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チュート殿下 61 『精霊』・『聖女』・『ボッチ飯』
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王様になって、一人で仕事ができないことはわかっているよ。
前世の公務員とは違って、この世界で政治を動かし行政を行うのは、それぞれの大臣は領地持ちの大貴族。その下で働くのは、その大貴族に所属する下級貴族か、領地を持っていない法衣貴族と呼ばれる者たち。
できるだけ利害関係のない仕事を与えようとしても、それぞれが姻戚関係とか血縁とかひっ絡まって、どうにもならないのがこの世界の政治および行政。
選挙もないしな。
力があればなんとかなるのかな?でもそれって恐怖政治?
専制政治ってある面恐怖政治だよね。この世界の人にとってはなんてことないのだろうけど……。
でもこの世界専制君主制の時代だから、その専制君主にされてしまう立場の自分が言うのもなんだけど……。
力といえば、身分も大きいけども、この世界には魔法があるから、魔力が多かったり、大きな魔法が使えることも一種の政治力であるのだよね。
特にこの国では、光の精霊が神聖視されていることもあって、光属性の魔法が使えればそれだけで一つの力だ。
光の精霊だけ、「聖霊」と現わされたりするから。
俺って、ゲームではここまで魔力も強くなかったし、契約できた光属性の精霊もしょぼかったのか、ここまで髪の毛光ってなかった。目の色も青だったけど、スチルで見たのはもっと薄い色だった。
スチルの色は今の異母兄の色とほとんど変わらなかった。
なぜか今の俺は、前世を思い出したからかチートっぽくなってるけど、ゲームの強制力で結局辺境送りジ・エンド。
それがないとは言えないから……。
ボッチで、つまらない授業受けていると、思考が暗い方に行って仕方がない。
キールが俺で遊ぶためか、すぐ近くでフヨフヨ浮かんでいたけど、それにも飽きたのか『情報収集!』と言って、どっかに消えてった。
「……魔法の強さは魔力量だけではありません。契約した精霊の強さだけでもありません。魔力量は訓練の積み重ねで増えるものですし、精霊が強くてもその精霊が求める魔力を与えることができなけらば、強い魔法を放つことはできないのです。ですから……」
この世界では、精霊と契約すると魔法が使える、という形になっている。
が、その精霊というものの姿は契約ができたからといって見ることができない。
ただ、この世界の中でタリスマン帝国の『聖女』だけは、その姿を見ることはおろか、意思疎通もすることもできると言われているらしい。
この国ではその聖女という概念自体存在しないのだけれどね。
だって、タリスマン帝国の聖女の定義が光属性の治癒魔法が使えることらしいから、そしたら俺、聖女じゃん!男だけど……。
言い換えれば、光属性の治癒魔法の使える者は、精霊の姿が見えて意思疎通ができるということになるわけだ。
もしかしたらレベルの問題があるのかもしれないけど……。
もし精霊の姿が見えたなら、キールと同じような存在ということになるのかな?ほかの人には見えないし。
二人も居たら、なんかうるさそうで嫌じゃない。
精霊が見えたらなんかいいことがあるのかな?見えなくても働いてくれるならそれで十分じゃない。
授業を聞きながらそんなことを考えてた。
「……話だけでは魔法についてはよくわからないので、精霊と魔法についてのお話が終わりましたら、この学校の中にある、教練場というところに移動して、簡単な魔法の発動を実際やってもらいます。それは……そうですね、後の二回ほどこのような授業を受けてからですね。そうしたら……」
先生の実地訓練の話に、教室がざわつく。机についての授業は慣れない子供には辛いからね。それなのにこの国の初級学校の授業が前世の大学並みに長くてびっくりしたよ。
これも貴族としてのたしなみの一環なのかな。忍耐を学ぶためとか……。
この後の授業はみんな浮ついていて、注意をひくために話をしたのだろうけど、先生も失敗したなという顔をしていた。
午前だけでなく、午後の授業も始まったので、昼食を食べることになる。この世界も三食あってよかったよ。
生徒は皆、学食に行って食べることになる。
そうそう、初級学校には寮がない。幼いということもあるが、基本契約ができた貴族のみの学校だから、貴族はどんな辺境の領地の弱小貴族であっても、王都に屋敷を持っている、とされているかららしい。
だから、寮は無い。でも、王都に自宅を持っていない貴族だって本当はいるわけで、下宿のようなものが存在しているらしいのだが、そこから通ってくるものは昼食の準備まではできないから、以前は昼食の確保がとても大変だったそうだ。
そこである一人の下宿住まいの生徒が、生徒会に訴えて、初めは小さな売店のようなものを作ってもらったのをきっかけにして、冷たい食事を食べるより暖かいもの、暖かいものを食べるならば売店ではなく食堂、食堂が作られたならより多くの人が使える方が、と、今ではほとんどの者が食堂を使うようになった。それは教師も同じで、食堂の中は一応住み分けができていて、教師、2学年、1学年と分かれて座るようになっている。
もちろん、厳密に分かれて座るルールになっているわけではないから、1,2、年生で一緒に食べるものも多い。
俺は……ボッチだから、1年生の所で食べる、といいたいところだが、食堂ですら食べることができず、毎日離宮から配達される言うなればケータリングの食事を、特別に用意されている部屋、一人食べるのだ。完全に孤食、ボッチ飯だ。
前世の公務員とは違って、この世界で政治を動かし行政を行うのは、それぞれの大臣は領地持ちの大貴族。その下で働くのは、その大貴族に所属する下級貴族か、領地を持っていない法衣貴族と呼ばれる者たち。
できるだけ利害関係のない仕事を与えようとしても、それぞれが姻戚関係とか血縁とかひっ絡まって、どうにもならないのがこの世界の政治および行政。
選挙もないしな。
力があればなんとかなるのかな?でもそれって恐怖政治?
