目指せへいおんライフ!……波乱万丈なんて望んでない!!

おいしいクルミ

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第1部

18:わたし、情報収集することにしました

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重い足取りで宿に戻ると、ハクはすでに宿の前にいた。今のハクは犬のような姿なので、かわいい。道を通っている人がたまに食べ物を置いてくれているらしく、ハクの前には露店や屋台の食べ物がいくつかおかれていた。

みんな微笑ましい目で見ている。




「ハク、お待たせ。」




⦅おそかったな。なにかあったのか?⦆




「だいじょうぶだよ。いこっか。」




⦅うむ。―――ちょっと待ってくれ、この姿ではここにある食べ物がすべてくわえられん。⦆




あわあわと食べ物を全部くわえては落としてを繰り返す。




癒される。




「ふふっ、半分持ってあげるよ。」




⦅感謝する。これらは本当においしいのだ。お礼に分けてやっても良いぞ!⦆




「私は遠慮しておくわ。夜ご飯、買ってきたから大丈夫。」




⦅そうか。⦆




ハクを連れてきて良かったなぁ、と思いながら止まっている部屋に向かって歩き出す。黒い衣装の怪しい女のことは、ひとまず夜ご飯を食べ終わるまでは置いておこうと思えるほどにはハクのおかげで心が回復した気がする。







部屋についてご飯を食べ終わった後、町であった奇妙な女についてもう一度考えてみた。

考えていて気分が悪くなってくるが、時間が少し経っていたために落ち着いて考えることができた。

まず、分かっていることは、“私たちの世界変革”っていっていたことから、何か世界規模のことを起こそうとしていること。それも、”負の感情“と言っていたから、一般人から見て危ないものなのだと思う。それから、私の心の中を見たかのように的確に弱い部分をついてきたことと、時間が止まったかのようになったことから、この人は相当な力を持っているのではないかということ。




“使えそうだったんだけどねぇ。でも、いつかあなたが悔しがって私たちを見てひざまずく姿が目に見えるわぁ”




私が使えそうだった、ということは、私の、この神様のミスによってつきすぎた魔力なども知っていたのだろうか。

また私とかかわる機会はあるのだろうか。

私がひざまずく姿が見えるということは、近い将来決行する、ということでいいのだろうか。




少なくとも40年以内、か。




こう考えられるわけは、この世界の人族の平均寿命が65歳くらいだからである。あの女の人は、声や体格から察するに20代前半くらい。65歳までは余裕をもって45年。

ただ、あの女の人がその”世界変革”を行おうとしている人のトップであるとは限らないため、実際もっと早いのだと思う。







――――――――私は何か行動すべきなのかな……




私は、もっと訓練とかすれば世界でも上から数えた方が早い魔法使いにはなれると思う。その力は、何か世界を揺るがす事態になった時、大いに役立つだろう。

その素質を持っているのだから、やるべきではあると思う。




ただ、それを、大きな力を持ち特別になることを、拒否してしまう自分がいる。




自分の力で世界が救えるかも、なんてうぬぼれるのも体外にしろって話だし、そもそもそう決まっているわけじゃないけれども、仮に何かあったとしたら、そんな些細な自分一人の気持ちで世界を滅ぼすなよ、って話だけれども、




そう簡単に過去に折り合いが付けられない……

なんだか弱いなぁ、私。




でも、今世は長生きしたいし、友達とかいたらいいな、なんて思うし、この世界が大変なことになったら困る。




戦争とはかけ離れた、争いのない世界で生きてきたのだ。たくさんの人が死ぬようなことになったら、自分の力で、たとえ敵でも殺さなきゃいけないことになったら、




――――――――――とりあえず、情報収集をしよう。それから考えよう。




とはいっても、手がかりはあの女の人だけ。

さて、どうしよう。




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