30 / 196
チュート殿下 17 そりゃあ、前世を覚えてるんだから、産まれた時も覚えてるよ
しおりを挟む
マーシュにどこまで説明すればいいか考えているうちに、『僕』の心の源泉近くの記憶まで掘り起こしちゃったよ。
生まれたてのところから、もっと瞑想状態まで行ったら、生まれる前のことまで思い出せそう……。
って、前世までしっかり覚えてるんだった、俺……。
マーシュもリフルもアークの味方である前提で話を進めていく気であるけど、あくまでも二人の雇い主は現王陛下であるし、特にマーシュは陛下の同級生であるし、鑑定君でも【王の忠臣】て出てくるくらいだから。『僕』が抱いていた両親に対する感情は、伝えない方がいいよな。いい気しないもん、きっと……。
とりあえず一番身近に起こった、今回の『暗殺未遂』事件について、聞いてみたいと思う。この離宮に来た理由も全く聞いていないからね。
このことについて俺が話せることは少ない、閃光がぶち当たる瞬間まで俺は存在していないようなものだからね。
心の底にアクセス?してみると、『僕』はなんとなく予想していたような気配がある。突き詰めると一気に沈みそうな心持ちがするので、これ以上記憶にダイブするのはやめたほうが良さそう。
鑑定君?スキル君?(名前つけるのも逆に怖そう、なんかこっちにもテンプレありそうで…)も、まだ今これ以上思考に沈むのはダメよと言っている。
「まだ犯人は判明していないのか?」
あれから、アークの周りでは引っ越し以外何の変化もなく営みが過ぎていたので、捕まったとかはないかなぁと思いつつも、変に気を遣って、〈子供だから知らせないようにしよう〉とか、全くないとも言えないから、一応聞いてみた。
マーシュはいつもの無表情に、若干額にしわが寄る程度の色を付けて、直立のまま詫びの言葉を述べた。
「申し訳ございません。総力を上げて当日の状況把握に努めておりますが、儀式に集まった貴族全ての聴取にも手間取っているようでして……何分殿下の初の御目見えということもあり、普段城に上がることのない遠方の領主も登城しておりまして、名簿との照合すら終わっていないという、ていたらくでございまして」
自分が指揮を執れば、ここまで後手に回らないとその表情が語っている。
今回『帯剣の儀』を行った5歳になる男子は、勿論アークだけではない。
貴族世界のご多分に漏れず、次期国王になるであろう王太子が結婚すれば、それに合わせて結婚する貴族も増えるし、また生まれてくるだろう王子・王女の、ご学友、婚約者を目指して生まれてくる子供の数も劇的に上がったりする。
今回も、アーク誕生の1年前から続くベビーブームで、一桁も子供の数が違ったりするのはどんなものなのだろうか。
『帯剣の儀』は貴族の男児が5歳になると行う儀式であるが、まぁ要するに初の御目見えの会だったりするわけで、若干5歳にしてその子供の器を測る会なのだから、貴族の世界もそう生きやすいものでもない。
この世界ではそれよりも10歳での精霊契約の方が、人生において大問題であるが、今回は『帯剣の儀』のことだ。
『帯剣の儀』は特定の場所で行う必要があるものではない。言ってみればただのお披露目会であるのだから、それぞれの家で行えばいいだけであるのだが、時代を経るにつけて段々と規模を大きくし、その貴族の力を表す一つのバローメータとして使われてきた。
今回は王族のそれもただ一人の長子のお披露目会である、その神輿にともに乗るべく上級貴族の子息が挙って今回のこの王城での『帯剣の儀』に参加することに名乗りを上げた。
王城側も、一生に一度の目出度い儀式であることからも、領地の遠近を問わず参加を認めることとして、王城主催の大舞踏会のごとく、城一番の大広間で執り行われたのである。
そして、しずしずと儀式が執り行われた最後に、アースクエイク・デューク・テンペスト殿下(つまり、オレ)が今回の祭司役の宰相閣下から、剣を受け取り帯刀して一段高いところに登壇したタイミングで、強い光の矢のようなものが飛んできたのである。
生まれたてのところから、もっと瞑想状態まで行ったら、生まれる前のことまで思い出せそう……。
って、前世までしっかり覚えてるんだった、俺……。
マーシュもリフルもアークの味方である前提で話を進めていく気であるけど、あくまでも二人の雇い主は現王陛下であるし、特にマーシュは陛下の同級生であるし、鑑定君でも【王の忠臣】て出てくるくらいだから。『僕』が抱いていた両親に対する感情は、伝えない方がいいよな。いい気しないもん、きっと……。
とりあえず一番身近に起こった、今回の『暗殺未遂』事件について、聞いてみたいと思う。この離宮に来た理由も全く聞いていないからね。
このことについて俺が話せることは少ない、閃光がぶち当たる瞬間まで俺は存在していないようなものだからね。
心の底にアクセス?してみると、『僕』はなんとなく予想していたような気配がある。突き詰めると一気に沈みそうな心持ちがするので、これ以上記憶にダイブするのはやめたほうが良さそう。
鑑定君?スキル君?(名前つけるのも逆に怖そう、なんかこっちにもテンプレありそうで…)も、まだ今これ以上思考に沈むのはダメよと言っている。
「まだ犯人は判明していないのか?」
あれから、アークの周りでは引っ越し以外何の変化もなく営みが過ぎていたので、捕まったとかはないかなぁと思いつつも、変に気を遣って、〈子供だから知らせないようにしよう〉とか、全くないとも言えないから、一応聞いてみた。
マーシュはいつもの無表情に、若干額にしわが寄る程度の色を付けて、直立のまま詫びの言葉を述べた。
「申し訳ございません。総力を上げて当日の状況把握に努めておりますが、儀式に集まった貴族全ての聴取にも手間取っているようでして……何分殿下の初の御目見えということもあり、普段城に上がることのない遠方の領主も登城しておりまして、名簿との照合すら終わっていないという、ていたらくでございまして」
自分が指揮を執れば、ここまで後手に回らないとその表情が語っている。
今回『帯剣の儀』を行った5歳になる男子は、勿論アークだけではない。
貴族世界のご多分に漏れず、次期国王になるであろう王太子が結婚すれば、それに合わせて結婚する貴族も増えるし、また生まれてくるだろう王子・王女の、ご学友、婚約者を目指して生まれてくる子供の数も劇的に上がったりする。
今回も、アーク誕生の1年前から続くベビーブームで、一桁も子供の数が違ったりするのはどんなものなのだろうか。
『帯剣の儀』は貴族の男児が5歳になると行う儀式であるが、まぁ要するに初の御目見えの会だったりするわけで、若干5歳にしてその子供の器を測る会なのだから、貴族の世界もそう生きやすいものでもない。
この世界ではそれよりも10歳での精霊契約の方が、人生において大問題であるが、今回は『帯剣の儀』のことだ。
『帯剣の儀』は特定の場所で行う必要があるものではない。言ってみればただのお披露目会であるのだから、それぞれの家で行えばいいだけであるのだが、時代を経るにつけて段々と規模を大きくし、その貴族の力を表す一つのバローメータとして使われてきた。
今回は王族のそれもただ一人の長子のお披露目会である、その神輿にともに乗るべく上級貴族の子息が挙って今回のこの王城での『帯剣の儀』に参加することに名乗りを上げた。
王城側も、一生に一度の目出度い儀式であることからも、領地の遠近を問わず参加を認めることとして、王城主催の大舞踏会のごとく、城一番の大広間で執り行われたのである。
そして、しずしずと儀式が執り行われた最後に、アースクエイク・デューク・テンペスト殿下(つまり、オレ)が今回の祭司役の宰相閣下から、剣を受け取り帯刀して一段高いところに登壇したタイミングで、強い光の矢のようなものが飛んできたのである。
37
あなたにおすすめの小説
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる