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あの人が幽霊になって三日目。残り四日。
牢屋の中は、快適とは言い難かったけれど、出された食事は豪華でした。王族のための座敷牢には寝台も机もあります。一人用の机と、淡く照らす橙のランプ。冷たい石の壁。
私はーークローディア・レグルシアは、考えておりました。目の前の食事を持ってきた侍女の表情、それを慌てて追い返した兵士の反応。これは恐らく、口にしたなら私は物言わぬ死体になるであろうという事を。
運ばれてきたワイングラスから滴る、結露した瑞々しい雫。この一つですら口にしてはいけないであろうという事。
「私、この食事はいりません」
小さく呟くと、兵士がぎょっとしたように此方を見ました。彼もまた、仕事でしかないでしょうに、私がこれを食べて死ぬのを見守る役目でも任されたのでしょうか。可哀想な事です。
「何故ですか、クローディア姫。これは姫のために調理人が腕によりをかけて……」
「この食事は、食べてもいいものですか?」
「………な、何を仰っているのか……私には……」
「では、あなたに差し上げましょう。さあ、お食べになって?」
スープにスプーンを浸して、具材を格子の向こうの相手の口元へ。明らかな怯えを隠そうとして、けれどどうしたらいいか分からずに固まったその表情。
拒んだら明らかに怪しい、けれど食べるわけにはいかない。その葛藤を如実に表したその表情!
「……食べられないのですか?不思議ですね。……兵士さん、うちの侍女を呼んでほしいのですが。私が直に、彼女に料理を申し付けます。申し訳ありませんが、私、知らない方が作ったものを安易に食べられる立場ではなくなってしまいましたの」
少しだけ表情に影を作って、瞳は上目気味。
牢に囚われた可哀想な令嬢に見えるでしょうか。
「くっ……魔女め!俺を誑かそうったってそうはいかないからな!」
あら。
嫌われてしまいました。あの可愛らしいアリシア姫を真似たつもりだったのに……。困ったわ、どうしようかしら。これでは殿下のところに使いを出す事すらできません。こんな私を庇ってくれたアリシア嬢に、お礼を言うことすらできません。
そんな事を思っていた私の所へ。突如として、凛とした声をした侍女が、やってきたのです。
「失礼致します、クローディア姫!差し入れをお持ちしました!」
ああ、少女のように可憐な彼女の、その声音!
白いヘッドドレスに黒いロングワンピース、クラシカルな侍女の装いで現れた金髪の彼女。その後ろには、淡い氷の色をした瞳の貴公子がーー浮いています。私は柄にもなく、感動いたしました。氷の女、無表情な魔女、そう言われた私が。二人がこの暗い牢屋の奥深くまで追いかけてきてくれた、それだけの事が、本当に……本当に、泣きたくなるほど、嬉しかったのです。
『わざわざ変装する必要があるのか!?』
「だってお兄様、公式記録に『アリシア姫』がクローディアお姉さまに面会を申し込んだなんて履歴が残ったらちょっとあれよ?よくないわよ、目立ちすぎるから」
そう言いながら、アリシアがテキパキと侍女の服を着込んだのが十分前。
お姉さまはこれが好きなのよとか言いながら、甘い味のする丸パンとジャム、クリームを取り揃えて地下へと勢い良く出陣したのは五分前。
牢屋の見張り番をしていた兵士は、哀れ、侍女の格好をしたアリシアに突っ込んでいいか分からずひたすらに困惑していた。
「あ、あの……あなたは……」
「クローディアお姉さまの侍女よ。差し入れをお持ちしました、あなたはちょっと休憩していいのよ」
「侍女……?」
「侍女よ」
「えっ」
「侍女なの!怒るわよ!下がりなさい!」
「もう怒ってるじゃないですか……!」
兵士は半泣きになりながら慌てて退散していった。侍女の格好をすれど、身分を隠す気があまり感じられないところがアリシアだなあと思う。基本的に嘘が苦手なのだ。
