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第一章 神の遊戯 序盤
第九話 その他とその他
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さぁさぁ皆さん。
涼啓と千春がデートをしている間、他の場所ではとあるペアが“脱感ペア”と同じように、一般人に手を出していました。
そんなペアは他のペアと出会い、戦い始めます。
涼啓と千春のデートの邪魔をするのもアレなので、私達はこちらの戦いを見ましょう。
「何が『能力者同士は惹かれ合うように用事が発生する』だよ。ただ2日連続で警報が出ただけじゃねーか」
「ほんと、神様ちゃんとやってんかって話だわ」
涼啓が1番初めに目撃した能力者、“刀”能力保持者の藏部 波瑠と“開”能力保持者の花路 太賀は、あまりの能力者との遭遇のしなささにボヤいていた。
先日の午後から、2人は退屈しのぎとして一般人に手を出し始めた。
「今日もやっちゃう?」
「やっちゃおう」
11:00という時間帯によるものだろう。
2人が歩く街道の交通量は無いに等しく、通行人は視認できる範囲で4、5人程度だ。
ただ、2人が退屈しのぎをする上で最適な条件は、視認できる範囲に女性1人か2人しかいないというもので、もう少し人通りの少ない路地へと入っていく。
「こことか丁度人来そうじゃね?」
「ここで待っとくか」
そうして2人は周りに人がいない路地で、通行人を待つことにした。
2人の予想は的中し、5分と経たないうちに女性が1人で路地に入ってきた。
「“刀”3本生成。お前も準備できたか?」
「あぁ。ちゃんと意識は向けてるよ」
「いくぞ」
そんな2人の会話は女性の耳には届かず、波瑠の生成した刀が女性に襲いかかった。
厳密に言えば、女性の来ていたダボダボな服に襲いかかった。
急に飛んできた3本の刀に一般女性が瞬時に対応出来るわけもなく、女性は服を3箇所切られてしまった。
「きゃっ!!!」
「安定した精度の良さだな」
「もっと褒めてもいいんだぜ?」
「次は俺の番だな。“開”ける」
刀は女性の服を切り裂くと、女性の少し後ろの方で停滞した。
刀によって作られた破れた箇所は、左肩、左腹部、右腹部。
上着、下着だけでなく、ブラジャーまでも切り裂いている。
それらの破れた箇所が、不自然に開けていく。
「ちょっとなにこれ!意味わかんないんだけど!」
「丁度左乳がギリ見えないこの感じ、たまらんねぇ」
「これだからやめらんねぇよな」
「次、下いこうぜ」
一定距離があり、尚且つ波瑠と太賀は隠れているため、未だ女性は2人の存在に気づかない。
「服がぁ……どうしよ、これ……」
「ふと思ったけど、凄いトラウマになるよな、これ」
「今更だな、おい。刀飛んでくるとか今の時代だと考えられねぇぞ。てか、江戸時代とかでも3本の刀が飛んでくるとか無かったと思うぞ」
「確かにそうだな」
そんな会話をしながら、波瑠は停滞させていた刀3本を再び操り始める。
今度は上からスカートを狙いにいくようだ。
「よし、いくぞ?」
「おう」
刀は波瑠の思い通りに、スカートのゴムの部分を切り裂く。
スカート後ろ側のゴムが切られ、少しだけスカートが緩む。
「もうやだ!」
女性がそう言って、路地から急いで出ようとしたその時、3本目の刀が上空からスカートのゴム目掛けて、柄を下にして降ってきた。
柄は見事ゴムにピンポイントで当たり、そのままスカートをずり落とす。
「うわっ!!」
「シャッターチャーンス」
「いいねぇ」
走って逃げようとした女性は、ずり落ちたスカートによって派手に転んだ。
そんな様子を波瑠と太賀は楽しそうに写真を撮る。
女性は泣きながら立ち上がり、また走って逃げ出した。
波瑠と太賀は、もうその女性に攻撃を仕掛けることは無かった。
「ダボダボな服だからこそ実現可能な事だよなぁ」
「そうだな。次の人来ねぇかなぁ」
2人がそんな会話をしてから30分後。
他の人が来ることはなかった。
否。この路地を通った人はいたが、全員男だった。
「さっきはほんと、運が良かったんだな、俺たち」
「そうみたいだな。場所変えねぇか?」
