目指せへいおんライフ!……波乱万丈なんて望んでない!!

おいしいクルミ

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第2部

47:馬車を用意しよう!①

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馬車を見に行ってわかったことがあった。




――――――――馬車、めちゃくちゃ高い。




二人の手持ち金では、旅の最初の1週間の生活を考えると、一番格の低い、乗り心地の悪い1か月レンタル馬車が限界だったのだ。

アリフォニア王国の港町まで順調にいけば6週間ちょっとかかる。

しかし、それはある程度のスピードが出る馬車での話だと思う。




馬車は、同じ大陸内でならどこの馬車場でも返すことができる。だから、馬車を借りて、船に乗る前に無くしてしまおうと考えていたのだ。




今からお金を稼ぐとすると、5日ぐらい出発が延びるだろう。

わたしは構わないけれど、長い移動時間になるため、早く出発したい、とライアン君は言っている。

5日くらいたいして変わらないと思うのだけれど……。




一度精霊界に行って、ソフィアナさんにサッバネレントへ転移させてもらえば一瞬では……、というずるい考えも浮かんだが、さすがにダメだろう。

というか、ソフィアナさんが便利屋のようになってしまう。それは嫌だ。







……それなら、馬車がないのであれば作ればいいのかもしれない。




「馬車、私が作ってみようか?」




馬車の構造は、覚えている。

ソフィアナさんの特訓でマスターした魔法があれば、馬車をつくるくらいならできるかもしれない。




「は?お、おまえがつくるの?えっと、工作レベルの話じゃないんだぞ?」




「馬車くらいなら何とかなるかもしれないの。」




「馬車くらいなら、って……。それ、どのくらい時間かかる?」




「んー、やってみないと何とも言えないけど、1時間くらいあれば乗れるようにはなると思うよ?」




「1時間!?……おれんちの庭でいいか?場所。」




「うん、ありがとう。」







ライアンは、もはや突っ込むことがばからしくなっていた。

エレナって、何でもできるんじゃね?もう、エレナだから何でもアリじゃね?みたいな心境である。










さて、ライアン君の家、ホイット商会の庭にやってきた。

商会の庭とはいっても、ライアン君の家族くらいしか来ないところだという。

しかも、今はお昼過ぎくらいなので、買い物客の対応に行って、庭なんて気にする人がいない、というので遠慮なく使わせてもらうことにした。




ソフィアナさんの魔法特訓で行ったのは、だいたい4つだ。

①リーベを使いこなせるようになること

②魔力量を増やすこと。

③使う場面のありそうな魔法を覚えること

④精霊語を覚え、本家の詠唱を使えるようになること




リーベも本家の詠唱と呼ばれた精霊語での詠唱も、複雑な魔法を扱うことを可能にし、また、魔素への影響力を強め、より強い魔法になる。魔素は精霊の声や波動に反応が良いらしく、リーベや精霊語がよいのはそのためである。

他にもいろいろ効果はあるらしいのだが、詳しく話すと長いから、感覚でつかめ、というソフィアナさんの指導方法により、詳しくはよくわかっていない。




さらに、特訓でこの世のすべては教えられないし、あなたの限界まで高めることは無理だから、ある程度基礎を教えたらあとは世界で”使える魔法”を身につけてこい、というソフィアナさんの指導方針により、精霊としては不十分なようである。

いや、人間だからいいと思うんだけどね?




で、今回馬車づくりには、この詠唱を使う。

そもそも材料もないため、自分で原子とかのレベルから作っていく必要がある。




と、いうわけで!


馬車、作りますか!
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