60 / 64
第2部
54:お客様、馬車に招かれる③
しおりを挟む
ライアン君も席に着き、3人で軽く自己紹介をする。
お互い踏み込んだことは聞かず、しゃべらずだったが、なんとなく、知り合い程度にはなったところで、夜ご飯にしよう、ということになった。
夜ポーションを飲もうとマジックバックからポーションを取出す。
「ん?エレナ、ケガでもしたのか?」
ライアン君、言葉遣い、ちょびっとだけ丁寧になりましたが、まだまだですよ!
「しておりませんよ?どうかされたのですか?」
「いや、ポーションを出したから、なにかあったのかと思って。」
ん?けが?ポーション?
……あ、普通ポーションで生活のエネルギー蓄えないんだった。
それは精霊だった……。
いつの間にか精霊界での生活が習慣になってたのかぁ。
そういえば、ごはんって久しく食べてないような?
2年前から食べてないのか。
それで大丈夫だった私、やっぱり精霊よりの人間なのか……。
栄養ドリンクだけで生きてるようなものだから、普通の人間では無理。
あと、人間界のポーションは、精霊の真似事から始まって、いろいろ伝わる過程で変わっちゃったりしているから、精霊界で使われているやつの劣化版。私のは精霊界から持ってきたものだから本家。
そうそう、最初にポーション作りの依頼受けて、下級ポーションのレシピで宝級に近いものができたのは、私の魔力が精霊に近いものだからなのだとソフィアナさんは言っていた。
あの時、聖水って言っていたのは、本物の聖水が何百分の一まで薄まったもので、精霊界と人間界が離れる直前に最後の最後に贈り物として、小さな聖水の池をつくってあげたものの名残みたいなもので、もう数百年したら普通の水のようになるだろうとのこと。精霊の森っていうのも、別に精霊がいるわけじゃない。
精霊草やマナ草も、今ほんの少し残っている精霊の影響のもので、そのうちは得なくなってしまうのではないか、と言っていた。
ポーションが人間につくれなくなったら、回復魔法や、治療魔法以外に医療が発達していないこの世界は、けっこう大変なことになるんじゃないかと思う。
ポーションが薬の代わり、というか、予防のような物だったりするのだ。
「考え事は終わった?」
「! すみません。え、ええと、ポーションを出してしまったのは、癖なのです。そ、育てていた植物にたまにあげていて、それが私の夕食のタイミングだったものですから、つい。」
いや、よく考え事終ったタイミングで話しかけられたね?
最近そういうことが多いんだけど、本当に私って顔に出やすいのかな?
気を抜いたらダメだね。
ていうか、後から考えてこの言い訳はないな。
うそっぽい。
んー、でも意外と効果あったりするのかね?
今度ためしてみよう。
「あのさ、僕、夕食、持っているんだけど、よかったら一緒にどうかな?」
サト様、用意周到!
でも、お貴族様、どうして自分で食料持ってるの?
いざとなったらそれで生き延びろ、みたいな?
「よろしいのですか?」
「もちろんだよ。これくらいしか僕には出来ないからね。」
「ありがとうございます。」
サト様は持っていたマジックバックであろうものから次々に料理を出していった。
コース料理なのかそれはもうたくさんの皿、皿、皿。
出し終えるころには、とても大きかったはずのテーブルは料理の皿で埋め尽くされていた。
……多すぎじゃない!?
三人でこの量、どうしろと!?
サト様、やっぱり高位の貴族だ。確信だよ。
お忍びならもうちょっと隠そうよ。
「これでは少し品数が少ないかもしれないが、このような場だ。これで我慢してくれ。」
いや、多いから、多すぎだからね?
「旅の途中でこのような料理を食べられるとは思っておりませんでした。十分でございます。本当にありがとうございます。」
「たいしたことじゃないよ。さ、食べようか。今日はマナーなど気にせず楽にしてよい。」
って、言われてもねぇ?
真に受けて気にしないのはよくないよね。
サト様も気にしないとか言いつつやっぱりやってるし。
あ、ライアン君が真に受けてる。
これはテーブルマナーを教えた方がいいかもしれない。
いやぁ、かーさまに感謝だよ!
