目指せへいおんライフ!……波乱万丈なんて望んでない!!

おいしいクルミ

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第2部

58:サト様のお父様③

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サト様は、私たちと出会ってからのことを細かく話す。

報告書の読み上げでもしているんじゃないか、って思うくらい。




サト様のお父様は、息子の話に嬉しそうに耳をかたむけている。

もう、ニコニコしてる。




ホント、さっきの雰囲気、どこ行った?




サト様は、私たちに会う直前にに魔物に襲われ、護衛はとどめはぎりぎりさせたものの全滅。しばらく歩いて馬車が見えたから声をかけた。

ということだった。




サト様のお父様は、息子の成長を喜ぶような、心配するような、普・通・の・親・の・顔・をしていた。







「そうだったのか。息子も、私も助けてもらった。本当に感謝する。先ほどは、失礼な態度をとってしまった。――申し訳ない。」




「気になさらないでください。そうやって警戒することはご自身の身を守ることにつながります。あの対応は、正しかったのだと思います。それに、警戒しているからといって相手の主張を一蹴りしないところ、素晴らしいと思いますわ。」




「はっはっはっ、そうかそうか。」




警戒がなくなったとたんにサト様のお父様は、愉快なオジサマに変身した。




180度違うんだよ。驚きだよ。




「そなたら、あー、エレナ殿とライアン殿。息子がこのように楽しげに話す姿は初めて見た。これからも友人であってくれぬか?」




「もちろんだ。サトとはこれからも仲良くさせてもらいたいと思っている。」




「わたくしも、サト様と今後も仲良くさせて頂けたら嬉しいです。」




「ありがとう、二人とも。」




「して、エレナ殿。地竜の単独討伐、前代未聞なのだが、エレナ殿はどこの国に所属しておられるのだ?」




んー、どこだろう。

エレナ・ディベメントはシェイルイ王国だけど、今のこの状態だとよくわからないなぁ。

所属、って国民ってことだよね?

無所属だと国民権のない怪しい人になっちゃうし……。




まてよ。所属がどこかの前に、よろしくない言葉があったような?

聞きたくないような言葉だったような?




「う、あ、ええっと? 地竜ですか……。」




ジリュウトハ?




えっと、地竜、ですよね、はい。




地竜……。




地竜とは、土属性であり、魔獣と竜族の間の厄介な生き物。

通常、国が軍や高位の冒険者を何十名も派遣して討伐する。

それでも被害は大きく、町が壊れることもある。




こんなのだった気がする。







あのオオトカゲ、地竜だったの!?




竜、みたいな感じじゃないんだよ。あれは。

ほんと、オオトカゲ、って感じなの。




地竜を一人でスパッと切っちゃったわけですか……。




「所属は、一応シェイルイ王国の国民だと思いますが、今はどこかに所属、っていうような状態じゃないのです。」




「ぬ?エレナ殿は平民なのか?」




「? そうでございます。」




「なんと。公爵令嬢、もしくは王族かと思ったぞ。」




そんなこと言われても。

あれ、サト様もびっくりしてる?




「エレナ殿、クォーカライトに所属する気はないか?」




「ええと、どういうことでしょうか?」




「うむ。立ち話はなんだ。一度家に来てほしいのだが、よいだろうか?」




家……御邸、ですか?

なぜ?ここでいいのだけども。




今まで貴族だと思われていたのか。

サト様、平民だってわかったけど、まだ友人と思ってくれるかな?




「エレナさん、ライアン、ぜひきてくれないか?」




「ええと、どのくらいで着くのでしょうか?」




「そうだな、4日、いや、3日くらいか。王都にあるんだが。」




あ、そういえば、二人とも、馬車はどうするんだろう。

サト様は私たちのでここまで来たし、サト様のお父様のも、壊れて乗れる状態じゃない。

それと、護衛が大けがした二人しかいない。







……家におじゃまするかは置いといて、乗せて行ってあげた方がよい感じかな?







「でしたら、わたくしたちの馬車に乗って行かれますか?」




「よいのか? しかし、大勢で乗ると少しばかりきついのではないか。」




「ああ、父上、それに関しては大丈夫だと思いますよ。ね?エレナさん?」




サト様、馬車の機能があれだけでないと気が付いていたご様子で……。




「ええ。サト様のおっしゃる通りでございます。ご安心くださいませ。」




「? 何か仕掛けでもあるのか?」




「そのようなところでございますわ。」




護衛の方には、馬車に血を持ち込んでほしくなかったので、ハイヒールをかけてちゃちゃっとなおしておく。

倒したのが地竜だったようだし、ここで隠しても、すでに遅いだろう。

だったらぱっとやってしまった方が楽だ。







サト様のお父様を馬車に招き入れるべく歩き出す。




生きのこった護衛二人が、仲間の遺体をマジックバックに入れているのが目に入る。

家族の人に渡すからだということだった。




でも、遺体は、形がきれいに残っているものは少なく、その姿を見せずにしてあげた方がよいのではないか、と思うところもある。

淡々とマジックバックに入れていく様子が、より現実を突き付けている気がして、思わず背を向けて馬車に向かってしまった。







馬車を6人乗りになるようにひろげてから、サト様のお父様に乗ってもらった。




見た目と反する広さに驚いているお父様に、サト様が、夜にさらに驚くことになるよ、と言っていた。




これは、グレードアップしなくてはならないかも……。







護衛の方は、御者台に座ってくれるというので、何もしないで座っているだけでいい、と念を押しておいた。

へたに馬のゴーレムを動かそうとしたり、見えた魔物をやっつけようとしたりしたら、移動速度は遅くなるし、余計に危ない。







走り始めてからたびたび、「うわっ!」「ええっ!?」「はっ!?」とか言う声が御者台から聞こえた。

たぶん、魔物が出たのにはじかれたこととか、それになにも動じることなく、常に同じペースで走る馬とかに驚いた声だと思うので放っておいた。




その夜、2-5のボタンを押して、今までより豪華な部屋にしたところ、なぜかライアン君にまで驚かれた。

解せぬ……。







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感想 3

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みんなの感想(3件)

uma0113
2019.10.15 uma0113

63話
王様「サラレアト」
その後2回ほどは「サラレアト」だったのに途中から「サラトレア」になってますがどちらが本当?

2019.10.15 おいしいクルミ

すみません。打ち間違いです。
サラトレアが本当のはずでした……。

ご指摘ありがとうございます。
気づかずに終わるところでした。

直しておきます。

解除
YokoZ
2019.10.05 YokoZ

ハクはどこ行った?

2019.10.05 おいしいクルミ

精霊界で眠りについた後、エレナが目を離したすきに消えました……。

エレナがこの後旅に出ますが、しばらくするとひょいと戻ってきます。

消えたわけと、どこに行っていたのか、それらはそのうちわかります。


ハクのこと、忘れないで待っていてあげてね!


(小説家になろう様の方では、数日以内にその話を投稿する予定でいますので、早めに知りたければそちらをチェックしてみてください。)

解除
伊予二名
2019.09.28 伊予二名

善因には善果を、悪因には悪果を。

2019.09.28 おいしいクルミ

そうなるように力をつけます!
でも、エレナにとってはあくまで”へいおんライフ”のついでなのです!

エレナ、兄はどうするんですかねー。

もうちょっとで明らかになります!!
是非お読み下さい!

コメント、ありがとうございました☆

解除

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