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第2部

Side ライアン

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おれ、ライアン・カイル=ホイットは、ホイット商会の末っ子。

毎日、暇で暇でしょうがない。




何か、面白いもの、ふってこないだろうか。




そんな俺の暇つぶしは、裏路地の新ルート開拓だ。




本当なら冒険者の活動を毎日していたいが、週に3回まで、と決められてしまった。




今週はすでに3回依頼を受けているから、裏路地に行った。







くねくねした道を今まで行っていない方に行けるようにまがっていく。




そんなときだ。




普段ならほとんど人に会わない裏路地で、自分以外の人の気配がしたのは。




こちらに向かってくるようなので、こんなところを通るのはどんな人か見ようと立ち止まった。




すると、小さな女の子が一生懸命走っているのが見えた。




その後ろには、もう一人誰かいるようだ。




小さな女の子は、走って体力の限界なのか、だんだんスピードが遅くなっていた。




「おい、大丈夫か?」




思わず声をかけてしまった。




「だ、じょぶ、じゃ、な、い。」




何があったのかはわからないが、鬼ごっこのようなかわいらしいものをしている様子ではない。







「逃げてんの?よくわからないけど、逃げ切りたいんだな?」







捕まったらまずいのか?

何かあってからでは遅い。おれは女の子を担ぎ上げて走り出した。







「ふぇ?」







驚いているようだったが、とりあえず追っ手を撒けるまで走った。







落ち着いた頃、お互いに自己紹介をする。




小さい女の子、エレナは、話していると表情がコロコロ変わって、みていると面白い。

うちは、ポーカーフェイスの上手い商人一家。

なかなか顔に考えていることが出ないから新鮮だ。




エレナは、ホイット商会を知らなかった。

この国にホイット商会を知らない人がいるなんて思いもしなかった。




どこかの貴族の箱入り娘なのか?

着ているものも結構良いものを使っているし、装飾品、腕輪も豪華だ。




本人に言ったら、なぜかめちゃくちゃ強く否定されたが。

なぜだ?







そして、なんと、エレナは同い年だったらしい。

なかなか同い年には見えないけど……。




さらに、なんと、こんなちいさくて細い女の子が、冒険者ギルドに行く途中だったんだと。




2年前には登録してた、って7歳の時に登録してたのか!?




見た目からは分からないこともあるもんだ。







そのまま流れで店に連れて行ったら、兄貴に店のアドバイスをした。




あの兄貴にアドバイスをするなんて、こいつ何者だよ!?




しかも、言っていることがてきとうじゃなくて、的確だし、例も挙げたりしていて、本格的に何者なんだよ、って思う。




アドバイスをされた兄貴は、商売の妖精様、なんて後から呼びだすし。




さっきは担いでたから顔とかがわからなかったが、たぶん、この国で一番美人になれるんじゃないか、って顔してるし、髪の色が見る角度によって宝石みたいに少し違う色でかがやくし、人間なのか?って思ってしまうかんじだ。













冒険者ギルドに行ったら、本当に2年前から登録をしていたらしい。




Cランクで。




おれが今Cランク。

2年前、7歳でCランク、って、ホントにこいつ、何者だ?




エレナとパーティー組んで旅とかしたら、暇になんてならないんだろうなぁ。

どうにかして、連れて行ってもらえないかな?

あの退屈な生活から抜け出すチャンスはなかなかない。

しかも、エレナは面白い。




ギルドマスター、提案してくれないだろうか。

前に、おれに魔法使えるやつとパーティー組ませたい、とか言ってたし、もしかしたらあるかも。







で、想像してたら本当にパーティーが提案された。







このチャンスは逃せない。

めざせ、脱平穏!!




エレナには秘密があるようだったが、それがあるならよけいに面白い。

事件とかありそうじゃん?







押して押して押しまくったらようやく承諾してくれた。







そのあとは驚きの連続だった。

もう何回驚いたか覚えてない。

途中から突っ込む気も失せた。




いや、お前、9才だろ!?




なんでそんないろいろ起こってんだよ!?




濃すぎだろ!?




精霊界って、いやいやいや……。







あー、面白くなってきたじゃん。




やっぱ、パーティー組んで正解だ。










次の日、また驚いた。




魔法で馬車を、馬を、作ってしまった。




いや、それは、もう魔法の域超えてねーか?




エレナの周りに魔法陣とか、光とか、いろいろ出てきて、そこだけ世界が違うみたいだった。

幻想的で、今まで見た魔法の何百倍もきれいで、すごかった。




エレナの詠唱は、普通の詠唱とは違った。

言語が違うのか、聞いても理解できなかったのだ。







この時改めて、エレナに”普通”という概念は存在しないのか、と認識した。




どうやらおれの今までの経験は、エレナといたら通用しなくなりそうだ。




これからどんどん面白くなるんだろう。




とことん楽しんでやる!




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