2人がそんな会話をしていた時。
男2人組が路地に入ってきた。
波瑠と太賀はその男2人組を見ると同時、異質な緊張感を感じた。
「あの2人組を見てから、なんか気分悪いんだけど」
「俺もなんだが」
「これってあれか?神様が言ってた『誰が能力者かは分かるようになっている』ってやつじゃねぇか?」
「あまりに唐突な気分の悪さだし、2人同時に感じてるからそうかもしれねぇな」
路地に入ってきた男2人組を能力者と即座に判断した2人は、少し躊躇いつつも殺しにかかった。
「不意打ちだし、ほんとに能力者かどうか分からないから結構心に来るが、やるしかねぇよな」
「だ、大丈夫だって。どうせ神様の力で蘇るし」
「よし。覚悟は決めた。“刀”最多生成」
波瑠の発言と同時に7本の刀が生成された。
その内5本は空中に、残りの2本は波瑠の両手に。
「はい」
「さんきゅ」
波瑠は手元に生成された刀の1本を太賀に渡した。
そして、波瑠は真剣な顔付きで、敵2人を見つめた。
「いくぞ」
「気をつけろよ」
「おう」
敵2人はまだ波瑠と太賀に気づいていない様子で路地の真ん中当たりまで歩いてきていた。
そんな2人に、波瑠が操る刀が襲いかかった。
「なんだありゃ!」
「うおっ!」
敵2人は元から警戒していたのか、ギリギリのところで刀を回避した。
が、刀は再び空中に上がり、Uターンして襲いかかる。
「なんなんだよ!」
「方向“逆”!」
敵2人のうち1人が『“逆”』というと同時、襲いかかっていた刀は再びUターンをし、空中へと舞い上がった。
「おいおい、どうしたんだよ。刀訳わかんねぇとこ飛んでるぞ」
「俺にもわかんねぇよ!あの2人狙ってるのに真逆の方に行っちまう」
波瑠と太賀がテンパっていると、刀の主を探していた敵2人が、波瑠と太賀を発見した。
「あ、あいつらだ!」
「よし、今度は俺らのターンだ」
敵2人はジリジリと波瑠達に向かって歩いてきた。
「やべぇぞ。とりあえず飛んでいった5本を消して、新しいの作れ!」
「お、おう!少しの間だけ頑張ってくれ」
「了解。俺の本当の力を発揮してやろう」
少しだけ冷静さを取り戻し、波瑠達も臨戦態勢に移行する。
「先手必勝!」
敵が能力を使ったようで、太賀の視界から敵2人が見えなくなった。
「ちっ。まためんどくせぇことしやがって」
すぐさま太賀は対応し、視界を“開”いた。
視界を“開”いた事によって、幻覚は消え去り、敵2人がこちらに向かって走ってきているのが見えた。
太賀は瞬時に空間を“開”いた。
「「なっ!!」」
敵2人が驚愕した。
敵2人と太賀の距離がかなり離れたのだ。
つい先程まで至近距離まで近づいていたのに、だ。
「よし、出来たぞ!」
「恐らくだが、『“逆”』と言われたら、敵2人から離れるように動かせ。方向を逆に変えられたんだと思う」
「了解」
波瑠は刀5本を再び生成し終え、攻撃態勢に移行。
敵2人と時間稼ぎをしていた太賀は、『何故刀が真逆に飛んでいったか』を考え、導き出した答えを基に波瑠にアドバイスをした。
波瑠が敵2人の注目を集めるように刀を空中で舞い踊らせる。
その間に太賀は路地を出てどこかへ走り出した。
「また刀が来る。任せたぞ」
「分かってるよ。準備万端だ」
敵2人の会話を無視し、刀を敵2人に向けて飛ばした波瑠は、刀の動きを注視した。
「方向“逆”!」
再び敵によって一瞬だけ刀は敵から遠ざかる様に動いた。
だが、波瑠がすぐさま敵から遠ざける様に動かすことを意識したために、刀は敵2人へと向かっていく。
方向を逆にされたなら、遠ざける方向に動かせば近づく方向に動く。
その原理を活かした戦法だ。
「おい!ちゃんとしろよ!」
「やったけど!もう1回、方向“逆”!」
またも、刀が遠ざかりそうになる。
しかし、波瑠はすぐさま対応する。
「こうなったら連続で方向を“逆”にしろ!」
「了解!」
方向反転を連続して繰り返すことによって、刀を空中で留ませる事にした敵2人だが、太賀が外の道を回って背後に来ていたことに気づかなかった。
事実、敵2人の作戦は成功し、刀は動かなかった。
しかし、太賀の能力で作戦は無駄になった。
「グッバイ」
太賀がそう言って、敵2人の首を背後から掴んだ瞬間、敵2人の首の肉が裂けた。
