 両親はアスペンを聖女様だと決めつけて、私を無視した。 妹は私を引き立て役に使うと言い出し両親も賛成して…… ゆるふわ設定ご都合主義です。

どうぞお好きに

音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。 王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。

居場所を奪われたので逆襲させていただきます~黒幕令嬢の華麗なる逆転劇~

つくも茄子
ファンタジー
旧題:伯爵夫人のお気に入り プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。 数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。 喜ぶ伯爵夫人。 伯爵夫人を慕う少女。 静観する伯爵。 三者三様の想いが交差する。 歪な家族の形。 「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」 「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」 「家族?いいえ、貴方は他所の子です」 ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。 「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。

カウントダウンは止められない

ファンタジー
2年間の「白い結婚」の後、アリスから離婚を突きつけられたアルノー。 一週間後、屋敷を後にするが……。 ※小説になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。

婚約破棄?とっくにしてますけど笑

蘧饗礪
ファンタジー
ウクリナ王国の公爵令嬢アリア・ラミーリアの婚約者は、見た目完璧、中身最悪の第2王子エディヤ・ウクリナである。彼の10人目の愛人は最近男爵になったマリハス家の令嬢ディアナだ。  さて、そろそろ婚約破棄をしましょうか。

【完結】徒花の王妃

つくも茄子
ファンタジー
その日、王妃は王都を去った。 何故か勝手についてきた宰相と共に。今は亡き、王国の最後の王女。そして今また滅びゆく国の最後の王妃となった彼女の胸の内は誰にも分からない。亡命した先で名前と身分を変えたテレジア王女。テレサとなった彼女を知る数少ない宰相。国のために生きた王妃の物語が今始まる。 「婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?」の王妃の物語。単体で読めます。