【本編完結】転生隠者の転生記録———怠惰?冒険?魔法?全ては、その心の赴くままに……

ひらえす

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第4章 この手の届くところ

6.鑑定術(上)2巻

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 鑑定術(上)の2巻は、どちらかと言えばこれまでの鑑定術をより詳しく見る為の方法が書いてあるようだった。例えば水分量などの成分量や成長速度などを表化して見る為の方法などが細かく記されている。この表の作り方が、なんだか微妙にかつて自分がパソコンで作っていた物に似ている気がしたのは一応ノートに走り書きしておく。ふとした隙に頭の隅で、先日自分がアイテムボックスの本を時代ごとに並び替えた際に思いついたこのレイヴァーンに関する
推測と先ほどの微妙な既視感とを結び付けたくなって止める。
(表なんて、人間が考え出すものならそんな大差はないはず。深読みしすぎるのは駄目だ。それに今は、『幻映』の風の精霊王の言葉を解析する方が先だから…)
 とにかく、鑑定術(上)2巻を読み進めた。
(うーん…役に立つような、そうでもないような…)
 行き詰った時に現れたから、これも何か運命めいたものなのかもと縋るような気持ちになっていたが、そうでもないかもしれない…?
(困ったら助けてくれるんじゃないか、なんて…神頼みなんて柄にもない…)
 神頼みなら、転生する際に最大限させてもらっている。このアイテムボックスをこのまま持ちたいなら、転生後はそれ以上は助けられない、それでも良いだろうかと眉尻を下げて尋ねられたのも思い出した。そう、おかげで好きに暮らしているのだ。多少の不思議な事象が起こっても、それも含めての「アイテムボックス」だという風に理解している。
「…ふふ」
 困った顔をしたセカイさんの顔を思い出して、ついつい苦笑してしまった。もう5年も経とうとしているのに、妙にリアルに思い出してしまう。
(精霊王と神様って、接点はあるのかな。もしかして…それもセカイさんの創造物だったりして)

 いやいや、私はこの世界の管理人なんですよー。
 
 ふいにセカイさんの声とほんわかした話し方を思い出した。
(いやいや…)
 集中が時折切れつつも、鑑定術(上)2巻を読み終えた。おそらく1時間程度経っているだろうか。立ち上げたままになっている『幻映』と『幻影』の紋様を見比べながら、成分表示の円グラフが出るように鑑定術を使ってみる
「ああ、魔法の属性別に出るのね。まあ、確かにそう、な…る…!」
 ブツブツ独り言が口から出るが、まずは幻影の方の円グラフを見て、幻映の円グラフに目を移して…思わず絶句してしまった。
(属性が…光闇と風以外ほぼ無い?どういうこと?)
 森の幻影の方の円グラフは、光闇火水風土の属性は、風と土がやや高めで火が低めなくらいでほぼ円と言って良い形なのだが、幻映の方は…
「風以外の属性が低過ぎる…何故…?」
 風の属性値が大きく、その他はほぼゼロに近い歪な形だった。念の為に何度も確認したが、幻影の円グラフと目盛りの数値は同じだ。
(幻影の方は128年かけて出来ている、幻映は20年…その差?)
 考え得る推測をいくつか出して行くが、そもそもデータが少なすぎて検証する方法も無い。
(とりあえず幻映に少ない部分の属性魔力を補填するとか…?でもそうすると、この精霊王のデータが無くなったりして…)
 結晶の中に干渉するのは止めておいたほうが良い気がする…。
 そこまで考えて…椅子の背にもたれて、森の幻影の方を手に取った。窓越しの光に透かして眺めてみる。透明な部分を透かして、窓の外が見えた。
(外の緑がより緑色に見える…当たり前だけど)
 緑色の石を通して見ているのだ。当たり前だ。色付きレンズの眼鏡で見ているのと同じようなものだ。
(レンズを通して…レンズに属性魔力を載せられたら…)
「いや、レンズを使わなくても…レンズみたいに属性魔法の紋様を保持できれば…!」
 突然ガバリと立ち上がった私にびっくりしたらしい精霊達に本日何度目かのごめんねを言って、歪な円グラフの横に属性を変換する紋様を3つ出す。極端に少ない火、土、水の3属性分だ。以前メリーベルさんに魔力を供給する時に使った物と原理は一緒だが、こちらはそれを逆に…私の魔力に属性を持たせるために使う。とりあえず三つの紋様を重ねて、それにじわじわと魔力を流す。それを操作して、私から見て『幻映』の鑑定用の紋様と重なるように手前に配置する。
「主様、何をしているんですか?」
 後ろからおずおずと話しかけてきたカルラに返事をする。
「これは、眼鏡というか、フィルターというか…これで効果があったら御の字ってところかな」
「魔力のガラスが重ねてある感じ?」
「水と火と土もあるの」
「おもしろーい!」
 精霊達がわらわらと覗き込んでいる。そんなに大した原理でも無いので、マジマジと見られると恥ずかしい。
「主様!見てみて!ゆらゆらしてないよー!」
「本当ですの!」
 そうだ。このフィルター越しに見ると、幻映の紋様の揺らぎが止まって見える。
「すごいです!主様!」
「精霊王さまもゆらゆらしないかも!」
 精霊達にありがとうとお礼を言って、念の為に後ろに下がってもらった。
「まずはここまでは順調かもね…これから先がうまくいくと良いんだけど」
 幻映の※…精霊王の映像を、再び起動させることにした。
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