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第6話:ちょっとドキドキ、映画の約束②ールカ視点
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休み時間。
陽真と映画に行く約束を無事取り付け、ルカの気持ちは高まっていた。
灯里が少し戸惑っているのとは対照的に、ルカは嬉しそうにスマホを取り出し、映画館のサイトを夢中でスクロールしている。
ふと、ポップコーンのページで目が止まった。
灯里と一緒に食べたハンバーガーの味を思い出し、自然と笑みがこぼれる。
(あれ、すごく美味しかったし、楽しかったな。
……ポップコーンもきっと美味しいんだろうなぁ……)
スマホの画面を指差し、目をキラキラ輝かせながら、灯里に見せる。
「映画館のポップコーン、すっごく美味しそうだよ! これ買いなよ! この映画限定だって!」
あまりに嬉しそうなルカの表情に、灯里は思わず吹き出した。
「はは。もー、食べ物ばっかだね。ルカが行くわけじゃないでしょ」
何気なく言ったその言葉が、ルカの胸にひんやりとした感覚を走らせる。
(そうだ……僕が一緒に行くわけじゃないんだ……)
そんな当たり前のこと、灯里に言われるまで気づかなかった。
自分が一緒に行く気分になっていたなんて――そのことにルカ自身が驚き、そして少しショックを受けていた。
灯里はルカの沈んだ様子に気づき、優しく声をかける。
「ふふ。そんなに食べたいの? ならまた今度一緒に行こうよ」
「本当に?」
「うん。私もポップコーン好きだし」
その一言に、ルカの胸はふっと熱を帯びた。
自分でも驚くほど嬉しくて、顔が自然に輝いてしまう。
(次は僕とも行ってくれるんだ……)
胸の奥がじんわり温かくなる。けれど、すぐにハッとした。
(……いや、何考えて……僕はあくまでキューピッドで、応援が目的で……)
気持ちを落ち着けようと、ルカはふっと視線を手元のスマホから上げた。
すると、ちょうどその時――
「ごめん、ちょっといい?」
声がして振り返ると、陽真が上映回の相談に来ていた。
ルカは慌ててその場を離れる。
「一応、この回で予約しようと思ってて……」
二人でスマホを覗き込み、自然と顔が近づく。指先もさりげなく触れそうになる。
その様子は、まるで付き合っているかのようで――ルカの心は掻き乱されていた。
(僕にはやめろって言ってたくせに、瀬戸くんとはあんな近くに……)
思わず目を逸らす。けれど、その光景は頭から消えない。
その時、灯里の声が耳に届く。
ーー「そんなに食べたいなら、また今度一緒に行こうよ」
(……“また今度”ってあるのかな……。映画に行ったら、きっと二人は……)
さっきまでぼんやりしていた未来が、急に輪郭を帯びて目の前に迫ってくる。
胸の奥に冷たいものが流れ込み、じわりと体温を奪っていった。
(二人がうまく行ったら、僕は天界に帰らなくちゃいけない……)
当たり前だと思っていた時間が、ふっと現実味を帯び、胸にずしりと重くのしかかる。
灯里のそばにいられるのは、もうそんなに長くはないのかもしれない。
――そんなことに、今さら気づいた。
ルカはそんな思考を振り払い、自分に言い聞かせる。
(余計なことは考えちゃだめだ。今はキューピッドとして、灯里を応援することだけを考えよう。)
無理やり笑顔を作り、肩をすくめて軽く息を整える。
陽真と話を終えた灯里が、微笑みながらルカの元にやってくる。
「ルカお待たせ、お昼ごはん行こ」
灯里の笑顔を見ると、さっきまでの胸モヤモヤは消えていく。
無理やり笑顔を作らなくても、自然に口元が緩む。
「今日は何食べようかな~」
「あんまり頼みすぎたらダメだよ?」
「わかってるって」
いつも通りに軽口を叩きながら、胸の奥には、灯里への淡い切なさがほんのり残っていた。
陽真と映画に行く約束を無事取り付け、ルカの気持ちは高まっていた。
灯里が少し戸惑っているのとは対照的に、ルカは嬉しそうにスマホを取り出し、映画館のサイトを夢中でスクロールしている。
ふと、ポップコーンのページで目が止まった。
灯里と一緒に食べたハンバーガーの味を思い出し、自然と笑みがこぼれる。
(あれ、すごく美味しかったし、楽しかったな。
……ポップコーンもきっと美味しいんだろうなぁ……)
スマホの画面を指差し、目をキラキラ輝かせながら、灯里に見せる。
「映画館のポップコーン、すっごく美味しそうだよ! これ買いなよ! この映画限定だって!」
あまりに嬉しそうなルカの表情に、灯里は思わず吹き出した。
「はは。もー、食べ物ばっかだね。ルカが行くわけじゃないでしょ」
何気なく言ったその言葉が、ルカの胸にひんやりとした感覚を走らせる。
(そうだ……僕が一緒に行くわけじゃないんだ……)
そんな当たり前のこと、灯里に言われるまで気づかなかった。
自分が一緒に行く気分になっていたなんて――そのことにルカ自身が驚き、そして少しショックを受けていた。
灯里はルカの沈んだ様子に気づき、優しく声をかける。
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「本当に?」
「うん。私もポップコーン好きだし」
その一言に、ルカの胸はふっと熱を帯びた。
自分でも驚くほど嬉しくて、顔が自然に輝いてしまう。
(次は僕とも行ってくれるんだ……)
胸の奥がじんわり温かくなる。けれど、すぐにハッとした。
(……いや、何考えて……僕はあくまでキューピッドで、応援が目的で……)
気持ちを落ち着けようと、ルカはふっと視線を手元のスマホから上げた。
すると、ちょうどその時――
「ごめん、ちょっといい?」
声がして振り返ると、陽真が上映回の相談に来ていた。
ルカは慌ててその場を離れる。
「一応、この回で予約しようと思ってて……」
二人でスマホを覗き込み、自然と顔が近づく。指先もさりげなく触れそうになる。
その様子は、まるで付き合っているかのようで――ルカの心は掻き乱されていた。
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思わず目を逸らす。けれど、その光景は頭から消えない。
その時、灯里の声が耳に届く。
ーー「そんなに食べたいなら、また今度一緒に行こうよ」
(……“また今度”ってあるのかな……。映画に行ったら、きっと二人は……)
さっきまでぼんやりしていた未来が、急に輪郭を帯びて目の前に迫ってくる。
胸の奥に冷たいものが流れ込み、じわりと体温を奪っていった。
(二人がうまく行ったら、僕は天界に帰らなくちゃいけない……)
当たり前だと思っていた時間が、ふっと現実味を帯び、胸にずしりと重くのしかかる。
灯里のそばにいられるのは、もうそんなに長くはないのかもしれない。
――そんなことに、今さら気づいた。
ルカはそんな思考を振り払い、自分に言い聞かせる。
(余計なことは考えちゃだめだ。今はキューピッドとして、灯里を応援することだけを考えよう。)
無理やり笑顔を作り、肩をすくめて軽く息を整える。
陽真と話を終えた灯里が、微笑みながらルカの元にやってくる。
「ルカお待たせ、お昼ごはん行こ」
灯里の笑顔を見ると、さっきまでの胸モヤモヤは消えていく。
無理やり笑顔を作らなくても、自然に口元が緩む。
「今日は何食べようかな~」
「あんまり頼みすぎたらダメだよ?」
「わかってるって」
いつも通りに軽口を叩きながら、胸の奥には、灯里への淡い切なさがほんのり残っていた。
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