彼女は兵士が放り出していった鍵を素早く手に取ると、牢屋を開け放つ。牢屋の中にいたクローディアに勢い良く飛びつくように抱きついた。小さく、クローディアが息を呑む音。女性らしい体つきのクローディアに抱きつく華奢な少女は、まるで本当の姉に甘える妹のようにすら見えた。
「あ、あの、アリシア嬢……」
「お姉さま、ご無事で本当によかったわ!」
ーー……羨ましい、と思う。俺には、もう二度とできない事だ。その体に触れる事、抱きしめる事。生前は一度も抱きしめてやれなかった。その分、今してやりたいのに。体がないのに意識はあるのだ。あさましい、彼女に触れたいという欲。情が募って、けれど決して、叶えられる事はない。
『二人とも、その、そろそろ……』
「お兄さま、何泣きそうな情けない声を出しているの?」
指摘されて、俺は慌てて表情を引き締めた。アリシアには見えないと分かっていてもそうしてしまった。
クローディアが目を瞬かせて俺とアリシアを交互に見る。何故声が聞こえるのか、分かっていないのだろう。安心してほしい、俺にも何故彼女が俺の声が聞こえるのか全くわからない。クローディアは神官の血を引いていて、霊感が強いだろうからとか色々理由は見つけられるが。
『い、いや、俺は何も』
「ふーん?お姉さまに、レオンハルトお兄さまも抱きつきたいんでしょ?いいわよ、アリシアは外で見張りしててあげるから。それ終わったら、作戦会議しましょ」
『えっ、あっ』
「じゃあ、あとは若いお二人でっ」
お前が一番若いだろという突っ込みをする間もなく、彼女は重い牢屋の扉を押し開けて外へ出ていった。不意打ちで座敷牢の中に二人きりにされて、沈黙が落ちる。豪華な部屋だ。シャンデリアと柔らかそうな寝台、美しく装飾された机。そこに並べられた料理。
そして、その薄暗い部屋の真ん中に立つ、クローディア。
艶やかな黒髪と、菫色の瞳がランプの光に照らされて淡く闇の中に浮き出ている。
不意に、結婚の夜の儀式の事を思い出した。俺たちは、結婚をしたらこういった静かな場所で、愛情を確かめ合う事をしたのだろうか。……そうしなければならない、と言われてきたせいで、何の感慨も抱かずにそういうものだと思っていたけれど。でも、それも、もう叶わない。
彼女は、別の男と、きっと。
「……レオンハルト様」
『……ああ』
「お顔が、しょんぼりしていらっしゃいます」
『うるさい、元々こんな顔だ』
「ええ。存じております。私も元々、こんな顔ですから」
その表情を、見た。彼女は、泣きそうな顔で笑った。ほぼ無表情なのに、それがわかった。何を考えていたのか。俺と同じような事を考えていたのか、それとも。
『……何を、考えているのだ。クローディア』
「……あなたの事を」
『奇遇だな、俺も、お前の事を考えている』
腕を広げる。
クローディアが、おずおずと腕の中に入ってくる。
もうないはずの心臓が甘く痛む気がした。
抱きしめる、ふりをする。腕はすり抜ける、けれど、この体に、霊体にクローディアの温もりだけを感じる。俺がかつて切り捨てようとした娘。俺がかつて、自ら婚約破棄しようとした娘に、こうも心揺らされている。その事実はもう俺自身にはどうやらどうしようもなくて、でも、嫌ではない。
彼女も、抱きしめるふりをしてくれる。華奢な細腕、竪琴でも奏でるのが似合いそうな、その指で。
「……とても、色々な事が悲しいのに……幸せに感じるのです。おかしいかしら」
『いいや、おかしくないとも、……俺も、そうだから』
ずっと今が続けばいい、と思ってしまった。かつてに戻る事ができるなら、勿論何の手段を講じてでもそうするけれど。でも、今こうして、彼女と擬似的にでも抱き合っている時間が、もっと続けば。
けれど、嗚呼。いつまでもこうしてはいられない。
『……クローディア。……手を、幾つか、考えた。お前の無実を証明する手だ』
「私も、考えておりました。アリシア嬢と、レオンハルト様。お二人が私を生かそうとしてくださっているのに、ただ何も考えず、のうのうと囚われの姫を演じるだなんて、柄でもありませんから」
腕の中で、彼女は顔を上げて俺を見た。