血しぶきが太賀の顔を汚す。
敵2人は、裂けた部分が中枢神経にまで到達していなかったがために意識は残っていたが、もはや能力を使う余裕などなかった。
「「ああああああああああ!!!!!!!!」」
敵2人は激しい痛みに苦しみ、悲鳴をあげた。
そうこうしているうちに、“逆”能力によって空中に固定されていた刀は敵2人に向かっていき、口内に刺さった。
血を口から溢れさせ、敵2人は完全に亡きものとなった。
「ヴェェェェ」
敵2人が倒れた後、すぐに太賀は嘔吐した。
肉が裂けるのがこんなにもグロいものだとは思ってもいなかったのだ。
「とりあえず俺、なんか拭くもん買ってくるな」
「だずがる。ウッ」
太賀が血塗れになって嘔吐している様子を見た波瑠は、路地を出て何かを買いに行こうとした。
その時、敵2人と太賀に付いた血が薄れ始めた。
「なんだ?」
「ヴェェェェ」
未だ吐き続ける太賀をよそに、波瑠が気になり様子を見ていると、敵2人と血は消えていった。
「神様の仕業か?」
「ヴッ……ヴェェェェ」
「そろそろ止まらない?」
首を横に振る太賀を見て、波瑠は溜息をついた。
「まぁ、ありがとな」
波瑠がそう言うと、太賀は右手で口を抑えながら左手でグッジョブとやってきた。
その後3分間、太賀は吐き続け、顔色を真っ青にしながらもう大丈夫とだけ言った。
「どっか食いに行く?」
「いらない」
「腹減ってない?」
「減ってるけど食欲無い」
「俺奢るよ?」
「食べたらまた吐きそう」
「そっか……」
そんな会話をして、路地から波瑠達は去っていった。
話は涼啓達へと戻り、涼啓と千春は楽しくデートをしていた。
いや、涼啓は結構疲れてきていた。
千春が趣味全開でオカルト系の話をした訳では無い。
そこら中の服屋に連れ回され、千春考案のコーデを沢山着させられたのだ。
「もうそろそろ休憩しないか?」
「もうですか?」
「いや、もう少なくとも10軒は回ったと思うんだが」
「仕方ないですね~」
そう言って、千春は物凄く楽しそうな笑顔で、涼啓はだいぶ疲れた顔で、ゆっくり休めそうなフードコートの隅へと向かって行ったのだった。
“刀開ペア”vs“逆映ペア”、刀開ペアの作戦勝ち。
涼啓と千春がデートをしている間、他の場所ではとあるペアが“脱感ペア”と同じように、一般人に手を出していました。
そんなペアは他のペアと出会い、戦い始めます。
涼啓と千春のデートの邪魔をするのもアレなので、私達はこちらの戦いを見ましょう。
「何が『能力者同士は惹かれ合うように用事が発生する』だよ。ただ2日連続で警報が出ただけじゃねーか」
「ほんと、神様ちゃんとやってんかって話だわ」
涼啓が1番初めに目撃した能力者、“刀”能力保持者の藏部 波瑠と“開”能力保持者の花路 太賀は、あまりの能力者との遭遇のしなささにボヤいていた。
先日の午後から、2人は退屈しのぎとして一般人に手を出し始めた。
「今日もやっちゃう?」
「やっちゃおう」
11:00という時間帯によるものだろう。
2人が歩く街道の交通量は無いに等しく、通行人は視認できる範囲で4、5人程度だ。
ただ、2人が退屈しのぎをする上で最適な条件は、視認できる範囲に女性1人か2人しかいないというもので、もう少し人通りの少ない路地へと入っていく。
「こことか丁度人来そうじゃね?」
「ここで待っとくか」
そうして2人は周りに人がいない路地で、通行人を待つことにした。
2人の予想は的中し、5分と経たないうちに女性が1人で路地に入ってきた。
「“刀”3本生成。お前も準備できたか?」
「あぁ。ちゃんと意識は向けてるよ」
「いくぞ」
そんな2人の会話は女性の耳には届かず、波瑠の生成した刀が女性に襲いかかった。
厳密に言えば、女性の来ていたダボダボな服に襲いかかった。
急に飛んできた3本の刀に一般女性が瞬時に対応出来るわけもなく、女性は服を3箇所切られてしまった。
「きゃっ!!!」
「安定した精度の良さだな」
「もっと褒めてもいいんだぜ?」
「次は俺の番だな。“開”ける」
刀は女性の服を切り裂くと、女性の少し後ろの方で停滞した。
刀によって作られた破れた箇所は、左肩、左腹部、右腹部。
