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チュート殿下 35 初めての城からの外出……しっかりと門をくぐって
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後一時間しないで、夏至の太陽が天中にたどり着く,という時になって俺たちは離宮の敷地から外に出た。
移動は勿論、馬車である。真っ黒なでっかい馬の二頭立て。
城の中枢部がある一の廓という城郭の外に出るのは、生まれて初めてかもしれない。
何だ、大神殿に忍び込んだことあるじゃないかって。
確かに。
だけど、その時一緒にいたのは……そう、何でもできちゃうキール君。
キールに抱きかかえられると、(なぜかできちゃう不思議?)俺の体もキールと同じ仕様になるのか、物理的障害を受けなくなるのだ。
つまり、、壁抜けの術もなんのその!ということだ。
キールの力がなかったとしても、俺、目視できれば初見のところでも瞬間移動できるから!
それならどこでも行けるよねって話だけど……。俺いい子だから……。
大神殿は、後宮等がある王城の一の廓内にある建物ではあるが、王の城とは区別するために、それぞれが高い壁に囲われているため、王城からは一度その城壁を出て、改めて神殿の壁内に入る必要があるのだ。
神殿の壁内に入るまでの短い距離ではあるが、濠に囲まれた高い壁を横目に、なだらかに下には広がっている王都の街並みを初めて目にした。
この国の王都もやはり城が一番高いところに立っており、城を中心としてなだらかな丘のようなところに幾重にもめぐらされた壁と、ひしめく家々が密集した造りとなっている。
城に近いほど身分の上の者が住んでいるところは、どこの世界でもテンプレだ。
この時間になって神殿に向かう猛者はほかに居ないようで、この馬車以外お堀の外周を走っている馬車は見えない。
『帯剣の儀』の時と同様、今年に精霊契約を行うものの数は多いらしく、一時間前までには神殿への入場を済ますように、お達しがあったらしい。
中での整理が大変だからね。
俺は腐っても王子。特別な入口から入り、特別な待合室に入るので、儀式直前でも大丈夫。
というか、神殿からは遅れないことはもちろんであるが、できるだけギリギリで来て欲しいと言われたそうだ。
「ここが大神殿の入り口の大橋です」
レースのカーテンのようなものが掛けられていて、欲は見えない馬車の両方の窓を,覗くようにキョロキョロ見ていた俺に、正面の席に座っているマーシュが教えてくれる。
ちなみに、キールは実体化を解いて俺の中?にいる状態。リフルは魔力がない事を揶揄されることを避けるため、お留守番だ。
水がなみなみと湛えられた濠に立派な石橋が掛かっている。
こう言う所は木造の跳ね橋ではないのか尋ねたところ。
「このような石橋でも、一つの石を外すだけで崩れるようになっているらしいですよ。それとここは神殿の橋ですから。防御魔法の使える者も多いでしょうし」
王都でない、各貴族の領地にある、領都と言われるところや、城郭を持つ街などの濠に架かる橋は、確かに木製の跳ね橋がほとんどだそうだ。魔法使い特に強力な結界魔法の使える者はそう居ないらしい。
その、立派な石橋を通り過ぎ少し走ると、その石橋よりは二回りほど小さい石橋を馬車が渡る。
「ここはいわゆる、神殿の裏口に架かる橋です」
馬車一両がやっと渡れる幅のこの橋は、神殿に勤めている人たちが使う橋らしい。
裏口らしく、神殿に繋がる道も石畳にはなっていない土がむき出しね,轍がくっきりと作られている。
今までとは違い、ガタガタと揺れながら神殿を横に見ながら奥の方に進んでいく。
「もう着きます。神殿正面には今日中に入れない親族がたむろしていますので、そこは避けて直接控室に入ります」
マーシュの言葉が終わるとともに、馬車が止まり、外からの合図を待って内鍵を開けた。
暗い馬車から外に出るも、神殿の裏庭もうっそうと茂る森がすぐそこまで迫っていて、目を眩ませるような明るさはなく、横付けされた扉から、建物の中に体を滑らせた。
主に使用人たちが使うのだろう廊下は照明も所々で、昼間なのに薄暗い。
床には一方向にだけ薄い絨毯が敷かれていて、この道が貴人の秘密の通り道であることを示唆しているようだ。
その色褪せたジュータンを踏み進んでいくと、程なく幾分か高さや幅の小さい飾り気のないドアが現れた。
コン・コ・コンコン……。
独自なリズムでノックをすると、同じようなノックが返ってきた後で、内側から扉が開いた。
移動は勿論、馬車である。真っ黒なでっかい馬の二頭立て。
城の中枢部がある一の廓という城郭の外に出るのは、生まれて初めてかもしれない。
何だ、大神殿に忍び込んだことあるじゃないかって。
確かに。
だけど、その時一緒にいたのは……そう、何でもできちゃうキール君。
キールに抱きかかえられると、(なぜかできちゃう不思議?)俺の体もキールと同じ仕様になるのか、物理的障害を受けなくなるのだ。
つまり、、壁抜けの術もなんのその!ということだ。
キールの力がなかったとしても、俺、目視できれば初見のところでも瞬間移動できるから!
