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チュート殿下 18 『俺』は『僕』に感謝する。
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台の上に乗っていたとしても、まだ5歳の小僧である『僕』には、正面から放たれた光の発射地点を視認することはできなかった。
ただ、同じフロアーから放たれたものではなく、三階部分まで吹き向けになっているこの大広間の、二階部分に作られている回廊の少し内側に出っ張った、テラスのような作りになっているところ辺りから 発射されたものか。
大広間に集まった大勢の人が、ほぼ全員『僕』に注意を向けていたため、光源を見たものは『僕』以外いないのかもしれない。
勿論、光を放たれたその時は、大広間の構造など全く知らなかった初見の場所であったから、平面上から打たれたわけではないことぐらいしかわからなかったが、ひと段落下今、マーシュにこの城の平面図を見せてもらったことでわかったことであるのだ。
「やはりあの場所から…しかし、あそこは招待客が入ることは難しい場……」
襲撃時の思い出されたことを、平面図を指さしながら伝えたところ、一層渋い顔をしてマーシュは深く考え込んでしまった。
まぁ、行き当たりばったりで『暗殺未遂』事件なんてできないよな。十分計画的なことだ。
陛下も臨席する大々的な式典の場面で、こんなことを起こしておきながら、しっぽの先もつかませていないのだから、犯人は十分内輪の人間であることの証明でもあるように思うけど。
肉親だとかなんだとか、全くそんなもの、今の俺に意味をなさない、ゲームで見ていたキャラ以外の何物でもないので、ここで両親が犯人と言われても、全くおどろかない。逆に納得さえできる。
〈こんなこと、この城の中で、口が裂けてもいえないけど……〉
俺はゲームデータ以上のことを知らないし、『僕』の記憶をさらっても全く両親のことは出てこないので、両親がそんなことをする人なのかどうなのか判断ができない。
王であったなら、しないともいえないかもしれない。
客観的に考えて、一般的に思われているアークの評判以上の情報を持っていなかったら、為政者としては、暗殺してしまっても、仕方がないと思えるからだ。
陛下と幼馴染ともいえるマーシュはどう考えているのだろう。俺より余程陛下のことを知っている彼は、俺が考え付くくらいのこと絵は無論のこと、政治的な判断からも俺が排除される原因は山ほど考え付いているだろうから。
俺の世界に置き換えて考えるならば、VIPが山ほどいるような皇居の松の間で、式典の最中に皇族の方が銃撃されるようなものだ。
たしかにここは誰もが魔法を使えるわけで、誰もが銃を持っているようなものであるけど、城の中では誰もが等しく攻撃系魔法が使えない仕様になっている、ということをマーシュが言っていた。治療に特化した魔法は例外とも。
そうでなければ、安心して生活できない、こんな魑魅魍魎が跋扈しているような伏魔殿で。
ただ、そんな魔法の中で、ただ一つだけ例外の属性があることをスキル君が教えてくれた。
この世界特にアミュレット王国では、特別神聖視されている、王族に特化しているとも言われている『光属性』。
光属性を持つものは、どこかしらで王族の血が流れているといわれるほどのものだ。
まだ、魔法については全く学んでいないので、詳しいことはわからない……はずだけど、俺にはスキル君がいてくれるので、心の中で聞いてみる。流石にスキル君も個々人については『僕』が鑑定君で直接会ってみた人以外の情報はないので、個人的な情報は弱いが、この世界の真理についてはレベルに応じて答えてくれる。何も知らない俺にとっては途轍もなく強いアドバンテージだ。
「『僕』に感謝だ……」
思わず漏れた呟きに、気付く者は誰もいなかった。
ただ、同じフロアーから放たれたものではなく、三階部分まで吹き向けになっているこの大広間の、二階部分に作られている回廊の少し内側に出っ張った、テラスのような作りになっているところ辺りから 発射されたものか。
大広間に集まった大勢の人が、ほぼ全員『僕』に注意を向けていたため、光源を見たものは『僕』以外いないのかもしれない。
勿論、光を放たれたその時は、大広間の構造など全く知らなかった初見の場所であったから、平面上から打たれたわけではないことぐらいしかわからなかったが、ひと段落下今、マーシュにこの城の平面図を見せてもらったことでわかったことであるのだ。
「やはりあの場所から…しかし、あそこは招待客が入ることは難しい場……」
襲撃時の思い出されたことを、平面図を指さしながら伝えたところ、一層渋い顔をしてマーシュは深く考え込んでしまった。
まぁ、行き当たりばったりで『暗殺未遂』事件なんてできないよな。十分計画的なことだ。
陛下も臨席する大々的な式典の場面で、こんなことを起こしておきながら、しっぽの先もつかませていないのだから、犯人は十分内輪の人間であることの証明でもあるように思うけど。
肉親だとかなんだとか、全くそんなもの、今の俺に意味をなさない、ゲームで見ていたキャラ以外の何物でもないので、ここで両親が犯人と言われても、全くおどろかない。逆に納得さえできる。
〈こんなこと、この城の中で、口が裂けてもいえないけど……〉
俺はゲームデータ以上のことを知らないし、『僕』の記憶をさらっても全く両親のことは出てこないので、両親がそんなことをする人なのかどうなのか判断ができない。
王であったなら、しないともいえないかもしれない。
客観的に考えて、一般的に思われているアークの評判以上の情報を持っていなかったら、為政者としては、暗殺してしまっても、仕方がないと思えるからだ。
陛下と幼馴染ともいえるマーシュはどう考えているのだろう。俺より余程陛下のことを知っている彼は、俺が考え付くくらいのこと絵は無論のこと、政治的な判断からも俺が排除される原因は山ほど考え付いているだろうから。
俺の世界に置き換えて考えるならば、VIPが山ほどいるような皇居の松の間で、式典の最中に皇族の方が銃撃されるようなものだ。
たしかにここは誰もが魔法を使えるわけで、誰もが銃を持っているようなものであるけど、城の中では誰もが等しく攻撃系魔法が使えない仕様になっている、ということをマーシュが言っていた。治療に特化した魔法は例外とも。
そうでなければ、安心して生活できない、こんな魑魅魍魎が跋扈しているような伏魔殿で。
ただ、そんな魔法の中で、ただ一つだけ例外の属性があることをスキル君が教えてくれた。
この世界特にアミュレット王国では、特別神聖視されている、王族に特化しているとも言われている『光属性』。
光属性を持つものは、どこかしらで王族の血が流れているといわれるほどのものだ。
まだ、魔法については全く学んでいないので、詳しいことはわからない……はずだけど、俺にはスキル君がいてくれるので、心の中で聞いてみる。流石にスキル君も個々人については『僕』が鑑定君で直接会ってみた人以外の情報はないので、個人的な情報は弱いが、この世界の真理についてはレベルに応じて答えてくれる。何も知らない俺にとっては途轍もなく強いアドバンテージだ。
「『僕』に感謝だ……」
思わず漏れた呟きに、気付く者は誰もいなかった。
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