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「モリア、今日は何かあったのか?」
ラウス様に心配そうに見つめられ、疲れて帰って来ている彼に心配をかけてしまったことにひどく申し訳なさを感じてしまう。
「あ、いえ……。私は何も……」
問いに答える声はこれ以上心配させまいと出だしばかりが強くなった。けれど途中でそう答えることがむしろより心配にさせてしまうのではないかと言うことに気づき、段々と勢いを落としたように弱くなる。
やはりアンジェリカの様子が気がかりで、今も部屋に引きこもったままなのではないかと勘ぐってしまうのだ。
「……ああ、アンジェリカのことを気にしているのか? なら心配はいらない。アンジェリカがちゃんと夕食を食べたとシェードが先ほど嬉しそうな顔で屋敷中に伝達していたからな」
ラウス様は安心させるように私の頭を撫でながら、アンジェリカの様子を教えてくれた。けれどその言葉は余計にアンジェリカを心配してしまう要因となる。
まさかいつもあんな様子だとは思いもしなかったのだ。ラウス様の話す限りだとどうやら今回が特別というわけではなさそうだ。
「アンジェリカ、いつもマクベス王子に会われた日はご飯、食べないんですか?」
「機嫌悪く帰ってきたときは大抵食べないな。アンジェリカが普段抱えているテディベア、あれはお父様がアンジェリカの誕生日にプレゼントしたものなのだが、あれを叩き落とされて泥まみれにして帰ってきた時は丸一日飲まず食わずで、シェードが泣き落としてやっと食事をとらしたほどだったなぁ」
「え……」
ラウス様はまるで懐かしい出来事を思い返すかのようにしみじみとその出来事を語るが、私はそのことの恐ろしさに身体を震わせてしまう。
そんなこと、私には出来そうもないからだ。
人生で一度だけ引いたことのある風邪の時ですら、二食は食べていた。
お粥と、お兄様達が「死ぬんじゃないぞ、モリア!」と励ましながら差し入れてくれた丸焼きの肉、そしてお姉様がとって来てくれた山の果実。とりあえず用意されたものを全て食べていたため、一体どれが風邪に効く食べ物なのかは分からなかったが、何かのお陰で一日もすれば風邪が治った。
もしもう一度風邪を引いたとして、そんな状況に陥ったのならばきっと風邪ではなく栄養不足によって身体が弱っていってしまうに違いない。
「アンジェリカは大丈夫だったのですか!」
身体を前のめりにさせながら、私の知らなかった時のアンジェリカが心配でたまらなくなる。
「モリア、落ち着いてくれ。君はシェードやマクベス王子と同じような反応をするんだな。それだけアンジェリカを思ってくれているのは嬉しいが、心配しすぎだ。アンジェリカは意外と丈夫なんだ」
「ですが、ですが……」
「むしろその後の方が大変で、まさかマクベス王子を連れて国王陛下までもが直々に謝罪されるとは思っていなかった」
「国王陛下直々に……」
「アンジェリカとマクベス王子の婚約は政略的ものではないからな。王子も破談にしないでほしいと目を潤ませていたな」
「政略結婚では、ない?」
ならばなぜあんなに辛そうな顔をしてまで、アンジェリカは婚約状態を続けているというのか。
先程の、ほんの少しの間だけでもマクベス王子がアンジェリカのことを思っているのは感じられた。けれどアンジェリカの過去の出来事を聞いてしまった私は二人を応援することは難しい。
「あの二人の婚約はアンジェリカに一目惚れしたマクベス王子が、陛下に頭を下げて頼んだものだ。王家としては、それ以外の婚約は一切受け付けないと宣言してそのほかのご令嬢に会わないマクベス王子に他の婚約を取り付けるより、カリバーンの娘をとった方が良かったのだろう。アンジェリカと婚約を結んで以来、王子と陛下は何やら約束事を結んだらしくワガママ王子の噂はメッキリ収まったものだ」
「ですが……」
「その時、カリバーンと王家が結んだのはアンジェリカが婚約破棄を願い出た場合は何があろうとも承諾するという約束事だ。本来ならば陛下も他の公爵家も本当はこれ以上カリバーンの権力集中は見逃せないんだ。私は次期宰相、そしてサキヌは次期公爵家当主、アンジェリカは次期王子妃だ。
私はとある一件があってからずっと婚約者を作らなかったため、長年その場に自分の娘を据えようと躍起になっていた者が多かった。こうしてモリアを妻に迎えられたのは、故意ではなかったにしろ、権力合戦には無頓着のサンドレア男爵家の娘だったから。結果的に政治的な権力を分散することとなった。もしも君が公爵家の娘だったら、男爵家でも権力を求める家だったら、ここまで早く話は進むことはなかっただろう。けれどずっと空席だった宰相の妻を狙おうとしていた他家からしてみれば面白くない。そんな彼らが今度狙うのは婚約者と不仲なことで有名なマクベス王子の婚約者の座だ。今回の行動がすぐそばで耳をそばだてる公爵家の当主達の耳に入らないわけがない。
マクベス王子には悪いが、今回はよほど怒っていたようだし、そろそろアンジェリカが音をあげて婚約破棄を言い出す日も近いだろう」
「そう、ですか……」
「あの子の願いはすでに叶ったし、な」
「願い、ですか?」
「あの子はずっと『姉』がほしかったんだ」
ラウス様は唐突に何を言いだすのだろうか?