「……私を信じてください、殿下。……私を信じて、頼みを聞いてほしいのです」
アリシア嬢も、もう戻ってきて下さっていいですよ。
不意にそう言われて、俺はかっと頬が赤らむのを感じた。いや、霊体だから血などないのだが、こう、精神的に。にやにやしながらアリシアが壁の向こうから戻ってくる。
『い、いつから……』
「俺もお前の事を考えている、辺りからよ」
『くっ』
「お二方、お耳を拝借致します。改めて……作戦会議と行きましょうか」
クローディアは、さっきまでの柔らかい表情から一変、無表情の人形のような表情に戻って、言った。
私はここから出られません。お二人だけが頼りです。
一つ目のお願いは、『王室図書館の履歴と、盗難された本』を、調べてください。
二つ目のお願いは、『城下町にある魔術彫金を営む、最も貴族の利用が多い店』で、『保護魔法を使ったものの最近の売れ行き』を聞いてきてください。
……同じ名前が上がってきたならば、恐らく真犯人が、絞れる事でしょう。
王宮の奥の、とある部屋で。その人物はワイングラスを傾けていた。
毒を入れたワインはあっさり看破され、それを用意させた兵士はやってきた『侍女』に撃退されて戻ってきてしまったらしい。
「クローディア・レグルシア……」
なかなかに、手強い娘だ。流石と言うべきか、それとも。
その人物はため息を一つついた。
「投獄されても尚、味方になるものがいるとは。魔女と呼ばれ、宮廷内で疎んじられながらも何たる悪運の強い娘だ。……だが、まだ私には辿り着けまい」
全ては、愛のためだ。愛のためなのだよ、クローディア。
嘘つきの、クローディア・レグルシア。
お前と私は、同罪だ。愛のために嘘を吐ける、同罪の人間だよ。
牢屋の中は、快適とは言い難かったけれど、出された食事は豪華でした。王族のための座敷牢には寝台も机もあります。一人用の机と、淡く照らす橙のランプ。冷たい石の壁。
私はーークローディア・レグルシアは、考えておりました。目の前の食事を持ってきた侍女の表情、それを慌てて追い返した兵士の反応。これは恐らく、口にしたなら私は物言わぬ死体になるであろうという事を。
運ばれてきたワイングラスから滴る、結露した瑞々しい雫。この一つですら口にしてはいけないであろうという事。
「私、この食事はいりません」
小さく呟くと、兵士がぎょっとしたように此方を見ました。彼もまた、仕事でしかないでしょうに、私がこれを食べて死ぬのを見守る役目でも任されたのでしょうか。可哀想な事です。
「何故ですか、クローディア姫。これは姫のために調理人が腕によりをかけて……」
「この食事は、食べてもいいものですか?」
「………な、何を仰っているのか……私には……」
「では、あなたに差し上げましょう。さあ、お食べになって?」
スープにスプーンを浸して、具材を格子の向こうの相手の口元へ。明らかな怯えを隠そうとして、けれどどうしたらいいか分からずに固まったその表情。
拒んだら明らかに怪しい、けれど食べるわけにはいかない。その葛藤を如実に表したその表情!
「……食べられないのですか?不思議ですね。……兵士さん、うちの侍女を呼んでほしいのですが。私が直に、彼女に料理を申し付けます。申し訳ありませんが、私、知らない方が作ったものを安易に食べられる立場ではなくなってしまいましたの」
少しだけ表情に影を作って、瞳は上目気味。
牢に囚われた可哀想な令嬢に見えるでしょうか。
「くっ……魔女め!俺を誑かそうったってそうはいかないからな!」
あら。
嫌われてしまいました。あの可愛らしいアリシア姫を真似たつもりだったのに……。困ったわ、どうしようかしら。これでは殿下のところに使いを出す事すらできません。こんな私を庇ってくれたアリシア嬢に、お礼を言うことすらできません。
そんな事を思っていた私の所へ。突如として、凛とした声をした侍女が、やってきたのです。
「失礼致します、クローディア姫!差し入れをお持ちしました!」
ああ、少女のように可憐な彼女の、その声音!
