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河内晩柑
しおりを挟む「本日はぁ~♪ 当、牛牛列車にご乗車下さいましてぇ~、ありがとうございますぅ~♪ ワタクシは、車掌の牛丼牛兵衛でございますぅ~♪ 御用がございましたら、何なりとお申し付けくださいませでMO~~ぎゅうぎゅう♪ も~ぎゅうぎゅう♪ 」
「(全く、ふざけた放送、ふざけた名前だな…。車掌と言っても、自分もこの列車を引っ張っている動力の一人なのに…。……それに、私のいるこの二等席は、ガラガラじゃないか……。ガタガタ…ジジジ…ギギギ……んむむ、……やはりこの列車の揺れは、ワタシの脳内チップには良くないな…。思考がずれまくる…。頭の中でワープロ入力を考えただけで、言葉のデータ入力が出来るとは言え……使いこなすには集中力が必要だ…。……しかし、私がいくら小スズメだからと言って、四六時中、ボイレコ入力は使いたくない。ずっとしゃべってろと?(笑) 私はそんなタイプじゃない。……とは言え、ここでキーボードを使うのも……こんなガタゴト列車で使っていては酔ってしまいそうだ…。新聞すら読めやしない……。……なぜ、我々は飛べないのだ?……。自分でこの世界、この肉体を選んで生まれてきたとは……到底思えない……。ウンザリだ……ウンザリ……、そう、あの……あの編集者にもウンザリだな(笑)。毎度毎度、『チュン之介先生!チュン之介先生!早く、新作を書いてくださいよ~、もう100年も書いてないんですから~……100年ぶりの新作、お願いしますよ~……』……私の顔を見る度に、そればかりだ…。だいたい……本当に、もう100年も経ったのか…? 我々の世界で、そんなものなんの意味がある…。この美しい自然の中で、持続可能な我々、小スズメワールドの住人には、100年も1億年も……たいした違いはないではないか……。家に来るたびに、やいのやいの…と……だからこうやって、時々、遠出もしたくなるのだ……。……しかし……この、人間界TVのことをネタにしている三文新聞よりは……余程マシか……人間の政治家は、脱税パーティ、脱税パーティで、脱税し放題だったらしい…。あれでは…国民はまるで奴隷じゃないか…。人口が多けりゃいいというものでもなかろうに……。……核戦争も、疫病の蔓延も……起こって当然か…………ん? 誰かこの車両に入って来たな……)」
「ガラガラッガッシャン!……こ、こ、こ、こ、小スズメ~♪……と、おっちゃん一人か~い? ちょっくらごめんよ~、お邪魔するよチュンチュン~♪」
「(……んあ、な、なんだこの小スズメは……。なぜわざわざ、私の座ってるいる真ん中の横並びの席に来るのだ…? 他の席も、全部空いているというのに……。えらく大きな荷物袋だな…、まるでサンタクロースの袋のような…。それに……ずいぶん、体全体薄汚れているし、……牛臭い……。いや、これは牛牛列車なのだから、当然ある程度匂いはするのだが、それにも増して、これは……まるで、牛と取っ組み合いの相撲でもしてきたかのような……、ん?それに、あの胸ポケットに差してある切符は……三等車の切符じゃないか…。たいした違いはないとは言え、こっちは静かに過ごしたい乗客のためのもの……なんと無作法な……)」
「うんにゃ? おっちゃん、無口だね~♪ 小スズメ一族とは思えねぇ!…なんちってチュン♪ ……なんか眉間に皺が寄ってるし、顔色わりいよ~、そんな難しい新聞なんか読んでるからじゃないの~♪…」
「(……全く、よくしゃべる小スズメ女子だな……しかも随分、ガサツな……私の知っている赤メガネの小スズメ文学女子とは、似ても似つかぬ………ん?……しかし、なにか、あの子と同じような匂いがするような…。梅と…柑橘系の…)」
「ピンポン♪パランMO~♪ まもなく~、トンネルに入りますで牛々~♪ 少々暗くなりますのでぇ~、お気をつけくださいで牛々~♪ 」
「(トンネル?……この小スズメワールドでは、トンネルなんぞ作らないはずでは……)」
「(バサッ!バサバサバササッ!)……藪の中トンネルだよ♪ 最近出来たんだって……藪の中を通るだけだけど、トンネルみたいに、上を屋根のように、蜘蛛糸で縛ってるんだってチュン♪ ホラ、そこら中に、ナチュラル族のスズメさん達がいるでチュン♪ あちこち少し光が漏れ入って、綺麗だね~♪……と、そろそろトンネル抜けるね……この先なんだ♪……おっちゃん、ちっとここ開けるよ♪」
「(は? この重いガラス戸を上げるつもりか? しかも、今日は真冬並みの寒さなのに…、小スズメ女子一人で開くはずがない…。私に手伝えとでも?……)」
「よっ! ガッ! ガラガラッ!」
「(……あ、開けおった……それも片手で軽々……と言うより、ほとんど指一本で……開けたでチュン……この小スズメは一体……。……トンネルの先?……あれは……みかん畑か……いや、文旦畑か……ん? あの丸っこいのは……ダンゴ虫……ダンゴ虫族が3人、手を振っておる……)」
「すず子ちゃ~~~ん!」
「元春~♪ ブライア~ン♪ トムっP~♪ バイトご苦労さ~~ん♪ ほれ~、ひな祭りの時のひなあられでチュ~ン♪ ぽいぽ~~~いと!」
「(袋ごと投げおった……ひなアラレ……あんな大きな袋にそんなものを入れてたのか……)」
「よっしゃ! おっちゃん、左手借りるよ!これはめな!ここに出して!そのままジッとして! 大丈夫、元春は街一番のピッチャーだから!」
「(は!? 何を言ってる? 私の手?……これは何だ?……グローブ!?)」
「あたいは両手にと……来いっ! カモーーン!」
「…ありがとね~♪すず子ちゃ~ん♪ お返し行くよ~♪ ピッチャー振りかぶってぇ~投げました~!♪」
「……ひ、ひやぁあー!! 文旦がー! 文旦が飛んで来るー! 危なーーーい!!」
「……バシッ! ……バシッ!……バシシッ!」
「……私の手……私の手……」
「うっしゃ~! あたいナイスキャ~ッチ! ……みんな、あんがとな~♪ 風邪引くなよ~チュンチュ~~~ン♪」
「(………………)」
「にゃぱぱぱ♪ 学校からグローブ借りてきた甲斐があったでチュン♪ 飾りじゃないのよ~グロ~ブはぁ~♪ おっちゃんも左手サンキュ~♪ お礼にこれ一個あげるでチュンよ♪ ……あ、これ文旦じゃないよ……河内晩柑だから♪……そいじゃあ、あたいはあっち戻って、牛君たちの手伝いしてくるわ♪ お腹の調子が悪い子がいてさ……ウンチ臭かったら、その皮で匂い消しなよ♪ いい匂いでチュンよ~♪ じゃ!♪」
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