訳あり救世主が天上から降臨されたようです

月影砂門

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第一章~秋恋讃歌~

終話~覚悟はここに

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 一哉たちは屋上で一斉に肩の力を抜いた。明が引き起こしたラブレター事件は終わったのだ。


 「あの、慈さま」

 「なんだ、蘭」

 「この男は何でしょう?」


 蘭が指差すのは、元悪鬼ジューリャだ。慈をボコボコにしたが、その分以上の痛みを明に与えられ、そしてさらに慈のアムリタを受け、ただの鬼となった。蘭たちは、この男を知らないのだ。この事件に関与した悪鬼は沙希の影を操っていたミージャと亜矢を操っていたジューリャの二体だ。そのうちの一人、ジューリャを


 「眷属にしたのだ」

  
 一哉と明以外の驚嘆が屋上に響いた。明は驚嘆を上げた光たちに同情を覚えた。慈ならば眷属にするだろうとは予想してはいたが、「眷属になれ」と言い放った瞬間は苦笑を浮かべながらも頭を抱えるしかなかった。


 「眷属と言っても、何をさせるのですか?」

 「そりゃ、わたしの眷属になったからには、愛しの家族の世話だ」

 「なんでもさせていただきます、慈さま」

 「ジューリャもこう言っている」


 愛しの家族という言葉に騙されてはいけない。家族であることは確かだが、ペットなのだ。小さな動物園といっても差し違いないほどの動物がいるのだ。しかし、彼女に「飼い過ぎじゃない?」といつものように明でも言えないのは、その動物たちが保護された動物だからなのだ。彼女の慈悲は、動物であろうと例外なく向けられるのだ。


 「明、あの子たちにしっかり夕食は取らせたのだろうな?」

 「夕食って・・・うん、あげたよ」


 明たちの食費は大半を動物たちが占めているのでは、と明はいつも家計簿を眺めつつ思っていた。


 「そろそろ帰ろうよ、お腹空いてない?」

 「水を飲んだきた。まだ保つぞ」


 食事を取って生きる難陀龍王は、時に空腹を水を飲んで凌ぐのだ。しかし、その飲む水の量が半端ではない。人の姿で飲むときは、二リットルのペットボトルを五本分くらいは軽く飲み干す。干害に遭う人々からすれば発狂するレベルの量だ。


 「今宵はわたしが作ろう」

 「慈さまの料理とは、魅力的です」

 「おぉ、いいね」


 光は、時々明と慈が一緒に料理を作っている様子を見ることがある。その瞬間を亜矢が見ていたらと終わった今でもゾッとする。
 一哉たちは、ここで亡くなった亜矢のために合掌し、代表して慈が経を唱えた。明は、「明が唱えろよ」と言わんばかりの目に気付かないふりをした。「オレは専門外だし」と心のなかで呟いた。慈の経が終わると、一哉たちは慈を護るようなフォーメーションを維持した状態で寺に戻った。今日から彼らと行動を共にすることになった奈美たちは、このフォーメーションを自然と作り上げた明たちに対して純粋に感心した。不動明王と竜王が前に居る時点で誰も近づけない。
 

 「ふぅ、やっと終わったね」

 「キミのせいなのだよ」

 「重々承知してるよ」


 惚れられただけなのだが、それがこんなことを引き起こすとは思わなかった。人間の愛は怖いな、と明は溜息をついた。


 「そういえば、一哉くん、かっこよかったじゃん」

 「そ、そうかね?」


 一哉は、若干照れくさそうに俯き、チラッと慈を見た。その慈も微笑を湛えて頷いた。そのような状況に出くわしていない光たちは、妙な雰囲気に首を傾げた。


 「何があった?」

 「カズがな、明よりも早く助けに来てくれたのだ」


 一同目を点にした。無理もないだろう。臆病者の一哉が一人で慈を助けるに行ったのだから。明もまさかな、と想っていたら本当に自分で動いたのだから。夢で終わらせなかったのだ。ただの友人としか思っていなかったが、明は彼を仲間として認めようと心のなかで呟いた。一哉がいなければ慈がどうなっていたのか、想像するだけでゾッとする。彼の勇気は紛れもなく慈を護ったのだ。


 「慈くん、カズとは・・・」

 「対等ということだ。少し・・・見直した。どうせ、明あたりが何か吹き込んだのだろうがな」

 
 ・・・正解
 明は心のなかで唱えた。確かに行動に移せとは言ったが、アドバイスをあげた覚えはない。霊感以外のあらゆることにおいて一哉は素人なのだ。


 「明が良い所取りしたのだよ」

 「いや、キミがいないと入れもしなかったんだよ。オレも助かったよ。臆病な勇者くん」

 
 すぐにでも逃げ出すような少年のへっぴり腰で竹刀を構える姿は、勇敢だった。しかし、やはりどこかかっこ悪いところも、一哉らしいと慈は人知れず微笑んだ。だが、そのかっこ悪い勇者に救われたのは自分だったのだ。


