32 / 52
30.
しおりを挟む
私の周りではこれくらい出来るのが当たり前で、これ以上出来る令嬢たちなどワラワラといるのだが二人には珍しいものらしい。放置されたそれらは縫い目が綺麗だが、私の友人たちのものと比べると少しばかり技術力が劣っている。
よくよく考えれば貴族の令嬢として嗜むほどには刺繍をするのだろうけれど、極めることはないのだろう。雨の日は大抵暇を持て余していた私たちとは違うのだ。
私が手元のハンカチを凝視していると、それを困惑と受け取ったのか、横で傍観を決め込んでいたサキヌが彼女たちをやんわりと諌めた。
「アンジェリカもお母様も落ち着いて。姉さんもやっぱり初めはお兄様に贈るために作っているんだろうから、ね?」
「うっ……」
私のために言ってくれたであろうサキヌの言葉は心にグサリと突き刺さった。
一応、仮初めの、(仮)がつこうが今の私はラウス様の婚約者である。
先日の外出の際、何があったかは全く覚えてはいないものの、部屋に飾られた花はラウス様からの贈り物であるというのは確認済みだ。
ならば何かお返しをしなくてはならないと考えるのが貴族として、人としての常識ではないだろうか。失念していた自分が恥ずかしい……。
「義姉さん?」
「サキヌ、ありがとう」
材料は頂き物だが、サキヌが遠回しにもそうしていいと教えてくれたのだからそうしない手はない。というより今の私にはこれくらいしかお返しものとして用意できるものなどない。
サキヌの手を包み込むようにして心からのお礼を告げると、彼の顔はなぜか少しだけ赤らんだような気がした。
「ラウスお兄様ばっかりズルイですわ……」
「そうよねぇ……。私たちだってモリアちゃんのために頑張ってるのに……」
二人はよく似た顔を並べて頬を膨らませながら、ここにはいないラウス様への恨み言を呟いていた。
「初めてのお買い物だってお兄様とだったのに……」
「お茶会はお兄様よりも先に義姉さんとしただろう……」
「ラウスはお茶会なんて滅多にしないじゃない!」
「まぁそうだけど、義姉さんはお兄様の妻となるんだから仕方ないだろう?」
「私はモリアちゃんのお義母様よ!」
「私だって義妹ですわ!」
二人はよほどハンカチが欲しいのか、サキヌがどんなに諌めようとも引くつもりはないようだ。これにはさすがの彼もお手上げ状態らしく、お義母様とアンジェリカに向き合っていた身体を今度は私の方へと向けて頭を下げた。
「義姉さん、どうか二人の分も作ってやってほしい」
「はい!」
「で……。出来れば、義姉さんの負担にならなければなんだけど……」
「はい」
「俺とお父様の分も作ってもらえるかな?」
「もちろんです!」
申し訳なさそうに頬を掻くサキヌに元気よく返事を返した。すると彼だけではなく、お義母様とアンジェリカの顔、ひいては私の顔までも和らいでいく。
サキヌからの申し出によって、ラウス様が不在の時間のカリバーン家での仕事が見つかったのだった。嬉しくないはずがない。
脱 穀潰しである。
「皆さんはどのようなデザインがよろしいですか?」
先ほどのものは特に誰に渡すと決まっていなかったため、この屋敷で印象に残っていた薔薇を刺繍した。
今度は贈り主が決まっているのだから、その人にあった物を刺繍するのでもいいが、生憎私は彼らのことをそんなに詳しくは知らない。それでもちょうど本人たちがこの場所にいるのだ。それなら彼らに直接尋ねてみればいいだろう。そう思い聞いてみたのだが、三人が三人とも同じ答えを返したのだった。
「薔薇ですわ!」「薔薇かしら」「薔薇がいいな」
「皆さん、薔薇でよろしいんですか?」
「ああ。出来ればお父様のも薔薇にしてくれると嬉しい」
「構いませんが、難しくなければ薔薇以外のものでも刺繍できますよ?」
彼らの前でしてみせたのは薔薇ではあるが、見たことあれば大抵どんな花でも、花でなくても刺繍できる。
細かい装飾が要求される城を模した物ともなればそれなりに時間は要するだろうが、この屋敷に来てから結構な時間を持て余している私ならば数日のうちに完成させることができるだろう。だがどうやら彼らは私の技量を心配して同じものを注文したわけではないらしく、私の提案にゆっくりと首を振った。
「薔薇がいいのだ」――と。
そこまで言われれば無理に他のものを勧めることもないと全員分、薔薇の刺繍をすることに決めた。
「では色はどうしましょう?」
