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第二章―魔法国家フォルトゥナ 『魔導師に潜む闇』
93-3.祝賀会
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「まあ、良くも悪くも思っていないが。出会って一日ならそんなものだろう」
「……は?」
「そーいう話じゃないと思うんだよなぁ」
どこか話が噛み合っていないように思える返答にクリスティーナは目を丸くする。
クリスティーナが言いたいのは昨晩のオリヴィエが指摘したように身内を危機に晒しかけた相手を良くは思えないだろうという事なのだが、彼には通じていないように思える。
その事実を指摘したのはオリヴィエの横に座っていたノアだ。
どういう意味だと首を傾げる友人を差し置いて彼はクリスティーナへ向けて片目を瞑る。
「ね、リヴィはこういう奴なんだよ。言葉に含みを持たせるなんて高度なことは出来ないし、彼の言葉は基本的に馬鹿正直に捉えていいよ」
「馬鹿の言葉を深読みしても時間の無駄だからな」
「何の話をしてるのかはわからないが、お前達が僕の悪口を言ってることはよくわかった。あと僕は馬鹿じゃない」
「はぁ……」
ノアに便乗するようにレミが冗談を交えて鼻で笑う。
それに対してオリヴィエの眉間の皺が険しくなるが、二人は特に気に留めていないようだ。恐らくは良くある光景なのだろう。
言葉を馬鹿正直に捉えた結果導かれる答えは何なのか。その結論を求めるようにクリスティーナはノアへ視線を送った。
「彼は君達が身内に危害を加える可能性があるなら目を瞑ることは出来ないと言った。それに対し、君は心配いらないと答えた。そうだろう」
「ええ」
「その後彼は『ならいい』と言っただろう?」
「……まさか」
彼が言わんとしていることを何となく察したクリスティーナは思わず怪訝そうにオリヴィエを見てしまう。
その様子にけらけらと声を上げて笑いながらノアは頷いた。
「そう。ならいいって答えた時点で彼の中でその話は終わってるし、何なら君が心配いらないと答えた時点で『そうか心配ないのか』くらいの感想しか持ってないよ、多分」
彼の発言や振る舞いを注意深く観察していた分拍子抜けしてしまい、思わずため息が出る。
身構え、張り詰めていた気が大きく緩んでいくのを感じながらクリスティーナは小さく呟いた。
「……本当に言葉の表面しかないじゃない」
「だからそう言ってるだろう?」
「なるほど、馬鹿正直……」
「馬鹿じゃない」
妙に納得したようにリオが頷き、そこへすかさず否定の言葉が入る。
『馬鹿』の二文字に対する異様な反応速度が最早それっぽく見えてしまうのだが……。そんな指摘をクリスティーナは呑み込んだのだった。
「……は?」
「そーいう話じゃないと思うんだよなぁ」
どこか話が噛み合っていないように思える返答にクリスティーナは目を丸くする。
クリスティーナが言いたいのは昨晩のオリヴィエが指摘したように身内を危機に晒しかけた相手を良くは思えないだろうという事なのだが、彼には通じていないように思える。
その事実を指摘したのはオリヴィエの横に座っていたノアだ。
どういう意味だと首を傾げる友人を差し置いて彼はクリスティーナへ向けて片目を瞑る。
「ね、リヴィはこういう奴なんだよ。言葉に含みを持たせるなんて高度なことは出来ないし、彼の言葉は基本的に馬鹿正直に捉えていいよ」
「馬鹿の言葉を深読みしても時間の無駄だからな」
「何の話をしてるのかはわからないが、お前達が僕の悪口を言ってることはよくわかった。あと僕は馬鹿じゃない」
「はぁ……」
ノアに便乗するようにレミが冗談を交えて鼻で笑う。
それに対してオリヴィエの眉間の皺が険しくなるが、二人は特に気に留めていないようだ。恐らくは良くある光景なのだろう。
言葉を馬鹿正直に捉えた結果導かれる答えは何なのか。その結論を求めるようにクリスティーナはノアへ視線を送った。
「彼は君達が身内に危害を加える可能性があるなら目を瞑ることは出来ないと言った。それに対し、君は心配いらないと答えた。そうだろう」
「ええ」
「その後彼は『ならいい』と言っただろう?」
「……まさか」
彼が言わんとしていることを何となく察したクリスティーナは思わず怪訝そうにオリヴィエを見てしまう。
その様子にけらけらと声を上げて笑いながらノアは頷いた。
「そう。ならいいって答えた時点で彼の中でその話は終わってるし、何なら君が心配いらないと答えた時点で『そうか心配ないのか』くらいの感想しか持ってないよ、多分」
彼の発言や振る舞いを注意深く観察していた分拍子抜けしてしまい、思わずため息が出る。
身構え、張り詰めていた気が大きく緩んでいくのを感じながらクリスティーナは小さく呟いた。
「……本当に言葉の表面しかないじゃない」
「だからそう言ってるだろう?」
「なるほど、馬鹿正直……」
「馬鹿じゃない」
妙に納得したようにリオが頷き、そこへすかさず否定の言葉が入る。
『馬鹿』の二文字に対する異様な反応速度が最早それっぽく見えてしまうのだが……。そんな指摘をクリスティーナは呑み込んだのだった。
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