 「不動くん」

 「なに?」

 「僕に、戦術を教えてほしいのだよ」


 光をはじめ、目を点ではなく今度こそ目を見開いた。素人が不動明王に戦術の特訓を頼んだのだ。天上界にいる多くの存在が彼に教えを乞おうと頭を下げているのを見ている。しかし今、頭を下げているのは人間だ。しかも人間のなかでも非力な少年だ。


 「なんで?」

 「キミには言ったのだよ。僕は・・・慈くんを護りたい。そのためには・・・強くならなくちゃ無理なのだよ」

 「護る・・・わたしを?」


 一哉は慈の問いに強く頷いて見せた。これからもあんな危なっかしい姿を見せるつもりか。こちらの寿命が保たないと思うほどにハラハラさせられる。目の前で友人が傷つくのは見ていられない。


 「カズ・・・わたしは・・・」

 「慈ちゃん」

 「明?」


 狼狽する慈の肩に手を置いたのは、頼まれた明だった。慈は信じられない者を見るように明を見つめた。それまでずっと壁に寄り掛かっていた明が、一哉の前に立膝をついた。


 「・・・キミに、慈ちゃんの意志を受け止める覚悟はあるかい?」

 「受け止める、覚悟・・・」

 「キミは言ったね、救う存在を護りたいのではなく、護りたいのは慈ちゃんだって」

 
 一哉はそれに対しても強く頷いた。一哉は、本気で慈を護ると言ったのだ。正気の沙汰ではないと、光も蘭も別の人間だったなら言っただろう。しかし、言えなかったのだ。不動明王が、覚悟を問う。それも、それまで浮かべていた笑みを消して、真剣に


 「僕は思うのだよ。慈くんを護ることが、人を護ることに繋がると」

 「・・・」


 明は頭痛がするような感覚に陥った。「慈を護ることが、人を護ることに繋がる」人だからこそ気付いたのか、それとも一哉だからこそ気付いたのか。おそらくは前者。人だからだ。人を護るために自分たちがいる。明は、慈を護り、人を救う。それが自分がここにいる理由だ。後ろから、自分の服の裾を掴むのに気付く。護ると言われた弥勒菩薩だ。この如来になろうという少女を護ることで、人を護れる。


 「撤回するよ」

 「え?」

 「人間のことを弱いって思ったこと」


 不動明王は強い。それ故に、煩悩に溺れる人間を弱いと想った。愛のせいで煩悩という沼に沈んだ人間を弱いと想った。しかしそれは違う。確かに弱い。しかし、何よりも強い輝きを持っている。微弱な光。仏や菩薩が持つ強い光でなくても、それがあれば人は強い。護りたい。そのためだけに竹刀を振るった。鬼に立ち向かった。
 ・・・なんて愚かなんだろう、人は
 しかし、その愚かさが人なのだろう。明は、不動明王の気配を沈めた。目の前のか弱い人間は、不動明王の覇気を前にしてもその場から動かなかった。怖さからではなく、強い意志で。
 明は、腰に収めていた短刀を抜いた。そして
 ――ザクッ
 頭を下げる一哉の目の前で短刀を畳に刺した。少しだけ怯えの表情が見えたが、すぐに冷静になっていた。


 「これ、あげるよ」

 「え?」

 「おい明よ、それは・・・」


 堪らず言ったのは光だ。不動明王の象徴ではないにしても、自分の所有物を与えたのだ。ただの人間に。天上の存在としては驚くしかない。


 「オレの覇気を前にして、怯えなかった存在がこの世にいたかい?」

 「それは・・・」


 忿怒の覇気。それに当てられても、一哉は一歩も退かなかった。明としては、それで十分だった。慣れきった蘭はまだしも、キンナリーである奈美と優姫や、仁王からすれば喉が渇くほどの緊張感に苛まれるものだ。しかし、ただの人間が退かなかった。神でさえ跪く覇気だというのに


 「オレの所有物をあげるという意味が、一哉くんには分かるかな?」

 「なんだね?」

 「オレの眷属になれってことだよ」

 「け、眷族?」

 
 弥勒菩薩である慈の眷属となったジューリャは秘術に特化することになる。しかし、不動明王である明の眷属となった一哉は攻撃系に特化することになるのだ。攻撃系とは無縁の少年が、斬ったり殴ったりすることに躊躇しないようになるとは思えない。