この様子だと皆が皆、ラウス様に渡す予定のハンカチのものと同じく赤薔薇かもしれないと思いながら聞くと今度は三人ともが違う答えを返して来た。
「私はピンクの薔薇がいいですわ! だって、だって可愛らしいもの!」
「私は気高く、美しい白薔薇がいいわ」
「俺は青薔薇かな。この前、学園に植えられていたの、綺麗だったんだよな……」
「お義父様のはどうしましょう?」
「モーチェス様は私と同じ色のものがいいわ!」
「わかりました」
そう返事をすると後ろからスッとまっさらなハンカチ5枚と針、そしてピンク、白、青、赤、緑の刺繍糸の入った籠が差し出される。
「ありがとうございます」
いつからか私の背後で控えていたシェードにお礼を言う。すると彼は大きな身体を少しだけ曲げて「アンジェリカ様の外出は明後日でございます」と耳打ちした。
「お父様、お兄様、お帰りなさい!」
二人の帰宅を聞き、玄関へと駆け出したアンジェリカはすぐさまお義父様の胸へと飛び込んだ。
「どうしたんだい、アンジェリカ? 今日はやけに機嫌がいいじゃないか」
「聞いてください、お父様! お義姉様がハンカチをプレゼントしてくださると約束してくださったのです!」
「ハンカチ?」
「そうよ。それはもう素晴らしいものでね!」
アンジェリカに続いてお義母様まで嬉しさを抑え切れずに語り出した。その姿にお義父様もラウス様もついていけずに首を傾げて、恥ずかしさで真っ赤に顔を染め上げた私に視線を注ぐ。だが二人はそんなことは構わずに先ほどよりも激しい賛美を代わる代わる繰り返す。
「針と糸を巧みに使っては一つ、また一つと花弁を作り上げていくのです!」
「腕利きの職人でもあんなに軽やかには進まないわ!!」
「何もないところにああも正確に薔薇を映し出せるなんてさすがとしか言いようがなかったよ!」
初めは見ているだけだったサキヌまでもがいつの間にか加わってしまい、私の顔は庭のバラたちよりもきっと真紅に染まっていることだろう。慌てて両手で顔を覆いはしたものの、全ては覆い切れずに熱を帯びた両耳は丸見えだ。
「モリア、そう恥ずかしがらないでくれ」
頭の上から声をかけられ、覆った手の指先だけ左右にずらして隙間を作ると目の前には優しく微笑むラウス様の姿があった。
「三人とも悪気はないんだ。ただモリアのことが好きで堪らないんだ。……もちろん俺も」
「ラウス。私を仲間外れにしないでくれないか?」
「すみません、お父様。とにかくみんなモリアが大好きなんだ」
大事にされているとは感じている。それはもう初めて会ったその日から。
だがこう改めて日に何回も褒められるとやはり恥ずかしいのだ。赤くなった顔は中々冷めてはくれない。
「だってずっとずっと憧れていたお義姉様ですもの!」
「5年だもんな……」
「長かったわね……」
三人ともがしみじみと何かを懐かしむように遠い目をするのでそれは何の年数なのか気になって仕方がない。
「5年、とは何のことですか?」
少しは赤みが引いてきた顔からゆっくりと手を離してから不思議に思うそれの意味を尋ねる。すると三人は顔を見合わせて、そして代表するかのようにお義母が口を開いた。
「それはもちろんラウスがモリアちゃんに……」
だがそれは最後まで語ることなく、ラウス様によって妨害された。
「何するのよ!」
「そういうことは言わなくていいんだよ!」
口を塞がれ妨害されたことに苛立つお義母様と、5年という年数の正体を明かされたくないラウス様は互いに引くつもりはないらしく、激しい睨み合いを交わし続ける。
誰も入っていけそうのない雰囲気のその交戦を終わりに導いたのはお義父様だった。
「ほらほら喧嘩しない。モリアさんが困っているだろう?」
双方の頭に手を乗せてなだめたのだ。すると二人ともが同じようにお義父様に弁明をする。
「でも……」「ですが……」
その姿はお皿を割ってしまった子どものようで微笑ましく思える。当のお義父様も私と同じ気持ちのようで、二人に慈愛の目を向けてから「喧嘩はダメだ。いいね?」と言い聞かせた。
「さてお腹も減ったことだし、ご飯にしよう。こんな日はみんな揃って、な。いいだろ、ラウス?」
「…………はい、お父様」
「モリアさんもいいかい?」
「もちろんです」
結局5年が何を指すのかわからぬまま、カリバーン一家と仲良く食事を取るのだった。
よくよく考えれば貴族の令嬢として嗜むほどには刺繍をするのだろうけれど、極めることはないのだろう。雨の日は大抵暇を持て余していた私たちとは違うのだ。