白いヘッドドレスに黒いロングワンピース、クラシカルな侍女の装いで現れた金髪の彼女。その後ろには、淡い氷の色をした瞳の貴公子がーー浮いています。私は柄にもなく、感動いたしました。氷の女、無表情な魔女、そう言われた私が。二人がこの暗い牢屋の奥深くまで追いかけてきてくれた、それだけの事が、本当に……本当に、泣きたくなるほど、嬉しかったのです。
『わざわざ変装する必要があるのか!?』
「だってお兄様、公式記録に『アリシア姫』がクローディアお姉さまに面会を申し込んだなんて履歴が残ったらちょっとあれよ?よくないわよ、目立ちすぎるから」
そう言いながら、アリシアがテキパキと侍女の服を着込んだのが十分前。
お姉さまはこれが好きなのよとか言いながら、甘い味のする丸パンとジャム、クリームを取り揃えて地下へと勢い良く出陣したのは五分前。
牢屋の見張り番をしていた兵士は、哀れ、侍女の格好をしたアリシアに突っ込んでいいか分からずひたすらに困惑していた。
「あ、あの……あなたは……」
「クローディアお姉さまの侍女よ。差し入れをお持ちしました、あなたはちょっと休憩していいのよ」
「侍女……?」
「侍女よ」
「えっ」
「侍女なの!怒るわよ!下がりなさい!」
「もう怒ってるじゃないですか……!」
兵士は半泣きになりながら慌てて退散していった。侍女の格好をすれど、身分を隠す気があまり感じられないところがアリシアだなあと思う。基本的に嘘が苦手なのだ。
彼女は兵士が放り出していった鍵を素早く手に取ると、牢屋を開け放つ。牢屋の中にいたクローディアに勢い良く飛びつくように抱きついた。小さく、クローディアが息を呑む音。女性らしい体つきのクローディアに抱きつく華奢な少女は、まるで本当の姉に甘える妹のようにすら見えた。
「あ、あの、アリシア嬢……」
「お姉さま、ご無事で本当によかったわ!」
ーー……羨ましい、と思う。俺には、もう二度とできない事だ。その体に触れる事、抱きしめる事。生前は一度も抱きしめてやれなかった。その分、今してやりたいのに。体がないのに意識はあるのだ。あさましい、彼女に触れたいという欲。情が募って、けれど決して、叶えられる事はない。
『二人とも、その、そろそろ……』
「お兄さま、何泣きそうな情けない声を出しているの?」
指摘されて、俺は慌てて表情を引き締めた。アリシアには見えないと分かっていてもそうしてしまった。
クローディアが目を瞬かせて俺とアリシアを交互に見る。何故声が聞こえるのか、分かっていないのだろう。安心してほしい、俺にも何故彼女が俺の声が聞こえるのか全くわからない。クローディアは神官の血を引いていて、霊感が強いだろうからとか色々理由は見つけられるが。
『い、いや、俺は何も』
「ふーん?お姉さまに、レオンハルトお兄さまも抱きつきたいんでしょ?いいわよ、アリシアは外で見張りしててあげるから。それ終わったら、作戦会議しましょ」
『えっ、あっ』
「じゃあ、あとは若いお二人でっ」
お前が一番若いだろという突っ込みをする間もなく、彼女は重い牢屋の扉を押し開けて外へ出ていった。不意打ちで座敷牢の中に二人きりにされて、沈黙が落ちる。豪華な部屋だ。シャンデリアと柔らかそうな寝台、美しく装飾された机。そこに並べられた料理。
そして、その薄暗い部屋の真ん中に立つ、クローディア。
艶やかな黒髪と、菫色の瞳がランプの光に照らされて淡く闇の中に浮き出ている。
不意に、結婚の夜の儀式の事を思い出した。俺たちは、結婚をしたらこういった静かな場所で、愛情を確かめ合う事をしたのだろうか。……そうしなければならない、と言われてきたせいで、何の感慨も抱かずにそういうものだと思っていたけれど。でも、それも、もう叶わない。
