目指せへいおんライフ!……波乱万丈なんて望んでない!!

おいしいクルミ

文字の大きさ
35 / 64
第2部

31:逃走と出会い②

しおりを挟む
「おれは、ライアン・カイル・ホイット。なまえは?」



「あ、えっと、エレナです。」




苗字がある、ってことはどこかの商会か貴族の子なのか。

ミドルネームまであるなんて―――――――――




……ん?




ああぁぁぁ!




この世界では10歳になったらミドルネームをつけるのが一般的なんだっけ!?




わたし、自分で考えなきゃいけないんだ。




どうしようかなぁ。




「あのさ、この町に住んでるの?」




「え?あ、ううん、違います。今日、というかさっき来たばかりです。前にも一度来たことはありますが。」




「そっか。あ、敬語じゃなくていいんだけど?」




考え事しないようにしなきゃ。

ホイットさんいるの忘れてた……。




敬語、いいのかな?

どこかのいい家の子とかだったら失礼になるんじゃ?

まあ、いいって言ってるんだからいいのかな?

けど、敬語以外で話す機会がこっちの世界に生まれてからあんまりなかったから、なんだか敬語が口から出てしまう。

前世でもそんなに誰かと気軽に話してないしなぁ……。







「あの、ここ、どこです?」




そう、さっきから気になっていたのだけど、ここ、どこ?

走るのやめてからも歩き続けてるし―――――――――――




って、まだかつがれてる!?




すっかり忘れてったっていうか、慣れてしまった、っていうか……。




「お、おろしてくださいっ!」




「ん?あぁ、そっか。」




ホイットさんも忘れてたのか……。

気づきそうだけどなぁ。

もしかして、疲れてると思ってずっとかついでくれてたのかな?




「ここは、俺の家の方に向かう道、だな。」




「私、冒険者ギルドに行こうとしていたんですけど、どっちに向かえばつくんですか?」




「ええぇ!?冒険者ギルドに行くの!?」




「はい、そうですけど……?」




「一人で行くの?誰かを迎えに行くの?」




「いいえ?あー、一人で行きますけど、誰かに会う予定はないですよ?」




「登録しに行くってこと?」




「半分正解です。」




「はんぶん?」




「前に登録してたんですけど、ちょっとした事情で2年ほど依頼が受けられなくなってしまって、再発行する必要があるんです。」




「2年前にとうろくしてたの!?」




「はい、そうですよ?」




「え、えっと、失礼かもしれないけど、今、何歳?」




「私は、9歳で、あと3か月で10歳です。」




「お、同い年だったのか……。」




「?」




「おれも10歳なんだ。」




「えぇ!?もっと年上かと思ってました。13歳くらいかなぁ、と。」




「そうか?あんま、年上にみられたことないけど。」




「そうなんですか?ホイットさんは、私のこと、何歳くらいに思ってました?」




「んー、7歳くらい?てか、ホイットさん、ってなんだよ。初めてそんな風に呼ばれたわ。」




「ではなんとお呼びすればよかったのです?」




「ふつーに、ライアンでいいよ。あとさ、同い年だったんだからいいかげん敬語やめろって。」




「で、でも、ライアン君はいいところの子ではないのですか?」




「おれが?そんなんじゃないよ。ホイット商会の3男だ。姉貴もいるから5人兄弟の末っ子だけど。」




「ホイット商会?」




「ん?知らねーの?そこそこ有名だとは思ってたんだけど。」




「そ、そのあまり外に出る機会がなかったもので……。」




「おまえのほうがいいとこの子じゃないのか?」




「いいえ、まったくそんな!」




「そ、そうか。あ、なら、来てみる?」




「??」




「おれんちは、ホイット商会本店の上だからさ、店、見に来いよ。――――――あー、でも冒険者ギルド行くんだっけ?」




「ギルドは明日でも大丈夫です。あの、行ってもいいですか?」




「もちろんだ。」




商会は、自分のとこ――――ディベメント商会――――しか知らないから、ほかのところがどんなふうなのかは気になる。

お金は何日分かはあるし、ギルドはまあ明日でもいいけど、案内付きでお店を見るなんてことは今日しかできない!




「じゃ、いこーぜ。」




「あ、お前おせーから――――――」




そういうと、ヒョイ、っとまたかつがれた。




「ええぇ!?なんで!?」




「だから、お前おせーの。さっさとついた方が長くみられるだろ?」




ふんぬー……




ちっちゃいからか、ちっちゃいからおそいのか!?

成長、2年分の成長、ど・こ・いっ・たーーーー!




今まで成長してない、とわかっても全く気にしてなかったけど、やっぱり2年分の成長は大事だったよ。

かつがれていくのはなんか恥ずかしいー!




10歳、って、男女の身長差少ないときじゃなかったの!?

これじゃ、6歳差くらいには見えるよぉ……。







しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

処理中です...