 「あぁ、攻撃系にはさせないよ」

 「いやいや、明の眷属ではないのかの?」

 「防御に特化してもらおうと思ってね。慈ちゃん護るんでしょ?じゃあ、離れちゃダメじゃん?」


 攻撃系に特化するということは慈から距離をとって敵を倒すことを意味する。しかし、防御に特化するならば、慈から離れる必要はない。剣ではなく、盾として戦場に出るということだ。


 「体術をオレに習うなら、お相撲さんふっ飛ばさなきゃね」

 「そ、そんなに」

 「オレは、部活みたいに甘くないよ。剣の構え方から、振り方から、相手の剣の防ぎ方から、防いだ後の攻め方など、いろんなことをキミに全部教えてあげる。弱音なんて吐く暇もないからね」


 不動明王に戦術を教えてくれと言ったのは一哉だ。どんな酷い目に遭おうと、光たちの知るところではない。明の戦術に関する修行の厳しさは天上界随一だ。自身もかなりストイックなため、一哉に対しても容赦しないだろう。悟りの修行の厳しさはブッダを除けば未来のブッダ慈である。


 「一哉くん、キミは斬らなくていいよ」

 「斬らない?」

 「これだけは覚えておいてね。斬るのも、殺すのも・・・痛いことだって」


 明王の筆頭が斬ったり殺したりすることに関し、痛いと言った。心は傷むのだ。仏陀に処罰せよと言われれば、簡単に踏み殺した冷酷な一面を持つ諸仏の主と呼ばれる存在も、人を傷つける辛さはわかるのだ。慈が調伏を嫌がるのは、明の心の傷みに気付いていたからだ。慈が怒るのは、優しさだと知ったから、明は護るために心を鬼にする。ジューリャの腕を明に治させたのも、明本人の傷つけたということに関して負った心の傷を癒すためでもあった。そんな主に、明は付いて行くと決めた。彼女のためならば傷つこうと構わないと。しかし、ここに彼女を護ると言ってくれた人間が現れたのだ。


 「キミは、彼女を護るためだけに戦うんだ。いいね?」

 「承知したのだよ」

 「よろしい。あ、八大童子はキミの先輩だからね」

 
 一哉は、思わず弾かれたように八大童子を見た。自分よりも明かに年下に先輩面されるのだ。プライドの高い一哉にとって、こんな屈辱的なことはない。しかし、自分から言った以上それを撤回するのは、それこそ自分のプライドが廃る、と一哉は渋々頷いた。


 「オレも・・・ちょっと今日のことは反省してるんだよね」

 「大いに結構なことだ」

 「慈ちゃん・・・」

 「そうですよ。女の心を弄んだ男の何と罪深きことか想い知るべきです」


 奈美と優姫も大きく頷いた。明にその気はなくても、少しの優しさと思わせぶりな行動が女にとっては恋に発展する要因となるのだ。


 「わかりましたか?」

 「はい、明日はちゃんと行くよ・・・沙希ちゃん・・・オレのこと忘れてくれないかな」

 「無理だな。忘れていてもわたしが記憶をすべて呼び起こしてやろう」


 突然サディストになってしまった慈を前に、不動明王は完全に頭を下げた。忘れていたらいたでどうか、彼女をそっとしてあげてくださいと。懲りもせず優しい心がけに、慈はとうとう溜息をついた。


 「はぁ、まったく。其方という者は・・・」

 「同情の余地もないな」


 とうとう光にまで見捨てられてしまった。明にはそう言われる謂われがないため、頭上に大量の疑問符を生産していた。


 「皆の者、このどうしようもない男は捨て置いて、寝るぞ」

 「そうですね。さっさとお風呂に入って寝ましょう」


 一人残された明と、ぽかんとしている八大童子は、先ほどまで賑やかだった部屋が静かになって少ししてから我に返った。明は、人知れず「ごめんなさい」と呟くのだった。

 そして、寝所では


 「カズ」

 「慈くん?」

 「今日はありがとう・・・」


 一哉は、星さえも恥ずかしがって隠れてしまいそうなキレイな微笑を浮かべ静かに告げる慈に、思わず見惚れながら小さく頷いた。その様子を見ている者がいることに気付きもしないで


 「ふっ、お熱いねぇ。おつかれさま、二人とも。おやすみ」


 明は、開いていた障子を静かに閉め、愉快げな笑みを浮かべて自分の部屋に戻り、自分も静かに眠った。



 
 

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