私が手元のハンカチを凝視していると、それを困惑と受け取ったのか、横で傍観を決め込んでいたサキヌが彼女たちをやんわりと諌めた。
「アンジェリカもお母様も落ち着いて。姉さんもやっぱり初めはお兄様に贈るために作っているんだろうから、ね?」
「うっ……」
私のために言ってくれたであろうサキヌの言葉は心にグサリと突き刺さった。
一応、仮初めの、(仮)がつこうが今の私はラウス様の婚約者である。
先日の外出の際、何があったかは全く覚えてはいないものの、部屋に飾られた花はラウス様からの贈り物であるというのは確認済みだ。
ならば何かお返しをしなくてはならないと考えるのが貴族として、人としての常識ではないだろうか。失念していた自分が恥ずかしい……。
「義姉さん?」
「サキヌ、ありがとう」
材料は頂き物だが、サキヌが遠回しにもそうしていいと教えてくれたのだからそうしない手はない。というより今の私にはこれくらいしかお返しものとして用意できるものなどない。
サキヌの手を包み込むようにして心からのお礼を告げると、彼の顔はなぜか少しだけ赤らんだような気がした。
「ラウスお兄様ばっかりズルイですわ……」
「そうよねぇ……。私たちだってモリアちゃんのために頑張ってるのに……」
二人はよく似た顔を並べて頬を膨らませながら、ここにはいないラウス様への恨み言を呟いていた。
「初めてのお買い物だってお兄様とだったのに……」
「お茶会はお兄様よりも先に義姉さんとしただろう……」
「ラウスはお茶会なんて滅多にしないじゃない!」
「まぁそうだけど、義姉さんはお兄様の妻となるんだから仕方ないだろう?」
「私はモリアちゃんのお義母様よ!」
「私だって義妹ですわ!」
二人はよほどハンカチが欲しいのか、サキヌがどんなに諌めようとも引くつもりはないようだ。これにはさすがの彼もお手上げ状態らしく、お義母様とアンジェリカに向き合っていた身体を今度は私の方へと向けて頭を下げた。
「義姉さん、どうか二人の分も作ってやってほしい」
「はい!」
「で……。出来れば、義姉さんの負担にならなければなんだけど……」
「はい」
「俺とお父様の分も作ってもらえるかな?」
「もちろんです!」
申し訳なさそうに頬を掻くサキヌに元気よく返事を返した。すると彼だけではなく、お義母様とアンジェリカの顔、ひいては私の顔までも和らいでいく。
サキヌからの申し出によって、ラウス様が不在の時間のカリバーン家での仕事が見つかったのだった。嬉しくないはずがない。
脱 穀潰しである。
「皆さんはどのようなデザインがよろしいですか?」
先ほどのものは特に誰に渡すと決まっていなかったため、この屋敷で印象に残っていた薔薇を刺繍した。
今度は贈り主が決まっているのだから、その人にあった物を刺繍するのでもいいが、生憎私は彼らのことをそんなに詳しくは知らない。それでもちょうど本人たちがこの場所にいるのだ。それなら彼らに直接尋ねてみればいいだろう。そう思い聞いてみたのだが、三人が三人とも同じ答えを返したのだった。
「薔薇ですわ!」「薔薇かしら」「薔薇がいいな」
「皆さん、薔薇でよろしいんですか?」
「ああ。出来ればお父様のも薔薇にしてくれると嬉しい」
「構いませんが、難しくなければ薔薇以外のものでも刺繍できますよ?」
彼らの前でしてみせたのは薔薇ではあるが、見たことあれば大抵どんな花でも、花でなくても刺繍できる。
細かい装飾が要求される城を模した物ともなればそれなりに時間は要するだろうが、この屋敷に来てから結構な時間を持て余している私ならば数日のうちに完成させることができるだろう。だがどうやら彼らは私の技量を心配して同じものを注文したわけではないらしく、私の提案にゆっくりと首を振った。
「薔薇がいいのだ」――と。
そこまで言われれば無理に他のものを勧めることもないと全員分、薔薇の刺繍をすることに決めた。
「では色はどうしましょう?」
この様子だと皆が皆、ラウス様に渡す予定のハンカチのものと同じく赤薔薇かもしれないと思いながら聞くと今度は三人ともが違う答えを返して来た。
「私はピンクの薔薇がいいですわ! だって、だって可愛らしいもの!」
「私は気高く、美しい白薔薇がいいわ」
「俺は青薔薇かな。この前、学園に植えられていたの、綺麗だったんだよな……」
「お義父様のはどうしましょう?」
「モーチェス様は私と同じ色のものがいいわ!」
