訳あり救世主が天上から降臨されたようです

月影砂門

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第一章~秋恋讃歌~

第一話~出逢いは最悪

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 季節は、と聞かれると困る残暑という時期。九月というのは、イベントの数が尋常ではない季節だ。
 
 それは、日本でも名門校と言われた星谷高校も同じだった。夏休みが終わってすぐ、寒蝉ツクツクボウシが鳴き喚く季節は、まず体育祭が行われる。その星谷高校二年に通う少年風山一哉は、今かなりの危機に陥っていた。


 「カズくん、手伝ってよ」

 「うん、わかったのだよ」


 一哉は、ふと出会った一年の頃を思い返していた。
 星谷高校に入学した一年前、入学試験というものが行われた。その成績によってクラス長が決められる。風山は、小学校、中学校とずっとトップでい続けた。しかし、高校に入学してすぐに、その位置から下落した。
 
 風山の前に現れたのは、四人の少年少女だった。風山は、すぐに一人に目をつけた。漆黒の長髪の毛先を赤に染めた、まさに不良。名は、不動明だ。学校にピアスはつけてくるは、ワイシャツはズボンから出し、上着は開けたまま。身だしなみをキッチリとしている優等生からすれば、彼は改めるべき存在だ。その四人は言うなれば、全員改めるべき存在だった。まず、肩まで切りそろえられた黒髪(黒彩で染めた)はいい。問題は首にかけられている数珠だ。学校にアクセサリーを持ってくるという、完全な校則違反だ。彼は、龍ノ上光。そして、彼らの群がる誰もが振り向く美女二人。まさに天女のようなダブルウルフカットの少女成宮蘭。もう一人、ここまで来ると同じ人類として数えていいのか、と疑問になるような美しい濡羽色の長髪の美少女弥寺 慈みでら イツキ。彼女たちは、とにかくスカートの短さが目立つ。


 ・・・ここは、僕が言わなければ


 ここで何も言わないのは、優等生のプライドが許さなかった。そして、風山は彼らに近づいた。


 「君たち」

 「何?」

 「まぁまぁ、明。そんなに睨んでやるな」


 不動明から一瞬感じた気配に、風山は固まった。何かよくわからない者に動かないようにされたようだ。


 「そうですよ、あなたの睨みは動き縛っちゃいますから」

 「すまないことをしてしまったな、風山一哉殿」


 言おうと思ったら、睨まれた上に、すまないなと美女に謝られてしまった。一番謝るべき者が謝っていないのだが。


 「それで、何を言いに来たのだ」

 「その、服装を改めてもらいたいと思ってね!」


 なんとかいつもの様子を取り戻し、しっかり言い切った。四人してお互いの姿を見ていた。


 「んと、何かおかしい?」

 「着方など書いていなかったぞよ」

 「制服とは自由に着ていいものではない。制服というのは、この学校の学生という証なのだよ」


 制服の着方は、確かにマニュアルにはないものだ。しかし普通に考えて、周りの学生と違う着方をしていれば、おかしいと思うものだろう。
 

 「学生の証・・・ふむ、しかしだな」

 「な、なにかね?」

 「合うサイズがないのだ」

 「え、は?」


 慈曰く、スカートのサイズが短いことは、知ってはいたのだが、自分に合うサイズがなかったとのこと。そのため、一番大きいサイズのスカートを自分のウエストに合うように調節しているらしい。つまりは、彼女たちのようなモデルのような女子用に合わせたものがないということらしい。


 「見逃してくれぬか?先生もいいと言ってくれているのだ」

 「あのさ、一哉くん」

 「な、なんだ」


 突然明に声をかけられた。二日目にして、早くも怠け始めた明に対して、強気の姿勢を見せつけた。


 「女子高生のことをジロジロ見てたの?同性の俺と龍くんを指摘するのはわかるんだけどさ・・・ちょーっと・・・ヤラシイなぁ」

 「な、なんだと!?」


 慈と蘭はほとんど気にしていないが、明の意見は、周りの女子からの同意を得られた。生活指導ではあるまいし、入学して僅か二日目に服装を正そうと言いに行ったのはいいが、面倒臭そうな顔をクラス全員からされていたことに、一哉は気づいていなかったのだ。
 

 「まぁまぁ、明。一哉殿は、責任感というものが他の生徒よりもあるのかも知れない。もしくは・・・そうすることで大人からの評価を得ていたということなのか」


 一哉は、非常に優秀で利口な少年だ。故に責任感が強い。そうすることで上がっていたのは、内申だった。内申とは、客観的な評価であり、これが低いものは、意欲や関心がないと思われる。直接大人からの評価が得られるものは、内申というシステムだ。
 慈から見るに、一哉の責任感というは、子どもの頃から身につけてきた処世術のようなものなのではないかと思うのである。彼女は未来仏ではあるが、ブッダが入滅されてから起こったことはすべて記憶の中にある。そのために、人間の本質を見分けることができる。それは、明たちも同じだろう。

 一哉は、見透かされたようでその場から逃げ出したくなった。自分から言ったことなのに。

 その時、担任の前沢が教室に入ってきた。これからテストが始まるのだ。この学校では入学してすぐにテストが行われる。そのテストの成績でクラス委員長が決められるのだ。その地位は、一哉がずっと担ってきた。そこで落ちるわけには行かない。自分は、一位でなければならないのだ。


 「一哉は一位なんだろうな」

 「中学の頃は一位だったらしいしね」


 ・・・当然なのだよ
 おかしいことが一つある。全額奨学金で通えるはずなのに、半分しか奨学金を貰えていない。自分の上に誰かがいるということだ。確かに、入試の日は腹痛で体調が悪かったということもある。
 一哉は、ふと明の方を見る。明の後ろに一哉の友人聖がいて、聖の隣に慈がいる。その聖がやたらとソワソワしていた。休み時間でよかったと思う。
 すると


 「どうかしたか?聖殿」

 「あ、弥寺さん。いやぁ、筆記用具忘れちまってさぁ」

 「そういうことか」

 「さっきから後ろがソワソワしてると思ったら」


 明と慈が苦笑を浮かべて言った。それに対し、聖も頭を掻きながら笑った。


 「消しゴムふたつ持っているか、明」

 「うん、持ってるよ。はい、どうぞ」


 明が消しゴムを渡し、慈が鉛筆を貸した。聖は、まるで命の恩人とでも言うかのように頭を下げていた。
 無事にテストは終わり、聖が一哉のところに来た。


 「あの二人、めっちゃ優しかった」

 「そんなこと、誰でもするのだよ」

 「とか言って、お前自分の持ち物人に貸したことねぇだろうが」


 一哉は、勉強のみ優秀だ、と聖から言われている。それ以外は、人として欠けていると。友人にそう言われ、本気で怒ったら、その時だけは聖は別の友人のところへ行った。聖は、一哉と違って友人が多かった。それは昔からだ。それと比べ、一哉は友人などほとんどおらず、本が友達と豪語するような子どもだった。それは、今でも変わっていない。人としてよりも、まずは常識がなくては社会に出ていけない。それが一哉の見解である。学校というのは、友人と戯れる場所ではなくあくまで勉強する場所なのだ。
 
 そして、テストが返却される日。その日は運命の日であった。


 「テストの結果、前期のクラス長は」


 一哉は、余裕の笑みを浮かべていた。自分以外有り得ない。女は知らないが、男は自分だと決まっている。


 「男子は、不動明。女子は、弥寺慈だ。二人はこの学年でツートップだ。前期の間クラス長として励んでくれ」

 「はぁーい」

 「承知しました」


 一哉の神話は、一瞬で崩れた。これまで一位だった人間が、突如落ちた。しかも、不良に。


 「クラス長の二人に拍手を」


 前に出てきた二人に、クラスは沸いた。聖まで拍手を送っていた。彼にとっては、命の恩人のような二人だ。
 一哉は、テストのランキングを見た。なんと五位だったのだ。上に四人もいるのだ。思わず誰だと探したくなる。二人は既にわかっている。答えはすぐに出た。