かーさまの淑女教育、めちゃくちゃ役立ちます!
お互い踏み込んだことは聞かず、しゃべらずだったが、なんとなく、知り合い程度にはなったところで、夜ご飯にしよう、ということになった。
夜ポーションを飲もうとマジックバックからポーションを取出す。
「ん?エレナ、ケガでもしたのか?」
ライアン君、言葉遣い、ちょびっとだけ丁寧になりましたが、まだまだですよ!
「しておりませんよ?どうかされたのですか?」
「いや、ポーションを出したから、なにかあったのかと思って。」
ん?けが?ポーション?
……あ、普通ポーションで生活のエネルギー蓄えないんだった。
それは精霊だった……。
いつの間にか精霊界での生活が習慣になってたのかぁ。
そういえば、ごはんって久しく食べてないような?
2年前から食べてないのか。
それで大丈夫だった私、やっぱり精霊よりの人間なのか……。
栄養ドリンクだけで生きてるようなものだから、普通の人間では無理。
あと、人間界のポーションは、精霊の真似事から始まって、いろいろ伝わる過程で変わっちゃったりしているから、精霊界で使われているやつの劣化版。私のは精霊界から持ってきたものだから本家。
そうそう、最初にポーション作りの依頼受けて、下級ポーションのレシピで宝級に近いものができたのは、私の魔力が精霊に近いものだからなのだとソフィアナさんは言っていた。
あの時、聖水って言っていたのは、本物の聖水が何百分の一まで薄まったもので、精霊界と人間界が離れる直前に最後の最後に贈り物として、小さな聖水の池をつくってあげたものの名残みたいなもので、もう数百年したら普通の水のようになるだろうとのこと。精霊の森っていうのも、別に精霊がいるわけじゃない。
精霊草やマナ草も、今ほんの少し残っている精霊の影響のもので、そのうちは得なくなってしまうのではないか、と言っていた。
ポーションが人間につくれなくなったら、回復魔法や、治療魔法以外に医療が発達していないこの世界は、けっこう大変なことになるんじゃないかと思う。
ポーションが薬の代わり、というか、予防のような物だったりするのだ。
「考え事は終わった?」
「! すみません。え、ええと、ポーションを出してしまったのは、癖なのです。そ、育てていた植物にたまにあげていて、それが私の夕食のタイミングだったものですから、つい。」
いや、よく考え事終ったタイミングで話しかけられたね?
最近そういうことが多いんだけど、本当に私って顔に出やすいのかな?
気を抜いたらダメだね。
ていうか、後から考えてこの言い訳はないな。
うそっぽい。
んー、でも意外と効果あったりするのかね?
今度ためしてみよう。
「あのさ、僕、夕食、持っているんだけど、よかったら一緒にどうかな?」
サト様、用意周到!
でも、お貴族様、どうして自分で食料持ってるの?
いざとなったらそれで生き延びろ、みたいな?
「よろしいのですか?」
「もちろんだよ。これくらいしか僕には出来ないからね。」
「ありがとうございます。」
サト様は持っていたマジックバックであろうものから次々に料理を出していった。
コース料理なのかそれはもうたくさんの皿、皿、皿。
出し終えるころには、とても大きかったはずのテーブルは料理の皿で埋め尽くされていた。
……多すぎじゃない!?
三人でこの量、どうしろと!?
サト様、やっぱり高位の貴族だ。確信だよ。
お忍びならもうちょっと隠そうよ。
「これでは少し品数が少ないかもしれないが、このような場だ。これで我慢してくれ。」
いや、多いから、多すぎだからね?
「旅の途中でこのような料理を食べられるとは思っておりませんでした。十分でございます。本当にありがとうございます。」
「たいしたことじゃないよ。さ、食べようか。今日はマナーなど気にせず楽にしてよい。」
って、言われてもねぇ?
真に受けて気にしないのはよくないよね。
サト様も気にしないとか言いつつやっぱりやってるし。
あ、ライアン君が真に受けてる。
これはテーブルマナーを教えた方がいいかもしれない。
いやぁ、かーさまに感謝だよ!
かーさまの淑女教育、めちゃくちゃ役立ちます!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる