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第二章―魔法国家フォルトゥナ 『魔導師に潜む闇』
65-5.本性
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エリアスの剣は横に一線を描く。
瞬間、炎は辺りに霧散していた液体を巻き込んで発火する。
飛び散る火の粉は更にベルフェゴールへ僅かに付着した霧をも巻き込んでその威力を高めていった
炎の刃は確実にベルフェゴールの肉を穿ち、更に付着した液体へ燃え移り、少女の頬を、肩を、脚をと至る所を焦がしていった。
全てを包み込む威力ではないものの、肉を焦がす炎の攻撃は確実に彼女を追いこんでいた。
「っ……痛い、熱い」
激痛に顔を歪めて歯を食いしばる少女。
彼女はぼろぼろになった体を抱え、ぶつぶつと独り言を繰り返す。
「ああ……痛い、いたいいたいいたい、面倒くさい、本当に、いらいらする……つかれる」
相手の不気味な様子に怪訝そうな顔をしつつも、エリアスは止めを刺す為に剣を構え直した。
反対からはリオが同じように武器を構えていた。
相手は魔族だ。決して油断はしない。
今彼女が見せている隙を確実に叩き、今度こそ息の根を止める。
エリアスは地面を踏みしめ、剣を振り下ろした。
その時。
「――もういい」
ぴたりと彼女の声が止む。
それと同時に、振り下ろした剣は弾き返された。
「くっ……」
彼女と剣の間に割って入ったのは大鎌。それは意志を持ったかのように主人の手から離れ、エリアスの攻撃を弾き返したのだった。
彼女の異変に感づき、後退するエリアス。追撃に備えていたリオも接近を中断して彼女から距離をとった。
警戒の眼差しを多方から受けながら、ベルフェゴールはその身を起こす。
覚束ない足取りながらも、彼女は地面を踏みしめてしっかりと立ち上がってみせた。
「な……っ、馬鹿な、どれだけの力が働いてると思ってるんだ!」
動揺を見せたのはオリヴィエだ。余程の重圧を受けているのにも拘らずそれに抗って見せる様に彼は顔を顰める。
そして更に負荷を与えるべくベルフェゴールへ手を翳した。
彼の試み自体は成功する。ベルフェゴールに更なる負荷を与えることに成功し、彼女は増加した力に従うように膝をつきかけた。
だが、彼女はそれにすら抗おうとした。
傷口から血が噴き出そうとも、それらを一切無視した上で足に力を込める。足場にクレーターが出来る程の力が掛かろうとも重圧に抵抗し続ける彼女は決して膝をつくことをしなかったのだ。
瞬間、炎は辺りに霧散していた液体を巻き込んで発火する。
飛び散る火の粉は更にベルフェゴールへ僅かに付着した霧をも巻き込んでその威力を高めていった
炎の刃は確実にベルフェゴールの肉を穿ち、更に付着した液体へ燃え移り、少女の頬を、肩を、脚をと至る所を焦がしていった。
全てを包み込む威力ではないものの、肉を焦がす炎の攻撃は確実に彼女を追いこんでいた。
「っ……痛い、熱い」
激痛に顔を歪めて歯を食いしばる少女。
彼女はぼろぼろになった体を抱え、ぶつぶつと独り言を繰り返す。
「ああ……痛い、いたいいたいいたい、面倒くさい、本当に、いらいらする……つかれる」
相手の不気味な様子に怪訝そうな顔をしつつも、エリアスは止めを刺す為に剣を構え直した。
反対からはリオが同じように武器を構えていた。
相手は魔族だ。決して油断はしない。
今彼女が見せている隙を確実に叩き、今度こそ息の根を止める。
エリアスは地面を踏みしめ、剣を振り下ろした。
その時。
「――もういい」
ぴたりと彼女の声が止む。
それと同時に、振り下ろした剣は弾き返された。
「くっ……」
彼女と剣の間に割って入ったのは大鎌。それは意志を持ったかのように主人の手から離れ、エリアスの攻撃を弾き返したのだった。
彼女の異変に感づき、後退するエリアス。追撃に備えていたリオも接近を中断して彼女から距離をとった。
警戒の眼差しを多方から受けながら、ベルフェゴールはその身を起こす。
覚束ない足取りながらも、彼女は地面を踏みしめてしっかりと立ち上がってみせた。
「な……っ、馬鹿な、どれだけの力が働いてると思ってるんだ!」
動揺を見せたのはオリヴィエだ。余程の重圧を受けているのにも拘らずそれに抗って見せる様に彼は顔を顰める。
そして更に負荷を与えるべくベルフェゴールへ手を翳した。
彼の試み自体は成功する。ベルフェゴールに更なる負荷を与えることに成功し、彼女は増加した力に従うように膝をつきかけた。
だが、彼女はそれにすら抗おうとした。
傷口から血が噴き出そうとも、それらを一切無視した上で足に力を込める。足場にクレーターが出来る程の力が掛かろうとも重圧に抵抗し続ける彼女は決して膝をつくことをしなかったのだ。
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