転生したら当て馬王子でした~絶対攻略される王太子の俺は、フラグを折って幸せになりたい~

HIROTOYUKI

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チュート殿下 33 ついにやってきました、10歳の夏至の日!

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 ついにやってきました10歳の夏至の日が!

 相変わらず俺の王・王妃両親は俺に一切関心を持たず。

 その代わり、異母兄の関係者や、異母兄に利害を求めている者達は俺の存在が気に入らないようで、関係?を持とうと様々な方法で接触をしようとしていたが、ことごとくマーシュが撃退したようです。

 あからさまなものにはあからさまに、そうでないものにはひっそりと……。

 マーシュの徹底ぶりは、キールが心酔するほどで、このままでは、ミニマーシュがすぐ近くで生まれそうで少し怖いこの頃だ。

 キールの実体化も、俺だけに見えるものから、意図的に他の人に姿を見せることができるものまで進化した。

 模る姿も、俺の見ているキールの姿ではなく、見知った者の姿を取ることもできるし、見たこともない人物の形を作り出すこともできる、性別も年齢も関係なく。

 この世界の人間の中には、鑑定を使える者も居るから、すっかり別人になることは難しいことであるはずだが、そもそもキールは人間ではないので、鑑定でその本当のことを見ることもできないらしい。

 例え見えたとしても、この世界の人間に理解不能な事であることは違いない。人型をしたスキルなんてものの存在は、認めることが出来ないだろうから。

 
 今日は朝から何かと騒がしい離宮の中で、いつものようにキールは他の人の目に触れることなく近くにいてくれている。

 キールが言うには、この離宮の中でマーシュは別格の存在であることは違いないが、リフルもまた信頼に当たる者として、いつかは自分の存在を知らせてもいいくらいに思える者らしい。

 キールの言う信頼できる者の第一条件が、自身のことより俺のことを心の底から大切に考えている者。ということらしく、俺が寝ているときも活動ができるキールが、独自に情報収集する上で判断した結果とのことだ。

 俺のことを一番に考えてくれるというのは、とてもうれしいことだが、そのことを条件に挙げるキールも、その条件に当てはまるリフルもまた、その愛の重さが少し恐ろしいと思ってしまうことは、俺がいけないのか……。

 今日は、いつもより2時間程早く起こされて、直ぐに入浴。まるで潔斎をするようにお湯というよりも水に近いぬるま湯に入れられ、いつもよりしっかり磨かれた。

 それから軽い朝食。今日は昼食を定時に食べることができないので、多めにとるように言われるも、元々そんなに大食漢ではないので、サラダを少し多めにつまむくらいで済ませた。

 この日のための衣装もマーシュが準備してくれた。

 衣装について特に決まりはないらしい。

 ただ、どのような色を纏うようになるのかはその時になるまでわからないから、上級貴族ほど自分の求める精霊の色を衣装に選ぶ者が多いということだ。

 俺は既に、金色の髪色をしている。

 これを隠すために今までこの離宮に籠っていたといっても過言ではない。勿論、一番の理由は暗殺を防ぐためだけど……。

 今日はこの俺の姿を晒さないとどうにもならない。欠席することはできないのだから。

 どうするのか、俺なりに考えた。一番簡単なのは俺が魔法で姿替えをすること。

 しかし、俺はというか、10歳の今日のこの精霊契約の儀式が終わるまでは誰も、魔法は使えないことになっているから、俺のこの姿を知っている人には魔法がばれるということだ。

 最悪それでもいいと思っていたけど、キールと一緒に儀式の行われる大神殿に忍び込んだ時、神殿内部には簡単に侵入できたものの、儀式の間と言われるところには、さすがに何もなく侵入できるような気配ではなかった。

 何でも知っている賢者のようなキールも俺のスキルに過ぎないからか、前世の世界の事柄とゲームの内容は知っていても、この世界のこと全てを知っているわけではなく、この世界のことは鑑定のようなもので調べ、自分の知識と重ね合わせて理解する必要があるのだ。

 その中でも、この神殿の儀式の間の気配は理解しがたい何かがあるのは間違いなく、下手にいじることはいただけないと判断した。つまり、そこで魔法を使用することは悪手であると。

 だから、今日も態々危ない橋を渡って魔法を使い姿を変えることはやらない方がいいと判断した。

 
 段々と太陽が天中に昇っていく。この世界では精霊契約のある夏至には、ほぼ雲一つなく晴れ渡るらしい。

 沐浴が終わって,軽装のままくつろいでいた俺は、ついにリフルの手で衣装室に連れていかれ、今日着ることになる衣装とご対面となった。

 それは、普段城内ではあまり見ることがない、神殿の修道士が着ている聖服というものによく似た形をしていた。

 色は白ベースで、縁どりや背中一面に施されている刺繍は王族しか纏うことが許されていない金糸が使われていて、形が貫頭衣のようなシンプルなものであるだけに、その金色がとても目立っていた。

 また、修道士が着る聖服には、頭から顔を隠すようにすっぽりとかぶれるようなフードが付いているのだが、勿論、俺が着ることになるこの服にもついていて、かねてからの懸案だったこの金髪を隠すことも自然にできそうだ。

 ただ、この聖服を着ることは、実に目立った姿になることは間違いないだろうけど……。

 

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