13 / 119
~桐壺の章~
第13話桐壺の更衣、病に伏す
しおりを挟む桐壺帝が最も愛する女性、桐壺の更衣。
彼女は若くして亡くなった『悲劇の妃』だ。
按察大納言と正妻の一人娘で、亡き父の遺言に従い入内し、帝の寵愛を一身に受けたせいで、他の妃たちに虐めれられて心労で若くして亡くなる。
源氏物語では『薄幸の女性』として描かれている。
桐壺の更衣は、光源氏が三歳の時に病で亡くなっている。
光源氏に母親の記憶がなく、成長するのつれて母親の面影を追いかけるようになった。マザコン男め!
何が言いたいのかというと、母親の死は光源氏のターニングポイントの一つだ。
つまり、僕の人生が狂うか否かの場面。
原作通り、その年の夏に桐壺の更衣は病に倒れた。
病気になった妃は通常実家に帰って療養するのが普通だ。
けどここには普通じゃない男がいる。
僕の父親、桐壺帝だ。
桐壺の更衣と離れたくなかったので実家に帰さなかった。
父親は母親の実家からの使者に対して、
「いつものように熱が上がっているだけだ。もう少し御所で養生する方が更衣のためにいい。明日には熱も引いているかもしれないだろう」
と、言って追い返したのだ。
追い返すな!
まったく!
でも、父帝のいう事も分かる部分はある。
この頃になると、桐壺の更衣はしょっちゅう熱を出しては寝込んでいた。父帝にしてみれば「いつものこと」と軽く考えていたんだろう。
けど、五日過ぎて病状が悪化すると周りは慌てだした。
父帝は泣き叫ぶし、更衣付きの女房たちはオロオロしてる。つかえね~~~~~~。
仕方なく、三才の僕が脈を診て周りに支持をだした。
「ははみゅえを、いちょいでつぼにぇまではこみぃにゃしゃい(訳:母上を、急いで局まで運びなさい)!」
舌をカミカミさせながら頑張って訴えた。
三歳児の舌はまだ上手くまわらないんだよ~。
でも乳母の大弐がすぐに理解して、急いで母親を局まで運ぶように指示を出していた。
さすが! 僕の乳母は優秀だ!
大弐の君。
僕の乳母の呼び名だ。
なんでもお父さんが大宰大弐をしているため、乳母もそのように呼ばれているんだ。
なにはともあれ、これで早めに医者を呼んでくれればOKだよね。
僕もテトテトと局に行くと、既に父帝が来てた。
はやっ!!!
しかも、母更衣に抱き着いて離れない。
「更衣、私をおいて逝かないでおくれ……」
不吉なことをいってらしゃる(怒)
「ちーうえ、ははみゅえをはみゃく、くちゅちにおみゅせしゅて(訳:父上、母上を早く医師におみせして)」
「おおお、光。そなたの言う通りだ。皆の者、はよう、祈祷師を呼んでまいれ!」
おい!
誰が祈祷師呼べと言った。
アホか!
必要なのは医者だ!医者!いかん。今は医師か。
「はりょ、くちゅちよべ(訳:はよ、医師呼べ!)」
「祈祷師は未だか!!!」
あかん。
話がかみあわねぇ!
大弐の乳母に言葉を訳してもらっても医者を呼んでくれないので、最後の手段に出た。
泣き落としだ!
うっぎゃゃゃゃゃっっっっっん!!!!!
部屋中に響き渡った幼子の鳴き声。
ここが正念場!
こんな事が出来るのは幼児まで!
だからこそ僕は頑張る!
全ては安泰な未来のために!
「ちちうえ、くにいちのくちゅちでしゅ!くちゅちにみせるのでしゅ!(訳:父上、国一の医師です!医師に診せるのです)」
僕は更に泣きわめく。
ぎゃゃゃゃゃっっっっっん!!!!!うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!!!
僕の最終奥義!とばかりに喚き散らす。
観念したのか、ついに父帝は医師をよんだ。
始めからそうしろ!
泣き叫びすぎて疲れたよ。
体が小さいから泣くだけでも疲れるんだぞ!
でも、これで医師は呼んでくれる。
ああ、泣き疲れたから眠たくなってきた。おやすみ。すや~~~~~。
◇◇◇◇◇
医師:典薬寮の職員の1つ。従七位下相当。なお、民間の医師は「里中医」と称せられた。
21
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!
明衣令央
ファンタジー
糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。
一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。
だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。
そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。
この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。
2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
私の生前がだいぶ不幸でカミサマにそれを話したら、何故かそれが役に立ったらしい
あとさん♪
ファンタジー
その瞬間を、何故かよく覚えている。
誰かに押されて、誰?と思って振り向いた。私の背を押したのはクラスメイトだった。私の背を押したままの、手を突き出した恰好で嘲笑っていた。
それが私の最後の記憶。
※わかっている、これはご都合主義!
※設定はゆるんゆるん
※実在しない
※全五話
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
逆行転生って胎児から!?
章槻雅希
ファンタジー
冤罪によって処刑されたログス公爵令嬢シャンセ。母の命と引き換えに生まれた彼女は冷遇され、その膨大な魔力を国のために有効に利用する目的で王太子の婚約者として王家に縛られていた。家族に冷遇され王家に酷使された彼女は言われるままに動くマリオネットと化していた。
そんな彼女を疎んだ王太子による冤罪で彼女は処刑されたのだが、気づけば時を遡っていた。
そう、胎児にまで。
別の連載ものを書いてる最中にふと思いついて書いた1時間クオリティ。
長編予定にしていたけど、プロローグ的な部分を書いているつもりで、これだけでも短編として成り立つかなと、一先ずショートショートで投稿。長編化するなら、後半の国王・王妃とのあれこれは無くなる予定。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる