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チュート殿下 73 腐った教師が多すぎる!
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しっかりと気配を隠蔽をして見張りの教師の背後に立つ。
気配を感じられないようにしている自分が思うのもなんだけど、こんなに近くにジャンプされて気が付かない者が、生徒に教える立場の教師というのが……。
見たことがない先生だから、学年かそもそもの所属が違う学校の先生なのかとも思うが……。
地下に向かった教師2人は、にやけ笑顔満開で地下監禁室のカギを開けてみれば、中がもぬけの殻。その時の驚きの顔はライブで中継してもらっている、この場で見せていただきました。
バタバタと大きな音を立てて教師たちが階段を上がって来る音が、地下階段の入口からも随分と離れているこの競技場への入口近くにまで響いてくる。
俺の目の前にいる先生もその音に気付いたのか、競技場内に向けていた意識を地下階段のある方向に向けるのが分かった。
驚かせるつもりはなかったので、意識が完全に後ろ側に向く前に気付かれるように隠蔽を解除して自分の存在を明らかにした。
その上で声も掛ける。
「先生もうそろそろ自分の順番ではありませんか?」
気配察知でこの辺りの人間たちの居る場所は把握している。生徒の控室には既に誰もいない。広い競技場の中自分の魔法を披露する位置まで移動するために早めに待合室から出ていったのだろう。
俺を地下に迎えに行った奴らがもうすぐ上がってくる。奴らに見られる前に競技場の中に入ってしまわなければ……。
一瞬びくりと肩を揺らした教師は、俺の顔は知らなかったのか、特別構えるところもなくそのまますんなり競技場への道を開けた。
「すまんすまん。もう生徒は残っていないと聞いていたんだが……。初級の教師はいい加減だな……」
最後の一言はごく小さな声で、俺に聞かせる気はなかったのだろう。聞こえちゃったけど……。
俺もすまし顔でそのまま競技場の中に足を踏み入れた。
それぞれの場所でそれなりの実技が行われている。
まだ初級の一年生だしな、かわいい実技だ。
数は少ないが大きな音を立てているところは、それなりの魔法を放つことができる上級貴族の子供のところか。
中央のやけに目立つように的が配置されているところでは、誰も実技をしている者が居ない。
きっとあの場所が、俺にあてがわれた校長たちの準備した、俺に恥をかかすための舞台なのだろう。
的の周囲には何も結界が張られていない。直線で魔法を飛ばしたら、あの後方で実技を行っているグループに残骸が飛んでしまうのだが……。
まず、俺の魔法が飛ばないと思っているのだな。
俺の表立って持っていると思われる属性が、光と水だから、攻撃魔法には向かないものだからね。
マーシュとの話し合いでも、『水』の方で攻撃魔法を放つことは決めていたが、『光』の方で攻撃魔法を放ってやろうかと思ってしまうぐらい、バカにされていることに腹が立つ。
キールもやったっれ!という雰囲気が駄々洩れで、そのことに気付いて逆に冷静になれた。
俺がちょうど用意された舞台端に到着した時に、地下の監禁室に迎えに行った教師2人が呼吸を荒くして競技場の入り口にたどり着いたようだ。
キョロキョロと競技場内を見渡して、俺の姿を見つけたようで、そちらを見ていた俺と視線が合った時の顔といったら……。
隠すことなくニヤリと笑ってやったら、離れていてもはっきりとわかるくらい顔を赤くしていた。
そして、競技場の中央あたりに設けられている指揮所に当たる所に陣取っている校長の下に駆け寄っていった。
視線をその校長の方へ向けると、まるでこの世の春とでもいう様子で、やたら装飾の付いた大きな椅子にふんぞり返っている校長の姿が。
上級の学校に当たる中級や高等学校に当たる王立学園の校長は流石に、初級の試験に顔を出すほど暇ではないのだろう。だからただ一人偉い人扱いを受けて悦に入っているようだ。
近くに座ってるコバンザメ教師や、それなりの爵位の父兄からよいしょされて喜んでいるようだ。
キールが勝手に声を拾ってくれるから、この距離でも状況が十分わかっちゃう。
そこにあの教師たちが駆け寄って、小声ではない周りに聞こえる声で、「俺の捕獲に失敗した」とかそのようなことを言っている。
バカだな……。
周りの父兄が引いている。
もう馬鹿な奴らのことは無視をして、こっちの実技試験始めていいかな。
この場所の担当、あっち側の教師と思われる人に一応聞いてみる。
「私の実技試験の場所はこちらであっていますか?」
この場所ではまだというか初めから誰も、俺以外の実技はないようなので聞くまでもないのだが、中央からどの様な指図を受けているのか、チェック用の用紙を確かめるふりをしながら、視線はまだ揉めている中央の校長たちの方に合図を送ろうとしている担当教師。
ほかの場所の実技も段々と終了しており、何も返事がないのならば、空いた場所に行くのも面白いかも、と思いそのように教師に告げる。
「この場所でないようなら、終わっている隣りの的に向かいますが?」
話しながら、体は隣りの的に向かい数歩歩みを進めると、慌てたようにその教師は俺を止めようとする。
「イヤ!アースクエイク……殿下の試験場所はここであっておりますので、もう少しお待ちください」
普段は俺のことを呼び捨てで読んでいるのだろう。名前を呼ぶのに詰まるって相当だな。
