目指せへいおんライフ!……波乱万丈なんて望んでない!!

おいしいクルミ

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第2部

48:馬車を用意しよう!②

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じゃ、作りますか!!



「”ルーティセラリーエ プラフォーシャソルシオン ・ ファラサー ソーラマイヤ精霊よ ジュ我に ヌスィーニャーナ創造の メイソラレー力を与えよ アンシュエール ライヤー源よ テイア現れ シューヴェリーゼ集えよ 今 ソルシオンここに シュピラン展開 チュチュバエル ”」




私の周りに何色にも輝く光と、紫色に光る魔法陣が現れ、そこだけ異世界のように幻想的かつ神秘的な空間が生まれる。




そして、半透明の直方体が目の前に浮かぶ。




「”ソルシオン源よ シェルーマ形作れ ヒラヴァイラ力をこの手に ジュ アンシュエール変化せよ セルチラー我のもとに ”」




浮かんでいる半透明のそれが、ぐにゃりとゆがんだかと思うと、少しずつ馬車のフォルムに近づいていく。




「”ライヤー我  チョジャレインド感じるままに フォン本当のシェルーマ姿を ジュ フォラガイト形づくれ キョジュヴォンレ ・ エントシジオーネ”」




魔法陣から霧のようなものが出、馬車の形づくられたそれに向かっていく。




そして、詠唱の終了とともに、何事もなかったかのように、すっと光が消える。




残ったのは、まごうことなき馬車である。




半透明だったそれには、着色、装飾が施され、質感も頼りない水のようなものから、金属のように変わっている。







「……す、すげー……。」




光の消えたところを見つめたまま、ライアンはつぶやく。

ここまで大規模な、そしてきれいな魔法を見たことがなかったのだ。

なかなか感動がさめない。




シーンと静まりかえった庭に、安いですよー、という声が店の方から聞こえてきた。




「馬車の本体はこれでいいかな?」




「あ、ああ。十分すぎるくらいだ。これ、馬車場のトップクラスのやつには匹敵するぜ?」




「よかった!実際に実用するものを課題以外で作ったの、初めてだったから少し、心配していたの。」




この魔法、いや、魔術は、すごいものだが、欠点がある。

創造するものの構造がはっきり理解できていなければならないのだ。

仮にこれが使えたとしても、構造がはっきり思い浮かべられなければ、詠唱終了前に消滅してしまう。




わたしは、馬車の構造も、作られている物質の化学式も、すべてはっきり思い浮かべられたために、ここまでちゃんとしたものができたのだ。

図書館1個分の知識量は今世でも大いに役立っている。




これが、魔法、じゃなくて、魔術、というのは、古代のものだからだ。

魔法は、昔、魔術と言われ、今よりも効率的で実用的に使われていたという。

魔術、と今も精霊が呼ぶものは、魔法よりも神聖視されている、特別なものだけだ。




「馬車本体は、これでいいとして、馬車をひくものが必要なのと、中の空間を快適にしないといけないの。これもつくっちゃう?」




「え、っと、つくれるものなの?」




「本物の生き物じゃないけどね。」




「??」




「一回やってみるから、みて判断して。」




さっきと同じように詠唱する。




そうしてできたのは、本物そっくりの馬のゴーレムだ。




本来ゴーレムは失われた古代技術とされているのだが、そんなことは知らないエレナは、機械、ロボットをつくる要領で作ってしまったのである。

体の仕組みなんかもわかっているため、動きもスムーズ。

魔力で動くので、食費もかからない。




「……す、すげー……。」




「これだったら、安定して進めるし、馬のコンディションとかに関係ないから楽だと思うよ。それに、生きていないから馬車と一緒にマジックバックに入れて持っていけるし。」




「マジックバックの容量、大丈夫なのか?」




「へ?容量?」




「知らねーの?マジックバックにだってしまえる限度があるに決まってるだろ?手を入れてしばらくそのままにしておけばわかるって、誰か言ってたぜ?ためしてみれば?」




「うん。―――――――あ、えっと、町2個分、だって。」




「へえ、それなら馬車も大丈夫だな……って、町2個分!?」




うん、ふつうどのくらいかわからないけど、さすがに大きいと思うよ、私も。

何そんなに入れるの?って感じだよね。




「ま、まあ、とにかく大丈夫でしょう?」




「あ、ああ、そう、だな。」




「で、でね、中なんだけど、開けてみて。」




「―――――――――おお!いいじゃん!2人だからまあまあ広々できるな。イスもおれの知ってるやつの何倍も座りやすい!」




「それで、対面してるイスの、御者側の席の右横の真ん中に小さく正方形に線が入っているでしょう?」




「ん?――――あ、あった。」




「そこ、開くから開けてみて。」




「開けたけど、これ、何?」




そこにあるのは、赤、青、黄色の3つのボタンだ。




「快適に過ごすための機能だよ。押せばわかるけど、お楽しみにとっておこう!」




そういって、私はマジックバックにひょい、と馬車を吸い込ませた。




「は!?そこまで見せといて、機能は見れないの!?」




「お楽しみ、だよ!」




馬ゴーレムも中に入れておく。

まだ魔力を流していないため、動いてはいないが、詠唱終了までに消えなかった時点で想像した通りのものはできているため、調べなくとも大丈夫だろう。




こうして、ほとんど準備が整った。







































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