その言葉の意味がわからずに首を傾げると、ラウス様はここにはいないアンジェリカを慈しむかのように目を細めた。
「一度、アンジェリカに言ったことがあるんだ。『お父様に頼めば婚約をなかったことにしてくれるかもしれないぞ?』と。けれどあの子は『私が頑張っていれば、お義姉様がおうちに来てくれるのでしょう?』と答えたんだ。初めはアンジェリカの言うことがわからなかった。けれどある日ふと、幼いアンジェリカは私のために王子の婚約者で居続けてくれていると知ったんだ。いつかやってくる義姉が過ごしやすい環境を作るために、あの子は根回しをしやすい環境を作り続けた」
「そんな……」
私は彼女が苦労しただけの価値はある義姉になれているだろうか?
親切をもらうだけもらって返せている自信はないのだ。
今すぐにでもアンジェリカを抱きしめてあげたい衝動に駆られ、勢いよく立ち上がる。けれどドアへと向かおうとしている私をラウス様は制止した。するとトントンと弱々しくトビラの叩かれる音が静まった部屋へと反響する。
「アンジェリカ、入ってもいいぞ」
「お兄様、お義姉様」
「アンジェリカ……」
「一緒に、寝てもいいですか?」
ネグリジェ姿のアンジェリカは、先ほどは不在であったテディベアをしっかりと胸元に抱え、私達の顔色を伺うようにしてトビラからこちらを覗いた。
「もちろん!」
私はすぐにそう返す。けれどラウス様は腕を組んで、ブツブツと呟きながら悩んでいる様子だった。そしておでこを数回指先でトントンと叩いた後で「モリアはいいのか?」と私に伺いを立てた。
「もちろんです!」
私の答えはアンジェリカに対して発したものと同じだ。アンジェリカが私のために今まで沢山の苦労をしてきてくれていたと知っていて、そんな彼女の願いを叶えてあげられないほど無力な義姉でいたくはないのだ。
「わかった。アンジェリカ、おいで」
手招きをされ、嬉しそうにトトトと軽やかな足取りでベッドにやって来たアンジェリカは迷わずベッドの真ん中に陣取る。アンジェリカの右隣には私が、そして左隣には彼女の相棒のテディベアとラウス様が。そして彼女は布団を首元まで引っ張って幸せそうに笑った。
「アンジェリカ、モリアと少し、近すぎやしないか?」
「そうですか? ではお兄様とももっと近寄りますね!」
アンジェリカはテディベアを自分の胸の上に乗せ、そしてラウス様の腕を引き、わずかに空いていた間を埋めた。大きなベッドの真ん中にこれでもかと密集する姿はまるで家族のようだ。
その場合、アンジェリカが子どもで、お母さんは私だろう。そしてお父さんは……とまで考えて顔が熱くなるのを感じた。結婚もしていないのに子どもなんて気が急いた自分が恥ずかしい女のように思えてならないのだ。
するとアンジェリカもまた私と同じことを思ったようで、天井を見つめながらふと呟いた。
「こうして寝てると私、お義姉様の妹じゃなくて娘になった気分です」
その言葉だけで認めてもらえたような気がして、愛おしい隣の少女の髪を撫でた。
私という義姉を望んでくれて、受け入れてくれてありがとう――と。
アンジェリカは目を閉じて、気持ちよさそうに私の腕に頬を擦りよせた。
「おやすみ、アンジェリカ、モリア」
その言葉を耳に残し、眠りにつくのであった。
ラウス様に心配そうに見つめられ、疲れて帰って来ている彼に心配をかけてしまったことにひどく申し訳なさを感じてしまう。
「あ、いえ……。私は何も……」
問いに答える声はこれ以上心配させまいと出だしばかりが強くなった。けれど途中でそう答えることがむしろより心配にさせてしまうのではないかと言うことに気づき、段々と勢いを落としたように弱くなる。
やはりアンジェリカの様子が気がかりで、今も部屋に引きこもったままなのではないかと勘ぐってしまうのだ。
「……ああ、アンジェリカのことを気にしているのか? なら心配はいらない。アンジェリカがちゃんと夕食を食べたとシェードが先ほど嬉しそうな顔で屋敷中に伝達していたからな」
ラウス様は安心させるように私の頭を撫でながら、アンジェリカの様子を教えてくれた。けれどその言葉は余計にアンジェリカを心配してしまう要因となる。
