70 / 70
元国王
しおりを挟む
いったいどれほどの月日が経ったのか分からん。
何故、こんなことになったのかもさっぱり理解できん。
王家に生まれ、当たり前のように国王になった。
なのに、今は何者でもない。
あの男は言った。
『あなたの国なくなったよ』
嘘だとは思わなかった。
男の目は真実だと語っていたからだ。
息子は言った。
王妃は死んだと。
彼女がいないなら国は亡ぶだろう。
完璧な王妃だった。
およそ、公爵令嬢とは思えない程に。
まるで生まれながらの王族かのように振る舞っていた。己の責務をわずか十代半ばの少女が理解していたのだ。私とてバカではない。彼女の方がずっと「王」に相応しいことは分かっていた。
ずっと苦手だった。
私を映すことのない目が。
観察されるかのような眼差しが。
それだけではない。
王妃は優秀過ぎたのだ。
全てにおいて、私の遥か上をいく。五歳下の少女に負ける屈辱を彼女は知らないだろう。やせ細った少女は美しくなるたびに感じるのは畏怖だった。
なのに、何故か今思い出すのは王妃の姿だ。
どんな時でも凛と立つ姿が思い浮かぶ。
もし、もしも、彼女との子供がいれば……こんな事にはならなかったのではないか?
王妃の子なら間違いなく優秀な息子だったはずだ。
父親を売る様なマネはしなかった……。
王妃は義理堅い性格だ。
誠意をしめせば、それに応えてくれた。
ああ……。
後悔だけが募っていく……。
何故、こんなことになったのかもさっぱり理解できん。
王家に生まれ、当たり前のように国王になった。
なのに、今は何者でもない。
あの男は言った。
『あなたの国なくなったよ』
嘘だとは思わなかった。
男の目は真実だと語っていたからだ。
息子は言った。
王妃は死んだと。
彼女がいないなら国は亡ぶだろう。
完璧な王妃だった。
およそ、公爵令嬢とは思えない程に。
まるで生まれながらの王族かのように振る舞っていた。己の責務をわずか十代半ばの少女が理解していたのだ。私とてバカではない。彼女の方がずっと「王」に相応しいことは分かっていた。
ずっと苦手だった。
私を映すことのない目が。
観察されるかのような眼差しが。
それだけではない。
王妃は優秀過ぎたのだ。
全てにおいて、私の遥か上をいく。五歳下の少女に負ける屈辱を彼女は知らないだろう。やせ細った少女は美しくなるたびに感じるのは畏怖だった。
なのに、何故か今思い出すのは王妃の姿だ。
どんな時でも凛と立つ姿が思い浮かぶ。
もし、もしも、彼女との子供がいれば……こんな事にはならなかったのではないか?
王妃の子なら間違いなく優秀な息子だったはずだ。
父親を売る様なマネはしなかった……。
王妃は義理堅い性格だ。
誠意をしめせば、それに応えてくれた。
ああ……。
後悔だけが募っていく……。
1,049
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(199件)
あなたにおすすめの小説
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。
「義妹に譲れ」と言われたので、公爵家で幸せになります
恋せよ恋
恋愛
「しっかり者の姉なら、婚約者を妹に譲ってあげなさい」
「そうだよ、バネッサ。君なら、わかるだろう」
十五歳の冬。父と婚約者パトリックから放たれた無慈悲な言葉。
再婚相手の連れ子・ナタリアの図々しさに耐えてきたバネッサは、
その瞬間に決意した。
「ええ、喜んで差し上げますわ」
将来性のない男も、私を軽んじる家族も、もういらない。
跡継ぎの重責から解放されたバネッサは、その類まれなる知性を見込まれ、
王国の重鎮・ヴィンセント公爵家へ嫁ぐことに。
「私は、私を一番に愛してくれる場所で幸せになります!」
聡明すぎる令嬢による、自立と逆転のハッピーエンド。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜
早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
えっ「可愛いだけの無能な妹」って私のことですか?~自業自得で追放されたお姉様が戻ってきました。この人ぜんぜん反省してないんですけど~
村咲
恋愛
ずっと、国のために尽くしてきた。聖女として、王太子の婚約者として、ただ一人でこの国にはびこる瘴気を浄化してきた。
だけど国の人々も婚約者も、私ではなく妹を選んだ。瘴気を浄化する力もない、可愛いだけの無能な妹を。
私がいなくなればこの国は瘴気に覆いつくされ、荒れ果てた不毛の地となるとも知らず。
……と思い込む、国外追放されたお姉様が戻ってきた。
しかも、なにを血迷ったか隣国の皇子なんてものまで引き連れて。
えっ、私が王太子殿下や国の人たちを誘惑した? 嘘でお姉様の悪評を立てた?
いやいや、悪評が立ったのも追放されたのも、全部あなたの自業自得ですからね?
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
あれ、完結?!キャサリンどこかで出てくるかと…みんな最後どうなったんだ…?
アリスはさんざん好き勝手して最後はアレで収監エンド?
勝ち組かよ
王子、王弟の娘ならキャサリン王の姪じゃん、他人じゃないだろ。
王弟の公爵の後妻が男爵家の人間?王弟も恋に狂ったの?
アリスが青くなる程の男爵家の謎と公爵まで表に出てこなくなった現公爵夫妻の詳細最後まで出てこなかったのが残念。説明なしの匂わせ描写沢山あるけど流石にこれは描写少なすぎて書かれてることから類推は出来なかった。
気になる。
王子いくら一夜漬け専門とはいえここまで大事なこと忘れられるのも凄い。
思慮も浅くて応用効かなそうなのに成績良かったのか、短期記憶力だけがべらぼうにいいのかな?
騎士団長息子と宰相息子のカプ良かったなあ。
結局これ最終的に政治群像劇になっちゃったみたいですが、この2組のジャンル恋愛話読んでみたかったです。
最後国が滅びた時って事は王様ずっとジンに飼われてたの?え?ジンってそういう趣味の人……?w
民の暮らしを良くする為に打倒すべき権力者って正に愚かな王子のことなのに賛同してるの最高に皮肉がきいてる。
まあ、共和国の工作員は傀儡の王子に愚策を行わせて国を崩壊させ最終的に王子夫妻を処刑してここも共和国にしようとしてたのかな。
あんなわかりやすく当人に自らの断頭台の紐を引かせるって中々エグいことするなあ。
タイトルから思ってた内容と違ったけど引き込まれて面白かったです。