上着、下着だけでなく、ブラジャーまでも切り裂いている。
それらの破れた箇所が、不自然に開けていく。
「ちょっとなにこれ!意味わかんないんだけど!」
「丁度左乳がギリ見えないこの感じ、たまらんねぇ」
「これだからやめらんねぇよな」
「次、下いこうぜ」
一定距離があり、尚且つ波瑠と太賀は隠れているため、未だ女性は2人の存在に気づかない。
「服がぁ……どうしよ、これ……」
「ふと思ったけど、凄いトラウマになるよな、これ」
「今更だな、おい。刀飛んでくるとか今の時代だと考えられねぇぞ。てか、江戸時代とかでも3本の刀が飛んでくるとか無かったと思うぞ」
「確かにそうだな」
そんな会話をしながら、波瑠は停滞させていた刀3本を再び操り始める。
今度は上からスカートを狙いにいくようだ。
「よし、いくぞ?」
「おう」
刀は波瑠の思い通りに、スカートのゴムの部分を切り裂く。
スカート後ろ側のゴムが切られ、少しだけスカートが緩む。
「もうやだ!」
女性がそう言って、路地から急いで出ようとしたその時、3本目の刀が上空からスカートのゴム目掛けて、柄を下にして降ってきた。
柄は見事ゴムにピンポイントで当たり、そのままスカートをずり落とす。
「うわっ!!」
「シャッターチャーンス」
「いいねぇ」
走って逃げようとした女性は、ずり落ちたスカートによって派手に転んだ。
そんな様子を波瑠と太賀は楽しそうに写真を撮る。
女性は泣きながら立ち上がり、また走って逃げ出した。
波瑠と太賀は、もうその女性に攻撃を仕掛けることは無かった。
「ダボダボな服だからこそ実現可能な事だよなぁ」
「そうだな。次の人来ねぇかなぁ」
2人がそんな会話をしてから30分後。
他の人が来ることはなかった。
否。この路地を通った人はいたが、全員男だった。
「さっきはほんと、運が良かったんだな、俺たち」
「そうみたいだな。場所変えねぇか?」
2人がそんな会話をしていた時。
男2人組が路地に入ってきた。
波瑠と太賀はその男2人組を見ると同時、異質な緊張感を感じた。
「あの2人組を見てから、なんか気分悪いんだけど」
「俺もなんだが」
「これってあれか?神様が言ってた『誰が能力者かは分かるようになっている』ってやつじゃねぇか?」
「あまりに唐突な気分の悪さだし、2人同時に感じてるからそうかもしれねぇな」
路地に入ってきた男2人組を能力者と即座に判断した2人は、少し躊躇いつつも殺しにかかった。
「不意打ちだし、ほんとに能力者かどうか分からないから結構心に来るが、やるしかねぇよな」
「だ、大丈夫だって。どうせ神様の力で蘇るし」
「よし。覚悟は決めた。“刀”最多生成」
波瑠の発言と同時に7本の刀が生成された。
その内5本は空中に、残りの2本は波瑠の両手に。
「はい」
「さんきゅ」
波瑠は手元に生成された刀の1本を太賀に渡した。
そして、波瑠は真剣な顔付きで、敵2人を見つめた。
「いくぞ」
「気をつけろよ」
「おう」
敵2人はまだ波瑠と太賀に気づいていない様子で路地の真ん中当たりまで歩いてきていた。
そんな2人に、波瑠が操る刀が襲いかかった。
「なんだありゃ!」
「うおっ!」
敵2人は元から警戒していたのか、ギリギリのところで刀を回避した。
が、刀は再び空中に上がり、Uターンして襲いかかる。
「なんなんだよ!」
「方向“逆”!」
敵2人のうち1人が『“逆”』というと同時、襲いかかっていた刀は再びUターンをし、空中へと舞い上がった。
「おいおい、どうしたんだよ。刀訳わかんねぇとこ飛んでるぞ」
「俺にもわかんねぇよ!あの2人狙ってるのに真逆の方に行っちまう」
波瑠と太賀がテンパっていると、刀の主を探していた敵2人が、波瑠と太賀を発見した。
「あ、あいつらだ!」
「よし、今度は俺らのターンだ」
敵2人はジリジリと波瑠達に向かって歩いてきた。
「やべぇぞ。とりあえず飛んでいった5本を消して、新しいの作れ!」
「お、おう!少しの間だけ頑張ってくれ」
「了解。俺の本当の力を発揮してやろう」
少しだけ冷静さを取り戻し、波瑠達も臨戦態勢に移行する。
「先手必勝!」
敵が能力を使ったようで、太賀の視界から敵2人が見えなくなった。
「ちっ。まためんどくせぇことしやがって」
