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第一章
33.母、来襲
しおりを挟む「杏樹、貴女が皇帝陛下の寵妃になったのでしょう。なら、楊圭殿と陀姫を助けなさい!!」
何故……ここに母上がいるの?
そして母上の後ろにいるのは。まさか……まさか……そんなはずないよね。……あそこに居るのは……私の見間違えであって欲しいという願いも虚しく母上の後ろにいたのは元婚約者で現義兄の楊圭だった。
「なんで……ここに義兄上がいるんです……?」
「決まっているでしょう!貴女を説得するために一緒に来てもらったのよ!!」
「は……ぁ……」
普通は来ないでしょう。
ここ、後宮ですよ?
「陀姫は今懐妊中で楊家の屋敷から出られないのよ」
「それは、おめでとうございます」
「ちっともお目出度くないわ!これから楊家の跡取りが生まれようとしているのに、父親が無官になってしまうなんて!!母は……母はこのような事は認められません!」
……母上の言ってる意味が分からない。
「これも皇帝陛下が再試験制度を設けたせいだわ!」
「落ちたのですね」
「こんなバカな話があっていい訳ないわ!!そうでしょう!!! ……聞けば貴女が陛下に上奏したとか……」
「只の噂です」
「火のない所に煙は立たたないわ!!」
「それならば、来年受験すればいいのではありませんか」
「それじゃあダメなのよ!」
「何故ですか?一度受かった実績があるではありませんか。一度も受からなかった受験生に比べたら合格する確率は高いですよ?」
「そ……それは……」
「楊家の方で高名な教師を招いて勉学に励めば来年には合格できますよ」
「……でも……」
「楊家は名門。若い夫婦と生まれてくる赤子を養えるだけの甲斐性はある筈です」
「……無職だと体裁が……」
「ならば楊家の奥向きの仕事をすれば宜しいのではありませんか? どの道、お二人が当主夫妻となるんですから。今のうちに家の中の仕事を覚えるのもいいかもしれませんよ?」
「……」
私が正論を述べる度に母上は追い詰められていく。私だって何も好き好んで言っている訳ではないのだけれど。恐らく、母上や圭は私から陛下に試験の合否を撤廃するように願い出て欲しいのでしょうね。でも、表立って言う訳にはいかない。私に文句を言う事で察してくれってことかしら? 何とも都合のいい頭をしているわ。もしかして、この二人も私が陛下の寵妃だから何とかできると思っているの? ……本当の寵妃だったとしても、そんな事を願えれば寵愛なんて吹っ飛ぶと思うわ。それともなに?私が冷宮送りになっても構わないってこと?
この様子では圭が合格したのは不正があった可能性が高いわね。まぁ、仮に不正が無かったとしても、私にとってはどうでも良い事だけど。
「話は終わりですか?」
これ以上話すことはないと思い話を終わらせようとすると、懐かしい声が聞こえてきた。
「杏樹。母親を虐めるものじゃないぞ」
父、巽州公である。
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