ビールで乾杯

凛子

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 佑都は正気に戻ったように顔色を変え「わりぃ」と謝ったかと思えば、「俺ばっかお前のことしゅき……好きしゅぎて……」と、酔って覚束ない口調で必死に気持ちを伝えようとした。

「早く一緒になりてえんだよぉ……」

 嬉しいのと可笑しいのと驚きとで混乱していた真理だったが、佑都のその言葉が冗談でないことだけは、はっきりと伝わっていた。
 そして、自分も伝えなければいけない、と思った。

「きっかけが欲しくて、子供でも出来ればなんて考えて、佑君を襲っちゃおうかと思ったりもしたの」
「えぇっ!?」

 とんでもなく恥ずかしいことを言っている自分に気付いていたが、別に構わないと思った。
 目の前には初めて酔態を晒すもっと恥ずかしい男がいる。普段見せる落ち着きや余裕は跡形もなく消え、完全に取り乱している。

「真理ぃ……今日は送れねえから、俺んち泊まって」
「うん」
「てかぁ、俺んちまでもちゃんと帰れるかわかんねえけどぉ……ごめん」
「大丈夫だよ。一緒に帰ろ」

 翌日予定があると言って泊まりを断ることが多かったのも、距離感を保つ為の真理の嘘だった。

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