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第一章 青き誓い
9、金色の姉弟(8)
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マルティータは緊張に張り詰めていた喉で深呼吸を一つしてから、口を開いた。
「わたくしはここよ」
前後に伸びる廊下、両端に鎮座する闇の中に、少女の声が飲み込まれる。
心臓が鼓膜のすぐやってきたかのように鼓動が大きく聞こえている中、耳を澄ます。
そうしていると、風に乗ってまたあの声が聞こえた。
「こっちへ」
静かな問答を繰り返し進むうちに、だんだんと声の輪郭がはっきりしてくる。
声が遠ざかれば誤りで、近づけば正解だ。
そして、マルティータはある部屋へとたどり着いた。
少女が歩みを止めたのと同時に、扉が開く。
「マルティータ」
そこには、真夜中にあっても自ら光り輝いているプラチナブロンドをもった子どもがいた。
少女のような美少年だ。顔立ちや服装はヴァニアス人ともペローラ人とも異なる。
「待っていたよ。さあ、入って」
彼だ。同じ声音にマルティータが驚いて何もできずにいると、少年は彼女の手を取って強引に引き入れ、扉を閉じきった。
煌々とした明かりに目を慣らしながら屋内を見回すと、近くの寝椅子に女が寝そべっていた。
ほっそりとした彼女は腹だけが大きく膨らんでいて、眠る息は見るからに浅く苦しそうだ。
そして驚くべきことに、女の髪はウィスティリアの花と同じ淡い薄紫を湛えていた。
花のように美しいひと。
「姉さん、マルティータが来てくれたよ」
マルティータが見惚れているうちに、少年は膝をついて女の汗を拭った。
ちらりとよこした彼の視線は、髪と同じ黄金色だった。縦長の瞳孔が黒々として深い。
「ありがとう。僕の声を聞いてくれて。迎えに来たかいがあるよ」
「あなたはスィエルなの? その方を助けたかったの?」
マルティータは少年の隣で彼の姉に向かって屈んだ。
船には同乗していなかったはずだけれど。少女は首を傾げた。それに名前も、なぜ?
「端的に言うと、そう。さっきといい、理解が早くて助かる。本当に君は人間なのかい?」
一瞬むかっとしたけれど、彼の飄々とした調子に煽情の意図はなさそうなので飲み下す。
青ざめた妊婦の手前、落ち着いてしかるべきとも思った。
「わたくしはここよ」
前後に伸びる廊下、両端に鎮座する闇の中に、少女の声が飲み込まれる。
心臓が鼓膜のすぐやってきたかのように鼓動が大きく聞こえている中、耳を澄ます。
そうしていると、風に乗ってまたあの声が聞こえた。
「こっちへ」
静かな問答を繰り返し進むうちに、だんだんと声の輪郭がはっきりしてくる。
声が遠ざかれば誤りで、近づけば正解だ。
そして、マルティータはある部屋へとたどり着いた。
少女が歩みを止めたのと同時に、扉が開く。
「マルティータ」
そこには、真夜中にあっても自ら光り輝いているプラチナブロンドをもった子どもがいた。
少女のような美少年だ。顔立ちや服装はヴァニアス人ともペローラ人とも異なる。
「待っていたよ。さあ、入って」
彼だ。同じ声音にマルティータが驚いて何もできずにいると、少年は彼女の手を取って強引に引き入れ、扉を閉じきった。
煌々とした明かりに目を慣らしながら屋内を見回すと、近くの寝椅子に女が寝そべっていた。
ほっそりとした彼女は腹だけが大きく膨らんでいて、眠る息は見るからに浅く苦しそうだ。
そして驚くべきことに、女の髪はウィスティリアの花と同じ淡い薄紫を湛えていた。
花のように美しいひと。
「姉さん、マルティータが来てくれたよ」
マルティータが見惚れているうちに、少年は膝をついて女の汗を拭った。
ちらりとよこした彼の視線は、髪と同じ黄金色だった。縦長の瞳孔が黒々として深い。
「ありがとう。僕の声を聞いてくれて。迎えに来たかいがあるよ」
「あなたはスィエルなの? その方を助けたかったの?」
マルティータは少年の隣で彼の姉に向かって屈んだ。
船には同乗していなかったはずだけれど。少女は首を傾げた。それに名前も、なぜ?
「端的に言うと、そう。さっきといい、理解が早くて助かる。本当に君は人間なのかい?」
一瞬むかっとしたけれど、彼の飄々とした調子に煽情の意図はなさそうなので飲み下す。
青ざめた妊婦の手前、落ち着いてしかるべきとも思った。
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