「わかりました」
そう返事をすると後ろからスッとまっさらなハンカチ5枚と針、そしてピンク、白、青、赤、緑の刺繍糸の入った籠が差し出される。
「ありがとうございます」
いつからか私の背後で控えていたシェードにお礼を言う。すると彼は大きな身体を少しだけ曲げて「アンジェリカ様の外出は明後日でございます」と耳打ちした。
「お父様、お兄様、お帰りなさい!」
二人の帰宅を聞き、玄関へと駆け出したアンジェリカはすぐさまお義父様の胸へと飛び込んだ。
「どうしたんだい、アンジェリカ? 今日はやけに機嫌がいいじゃないか」
「聞いてください、お父様! お義姉様がハンカチをプレゼントしてくださると約束してくださったのです!」
「ハンカチ?」
「そうよ。それはもう素晴らしいものでね!」
アンジェリカに続いてお義母様まで嬉しさを抑え切れずに語り出した。その姿にお義父様もラウス様もついていけずに首を傾げて、恥ずかしさで真っ赤に顔を染め上げた私に視線を注ぐ。だが二人はそんなことは構わずに先ほどよりも激しい賛美を代わる代わる繰り返す。
「針と糸を巧みに使っては一つ、また一つと花弁を作り上げていくのです!」
「腕利きの職人でもあんなに軽やかには進まないわ!!」
「何もないところにああも正確に薔薇を映し出せるなんてさすがとしか言いようがなかったよ!」
初めは見ているだけだったサキヌまでもがいつの間にか加わってしまい、私の顔は庭のバラたちよりもきっと真紅に染まっていることだろう。慌てて両手で顔を覆いはしたものの、全ては覆い切れずに熱を帯びた両耳は丸見えだ。
「モリア、そう恥ずかしがらないでくれ」
頭の上から声をかけられ、覆った手の指先だけ左右にずらして隙間を作ると目の前には優しく微笑むラウス様の姿があった。
「三人とも悪気はないんだ。ただモリアのことが好きで堪らないんだ。……もちろん俺も」
「ラウス。私を仲間外れにしないでくれないか?」
「すみません、お父様。とにかくみんなモリアが大好きなんだ」
大事にされているとは感じている。それはもう初めて会ったその日から。
だがこう改めて日に何回も褒められるとやはり恥ずかしいのだ。赤くなった顔は中々冷めてはくれない。
「だってずっとずっと憧れていたお義姉様ですもの!」
「5年だもんな……」
「長かったわね……」
三人ともがしみじみと何かを懐かしむように遠い目をするのでそれは何の年数なのか気になって仕方がない。
「5年、とは何のことですか?」
少しは赤みが引いてきた顔からゆっくりと手を離してから不思議に思うそれの意味を尋ねる。すると三人は顔を見合わせて、そして代表するかのようにお義母が口を開いた。
「それはもちろんラウスがモリアちゃんに……」
だがそれは最後まで語ることなく、ラウス様によって妨害された。
「何するのよ!」
「そういうことは言わなくていいんだよ!」
口を塞がれ妨害されたことに苛立つお義母様と、5年という年数の正体を明かされたくないラウス様は互いに引くつもりはないらしく、激しい睨み合いを交わし続ける。
誰も入っていけそうのない雰囲気のその交戦を終わりに導いたのはお義父様だった。
「ほらほら喧嘩しない。モリアさんが困っているだろう?」
双方の頭に手を乗せてなだめたのだ。すると二人ともが同じようにお義父様に弁明をする。
「でも……」「ですが……」
その姿はお皿を割ってしまった子どものようで微笑ましく思える。当のお義父様も私と同じ気持ちのようで、二人に慈愛の目を向けてから「喧嘩はダメだ。いいね?」と言い聞かせた。
「さてお腹も減ったことだし、ご飯にしよう。こんな日はみんな揃って、な。いいだろ、ラウス?」
「…………はい、お父様」
「モリアさんもいいかい?」
「もちろんです」
結局5年が何を指すのかわからぬまま、カリバーン一家と仲良く食事を取るのだった。
1
あなたにおすすめの小説
離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています
腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。
「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」
そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった!