 「龍くん、蘭ちゃん、テストどうだった?」

 「わたし、三位でしたよ」

 「私は、四位だったな」


 目をつけていた不良たちがトップ4だったのだ。


 「広隆寺出たね」

 「思わず吹きましたよ。お寺の問題なんてあるんですね」

 
 慈は、テストに自分の名前が出てきたことが意外すぎた。弥勒菩薩半跏思惟像が置かれているお寺の写真があり、その名前を選ぶものだった。


 「法隆寺はないよ。場所がまず違うよ」

 「似てますけどね」

 「そういえば、このピン持ってたら学食タダらしいよ」


 どれだけ食べてもいいのかな、と明は目を輝かせていた。こう見ると年相応だが、像だけ見ればものすごく怖いと思われてしまう。そもそも年齢も何も無いのだが。


 「見てると腹たってきた。聖、学食に行くのだよ」

 「はぁ?無理だよ。俺ん家が貧乏なの知ってんだろ」


 一哉はすっかり忘れていた。中学の頃は給食だったために気にしていなかったが、高校になるとそれは無くなる。学食を買うようなお金はない。それと比べ、一哉の家は公務員の家系で、余裕という程でもないが、暮らしていけるだけの金はある。
 

 「ひーじーりーくん」

 「不動くん」

 「不動でも明でもいいよ」

 「じゃあ明な。どうしたんだ?」


 明が聖を連れて食堂へ行ってしまった。どうやら明に聖を連れてくるように言ったのは、慈だったらしい。確かに、女子から誘うよりも男子である明や光が言った方が自然だろう。
 一哉は、その後を付いて行った。一瞬見えた聖の一哉に対する残念そうな表情に、気にならないわけがない。


 「財布持ってきてないなぁって思ったから、慈ちゃんに言ったらね、連れて来なって言われたんだ」

 「それで?」

 「一緒に昼食を取らないか、ということだよ」


 聖は、驚く程にすんなりと四人に溶け込んでしまった。「出世払いでいいよ」と明は、冗談っぽく言って、ピンを渡した。


 「え?」

 「昼食のときだけは、それ使っていいってこと。慈ちゃんのになるとバレちゃうから、オレの使いな」

 
 それからだった。聖は、一哉のところには来なくなった。その代わり、聖の周りには四人や、そのほかにも友人がいた。一哉は一人になったのだ。一学期の時点で、孤独を知ったのだ。

 一学期の後期には、一哉は男子のクラス長となった。後期に関しては、立候補だったのだ。女子は、推薦により前期から続いて慈になった。前期のクラス長により、一哉のクラスの株は爆発的に上がっていた。


 「風山さん」

 「なにかね、弥寺くん」

 「何かね、じゃない。学外学習の会議があること、忘れたのか?」

 「そんなこと、言われなくても分かっているのだよ!」


 会議があることを忘れていたということ自体、一哉のプライドが許さなかった。そのために思わず慈を怒鳴った。いきなり怒鳴られた慈の方は、微かに目を見開いた。


 「慈ちゃん、オレも行く」

 「遊びじゃないのだよ」

 「煩い、君に言ってないし。第一さ、女の子を怒鳴るとか、男がすることじゃないよ」


 クラスメイトが一部始終を見ていることなど、一哉は全く知らなかった。気にも留めなかった。


 「風山さん、わたしの言い方が悪かったのだろう。すまない」

 「謝らなくていいんだよ、慈ちゃん」

 「そうですよ」


 珍しくもイライラムード全開で蘭が言い放った。謝る必要は毛ほどもない。一方的に怒鳴ってきたのは一哉の方だった。プライドの高い一哉は、決して謝らない。


 「一哉くん」

 「なんだね?」

 「君のそれは、プライドって言わないよ。プライドっていうのは、誇りっていう意味なんだ。君がプライドと謳って、偉そうな口振りで、偉そうに振舞っているそれは、ただの威張りだよ」


 プライド。誇り、自尊心、自負心。人が持つ芯のことでもある。人には、なにか誇りというものがあり、それがあるからこそ人は輝けるものだ。しかし、一哉はプライドの意味を知らなかったのだ。無論、プライドという言葉の意味は知っている。だが、人としてのプライドの意味を履き違えていたのだ。


