目指せへいおんライフ!……波乱万丈なんて望んでない!!

おいしいクルミ

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第2部

32:ホイット商会

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「ここだよ。」




裏路地を抜けると、その真正面に大きめのお店があった。




”ホイット商会”




王都とか行ったことないけど、王都にの一番天みたいな、なんでここに本店構えてるの?っていいたいくらい大きい。4階建てだ。




「すごく大きいね!」




「そりゃ、ホイット商会だからな。」




「ホイット商会って、どんなかんじの商会なの?」




「んー、そうだな……。”シェイルイ王国1、2、を争う庶民向け商会、日用品から冒険セットまで各種取り揃えております” ってかんじだな。」




「この国トップの商会なの!?す、すごい!」




ちなみに、この世界はこんなかんじ。



わたしの出身であるこの国はシェイルイ王国。

現在のミラニカ王国から分かれてできた国で、比較的歴史が浅い。

小麦に似た植物が特産で、ほかの国にも結構輸出しているらしい。

でも、それ以外はあまり特徴がない。







「この国住んでる人は大体知ってるぜ?いくら箱入り娘でも、知らないのは珍しいんだけど。」




だ、だって、生まれてからは大体自分のとこの商品で生活できるからほかのお店なんて使わなかったし、そのあとは人間界にすらいなかったんだから……!




「まあ、いいけど。――――――今は客が少ない時間だから、なかで話してても怒られないと思う。」




そういうと、私をおろして中に入っていった。

わたしもそれに続く。




「1階の手前は消耗品とかが多いな。で、その奥が日用の魔道具とか。2階は、冒険者用の武器とかポーション類。他にもあるけどだいたいこんな感じだな。専門店とかみたいにたくさんの種類とかはないけど、だいたい生活に必要なものはここでそろうんだ。」




説明するライアン君の声は少し自慢げだ。




広い店内には、たくさんの商品が行儀よく鎮座し、買って、買って、と言っているようにも見える。

ここで働く人たちの腕前だろう。ディベメント商会なんて並んで建てたらすぐにつぶされてしまいそうである。




広く、浅く、という品揃えは前世のスーパーのような感じだ。

食品は扱っていないようだけど。

まあ、食品に関しては少し離れた、町の中心、ともいえる場所に市場があるのだから、ここで並べてもあまり買う人はいないのだろう。




「とってもきれいな店内ね!お客さんも気持ちよくお買い物ができると思うわ!んー、星3かな。」




「清潔感は何より大事だからな。……入ってからの第一声が店の視察してるやつらみたいだとは思わなかったけど。しかも厳しい……。」




思わずとーさまの教育その3『他店の質定め、入ってすぐにみるべきポイントはまず3つ』を思い出してしまったよ……。

星4とか言っちゃったのは、とーさまの教育のたまものなのだけど、口に出すのは失礼だよね……。

これからは気を付けよう。




ちなみに、みるべきポイントは、




その1、清潔感のある店内か?入りたくなる空間か?

その2、店員さんの接客は気分を害されないものか?常に笑顔でやっているか?

その3、目に入ってくる商品は、それぞれの特徴を殺してはいないか?魅力を引き立てられているか?




である。




星3なのは、一部の商品の並べ方がもう少し工夫できそうだな、って思ったから。

他は完璧だ。




「ライアン君、店内を見て回ってもいい?」




「そのために来たんだろ?」




「うん!」




わたしは、ここに来るまでの間にライアン君と少し親しくなれていた。

敬語が取れるくらいには!

もしかしたらエレナの友達第一号ができるかもしれない、とちょっぴり嬉しかったりする。







ホイット商会は、この国のトップを争えるだけあって、さすが、と言える店だった。




働いている店員さんも、お客さんと接する姿が、接客の見本、っていうかんじだったし、品ぞろえも専門店には負けるにしても、一通りはそろっているからここだけで十分だ。

店内も空間をうまく使っていて、すごしやすい。




けれど、ところどころ改善の余地がありそうな商品棚がある。

新人さんがやったのだろうか?




もう少し工夫できそう、は変わらないけど、しかし、全体を見ると些細なことのようには思える。

が、




「……でも、気になる……。」




「どうかされました?――――――――――あれ、ライアンじゃないか。おかえり、なんで店にいるんだ?」






























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