こいつの名前ももちろんさっきの俺を捕獲すると言っていた教師の名前も、すでに鑑定で分かっておりますとも。
どんどん掃除するモノの数が増えていくよ。
気配を感じられないようにしている自分が思うのもなんだけど、こんなに近くにジャンプされて気が付かない者が、生徒に教える立場の教師というのが……。
見たことがない先生だから、学年かそもそもの所属が違う学校の先生なのかとも思うが……。
地下に向かった教師2人は、にやけ笑顔満開で地下監禁室のカギを開けてみれば、中がもぬけの殻。その時の驚きの顔はライブで中継してもらっている、この場で見せていただきました。
バタバタと大きな音を立てて教師たちが階段を上がって来る音が、地下階段の入口からも随分と離れているこの競技場への入口近くにまで響いてくる。
俺の目の前にいる先生もその音に気付いたのか、競技場内に向けていた意識を地下階段のある方向に向けるのが分かった。
驚かせるつもりはなかったので、意識が完全に後ろ側に向く前に気付かれるように隠蔽を解除して自分の存在を明らかにした。
その上で声も掛ける。
「先生もうそろそろ自分の順番ではありませんか?」
気配察知でこの辺りの人間たちの居る場所は把握している。生徒の控室には既に誰もいない。広い競技場の中自分の魔法を披露する位置まで移動するために早めに待合室から出ていったのだろう。
俺を地下に迎えに行った奴らがもうすぐ上がってくる。奴らに見られる前に競技場の中に入ってしまわなければ……。
一瞬びくりと肩を揺らした教師は、俺の顔は知らなかったのか、特別構えるところもなくそのまますんなり競技場への道を開けた。
「すまんすまん。もう生徒は残っていないと聞いていたんだが……。初級の教師はいい加減だな……」
最後の一言はごく小さな声で、俺に聞かせる気はなかったのだろう。聞こえちゃったけど……。
俺もすまし顔でそのまま競技場の中に足を踏み入れた。
それぞれの場所でそれなりの実技が行われている。
まだ初級の一年生だしな、かわいい実技だ。
数は少ないが大きな音を立てているところは、それなりの魔法を放つことができる上級貴族の子供のところか。
中央のやけに目立つように的が配置されているところでは、誰も実技をしている者が居ない。
きっとあの場所が、俺にあてがわれた校長たちの準備した、俺に恥をかかすための舞台なのだろう。
的の周囲には何も結界が張られていない。直線で魔法を飛ばしたら、あの後方で実技を行っているグループに残骸が飛んでしまうのだが……。
まず、俺の魔法が飛ばないと思っているのだな。
俺の表立って持っていると思われる属性が、光と水だから、攻撃魔法には向かないものだからね。
マーシュとの話し合いでも、『水』の方で攻撃魔法を放つことは決めていたが、『光』の方で攻撃魔法を放ってやろうかと思ってしまうぐらい、バカにされていることに腹が立つ。
キールもやったっれ!という雰囲気が駄々洩れで、そのことに気付いて逆に冷静になれた。
俺がちょうど用意された舞台端に到着した時に、地下の監禁室に迎えに行った教師2人が呼吸を荒くして競技場の入り口にたどり着いたようだ。
キョロキョロと競技場内を見渡して、俺の姿を見つけたようで、そちらを見ていた俺と視線が合った時の顔といったら……。
隠すことなくニヤリと笑ってやったら、離れていてもはっきりとわかるくらい顔を赤くしていた。
そして、競技場の中央あたりに設けられている指揮所に当たる所に陣取っている校長の下に駆け寄っていった。
視線をその校長の方へ向けると、まるでこの世の春とでもいう様子で、やたら装飾の付いた大きな椅子にふんぞり返っている校長の姿が。
上級の学校に当たる中級や高等学校に当たる王立学園の校長は流石に、初級の試験に顔を出すほど暇ではないのだろう。だからただ一人偉い人扱いを受けて悦に入っているようだ。
近くに座ってるコバンザメ教師や、それなりの爵位の父兄からよいしょされて喜んでいるようだ。
キールが勝手に声を拾ってくれるから、この距離でも状況が十分わかっちゃう。
そこにあの教師たちが駆け寄って、小声ではない周りに聞こえる声で、「俺の捕獲に失敗した」とかそのようなことを言っている。
バカだな……。
周りの父兄が引いている。
もう馬鹿な奴らのことは無視をして、こっちの実技試験始めていいかな。
この場所の担当、あっち側の教師と思われる人に一応聞いてみる。
「私の実技試験の場所はこちらであっていますか?」
この場所ではまだというか初めから誰も、俺以外の実技はないようなので聞くまでもないのだが、中央からどの様な指図を受けているのか、チェック用の用紙を確かめるふりをしながら、視線はまだ揉めている中央の校長たちの方に合図を送ろうとしている担当教師。
ほかの場所の実技も段々と終了しており、何も返事がないのならば、空いた場所に行くのも面白いかも、と思いそのように教師に告げる。
「この場所でないようなら、終わっている隣りの的に向かいますが?」
話しながら、体は隣りの的に向かい数歩歩みを進めると、慌てたようにその教師は俺を止めようとする。
「イヤ!アースクエイク……殿下の試験場所はここであっておりますので、もう少しお待ちください」
普段は俺のことを呼び捨てで読んでいるのだろう。名前を呼ぶのに詰まるって相当だな。
こいつの名前ももちろんさっきの俺を捕獲すると言っていた教師の名前も、すでに鑑定で分かっておりますとも。
どんどん掃除するモノの数が増えていくよ。
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