 「本当にプライドが高い人っていうのはね、その誇りのためなら、頭を下げられる人のことだ。誰よりも優しくいられる人のことだよ。わかる?」


 何も悪くないのに頭を下げたのは、慈だった。困っていた聖に手を差し伸べたのは、他でもない明と慈と光と蘭だった。本当に優しい人は、自分を優しいと思っていない。それが当たり前だと思っているもの。明はハッキリそう言った。


 「慈ちゃん、会議行ってらっしゃーい」

 「風山さん、わたしは会議室の行き方がわからない。一緒に来てもらわないと辿り着けない」


 一人で行けるならば、一哉など元よりお呼びではない。自分が方向音痴であるということに、明たちに指摘されて初めて知ったのだから。それからは、誰かに案内してもらわなければほとんどの場所に行かないことにしていたのだ。「オレも行く」と明が言ったのは、案内しなければいけないと思ったからなのだ。


 「わかったのだよ」

 「そうか。ありがとう」


 ただ案内を了承しただけで、花が綻ぶような美しい微笑を向けられた。つい顔を背けた。この時だけは、男から向けられる視線に気づいた。完璧すぎる高嶺の花である慈に、惹かれている男子は数知れず。その高嶺の花の微笑を独占したことになるのだ。明と光からの視線も凄まじいものがあった。明に関しては、何故か火が燃えていたように見えた。

 会議により、京都に行くことになったのだが、この学外学習から一哉の地獄は始まった。学外学習に関する大半は自立性を育てるという名目で、クラス長を筆頭に進めて行くことになった。


 「学外学習において、まずは一緒に京を巡る班を決める必要があるのだよ」


 班となると、学生はざわつく。どういうグループになるのか。どうやって決めるのか、それによっては学生のモチベーションは大きく変動する。教師側としては、推薦で委員長になった慈と立候補で委員長になりたかったが、副委員長になってしまった一哉がどんな選択をするのかハラハラしていた。一哉と慈は性格がまるで違う。教師はこの半年でそれを見抜いていた。このクラスにおいて、引っ張っていくのは間違いなく慈が向いている。


 「男女別れないように、出席番号順の班にするのだよ」

 「風山さん、それは自立性を志すには逆効果だ」


 もう少しでブーイングの嵐になりそうなところを、何とか慈が食い止めた。前沢は、内心ナイスと唱えた。ブーイングが起これば収拾が付かなくなる。


 「あとで入れない人がいないように、出席番号順にするというのは、確かに合理的だろう。しかし、自立性を課題とするならば、自分たちで班を作ることで生まれるはずだ」


 結果的には、班決めは自由ということにした。決められたことに従うよりも、自由にしろという方が人間は考えるものだ。自分で考えなければ始まらないと脳が分かっているからだ。慈としては、出席番号順での班決めは手っ取り早い。それは重々承知しているのだ。しかし、出席番号順で済むならば、教師が生徒に任せる必要がないのだ。それに関しても、慈は理解していた。
 

 「五人八組で班を作ってください。余る人が出ないように」


 慈が自由と言ったのには、もうひとつ理由があった。自由のなかに一つの制限を設けることで、穴というものは確実に出来るのだ。慈がいつも一緒にいるグループは四人しかいない。つまり、そこに誰か一人入る必要があるのだ。その調節ができるかどうかなのだ。そのなかでもう一つわかるのが、輪に入れない存在だ。一人であろうと、誰の所にでもすんなり入ることが出来る存在はいる。聖はその一人だ。聖は、親交を深めているため、困ることはない。問題は、クラスの誰かと群れることが出来ない存在。自分から入ろうとしない者と、自分から入ることが出来ない者の二人がいる。入ることが出来ない者は、まだ救えるのだが、救いようもないのが一匹狼であろうとするもの。正確には、一匹狼ぶっている者だ。


 「加奈ちゃん、こっちおいでよ」

 「え・・・いいの?」


 花枝加奈は、引っ込み思案で、なかなか環に入れない。しかし、自分の心はしっかりと持っているタイプで、話しかければまともに応えてくれるうえ、会話も成立する。

 
 「風山さんは、わたしたちと一緒だ」

 「僕は一人でも構わない」

 「おいでよ、ひとりでも食み出てると進まないから」


 前沢は、思わず突っ込みたくなった。進まないという理由から入れるというのは如何なものか。

 これが運命の日だった。学外学習は、一哉の人生さえも変えてしまったのだ。
 酷い胃痛に苛まれた学外学習当日。「進まないから」と冷たく言い放って来た明と、慈たちは意外にも一哉と普通に接してくれていたのだ。
 

 「楽しまないか、風山さん」

 「慈さまの言う通りですね。せっかくの思い出作りなのですから」

 「なぜ慈さまなのかね?」


 一哉の問いに蘭は黙ってしまった。明のように、慈ちゃんなどと言える方が光と蘭にとってはおかしな話だ。光と蘭はあくまで八部衆であり、明と慈は明王と菩薩。位がまるで違う。


 「この際だし、呼び方変えちゃいなよ。オレが言うし良いと思うんだ」

 「確かに」

 「其方が言うのなら別に問題はないな」


 光は、明に対して呼び捨てで、慈に対しては慈殿と呼んでいた。一哉は、聴いたものの大して気にしておらず、その話題は一旦終わらせた。この後に、嫌でも蘭が慈さまと呼ぶ理由が分かる。
 一哉は、彼らに対して不思議に思っていることがあった。あまり人に対して関心を示すことはないのだが、学校の廊下を歩く時は明と光、そして蘭は慈の後ろを歩くのだ。しかし、外に出ると途端にフォーメーションが変わるのだ。明と光が、慈の少しだけ前に出て、蘭は慈の少し後ろを歩く。


 「サブっ」


 一哉はふと寒気がした。寒気というよりも悪寒に近い。何か質量の大きい者が迫ってきているかのような錯覚に陥る。


 「・・・慈ちゃん」

 「うむ・・・この気配は・・・」

 「なにかね、この異常気象は」


 一哉の一言に、明たちの視線が一気に集まる。
 明たちは、動揺していたのだ。この寒気の原因は、異常気象ではなくこの辺りに何かが蠢いている証拠だ。明たちにとっての敵は、人が持つ煩悩である。その煩悩を利用する存在がいるのだ。しかし、それは本来普通の人間は気づかない。気づいてはいけないと言ってもいい。それにも関わらず、一哉は寒気という形で存在に気づいてしまっている。


 「慈ちゃん、これどうする?」

 「出てくるまで様子を見よう。我々に用があるならば、直に出てくるさ」

 「では、待機と言うことでよろしいですか」

 「あぁ」


 相手は煩悩が具現化した存在ではなく、ただの刺客のようなものでしかないのだろう。すぐに動くとは思えない。それが慈の見解だ。慈はこのなかの誰よりも煩悩の気配に敏感だ。その煩悩を浄化するためにこの世に現界したのだから。


 「何かあったときは、オレと龍くんで何とかする。蘭ちゃんは、慈ちゃんを頼んだよ」

 「承知しています」

 
 主な戦力となるのは、五大明王筆頭不動明王である明と、八部衆龍部の難陀竜王である光だ。慈と蘭は戦えないこともないうえに、強力な術者ではある。八部衆音楽の神キンナリーである蘭の笛や歌は、煩悩には効果絶大。しかし、場合によっては煩悩を成長させてしまうこともある。蘭の仕事は、風の情報を頼りにした煩悩の正体の看破だ。そして、未来仏弥勒菩薩である慈の仕事は、明たちが煩悩を消滅させた後の浄化である。世界にとって、この浄化は一番重要な仕事だ。本来救いの仏として現れる存在がここにいる時点で、もはや異常なのだ。その異常のなかで、一哉のように見えてしまったり、感じてしまったりするような存在が生まれてしまったのだろうと、明はとりあえず、自己完結した。