専制政治ってある面恐怖政治だよね。この世界の人にとってはなんてことないのだろうけど……。
でもこの世界専制君主制の時代だから、その専制君主にされてしまう立場の自分が言うのもなんだけど……。
力といえば、身分も大きいけども、この世界には魔法があるから、魔力が多かったり、大きな魔法が使えることも一種の政治力であるのだよね。
特にこの国では、光の精霊が神聖視されていることもあって、光属性の魔法が使えればそれだけで一つの力だ。
光の精霊だけ、「聖霊」と現わされたりするから。
俺って、ゲームではここまで魔力も強くなかったし、契約できた光属性の精霊もしょぼかったのか、ここまで髪の毛光ってなかった。目の色も青だったけど、スチルで見たのはもっと薄い色だった。
スチルの色は今の異母兄の色とほとんど変わらなかった。
なぜか今の俺は、前世を思い出したからかチートっぽくなってるけど、ゲームの強制力で結局辺境送りジ・エンド。
それがないとは言えないから……。
ボッチで、つまらない授業受けていると、思考が暗い方に行って仕方がない。
キールが俺で遊ぶためか、すぐ近くでフヨフヨ浮かんでいたけど、それにも飽きたのか『情報収集!』と言って、どっかに消えてった。
「……魔法の強さは魔力量だけではありません。契約した精霊の強さだけでもありません。魔力量は訓練の積み重ねで増えるものですし、精霊が強くてもその精霊が求める魔力を与えることができなけらば、強い魔法を放つことはできないのです。ですから……」
この世界では、精霊と契約すると魔法が使える、という形になっている。
が、その精霊というものの姿は契約ができたからといって見ることができない。
ただ、この世界の中でタリスマン帝国の『聖女』だけは、その姿を見ることはおろか、意思疎通もすることもできると言われているらしい。
この国ではその聖女という概念自体存在しないのだけれどね。
だって、タリスマン帝国の聖女の定義が光属性の治癒魔法が使えることらしいから、そしたら俺、聖女じゃん!男だけど……。
言い換えれば、光属性の治癒魔法の使える者は、精霊の姿が見えて意思疎通ができるということになるわけだ。
もしかしたらレベルの問題があるのかもしれないけど……。
もし精霊の姿が見えたなら、キールと同じような存在ということになるのかな?ほかの人には見えないし。
二人も居たら、なんかうるさそうで嫌じゃない。
精霊が見えたらなんかいいことがあるのかな?見えなくても働いてくれるならそれで十分じゃない。
授業を聞きながらそんなことを考えてた。
「……話だけでは魔法についてはよくわからないので、精霊と魔法についてのお話が終わりましたら、この学校の中にある、教練場というところに移動して、簡単な魔法の発動を実際やってもらいます。それは……そうですね、後の二回ほどこのような授業を受けてからですね。そうしたら……」
先生の実地訓練の話に、教室がざわつく。机についての授業は慣れない子供には辛いからね。それなのにこの国の初級学校の授業が前世の大学並みに長くてびっくりしたよ。
これも貴族としてのたしなみの一環なのかな。忍耐を学ぶためとか……。
この後の授業はみんな浮ついていて、注意をひくために話をしたのだろうけど、先生も失敗したなという顔をしていた。
午前だけでなく、午後の授業も始まったので、昼食を食べることになる。この世界も三食あってよかったよ。
生徒は皆、学食に行って食べることになる。
そうそう、初級学校には寮がない。幼いということもあるが、基本契約ができた貴族のみの学校だから、貴族はどんな辺境の領地の弱小貴族であっても、王都に屋敷を持っている、とされているかららしい。
だから、寮は無い。でも、王都に自宅を持っていない貴族だって本当はいるわけで、下宿のようなものが存在しているらしいのだが、そこから通ってくるものは昼食の準備まではできないから、以前は昼食の確保がとても大変だったそうだ。
そこである一人の下宿住まいの生徒が、生徒会に訴えて、初めは小さな売店のようなものを作ってもらったのをきっかけにして、冷たい食事を食べるより暖かいもの、暖かいものを食べるならば売店ではなく食堂、食堂が作られたならより多くの人が使える方が、と、今ではほとんどの者が食堂を使うようになった。それは教師も同じで、食堂の中は一応住み分けができていて、教師、2学年、1学年と分かれて座るようになっている。
もちろん、厳密に分かれて座るルールになっているわけではないから、1,2、年生で一緒に食べるものも多い。
俺は……ボッチだから、1年生の所で食べる、といいたいところだが、食堂ですら食べることができず、毎日離宮から配達される言うなればケータリングの食事を、特別に用意されている部屋、一人食べるのだ。完全に孤食、ボッチ飯だ。
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