今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。
冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。
彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――
一途な皇帝は心を閉ざした令嬢を望む
浅海 景
恋愛
幼い頃からの婚約者であった王太子より婚約解消を告げられたシャーロット。傷心の最中に心無い言葉を聞き、信じていたものが全て偽りだったと思い込み、絶望のあまり心を閉ざしてしまう。そんな中、帝国から皇帝との縁談がもたらされ、侯爵令嬢としての責任を果たすべく承諾する。
「もう誰も信じない。私はただ責務を果たすだけ」
一方、皇帝はシャーロットを愛していると告げると、言葉通りに溺愛してきてシャーロットの心を揺らす。
傷つくことに怯えて心を閉ざす令嬢と一途に想い続ける青年皇帝の物語
愛しい人、あなたは王女様と幸せになってください
無憂
恋愛
クロエの婚約者は銀の髪の美貌の騎士リュシアン。彼はレティシア王女とは幼馴染で、今は護衛騎士だ。二人は愛し合い、クロエは二人を引き裂くお邪魔虫だと噂されている。王女のそばを離れないリュシアンとは、ここ数年、ろくな会話もない。愛されない日々に疲れたクロエは、婚約を破棄することを決意し、リュシアンに通告したのだが――
勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!
エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」
華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。
縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。
そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。
よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!!
「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。
ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、
「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」
と何やら焦っていて。
……まあ細かいことはいいでしょう。
なにせ、その腕、その太もも、その背中。
最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!!
女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。
誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート!
※他サイトに投稿したものを、改稿しています。
本の虫令嬢ですが「君が番だ! 間違いない」と、竜騎士様が迫ってきます
氷雨そら
恋愛
本の虫として社交界に出ることもなく、婚約者もいないミリア。
「君が番だ! 間違いない」
(番とは……!)
今日も読書にいそしむミリアの前に現れたのは、王都にたった一人の竜騎士様。
本好き令嬢が、強引な竜騎士様に振り回される竜人の番ラブコメ。
小説家になろう様にも投稿しています。
恐怖侯爵の後妻になったら、「君を愛することはない」と言われまして。
長岡更紗
恋愛
落ちぶれ子爵令嬢の私、レディアが後妻として嫁いだのは──まさかの恐怖侯爵様!
しかも初夜にいきなり「君を愛することはない」なんて言われちゃいましたが?
だけど、あれ? 娘のシャロットは、なんだかすごく懐いてくれるんですけど!
義理の娘と仲良くなった私、侯爵様のこともちょっと気になりはじめて……
もしかして、愛されるチャンスあるかも? なんて思ってたのに。
「前妻は雲隠れした」って噂と、「死んだのよ」って娘の言葉。
しかも使用人たちは全員、口をつぐんでばかり。
ねえ、どうして? 前妻さんに何があったの?
そして、地下から聞こえてくる叫び声は、一体!?
恐怖侯爵の『本当の顔』を知った時。
私の心は、思ってもみなかった方向へ動き出す。
*他サイトにも公開しています
どなたか私の旦那様、貰って下さいませんか?
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
私の旦那様は毎夜、私の部屋の前で見知らぬ女性と情事に勤しんでいる、だらしなく恥ずかしい人です。わざとしているのは分かってます。私への嫌がらせです……。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
政略結婚で、離縁出来ないけど離縁したい。
無類の女好きの従兄の侯爵令息フェルナンドと伯爵令嬢のロゼッタは、結婚をした。毎晩の様に違う女性を屋敷に連れ込む彼。政略結婚故、愛妾を作るなとは思わないが、せめて本邸に連れ込むのはやめて欲しい……気分が悪い。
彼は所謂美青年で、若くして騎士団副長であり兎に角モテる。結婚してもそれは変わらず……。
ロゼッタが夜会に出れば見知らぬ女から「今直ぐフェルナンド様と別れて‼︎」とワインをかけられ、ただ立っているだけなのに女性達からは終始凄い形相で睨まれる。
居た堪れなくなり、広間の外へ逃げれば元凶の彼が見知らぬ女とお楽しみ中……。
こんな旦那様、いりません!
誰か、私の旦那様を貰って下さい……。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる