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その名は…

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「ゴロゴロゴロゴロ……」

「ちょっと、リック! うるさいわよっ! 静かにしなさいってば!」(梅子)

「…え、でも、これでもオイラ的には、なるたけ静かに転がってるんですけども…」

「だいたい、なんでそんなに、ゴロゴロ転がってんのよ!」

「…え、だって、オイラ、ダンゴ虫だし…」

「別にじっとしてたっていいでしょ! もそもそ歩いたっていいはずだし…。仰向けになると、……色んな意味で困ったことになるけど……」

「…え、だって、……誰かさんが、小声で、『転がれ!』とか、『Go!』とか言って、叩くから……」

「…誰が?」

「……誰がって……」

「にょ~~~ほほほ~~~♪ いいじゃな~~~い♪ そのために、この部屋丸くしてるんだしぃ~~♪ バシッ! バシバシッ!」(すず子)

「ゴロゴロゴロゴロ……」

「そのためじゃないじゃろ…」

「ピロリロリ~ン♪ バタンッ やっほ~♪ みんなおげりんこ~?♪ キタッキ~がキタッキ~♪」

「……。」

「ゴロゴロゴロゴロ……」

「リック! リック・だんごムシード! ホントに止まりなさい! 人が増えてきたから、本気で邪魔なんだって!」

「ピロリロリ~ン♪ バタバタンッ(ドアの開閉音) 寒いねぇ~♪ マフラー持ってきたよ♪ 」

「クロ~マ、逆にもうそんな時期じゃないし…。確かに今日は寒いけどさ…」(梅子)

「ピロリロリ~ン♪ バタバタンッ こんにちパタパタ♪ くしゅんくしゅん……なかなかタクシーが拾えなくて…。花粉症になっちゃったみたい…。コロコロ… 」

「ヒメッセン…、あ~たが花粉症になってどうするよ…(笑)。だいたい、タクシー使う時は、ウチに電話してくれれば、ウチのダンゴ虫タクシーを行かせるのに…」(すず子)

「……え?……オイラ?……そんなの聞いてない……」

「ピロリロリ~ン♪ バタンッ ほ~~~ほけっきょっきょ♪ ウグイス来たよ~~♪ ウグイスだよ~~♪ ほ~~~ほけっきょっきょっきょ~♪」

「…もず~ら、あんた、いつか本気で怒られるよ…。本物のウグイス様に…、ウグイス様こそが、我ら、鳥一族の頂点に……」

「ピロリロリ~ン♪ バタンッ キュッキュッ!キュッキュッ! ウグイス来たよ~♪ みんなお待ちかねの、ウグイスだよ~♪ 私がウグイスだよ~♪ ほら見てみて~、この一点の曇りもない輝くばかりの黄緑色~♪ 真っ白なお目目~♪ キュッキュッ!キュッキュッ!」

「……いや、めじろん……あんたも間違いなく違うから…。だいたい全然鳴けてないし……。見た目のイメージで人間違いひとまちがいされてるだけでしょ……」

「ピロリロリ~ン♪ バタンッ …うぐいすウギー登場!パーティやってるんだってね! ケキョケキョケキョキョケッケッケケキョキョ~♪…………」

「あああー! またかっ! うるさい!うるさい!帰りやがれっ! 下手な鳴き声だな! ニセモノめ!」

「……あ……」(ヒメッセン・姫檜扇水仙ヒメヒオウギズイセン

「あ…………」(キタッキ~・キタキ蝶々)

「…………あぁ…」(クロ~マ・くろまるはなバッチ~)

「……あれは、谷渡り鳴き……」(めじろん・めじろりあん)

「……まだ途中なのに……、すず子ちゃん、彼は本物……」(もず~ら・百舌鳥男もずお



「…………え…………」



「…………」




「ゴロゴロゴロゴロ……」


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