 「一哉くんは、なにかあったときは、速やかにオレたちから離れてね」

 「よくわからないが、わかったのだよ」

 「もしくは、わたしについてきてください」


 女子に護られるというのは、男子として何とも情けないことだ。そこでいつもならば、「必要ないのだよ」と言って断るものだが、その時の一哉には出来なかった。一哉は、この四人は、人類が知らない何かを背負っているのではないのかと思えてならなかった。


 「なんだかんだで広隆寺にきちゃったよ」

 「あ、本当ですね」

 「ご対面ということだな」


 一哉たちは、広隆寺に入った。もちろん四人の目当ては、二つの仏像である。霊宝殿に入ればそれはある。一哉も明たちに着いて行った。一哉の目に映ったのは、蓮華の塔と言われるところに座り、左足を垂らし、左足の膝に右足を乗せている美しい仏像だった。教科書で見たことがあった。木造弥勒菩薩半跏思惟像だ。


 「わぉ、上半身服どこにやったの?」

 「綺麗ですね」


 弥勒菩薩は意外にも小さい。ここにいる菩薩は女子でも長身である。微笑などを見ると、確かによく似ているとは思う。そして次は、意外とどこにでもいるあの明王だ。


 「怖いよぉ~」


 自分とご対面して一言目がそれであった。後ろに炎があり、倶利伽羅剣を右手に持ち、左手に数珠を持っている怖い顔の不動明王。お不動さんなどという愛称で呼べるような顔をしていない、と明は自分で想った。


 「オレあんな顔しないよ」

 「偶にするじゃないか」

 「しているな」

 「またまた、子連れでいらして」


 子連れに見えるが、眷属である。蘭がいると教えてくれたのは、眷属のうちの一人だ。明は、時々眷属の子に調査を頼んでおり、たまに公園で紛れていたりする。


 「あの・・・君たちは何者なのかね?」


 先ほどからずっと会話を聞いていた一哉は、思わず突っ込んだ。まず、聞いてはいけないようなことばかりではなかったか。


 「うぅ~んとね、悪い人じゃないよ。夜叉に怒られないかな・・・そろそろ」

 「大丈夫でしょう」

 「わたしが掛け合うさ」

 「頼んだ」


 悪い人ではないのだが、かなり言い辛い。仏や神が目の前にいるなどと言われたら、普通怪しむ。信じる者などいるとも思えないのだ。特に、どうみてもリアリストとしか思えない一哉に説明しても、「何をバカなことを言っているのかね」と言われるに決まっている。


 「僕は、幼い頃から霊のような者を良く見ていたのだよ」

 「え、霊感があるってこと?」

 「そうなのだよ」


 幼い頃から霊感を持ち、少しずつ衰えて行くと聴いていた霊感は、成長するに連れて冴えていた。親に言っても信じてはくれなかった。おかしな子とでも言うかのような目で見てくるのだ。それから、人は信用しないようにしていたのだ。


 「霊力が強いからね・・・オレたち」


 煩悩が暴走した怨霊は、霊力がない。菩薩や明王、八部衆の存在になってくると、霊力は桁違いだ。人の姿で現界することなど、造作もない。それを好んでするかどうかの話だ。


 「君が話してくれたしねぇ・・・オレたちも言っちゃうか」

 「え?」

 「俺の本名は、五大明王が一人不動明王」

 「私は、八部衆龍部の難陀」

 「わたしは、八部衆キンナリーの一人です」

 「わたしが・・・この寺の本尊弥勒菩薩」


 一哉の目の前にいるのは、知らない者はいないだろうとさえ思う不動明王と、未来仏であり救いの仏弥勒菩薩。そして、水を司る竜王難陀。さらに音楽の神であるキンナリー。この世界の救いのために現界した天上の存在。本来、人間には見えない存在。その存在に、誰もが拝み、祈る。その人々の想いを彼らは確かに知っていた。だからこそここにいる。