まさかいつもあんな様子だとは思いもしなかったのだ。ラウス様の話す限りだとどうやら今回が特別というわけではなさそうだ。
「アンジェリカ、いつもマクベス王子に会われた日はご飯、食べないんですか?」
「機嫌悪く帰ってきたときは大抵食べないな。アンジェリカが普段抱えているテディベア、あれはお父様がアンジェリカの誕生日にプレゼントしたものなのだが、あれを叩き落とされて泥まみれにして帰ってきた時は丸一日飲まず食わずで、シェードが泣き落としてやっと食事をとらしたほどだったなぁ」
「え……」
ラウス様はまるで懐かしい出来事を思い返すかのようにしみじみとその出来事を語るが、私はそのことの恐ろしさに身体を震わせてしまう。
そんなこと、私には出来そうもないからだ。
人生で一度だけ引いたことのある風邪の時ですら、二食は食べていた。
お粥と、お兄様達が「死ぬんじゃないぞ、モリア!」と励ましながら差し入れてくれた丸焼きの肉、そしてお姉様がとって来てくれた山の果実。とりあえず用意されたものを全て食べていたため、一体どれが風邪に効く食べ物なのかは分からなかったが、何かのお陰で一日もすれば風邪が治った。
もしもう一度風邪を引いたとして、そんな状況に陥ったのならばきっと風邪ではなく栄養不足によって身体が弱っていってしまうに違いない。
「アンジェリカは大丈夫だったのですか!」
身体を前のめりにさせながら、私の知らなかった時のアンジェリカが心配でたまらなくなる。
「モリア、落ち着いてくれ。君はシェードやマクベス王子と同じような反応をするんだな。それだけアンジェリカを思ってくれているのは嬉しいが、心配しすぎだ。アンジェリカは意外と丈夫なんだ」
「ですが、ですが……」
「むしろその後の方が大変で、まさかマクベス王子を連れて国王陛下までもが直々に謝罪されるとは思っていなかった」
「国王陛下直々に……」
「アンジェリカとマクベス王子の婚約は政略的ものではないからな。王子も破談にしないでほしいと目を潤ませていたな」
「政略結婚では、ない?」
ならばなぜあんなに辛そうな顔をしてまで、アンジェリカは婚約状態を続けているというのか。
先程の、ほんの少しの間だけでもマクベス王子がアンジェリカのことを思っているのは感じられた。けれどアンジェリカの過去の出来事を聞いてしまった私は二人を応援することは難しい。
「あの二人の婚約はアンジェリカに一目惚れしたマクベス王子が、陛下に頭を下げて頼んだものだ。王家としては、それ以外の婚約は一切受け付けないと宣言してそのほかのご令嬢に会わないマクベス王子に他の婚約を取り付けるより、カリバーンの娘をとった方が良かったのだろう。アンジェリカと婚約を結んで以来、王子と陛下は何やら約束事を結んだらしくワガママ王子の噂はメッキリ収まったものだ」
「ですが……」
「その時、カリバーンと王家が結んだのはアンジェリカが婚約破棄を願い出た場合は何があろうとも承諾するという約束事だ。本来ならば陛下も他の公爵家も本当はこれ以上カリバーンの権力集中は見逃せないんだ。私は次期宰相、そしてサキヌは次期公爵家当主、アンジェリカは次期王子妃だ。
私はとある一件があってからずっと婚約者を作らなかったため、長年その場に自分の娘を据えようと躍起になっていた者が多かった。こうしてモリアを妻に迎えられたのは、故意ではなかったにしろ、権力合戦には無頓着のサンドレア男爵家の娘だったから。結果的に政治的な権力を分散することとなった。もしも君が公爵家の娘だったら、男爵家でも権力を求める家だったら、ここまで早く話は進むことはなかっただろう。けれどずっと空席だった宰相の妻を狙おうとしていた他家からしてみれば面白くない。そんな彼らが今度狙うのは婚約者と不仲なことで有名なマクベス王子の婚約者の座だ。今回の行動がすぐそばで耳をそばだてる公爵家の当主達の耳に入らないわけがない。
マクベス王子には悪いが、今回はよほど怒っていたようだし、そろそろアンジェリカが音をあげて婚約破棄を言い出す日も近いだろう」
「そう、ですか……」
「あの子の願いはすでに叶ったし、な」
「願い、ですか?」
「あの子はずっと『姉』がほしかったんだ」
ラウス様は唐突に何を言いだすのだろうか?