それならどこでも行けるよねって話だけど……。俺いい子だから……。
大神殿は、後宮等がある王城の一の廓内にある建物ではあるが、王の城とは区別するために、それぞれが高い壁に囲われているため、王城からは一度その城壁を出て、改めて神殿の壁内に入る必要があるのだ。
神殿の壁内に入るまでの短い距離ではあるが、濠に囲まれた高い壁を横目に、なだらかに下には広がっている王都の街並みを初めて目にした。
この国の王都もやはり城が一番高いところに立っており、城を中心としてなだらかな丘のようなところに幾重にもめぐらされた壁と、ひしめく家々が密集した造りとなっている。
城に近いほど身分の上の者が住んでいるところは、どこの世界でもテンプレだ。
この時間になって神殿に向かう猛者はほかに居ないようで、この馬車以外お堀の外周を走っている馬車は見えない。
『帯剣の儀』の時と同様、今年に精霊契約を行うものの数は多いらしく、一時間前までには神殿への入場を済ますように、お達しがあったらしい。
中での整理が大変だからね。
俺は腐っても王子。特別な入口から入り、特別な待合室に入るので、儀式直前でも大丈夫。
というか、神殿からは遅れないことはもちろんであるが、できるだけギリギリで来て欲しいと言われたそうだ。
「ここが大神殿の入り口の大橋です」
レースのカーテンのようなものが掛けられていて、欲は見えない馬車の両方の窓を,覗くようにキョロキョロ見ていた俺に、正面の席に座っているマーシュが教えてくれる。
ちなみに、キールは実体化を解いて俺の中?にいる状態。リフルは魔力がない事を揶揄されることを避けるため、お留守番だ。
水がなみなみと湛えられた濠に立派な石橋が掛かっている。
こう言う所は木造の跳ね橋ではないのか尋ねたところ。
「このような石橋でも、一つの石を外すだけで崩れるようになっているらしいですよ。それとここは神殿の橋ですから。防御魔法の使える者も多いでしょうし」
王都でない、各貴族の領地にある、領都と言われるところや、城郭を持つ街などの濠に架かる橋は、確かに木製の跳ね橋がほとんどだそうだ。魔法使い特に強力な結界魔法の使える者はそう居ないらしい。
その、立派な石橋を通り過ぎ少し走ると、その石橋よりは二回りほど小さい石橋を馬車が渡る。
「ここはいわゆる、神殿の裏口に架かる橋です」
馬車一両がやっと渡れる幅のこの橋は、神殿に勤めている人たちが使う橋らしい。
裏口らしく、神殿に繋がる道も石畳にはなっていない土がむき出しね,轍がくっきりと作られている。
今までとは違い、ガタガタと揺れながら神殿を横に見ながら奥の方に進んでいく。
「もう着きます。神殿正面には今日中に入れない親族がたむろしていますので、そこは避けて直接控室に入ります」
マーシュの言葉が終わるとともに、馬車が止まり、外からの合図を待って内鍵を開けた。
暗い馬車から外に出るも、神殿の裏庭もうっそうと茂る森がすぐそこまで迫っていて、目を眩ませるような明るさはなく、横付けされた扉から、建物の中に体を滑らせた。
主に使用人たちが使うのだろう廊下は照明も所々で、昼間なのに薄暗い。
床には一方向にだけ薄い絨毯が敷かれていて、この道が貴人の秘密の通り道であることを示唆しているようだ。
その色褪せたジュータンを踏み進んでいくと、程なく幾分か高さや幅の小さい飾り気のないドアが現れた。
コン・コ・コンコン……。
独自なリズムでノックをすると、同じようなノックが返ってきた後で、内側から扉が開いた。
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