 「わたしたちは、煩悩から人々を救うために来たんだ。この世界は現在これまでにない危機的状況にある」

 「まず、それくらいのヤバい状況じゃないと、ブッダの名を継ぐ存在はここにいないからねぇ」


 一哉は、自分でもなぜ霊感があることを話してしまったのか分からなかった。言うつもりなどなかったのに。人を信じない一哉だがこの四人が嘘をついているようには見えなかった。


 「巻き込むことになってしまったのは、わたしたちのせいだ。だいじょうぶ、わたしが守る」

 「君に守られるのは嫌なのだよ」

 「な、なぜだ!?」

 「男として情けないのだよ」


 確かに、と明と光は肯いた。仕方がないとは言っても、慈と蘭に守られるというのは情けないものだ。プライドの高い一哉ならば尚更その思いは強いだろう。


 「乗りかかった船だ。僕も君たちと戦ってあげてもいいのだよ」

 「えぇっ!?」

 「・・・煩悩に飲み込まれるぞ」

 「君たち不良の監視のためなのだよ」


 お利口に、大人に評価されるために生きてきた一哉から見れば、明を筆頭に不良の部類に入る。


 「明くんは特に見ておかなければならないのだよ!」

 「な、なんで、オレなの?」

 「だから髪を染めろと言ったのだ」

 「そうですよ。赤に染めてる人なんて一人もいないじゃないですか」


 五大明王の一人が怒られている。それも、菩薩ではなく八部衆に。天上の住人は皆このような感じなのだろうか、と一哉はまだ見ぬ天上に思いを馳せたのだった。


 「お、出てきたね」

 「寺の中に入ってきたとでも?」

 「それはないね。慈ちゃんが本尊のお寺だよ?入ろうとした途端にさようならだ」


 明と光は、すぐに広隆寺を飛び出した。恐らく、狙いは天上の存在ではなく、未来仏である救いの仏弥勒菩薩慈だ。せっかく目覚めさせた煩悩を浄化されては、敵としては溜まったものではないのだ。


 「君たちは行かないのかね?」

 「聞いていたようで聞いていなかったのですか?わたしのお仕事は、煩悩の看破。戦いは彼らのお仕事です。何より、不動明王はお強いのです」

 
 五大明王の力はかなり強大だ。しかも、その筆頭である不動明王は、シヴァを調伏したという伝説がある。武器が剣という時点で、もう戦えと言われているようなものだろう。


 「我々も行くぞ」

 「結局行くのかね?」

 「先導はわたしがします」


 正確には、蘭が先導しなければ辿り着けないなのだが。救いの道へ導く者であるというのに、自分自身を行先まで導くことができないのだから、なんとも言えない。


 「慈ちゃん、蘭ちゃん、捕まえたよ」


 慈と蘭は、手遅れだったかと頭を抱えたのだった。明が犯人を椅子にしていたのだ。


 「くっ、退け、き・・・さま」

 「慈ちゃん、この人があの人を操ってるみたいだよ。煩悩はね・・・」

 「わかったか、蘭?」

 「えぇ、風が教えてくださいました。眞の『愈盗』です」


 『眞』とは、怒り腹を立てることを意味する。煩悩のジャンルの一つ。そして、『愈盗』とは、盗むことを意味する。たとえば、カンニングは愈盗に当たるとされている。


 「煩悩が目覚めるってどういう意味なのかね?」

 「簡単に言えば、奥底に眠る醜い感情が出てくるってことかな」

 「人というのは、必ず煩悩を持って生まれる。煩悩があるからこその人と言ってもいい。しかし、本来そのほとんどが表に出てこないものだ。今、明が踏みつけているものは、人に潜む煩悩を呼び起こす存在だ」


 ブッダは、煩悩は一種の悪と説いていた。その煩悩を消すための修行をし、そして解脱を果たした。今は、愈盗という煩悩を弥勒菩薩である慈が浄化することで、それを消滅させる。それが、慈の仕事だ。


 「この人、煩悩解いたらどうなるのです?」

 「貧しい家に生まれたのだろうが・・・人としての心が残っているなら、自首するのではないか」

 
 思っていても、理性でとどめるのが人間だ。しかし、そういった人間の弱さに付け込む悪がいる。人間とは弱い。だからこそ、強くいようとする。人の本質を仏である彼らは見抜いていたし、見守ってきたのだ。しかし、その煩悩がもはや浄化しきれないほどに増えてしまったのだ。


 「領土を奪う者。人を差別する者。命を奪う者。どれもが煩悩であり、それが少しずつ増えてきたために、弥勒菩薩は生まれたんだよ」


 彼女は、数十億年後に生まれるとされていた存在。その存在がこのタイミングで生まれたということが、この世界がどんなに危機的状況にあるのか、知っている人類など、この世に一人としていないはずだ。しかし、ここに来て一哉は知ることになったのだ。子ども姿で自分の前に現れた四人が抱える、救いという名の責務の重さを。


 「慈ちゃん、お願い」

 「あぁ。クレーシャよ、わたしが導くままに消えなさい。どうか、あなたが闇に迷わぬように、光のままに行きなさい。・・・ニルヴァーナ解放」


 美しい光が道となり、煩悩を浄化していく。感動という感情などとっくに忘れたはずの一哉も、その神秘的で、非現実的としか言えない光景に息を呑むしかなかった。自分の醜い心ごと洗い流していくような、清廉なその眩い光から、一哉は目を逸らすことはしなかった。


 「僕は、このことを知ってしまったのだよ」

 「そうだな」

 「だから、知ってしまったことによる責任が必要なのだよ」

 「この責任なんて、人が背負うものじゃないよ」


 人が背負うには重すぎるもの。仏たちは、重いものであろうと抱きしめて、包み込む。しかし、一哉はプライドが高い。その一哉のプライドが、明たちを断らせなかった。


 「これまで僕は、人とかかわることをしてこなかった。裏切られることが怖かったから。霊感があると知って、離れていった人は何人いたかも数えきれない」

 「・・・風山さんは、わたしたちの存在を信じているか?」

 「信じているとも。ここで、目の前で君たちのことを見てしまった。なら、信じざる得ないじゃないか」


 日本人のほとんどが、仏という存在に縋る。いるのか、いないのか。それも定かではない仏という何かに、人はいつも期待した。しかしここで、仏という存在が実在し、人々を見守っているということを知ってしまったのだ。信じる信じないの話じゃない。そこにいると肯定するしかなかったのだ。霊感があることに対して、怪訝そうな顔をすることもなく。冷たく人数合わせだと自分を入れてくれた、慈悲深い仏たちに救われたものがいる時点で、それを肯定するしか、残り少ない人らしい心を保つことなどできないと、一哉はどこかで悟っていた。


 「もし風山さんが憑りつかれたら、そのときはわたしたちが誰より先に救うと誓おう」

 「弥寺さん・・・」

 「仕方がないなぁ。君の数少ない友達になってあげるよ」

 「そんなこと、頼んでないのだよ」

 「へぇ~君の顔はこの人に見られたから、君も狙われるようになるよ。オレたちといたら、そうなってもすぐに助けてあげられる」


 一哉の顔は、すでにあの敵に知られてしまったのだ。つまり、これから彼らと行動をともにしなければ、寿命がこれでもかというほど縮まることになるのだ。しかし逆に彼らといなければ、自分の命が危うくなる可能性もある。さまざまの思いが巡るが、『友達』という言葉が引っ掛かって仕方がない。


 「では、これからの学校生活、ともに過ごそう。風山さん」

 「わ、わかったのだよ」


 慈愛に満ちた暖かく、美しい微笑で言われてしまい、一哉は思わず照れてしまった。不動明王と竜王の視線が恐ろしい。


 そして、高校二年になった今、不思議な縁に繋がれて、一哉は仏たちと行動を共にしているわけである。自分の地位が下落したことは、ものすごく腹が立つのだが、そのたびに明から、「煩悩は目覚めたかい?」と弄られるようになった。
 

 「運動会と文化祭の準備だって、団体行動頼むよ、カズくん」

 「わかっているのだよ」

 「二人してサボるな」

 「はーい」


 明は、慈悲の仏に冷たい目を向けられ、少し残念そうな顔をして慈を手伝い始めたのだった。




 



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