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初恋とケーキ
しおりを挟むなんだか、癒されたな。
正治は、ケーキの材料を袋から取り出しながら上機嫌だった。
「よろしければ、また。」
別れ際の彼女の笑顔が浮かんでくる。
美人な女性、お洒落な女性は、何人でも見てきている。
だがー
そうだ!!
正冶は、ただただ、あの出会ったシスターにもう一度会いたかった。
「来てくれたのですね。」
「済みません、小森正冶と申します。」
「初めまして、清水如愛と申します。」
「もう、ミサは終わってしまいましたか?」
「ええ、本当に申し訳ございません。」
「そうですか、宜しければ、これ・・・」
少し緊張ぎみになりながらも、赤いバラの花束と、初めて作ったケーキを彼女に手渡そう
とする。
「ああ、イエス様へ、ご報告をいたしますと共に、あなた様の気持ちを、今、受け取らせて
頂きました、本当にありがとうございます。」
受け取ってから、如愛は、中にバラの花が入っていることに気がつき、困惑する。
「君の・・・、いや。」
ぎこちない雰囲気が二人を包んだ。そして、甘いケーキの香りもかすかにする。
「あの、その・・・。」
「あ、いや、嫌じゃなかったら、シスター様、俺・・、いや、僕の人生相談にのって下さい
ませんか?}
「あ、解りました」
教会の、聖拝堂に通される。
ステンドグラスの光が、聖なる光を帯びている。
「僕、本当にこのままでいいのか、悩んでいて・・・。」
「お金にでしょうか?お仕事にでしょうか?」
「今の仕事、確かに仕事は出来ていいるんです、ただ、続けないと、親の仕送りも出来な
いし・・・。だから続けている、けど、何ていうか・・・」
「本当は、そのお仕事、向いておられないのでは?」
「いや、こなせてはいるのですが、新しい職場につこうにも、高校へ・・・行ってないんです。」
言いながらも、真剣に言葉ひとつひとつ聞いてくれる彼女を、やはり彼は好きになって行った
「こちらのケーキは、正冶様がお作りになられたのですか?それなら、お料理の世界でご精進
なさってはどうでしょうか?」
「・・考えたこと、なかったです。」
「あとは、そうですね・・」
「それ、いい提案だと思います!」
「体力に自信があるならば、大工さんでも・・・。」
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