その言葉の意味がわからずに首を傾げると、ラウス様はここにはいないアンジェリカを慈しむかのように目を細めた。
「一度、アンジェリカに言ったことがあるんだ。『お父様に頼めば婚約をなかったことにしてくれるかもしれないぞ?』と。けれどあの子は『私が頑張っていれば、お義姉様がおうちに来てくれるのでしょう?』と答えたんだ。初めはアンジェリカの言うことがわからなかった。けれどある日ふと、幼いアンジェリカは私のために王子の婚約者で居続けてくれていると知ったんだ。いつかやってくる義姉が過ごしやすい環境を作るために、あの子は根回しをしやすい環境を作り続けた」
「そんな……」
私は彼女が苦労しただけの価値はある義姉になれているだろうか?
親切をもらうだけもらって返せている自信はないのだ。
今すぐにでもアンジェリカを抱きしめてあげたい衝動に駆られ、勢いよく立ち上がる。けれどドアへと向かおうとしている私をラウス様は制止した。するとトントンと弱々しくトビラの叩かれる音が静まった部屋へと反響する。
「アンジェリカ、入ってもいいぞ」
「お兄様、お義姉様」
「アンジェリカ……」
「一緒に、寝てもいいですか?」
ネグリジェ姿のアンジェリカは、先ほどは不在であったテディベアをしっかりと胸元に抱え、私達の顔色を伺うようにしてトビラからこちらを覗いた。
「もちろん!」
私はすぐにそう返す。けれどラウス様は腕を組んで、ブツブツと呟きながら悩んでいる様子だった。そしておでこを数回指先でトントンと叩いた後で「モリアはいいのか?」と私に伺いを立てた。
「もちろんです!」
私の答えはアンジェリカに対して発したものと同じだ。アンジェリカが私のために今まで沢山の苦労をしてきてくれていたと知っていて、そんな彼女の願いを叶えてあげられないほど無力な義姉でいたくはないのだ。
「わかった。アンジェリカ、おいで」
手招きをされ、嬉しそうにトトトと軽やかな足取りでベッドにやって来たアンジェリカは迷わずベッドの真ん中に陣取る。アンジェリカの右隣には私が、そして左隣には彼女の相棒のテディベアとラウス様が。そして彼女は布団を首元まで引っ張って幸せそうに笑った。
「アンジェリカ、モリアと少し、近すぎやしないか?」
「そうですか? ではお兄様とももっと近寄りますね!」
アンジェリカはテディベアを自分の胸の上に乗せ、そしてラウス様の腕を引き、わずかに空いていた間を埋めた。大きなベッドの真ん中にこれでもかと密集する姿はまるで家族のようだ。
その場合、アンジェリカが子どもで、お母さんは私だろう。そしてお父さんは……とまで考えて顔が熱くなるのを感じた。結婚もしていないのに子どもなんて気が急いた自分が恥ずかしい女のように思えてならないのだ。
するとアンジェリカもまた私と同じことを思ったようで、天井を見つめながらふと呟いた。
「こうして寝てると私、お義姉様の妹じゃなくて娘になった気分です」
その言葉だけで認めてもらえたような気がして、愛おしい隣の少女の髪を撫でた。
私という義姉を望んでくれて、受け入れてくれてありがとう――と。
アンジェリカは目を閉じて、気持ちよさそうに私の腕に頬を擦りよせた。
「おやすみ、アンジェリカ、モリア」
その言葉を耳に残し、眠りにつくのであった。
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