彼女は、別の男と、きっと。
「……レオンハルト様」
『……ああ』
「お顔が、しょんぼりしていらっしゃいます」
『うるさい、元々こんな顔だ』
「ええ。存じております。私も元々、こんな顔ですから」
その表情を、見た。彼女は、泣きそうな顔で笑った。ほぼ無表情なのに、それがわかった。何を考えていたのか。俺と同じような事を考えていたのか、それとも。
『……何を、考えているのだ。クローディア』
「……あなたの事を」
『奇遇だな、俺も、お前の事を考えている』
腕を広げる。
クローディアが、おずおずと腕の中に入ってくる。
もうないはずの心臓が甘く痛む気がした。
抱きしめる、ふりをする。腕はすり抜ける、けれど、この体に、霊体にクローディアの温もりだけを感じる。俺がかつて切り捨てようとした娘。俺がかつて、自ら婚約破棄しようとした娘に、こうも心揺らされている。その事実はもう俺自身にはどうやらどうしようもなくて、でも、嫌ではない。
彼女も、抱きしめるふりをしてくれる。華奢な細腕、竪琴でも奏でるのが似合いそうな、その指で。
「……とても、色々な事が悲しいのに……幸せに感じるのです。おかしいかしら」
『いいや、おかしくないとも、……俺も、そうだから』
ずっと今が続けばいい、と思ってしまった。かつてに戻る事ができるなら、勿論何の手段を講じてでもそうするけれど。でも、今こうして、彼女と擬似的にでも抱き合っている時間が、もっと続けば。
けれど、嗚呼。いつまでもこうしてはいられない。
『……クローディア。……手を、幾つか、考えた。お前の無実を証明する手だ』
「私も、考えておりました。アリシア嬢と、レオンハルト様。お二人が私を生かそうとしてくださっているのに、ただ何も考えず、のうのうと囚われの姫を演じるだなんて、柄でもありませんから」
腕の中で、彼女は顔を上げて俺を見た。
「……私を信じてください、殿下。……私を信じて、頼みを聞いてほしいのです」
アリシア嬢も、もう戻ってきて下さっていいですよ。
不意にそう言われて、俺はかっと頬が赤らむのを感じた。いや、霊体だから血などないのだが、こう、精神的に。にやにやしながらアリシアが壁の向こうから戻ってくる。
『い、いつから……』
「俺もお前の事を考えている、辺りからよ」
『くっ』
「お二方、お耳を拝借致します。改めて……作戦会議と行きましょうか」
クローディアは、さっきまでの柔らかい表情から一変、無表情の人形のような表情に戻って、言った。
私はここから出られません。お二人だけが頼りです。
一つ目のお願いは、『王室図書館の履歴と、盗難された本』を、調べてください。
二つ目のお願いは、『城下町にある魔術彫金を営む、最も貴族の利用が多い店』で、『保護魔法を使ったものの最近の売れ行き』を聞いてきてください。
……同じ名前が上がってきたならば、恐らく真犯人が、絞れる事でしょう。
王宮の奥の、とある部屋で。その人物はワイングラスを傾けていた。
毒を入れたワインはあっさり看破され、それを用意させた兵士はやってきた『侍女』に撃退されて戻ってきてしまったらしい。
「クローディア・レグルシア……」
なかなかに、手強い娘だ。流石と言うべきか、それとも。
その人物はため息を一つついた。
「投獄されても尚、味方になるものがいるとは。魔女と呼ばれ、宮廷内で疎んじられながらも何たる悪運の強い娘だ。……だが、まだ私には辿り着けまい」
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