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松葉杖の少女
しおりを挟む入ってきたのは松葉杖をついた少女だった。
「あ・・・すまない。」
ぼうっとしていたことに気づき、あわててドアから離れる。
さらっ。
少女の髪が靡き通り過ぎてゆく。
ガタン。
「きゃっ、」
「危ない」
がしっと倒れそうになる少女を誠一は捕まえた。
「済みません、ありがとうございます。」
「いや・・・おれは別に。」
離される手と腕。
「お穣ちゃん、よかったらすわりなさい。」
親切なお爺さんが席を譲ってくれた。
「その、ありがとうございます、ですがおじい様も座っていないと・・・」
誠一は二人のやり取りを見て暖かな感情が生まれる。
「済みません、失礼ですが譲ってくれませんか?二人共仲がいいみたいだから。」
おじいさんの隣に座っていた、学生の女の子に誠一は話しかける。
「あ、は、はい。」
学生はすくっと立ち上がり、席を松葉杖の少女に譲ってくれた。
誠一は最初はそれから二人の会話に入ろうとせず、立ってなんとなく二人の話を聞いていた。
どうやら、少女は駆け出しで歌を歌っているらしく、今日はそのコンサート会場に行く途中なのだとか。
「残念だね~、わしゃもう今日は予定があって見にいけんよ。」
「そうですか。私、木下小雪と申します。よろしければまた、チャリティーコンサートなので、来てください。場所は「木漏れ日の下ホール」という所で毎週日曜日の午後1時からやっておりますので。」
(なんだか、暖かいな・・・)
誠一はまだ黙って聞いている。
「お兄ちゃんや、君は何か今日用事があるのかね?」
「え・・・。」
「このお穣ちゃん一人じゃ歩くのも大変だよ、わしの変わりに木漏れ日のしたホールまで連れて行ってくれんかね。」
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