すぐさま太賀は対応し、視界を“開”いた。
視界を“開”いた事によって、幻覚は消え去り、敵2人がこちらに向かって走ってきているのが見えた。
太賀は瞬時に空間を“開”いた。
「「なっ!!」」
敵2人が驚愕した。
敵2人と太賀の距離がかなり離れたのだ。
つい先程まで至近距離まで近づいていたのに、だ。
「よし、出来たぞ!」
「恐らくだが、『“逆”』と言われたら、敵2人から離れるように動かせ。方向を逆に変えられたんだと思う」
「了解」
波瑠は刀5本を再び生成し終え、攻撃態勢に移行。
敵2人と時間稼ぎをしていた太賀は、『何故刀が真逆に飛んでいったか』を考え、導き出した答えを基に波瑠にアドバイスをした。
波瑠が敵2人の注目を集めるように刀を空中で舞い踊らせる。
その間に太賀は路地を出てどこかへ走り出した。
「また刀が来る。任せたぞ」
「分かってるよ。準備万端だ」
敵2人の会話を無視し、刀を敵2人に向けて飛ばした波瑠は、刀の動きを注視した。
「方向“逆”!」
再び敵によって一瞬だけ刀は敵から遠ざかる様に動いた。
だが、波瑠がすぐさま敵から遠ざける様に動かすことを意識したために、刀は敵2人へと向かっていく。
方向を逆にされたなら、遠ざける方向に動かせば近づく方向に動く。
その原理を活かした戦法だ。
「おい!ちゃんとしろよ!」
「やったけど!もう1回、方向“逆”!」
またも、刀が遠ざかりそうになる。
しかし、波瑠はすぐさま対応する。
「こうなったら連続で方向を“逆”にしろ!」
「了解!」
方向反転を連続して繰り返すことによって、刀を空中で留ませる事にした敵2人だが、太賀が外の道を回って背後に来ていたことに気づかなかった。
事実、敵2人の作戦は成功し、刀は動かなかった。
しかし、太賀の能力で作戦は無駄になった。
「グッバイ」
太賀がそう言って、敵2人の首を背後から掴んだ瞬間、敵2人の首の肉が裂けた。
血しぶきが太賀の顔を汚す。
敵2人は、裂けた部分が中枢神経にまで到達していなかったがために意識は残っていたが、もはや能力を使う余裕などなかった。
「「ああああああああああ!!!!!!!!」」
敵2人は激しい痛みに苦しみ、悲鳴をあげた。
そうこうしているうちに、“逆”能力によって空中に固定されていた刀は敵2人に向かっていき、口内に刺さった。
血を口から溢れさせ、敵2人は完全に亡きものとなった。
「ヴェェェェ」
敵2人が倒れた後、すぐに太賀は嘔吐した。
肉が裂けるのがこんなにもグロいものだとは思ってもいなかったのだ。
「とりあえず俺、なんか拭くもん買ってくるな」
「だずがる。ウッ」
太賀が血塗れになって嘔吐している様子を見た波瑠は、路地を出て何かを買いに行こうとした。
その時、敵2人と太賀に付いた血が薄れ始めた。
「なんだ?」
「ヴェェェェ」
未だ吐き続ける太賀をよそに、波瑠が気になり様子を見ていると、敵2人と血は消えていった。
「神様の仕業か?」
「ヴッ……ヴェェェェ」
「そろそろ止まらない?」
首を横に振る太賀を見て、波瑠は溜息をついた。
「まぁ、ありがとな」
波瑠がそう言うと、太賀は右手で口を抑えながら左手でグッジョブとやってきた。
その後3分間、太賀は吐き続け、顔色を真っ青にしながらもう大丈夫とだけ言った。
「どっか食いに行く?」
「いらない」
「腹減ってない?」
「減ってるけど食欲無い」
「俺奢るよ?」
「食べたらまた吐きそう」
「そっか……」
そんな会話をして、路地から波瑠達は去っていった。
話は涼啓達へと戻り、涼啓と千春は楽しくデートをしていた。
いや、涼啓は結構疲れてきていた。
千春が趣味全開でオカルト系の話をした訳では無い。
そこら中の服屋に連れ回され、千春考案のコーデを沢山着させられたのだ。
「もうそろそろ休憩しないか?」
「もうですか?」
「いや、もう少なくとも10軒は回ったと思うんだが」
「仕方ないですね~」
そう言って、千春は物凄く楽しそうな笑顔で、涼啓はだいぶ疲れた顔で、ゆっくり休めそうなフードコートの隅へと向かって行ったのだった。
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